ブルックリン横丁 A Tree Grows in Brooklyn (1945) 5/5 (28)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1943年に発表された、ベティ・スミス同名自伝的小説を基に製作された作品。
辛い時代を生き抜く家族を少女の視点から描く、ブロードウェイから映画界に進出し、実際はこの作品より前があるものの、実質的にはエリア・カザンの監督第1作といっていい作品であり、主演ドロシー・マクガイアジェームズ・ダンペギー・アン・ガーナージョーン・ブロンデルロイド・ノーラン共演による家族愛のドラマ。


ドラマ(家族愛)


スタッフ キャスト ■

監督:エリア・カザン
助監督:ニコラス・レイ
製作:ルイス・D・ライトン
原作:ベティ・スミス
脚本
テス・スレシンジャー
フランク・デイヴィス
撮影:レオン・シャムロイ

編集:ドロシー・スペンサー
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
ドロシー・マクガイア:ケイト・ノーラン
ジェームズ・ダン:ジョン”ジョニー”ノーラン
ペギー・アン・ガーナー:フランシー・ノーラン
ジョーン・ブロンデル:シシー・エドワーズ
ロイド・ノーラン:マクシェイン巡査
テッド・ドナルドソン:ニーリー・ノーラン
フェリーク・ボロス:ロメリー
チャールズ・ホルトン:バーカー
ジェームズ・グリーソン:マックギャリティー
ルース・ネルソン:ミス・マクドーノー
ジョン・アレクサンダー:スティーヴ・エドワーズ
アデリン・デ・ウォルト・レイノルズ:ウォーターズ夫人
メエ・マーシュ:リジー・ティンモア

アメリカ 映画
配給 20世紀 FOX
1945年製作 129分
公開
北米:1945年2月28日
日本:1947年7月


アカデミー賞 ■

第18回アカデミー賞
・受賞
助演男優賞(ジェームズ・ダン)
特別賞(ペギー・アン・ガーナー)
・ノミネート
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

ニューヨークブルックリン
貧しいアパートで暮らす、ノーラン一家の苦しい生活は切迫していた。

堅実な妻ケイト・ノーラン(ドロシー・マクガイアー)は、掃除婦など、身を粉にして働き、毎週欠かさず保険金をかけ、稼いだ現金は必ず半額貯金していた。

想像力豊かな娘のフランシー(ペギー・アン・ガーナー)と、やんちゃな弟ニーリー(テッド・ドナルドソン)も、鉄くずなどを集めては売りさばき家計を助けていた。

一家の主ジョニー(ジェームズ・ダン)は、ウェイター”芸人”をしていて、夢ばかり追い続ける楽天家だった。

フランシーは、貧しい生活に追われて素っ気無い母よりも、空想好きの父ジョニーを愛していた。

そんな時、裏庭の小鳥たちが集まる木が切られてしまい、フランシーは悲しむ。

それを見たジョニーは、コンクリートの下の根から生えている、逞しい木の力を誰も抑えることは出来ないと言って、優しく彼女を慰めるのだった。

何度も結婚を繰り返す姉シシー(ジョーン・ブロンデル)が、新しい恋人と結婚するいう噂を聞き、ケイトは気苦労が絶えなかった。

シシーは、頼りにならない夫ジョニーのことを嘆くケイトに、彼の屈託の無い笑顔や振る舞いは、人を惹きつける魅力があることを彼女に伝える。

さらにシシーは、ジョニーが悪いのではなく、ケイトが変わってしまったのではないかと、彼女が、どれだけ夫を愛しているかを見抜いて慰める。

その後、シシーは通りで近所の住民と騒ぎを起してしまい、最近赴任してきたマクシェイン巡査(ロイド・ノーラン)に、それを制止されて、ケイトは恥をかいてしまう。

ケイトは子供達のことを考え、ふしだらなシシーに、二度と家に来てほしくないと言って、彼女を突き放してしまう。

子供達への厳しさやシシーへの仕打ちを、母親ロメリー(フェリーク・ボロス)に責められたケイトは、家族に対して優しくしてみようと努力する。

夜中に、ジョニーが手土産を持って帰宅し、気持ちを変えて彼の帰りを待っていたケイトと、起きてきた子供達とでささやかなパーティーを始める。

ジョニーは、華やかだった披露宴の話で家族の笑いを誘い、そして子供達は眠りに着く。

シシーや母から言われたことを気にするケイトは、ジョニーに自分が変わってしまったかを尋ねる。

ケイトが苦悩していることを察したジョニーは、彼女を気遣い、自分も家族のために生まれ変わってみせると、興奮して夢を語り始める。

しかし、現実的なケイトはジョニーの話を遮ってしまい、彼も言葉を失ってしまう。

ジョニーはその後、客からもらったチップ手に酒場で酔い潰れてしまい、朝方、フランシーとニーリーが学校に登校しようとする時に戻ってくる。

マクシェイン巡査がジョニーを家に送り届け、父のことを気にしながら、フランシーは学校に向かう。

ある日曜日、フランシーは父ジョニーを散歩に誘い、市場の先の学校に転向したいことを伝える。

しかし、その学校に通うためには、校区内に住まなければならず、ジョニーはフランシーの希望を叶えるために思案する。

ジョニーはある家に目を付け、そこの住人を親戚と偽り、フランシーを下宿させたことにしてしまう。

そして、フランシーの願いは叶い、新しい学校に転向することが出来る。

ノーラン家も、節約のために階上に引っ越すことになり、前の住人ウォーターズ夫人(アデリン・デ・ウォルト・レイノルズ)は、ピアノを預かってくれるようケイトに頼む。

それを了承したケイトは、洗濯カゴにすると言って、ウォーターズ夫人のクーハンを譲ってもらう。

夫人はケイトが妊娠しているとに気づき、まだ誰にも打ち明けていないという、彼女の身を案ずる。

そんな時、ケイトは保険の集金人バーカー(チャールズ・ホルトン)から、姉シシーが妊娠しているということを聞き、彼女に優しく接しようとする。

帰宅したジョニーは、引っ越した部屋が以前にも増してみすぼらしいことを知りショックを受ける。

クリスマスが近づき、フランシーの学校の担任マクドーノー先生(ルース・ネルソン)が、くずれたパイを欲しい生徒がいるかを尋ねる。

フランシーは、貧しい家庭に届けると言って名乗りを上げるが、マクドーノーは、彼女自身が欲しがっていることを見抜いていた。

嘘をついたと涙ながらに謝罪するフランシーに対し、彼女の豊かな想像力を褒め称えたマクドーノーは、それを物語などに生かすよう助言する。

フランシーは、ニーリーと売れ残りのクリスマスツリーを手に入れ、二人を待つ家族の元に帰る。

シシー夫妻や、祖母ロメリーなども集まり楽しい夜になり、ケイトの妊娠を知ったシシーは彼女を気遣う。

ケイトはジョニーに子供が生まれることを告げ、彼は単純にそれを喜ぶ。

金銭的な苦労を理由に、ケイトはフランシーに学校を辞めさせて働かせようとする。

ジョニーはそれに反対し、自分が今以上に働くことを約束するが、ケイトに、それが当てにならないと言われてしまう。

自分の無力さを痛感したジョニーはショックを受け、作家になりたいと言うフランシーの夢を聞き、気持ちは絶望に変わり、雪が降りしきる中、家を出て行ってしまう。

失踪したジョニーを、ケイトは捜し回るが、マクシェイン巡査からの連絡で、ジョニーが病院に運ばれて重症だということを知る。

ジョニーは職を探し、職業安定所の前で倒れてしまったのだった。

マクシェインの話では、ジョニーはしらふだということだったが、彼は酔いつぶれて肺炎にかかり、結局、その後、
死亡する。

ケイトは、ジョニーのアルコール依存症も死因だと医師から聞くが、子供達のことを考えて肺炎で死んだことにしてもらう。

ジョニーの葬儀には、思いもよらぬ大勢の人々の参列があり、ケイトは、彼がいかに愛されていたかを知る。

町の人々は、笑顔や歌で、心を豊かにしてくれたジョニーに感謝し、残された家族に温かく接する。

酒場での仕事をもらった子供達だったが、フランシーは、母ケイトが自分を嫌い、父を愛していなかったと決め付けて、彼女を憎むようになる。

ケイトは、フランシーと触れ合うことも出来ずに悩み苦しむが、出産を控えて、頼れるのは娘しかいなかった。

やがて、シシーに男の子が生まれ、具合の悪いケイトに頼られ、フランシーは、次第に母への思いやりを取り戻す。

ケイトの陣痛の苦しみに付き添うフランシーは、父ジョニーのことを綴った作文を読んで聞かせ、母が父を愛していたことを知る。

そして、ケイトは女の子を出産し、やがて、フランシーは卒業式を迎える。

シシーに付き添われたフランシーは、教室の机の上に置かれた父からの花束をみつけ、それにはメッセージが添えられていた。

それは、生前、父ジョニーがシシーに預けていたもので、フランシーはそれを知り、父を想い涙する。

フランシーは、シシーと祖母ロメリーに見守られながら立派に卒業し、ケイトも、優しい気持ちと心の余裕を取り戻す。

その後ケイトは、半年前に妻を亡くしたマクシャイン巡査からプロポーズされ、彼女はそれを受け入れる。

そして、フランシーとニーリーは、ケイトとマクシャインを二人だけにさせて、裏庭でたくましく育つ木を屋上から眺めながら、幸せを実感する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

貧しくも、力を合わせ逞しく生きるノーラン家の中で、主のジョニーは、気のいい楽天家として日々を暮らしていた。
そんな夫にかまっていられず、生活のために働きづめのケイトだった。
想像力豊かな娘のフランシーは、空想好き父のことを愛していた。
学習意欲旺盛なフランシーは転校を希望して、ジョニーは娘の願いを叶えてあげる。
そんな時、ケイトの妊娠が分かり、辛い生活が続く中、ジョニーは家族に幸せを与えられない自分の無力感に絶望しながら、亡くなってしまう。
やがてフランシーは,母ケイトが、自分や父を愛していないと思い込み、憎むようになる・・・。
__________

20世紀初頭のブルックリン、貧しい生活を送る平凡な一家族の物語を、一家を支える母親の苦悩や、経済力には乏しいが、温かく家族を見守る父親の悲哀・・・。
母親の愛情を受け入れられず、父親の奔放さばかりに惹かれる娘の姿などを繊細に描いた、エリア・カザン演出の珠玉の名作。

特に、随所に見られる、舞台演出家らしい画面構成が印象的だ。

2010年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第18回アカデミー賞では、ジェームズ・ダンが助演男優賞を、ペギー・アン・ガーナーが特別賞を受賞した。
・ノミネート
脚本賞

また、当時の街並みを、ノスタルジックな雰囲気で見事に再現している、セットや小道具も素晴らしい。

主演のドロシー・マクガイアは、生活苦と子供達への愛情の乏しさに苦悩する母親役を、迫真の演技で演じ切っている。

アカデミー助演賞を受賞したジェームズ・ダンの、楽天家でありながら、夫や父親としての責任を果たしきれず、寂しく死んでいく姿は涙を誘う。

感受性の強い娘を演じたペギー・アン・ガーナーの、二人に劣らない名演なくして、本作は語れないほど素晴らしかった。

また、派手な伯母を演じたジョーン・ブロンデルも、物語の中で大きな存在感を示し、妹(D・マクガイア)と対立しながら、母としての愛情を取り戻させる役を好演している。

若き日のロイド・ノーランの、実直な巡査役も印象に残る。
(若いとは言っても40歳を過ぎていた)

弱音を吐かない逞しくやんちゃな弟テッド・ドナルドソン、祖母フェリーク・ボロス、保険の集金人役チャールズ・ホルトン、フランシー(P・A・ガーナー)の想像力の豊かさを褒め、彼女を励ます教師役のルース・ネルソンなどが共演している。

アパートの住人でメエ・マーシュ、同じく、前年の「我が道を往く」(1944)で、老神父役のバリー・フィッツジェラルドの母親役で、わずかながら出演し、親子の再会を感動的に演じたアデリン・デ・ウォルト・レイノルズも、一家にピアノを預ける夫人役で登場する。


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