インドへの道 A Passage to India (1984) 5/5 (2)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1924年に発表された、E・M・フォスター同名小説を基に製作された作品映画化。
70歳代半ばを迎えた巨匠デヴィッド・リーンの、「ライアンの娘」(1970)以来14年振りとなる作品で、本作が彼の遺作となり、脚本、編集も兼ねた意欲作でもある。
ジュディ・デイヴィスヴィクター・バナルジーペギー・アシュクロフトアレック・ギネス共演。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:デヴィッド・リーン
製作
ジョン・ブラボーン
リチャード・B・グッドウィン
原作:E・M・フォスター
脚本:デヴィッド・リーン
撮影:アーネスト・デイ
編集:デヴィッド・リーン
美術・装置
ジョン・ボックス
ヒュー・スケーフ
音楽:モーリス・ジャール

出演
ジュディ・デイヴィス:アデラ・クエスティッド
ヴィクター・バナルジー:アジズ・H・アーメド医師
ペギー・アシュクロフト:モア夫人
アレック・ギネス:ゴドボリ教授
ジェームズ・フォックス:リチャード・フィールディング
アダム・ブラックウッド:ハードリー
ナイジェル・ハヴァース:ロニー・ハスロップ
リチャード・ウィルソン:タートン総督
マイケル・カルヴァー:マクブライド
アート・マリック:マフムード・アリ
サイード・ジャフリー:ハミデュラ
ロシャム・セス:アムリトラオ弁護士
ラシッド・カラピート:ダス判事

イギリス/アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1984年製作 163分
公開
北米:1984年12月14日
日本:1958年8月30日
製作費 $16,000,000
北米興行収入 $27,187,653


アカデミー賞 ■

第57回アカデミー賞
・受賞
助演女優賞(ペギー・アシュクロフト)
作曲賞
・ノミネート
作品・監督
主演女優(ジュディ・デイヴィス)
脚色・編集・撮影・録音・美術
衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1920年代、イギリスインド
イギリス人女性アデラ・クエスティッド(ジュディ・デイヴィス)は、現地の判事で婚約者のロニー・ハスロップ(ナイジェル・ハヴァース)の母親モア夫人(ペギー・アシュクロフト)と共に長い船旅を終えて、無事にボンベイ(現ムンバイ)に到着する。

汽車で目的地チャンドラボアに向かったアデラとモア夫人は、タートン総督(リチャード・ウィルソン)夫妻と共に現地に到着して歓迎を受ける。

アデラとモア夫人は、治安判事を務めるロニーに、好きなところを見て回るように言われる。

しかし、現地の人々を見下したような目で見るイギリス人や、それに反発するインド人達の姿を目の当たりにしたアデラとモア夫人は、期待した旅の楽しさを味わえないでいた。

ある夜モア夫人は、モスクで、妻をお産でなくした現地の医師アジズ・H・アーメド(ヴィクター・バナルジー)に出会う。

モア夫人は、アジズの誠実さにようやく心休まる思いで、彼も、夫人のような優しいイギリス人に会うのは初めて
だった。

アデラは、インド人と親交を深めたい意向を国立大学の学長リチャード・フィールディング(ジェームズ・フォックス)に伝える。

そして、モア夫人から推薦された、アジズ医師を紹介してもらえることになる。

モア夫人は、イギリス人のインド人に対する余所余所しい態度が我慢できず、息子ロニーに不満をぶつける。

フィールディングは、アデラとモア夫人を、アジズと、風変わりな哲学者のゴドボリ教授(アレック・ギネス)に正式に紹介する。

二人のイギリス人女性、特にアデラは、アジズの勧めるマラバー洞窟の旅に期待を膨らませ、 彼やゴドボリ教授と話を弾ませる。

そこにロニーが現れ、アデラがインド人と親しくしていることに不快感を示し、旅行は実現しないと言い張る。

その後、ロニーとポロの試合を見に行ったアデラは、彼とは結婚しないことを告げて、お互い了承する。

翌日アデラは、郊外の茂みの中の、朽ち果てた官能的な遺跡を見つけ、大量のサルに襲われそうになり、その場を逃れる。

ロニーの家に戻ったアデラは、ポロの試合で言ったことを取り消し、彼と抱き合う。

ある日、フィールディングがアジズを訪ねるが、彼は熱を出してベッドに横たわっていた。

アジズのインド人の友人達と談笑し、皮肉を言われても動じないフィールディングを、アジズは信頼し親しみを感じる。

そして旅行の日、同行するはずのフィールディングは汽車に乗り遅れてしまう。

アジズは、一人でアデラとモア夫人の面倒を見ることになり不安を抱き、ゴドボリ教授はフィールディングに、不吉な予感を伝える。

しかし、面倒見のいいアジズは、二人のために精一杯の持て成しをして彼女らを喜ばせる。

そして、マラバー洞窟の麓に到着した一行は、最初の洞窟を見た後、恐怖と疲労で体調が心配されるモア夫人を残し、アデラとアジズはガイドを連れ高台に上っていく。

アジズは、自分の妻に対するアデラの質問や見つめる眼差しに、戸惑いを感じる。

そのため、アジズはアデラと少し離れた場所で休息をとるが、彼女は一人で洞窟に入ってしまう。

自分を捜すアジズの叫び声を聞いたアデラは、性的欲望を感じてしまい失神しそうになり、慌てて洞窟を抜け出す。

そしてアデラは、一行の後を追ってきた、フィールディングが乗せてもらってきた車に乗り町に戻ってしまう。

アジズは、モア夫人とフィールディングに事情を説明し、アデラを見失い旅を台無しにしたことを謝罪する。

フィールディングと町に戻ったアジズは、集まる人々の異様な雰囲気に驚きつつ駅に到着し、そして警察に逮捕されてしまう。

ロニーに迎えられたモア夫人は、連行されるアジズの身を案ずる。

フィールディングは、アデラがアジズを訴えたことを知らされてショックを受け、検察のマクブライド(マイケル・カルヴァー)に事情を聞きに行く。

アジズの立場が不利な状況で、彼の友人で弁護士のマフムード・アリ(アート・マリック)やハミデュラ(サイード・ジャフリー)が、早速、保釈申請をしようとする。

二人は、コルカタの高名な弁護士である、反英主義者のアムリトラオ弁護士(ロシャム・セス)を雇うしかないことをフィールディングに伝える。

しかし、フィールディングは、何も証拠がない状況であり、アジズが裁判に負けるはずがなく、イギリスに、政治的な挑戦と受け止められないかを懸念する。

アデラを見舞ったモア夫人は、アジズの無実を信じていることをロニーに語る。

帰宅したフィールディングは、彼を待っていたゴドボリ教授から、アジズの件で何をしても結果は同じだと忠告される。

フィールディングは、公の場でアジズ側につくことを表明し、アジズに同情するモア夫人は、重要な証人にも拘わらず事件のごたごたから遠ざかるために帰国を決意する。

ロニーの説得も聞き入れられず、町を去ろうとするモア夫人は、ゴドボリ教授が何かを言いたげに見送りに来たのを気にする。

そして、インド人の反英感情が高まる中、裁判は始まり、アデラをじっと見つめる被告アジズの視線に、彼女は目を合わせることが出来ない。

インド人判事ダス(ラシッド・カラピート)の下、マクブライドの冒頭陳述が始まる。

その頃、帰国の途に着いていた洋上のモア夫人は、心臓発作を起こして帰らぬ人となる。

法廷では、弁護側のアリが、証人となり得るモア夫人が、インドを去ったことに猛抗議して退廷してしまう。

リーは、法廷の外の民衆を扇動し、人々は”モア夫人”と叫び続け、アデラはこの地で起こった異変に驚く。

アデラは証言台に立ち、モア夫人がアジズに好意的だったことと、彼の妻への質問などで、ロニーを愛していないことに気づいたことを語る。

そしてアデラは、洞窟のことをよく覚えてないと言い出し、アジズが、自分を追ってきたのではないことを証言して告訴を取り下げてしまう。

アジズは釈放され、アデラは証人席に座り込み、なだれ込んだ民衆は彼を称える。

呆然として法廷を出たアデラに、危険が迫る可能性があり、フィールディングが彼女を大学の自宅に連れて行く。

帰宅したフィールディングは、アデラにモア夫人が亡くなったという電報が届いたことを伝える。

そこにゴドボリ教授が現れ、悪い知らせと聞いただけで、モア夫人の訃報だと察する。

そして教授は、アムリトラオ弁護士が、アジズに2万ルピーの弁護料を請求したことをフィールディングに知らせる。

アジズの元に向かったフィールディングは、イギリス人を憎しみの対象としか見れなくなったアジズに、弁護費用などをアデラに払わせるつもりか問い質す。

当然のごとくアデラに憎しみを感じるアジズは、皮肉を込めて、その金を、夫を買う費用に使うよう彼女に伝えてくれと言い放つ。

その後、英雄となったアジズは、祝賀会のため民衆の歓迎を受ける。

数年後。
帰国していたフィールディングは、ヒマラヤで医師を続けるアジズを訪ねようとする。

それを、同じくヒマラヤに移ったゴドボリ教授から知らされたアジズは、フィールディングの結婚相手がアデラだと思い、彼女と顔を合わせたくないために再会を拒む。

しかしフィールディングは、ゴドボリ教授にアジズの住まいを聞き、彼の自宅を訪ねる。

アジズは、フィールディングの妻がモア夫人の娘だと聞き、驚きと共にわだかまりが消え、モア夫人に感謝する。

その後アジズは、アデラの勇気がやっと理解できたという内容の手紙を彼女に送り深く謝罪する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

婚約者に会うため、その母親モア夫人とインドへ旅立ったイギリス人女性アデラ・クエスティッドは、イギリス人の、インド人に対する偏見の眼差しを夫人と共に気に懸ける。
そんな二人は、ただ一人現地の人々に友好的な大学の学長フィールディングに出会い、医師のアジズや哲学者ゴドボリ教授を紹介され、親交を深める。
面倒見のいいアジズは、女性二人と洞窟見学の旅に向かう。
そして、アデラが、洞窟でアジズに襲われるという事件が起きてしまう。
身に覚えのない容疑をかけられたアジズは、自分を信頼していたはずのアデラに訴えられてしまい、イギリスの正義の下で開かれた法廷に、被告として立たされることになってしまう・・・。
__________

デヴィッド・リーン作品にはよく登場する、愛欲に飢える女性の心理描写と人種偏見を、生々しく、また繊細に描く彼の演出は、全く衰えを見せない見事なものとなっている。

第57回アカデミー賞では、作品、監督賞をはじめ11部門にノミネートされ、助演女優(ペギー・アシュクロフト)と作曲賞を受賞を果たした。
・ノミネート
作品・監督
主演女優(ジュディ・デイヴィス)
脚色・編集・撮影・録音・美術・衣装デザイン賞

インド各地の、大自然を映し出した映像も素晴らしく、そのスケールの大きさと美しさは、まるで絵葉書美や術絵画を見ているようだ。

デヴィッド・リーン作品で、3度目のアカデミー賞受賞となる、モーリス・ジャールの音楽が、その美しい映像をより効果的にスクリーンに映し出す手助けをしている。

主演のジュディ・デイヴィスは、デヴィッド・リーンの前作「ライアンの娘」(1970)のサラ・マイルズと、「ドクトル・ジバゴ」(1965)のジュリー・ クリスティを合わせたような雰囲気を持ち、容姿もどことなくその二人に似ている、いかにもデヴィッド・リーン好みの女優とも言える。

ヴィクター・バナルジーは、灼熱の地で常に女性を前にスーツとネクタイを着用する、思慮深い紳士的なインド人医師を好演し、全体的にコミカルな演技を見せながら、シリアスなシーンでも光る演技を見せてくれる。

ペギー・アシュクロフトの、控えめではあるが芯の強さを感じさせる、メリハリある矍鑠たる演技も秀逸だ。

77歳でのアカデミー助演賞受賞はこの部門の最高齢記録。

デヴィッド・リーン作品の常連である、アラブ人ロシア人、そして今回は風変わりなインド人の教授を演ずるアレック・ギネスの怪演も見所のひとつだ。

正義感があり主人公アデアの勇気を、信念を持って支えるジェームズ・フォックスの好演も見逃せない。

インド人俳優の第一人者ロシャム・セスや、法廷で恥をかいてしまう主人公の婚約者ナイジェル・ハヴァース、検事マイケル・カルヴァー、アジズの友人弁護士アート・マリックサイード・ジャフリーなどが共演している。


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