イヴの総て All About Eve (1950) 5/5 (30)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

ブロードウェイハリウッド、または芸能界の地位や名誉欲に執着する野心家の女性と、彼女に翻弄される業界人の姿を描いた、製作、監督、脚本ジョセフ・L・マンキーウィッツベティ・デイヴィスアン・バクスタージョージ・サンダースセレステ・ホルム共演のドラマ。マリリン・モンローも脇役出演する。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
製作:ダリル・F・ザナック
脚本:ジョセフ・L・マンキーウィッツ
撮影:ミルトン・クラスナー
原作:メアリー・オアーThe Wisdom of Eve
編集:バーバラ・マクリーン
美術・装置
ライル・R・ウィーラー
ジョージ・デイヴィス
トーマス・リトル
ウコルター・M・スコット
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
マーゴ・チャニング:ベティ・デイヴィス
イヴ・ハーリントン/ガートルード・スレシンスキー:アン・バクスター
アディソン・デウィット:ジョージ・サンダース
カレン・リチャーズ:セレステ・ホルム
ビル・サンプソン:ゲイリー・メリル
ロイド・リチャーズ:ヒュー・マーロウ
マックス・フェビアン:グレゴリー・ラトフ
バーディー・クーナン:セルマ・リッター
クローディア・カズウェル:マリリン・モンロー
フィービー:バーバラ・ベイツ

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1950年製作 138分
公開
北米:1950年10月13日
日本:1951年9月21日
北米興行収入 $63,463


アカデミー賞 ■

第23回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
助演男優(ジョージ・サンダース)
脚本・録音・衣装デザイン賞
・ノミネート
主演女優(ベティ・デイヴィス/アン・バクスター)
助演女優(セレステ・ホルム/セルマ・リッター)
編集・撮影(白黒)・美術(白黒)・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

アメリカ演劇界最高の栄誉”セイラ・シドンズ賞”をイヴ・ハリントン(アン・バクスター)が受賞することになる。

しかし、会場の喝采を受けるイヴを、複雑な表情で見つめる数人の出席者がいた。
__________

8ヶ月前。
劇作家ロイド・リチャーズ(ヒュー・マーロウ)の妻カレン(セレステ・ホルム)は、大女優であるマーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)に憧れ、毎晩、彼女の楽屋口に訪れるイヴを気にかけていた。

ある晩、劇場の裏口で、イヴに声をかけられたカレンは、サインねだりか非行少女だと言い張るマーゴを説得して彼女にイヴを紹介する。

マーゴは、ロイドや付き人のバーディー・クーナン(セルマ・リッター)とで、イヴの語る身の上話を聞き感銘を受ける。

そこに、マーゴの恋人で、演出家のビル・サンプソン(ゲイリー・メリル)が現れる。

ビルはハリウッドに向かうために、マーゴに見送りの準備を急がせる。

イヴはビルに挨拶した後、その場を去ろうとするが、マーゴは彼女を引き止める。

ロイドとカレンは、イヴに別れを告げて楽屋を去り、残ったビルは、どうして演劇界からハリウッドに向かうかでイヴと議論になる。

イヴは、マーゴがビルを見送る空港に同行し、その後、住み込みで彼女の身の回りの世話をすることになる。

マーゴはイヴを近くに置き、ビルのいない寂しさを紛らそうとした。

イブは驚くほど有能で、家の中は整頓され、ビルの誕生祝の電話まで手配する。

マーゴは、自分のプライバシーに立ち入り過ぎるイヴに対し、 彼女を嫌うバーディーと共に、次第に警戒心を抱き始める。

その後、戻ってきたビルの誕生パーティーの席上、マーゴは、ビルに対するイヴの態度に激怒して彼と言い争いになる。

プロデューサーのマックス・フェビアン(グレゴリー・ラトフ)を伴って現れたロイドとカレンは、 不穏な空気が漂うマーゴとビルの様子に気づく。

マーゴは、批評家のアディソン・デウィット(ジョージ・サンダース)に同伴した、新人女優のクローディア・カズウェル(マリリン・モンロー)の相手役を引き受ける交換条件として、マックスに、イヴを引き取ってもらうことを考える。

イヴの野心も徐々に表面化していき、カレンに手を回しマーゴの代役に推薦してもらおうとする。

その後、舞台に対する熱い思いを語るイヴに、ビルやカレン、そしてアディソンまでもが聞き入ってしまう。

マーゴは来客の相手もせず一人酔ってしまい、ついに人前で、イヴへの嫌悪感を露わにする。

それを見たカレンは、マーゴを批判してイヴに同情してしまう。

イヴは気落ちするものの、カレンに代役の件で念を押すことを忘れなかった。

その後、代役で、クローディアを相手にオーディションを受けたイヴをアディソンは絶賛し、それをマーゴに伝える。

マーゴは、知らぬ振りをしてステージに向かい、謙遜するイヴを尻目に、彼女の素晴らしさを語るビルやロイドの相手をする。

なぶり者にされたことに気づいたロイドは憤慨し、マックスと共に劇場を去る。

イヴを過剰に意識して癇癪を起こし、自分との仲まで疑うマーゴを見限り、ビルは彼女に別れを告げる。

帰宅したロイドは、カレンにマーゴへの不満をぶつけるが、カレンはマーゴのわがままだと考え、彼女を少し懲らしめようとする。

カレンは、旅行の際に車に細工をして、マーゴを舞台に立たせない方法を考える。

予定通り車は止まってしまい、ロイドが近くの民家に行っている間、冷静に自分の行動を反省するマーゴを見てカレンは罪悪感を感じる。

その頃、イヴはマーゴの代役を無事に務め、アディソンは彼女の楽屋に向かう。

そして、イヴがビルを誘惑し、彼がそれを拒絶してしまうところをアディソンは見てしまう。

アディソンはイヴの本性を見抜き、彼女に探りを入れて利用することを考える。

各新聞記事はイヴを褒め称えるが、なぜ記者達がイヴに注目したのかうカレンは疑問に思う。

アディソンのコラムを読んだカレンは驚き、それを持参してマーゴの元に向かう。

イヴを絶賛し、自分の時代が終わったかのように伝えるそのコラムを読んだマーゴに、怒りと悲しみがこみ上げる。

コラムを読んだビルはマーゴの元に戻り、それを見たカレンは安心して帰宅する。

しかし、カレン女は、イヴが自分の夫ロイドに接近してきていることを知る。

今回のコラムをきっかけに、イヴを見る目が変わってきたカレンは、新作でイヴを使う考えのロイドを批判する。

カレンの同意なしでは、イヴの起用はないことをロイドは伝え、二人はマーゴとビルに誘われてクラブに向かう。

イヴの魂胆が見えてきたマーゴの周辺は、以前のようにまとまりを見せる。

結婚を決めたマーゴとビルを祝福するロイドとカレンだったが、そこにイヴからのメッセージが届き、カレンが彼女に呼び出される。

カレンはイヴを軽蔑の眼差しで見つめて接するが、いつものように謙遜して語り始めたイヴに、カレンは再び同情し始める。

しかし、イヴは態度を豹変させ、ロイドが書いた舞台の主役を演じられるよう、旅行の車の件を持ち出して、カレンを脅迫する。

カレンは不安げに席に戻るが、配役が年齢に合わないことや、結婚の幸せに浸るために、マーゴは、自らその役を辞退してこの件は解決してしまう。

その後、ロイドはイヴを主役に舞台の準備をはじめ、ビルもそれに誘われる。

ビルとロイドはイヴの演技で衝突し、そこにつけこみ彼女はロイドをカレンから奪おうとする。

そして、ロイドと結婚するとまで言い出し、有頂天になるイヴにアディソンが牙を剥き始める。

アディソンはイヴの身の上調査をして、嘘で固められたその正体を見抜き、彼女を影で操ろうとする。

そして、イヴの舞台は大成功して、彼女はついに”セイラ・シドンズ賞”を受賞することになる。
__________

賞を受けたイヴに、マーゴ達は上辺だけ祝福する。

受賞式の夜、帰宅したイブの部屋には、高校のレポートのため入り込んだという、フィービー(バーバラ・ベイツ)と名乗る少女がいた。

そこに、車に賞の像を忘れたイヴに、アディソンがそれを届けに現われる。

アディソンはフィービーを見て、そんなに賞が取りたければ、イヴに総てを聞くように伝え立ち去る。

イヴに、アディソンのことは伝えなかったフィービーは、8ヶ月前のイヴのような、野心を抱いた少女だった。

そしてフィービーは、喝采を浴びる自分を想い描きながら、像を手にイヴのガウンをまとい、鏡の前で何度も会釈する。


解説 評価 感想 ■

1946年に発表された、メアリー・オアーの短編”The Wisdom of Eve”を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)

劇作家ロイド・リチャーズの妻カレンは、大女優マーゴ・チャニングに憧れ、毎日劇場に足を運ぶ貧しい女性イヴを気にかけ、カレンはイヴをマーゴに紹介する。
イヴを気に入ったマーゴは、彼女を付き人にするが、プライバシーにまで干渉し始めるイヴを、マーゴは次第に嫌い始める。
カレンは、その後もイヴを支え続けるが、マーゴの代役を務めた彼女は、マーゴの恋人で演出家のビルや、ロイドにまで接近し始める。
イヴの周囲が、彼女の行動に警戒し始めた頃、批評家アディソンはイヴの正体を暴き、彼女を影で操ろうと画策する・・・。
__________

前年の「三人の妻への手紙」(1949)に続いて、2年連続でアカデミー監督賞と脚本賞に輝く快挙を成し遂げたジョセフ・L・マンキーウィッツの、演劇界の内幕を描いた重厚なドラマで、冒頭の謎が解けていくクライマックスまでの展開は、さながらミステリーのような面白味もある。

第23回アカデミー賞では、12部門のノミネート中、作品賞以下6部門で受賞した映画史上に残る名作。
・受賞
作品・監督
助演男優(ジョージ・サンダース)
脚本・録音・衣装デザイン賞
・ノミネート
主演女優
(ベティ・デイヴィス/アン・バクスター)
助演女優
(セレステ・ホルム/セルマ・リッター)
編集・撮影(白黒)・美術(白黒)・作曲賞

1990年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

火花を散らすベティ・デイヴィスアン・バクスターをはじめとした、主な出演者それぞれの個性を見事に生かした、ジョセフ・L・マンキーウィッツの、迫力さえ感じさせる演出は見事だ。

誰もが平伏す大女優、それを蹴落とそうとする強かな女性、さらには、その上手をいく策略家の登場という、目まぐるしいストーリー展開にも圧倒される。

華やかな世界と、うごめく人間模様を見事に表現するアルフレッド・ニューマンの音楽、艶やかな演劇界、特に女優陣の衣装を担当したイデス・ヘッドの確かな仕事も素晴らしい。

主演のベティ・デイヴィスは、”悪女女優を見事に演じた”などと記してあるコメントをよく見かけるが、”秀でた才能の大女優を演じた”と言った方が正しいだろう。

この位のパワーがなければ、その世界のトップの座を勝ち取れるはずもなく、現実の彼女を投影しているような役柄も実に興味深い。
へたな男優が、10人位束になってもかないそうもない雰囲気も彼女らしい。
彼女は、恋人役のゲイリー・メリルと、撮影終了直後に結婚している。

ベティ・デイヴィスと揃ってアカデミー主演賞候補になったアン・バクスターこそ、強かな悪女役で、ハリウッドの女優にしては、小柄で地味でもあり、そして誠実そうなイメージとのギャップが、見事な効果を上げている。

その彼女の上をいく”悪人”ジョージ・サンダースの隙のない策略家は、当時44歳とは思えない貫禄と共に、圧倒的な存在感がある。

彼は、1972年に睡眠薬自殺をするが、発見された遺書には「退屈だからこの世を去る」とあったという。
本作の彼を見ていると、そのような命の絶ち方をしそうな雰囲気がある。

こちらも揃ってアカデミー助演賞にノミネートされた、セレステ・ホルムセルマ・リッターらの、実力派俳優の好演も見ものだ。

セルマ・リッターは、後半、全く姿を見せなくなってしまうのは残念だ。

女優人に関るゲイリー・メリルヒュー・マーロウグレゴリー・ラトフも、それぞれがいい味を出している

まだ20代半ばのマリリン・モンローの、美しさが際立つ出演も印象に残る。

そして、ラストを飾る、次の野心家役でバーバラ・ベイツが出演している。


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