ベン・ハー Ben-Hur (1959) 5/5 (39)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1880年に発表されたルー・ウォーレス将軍の大ベストセラー小説”Ben-Hur:A Tale of the Christ”の映画化で、副題のように、これは”キリストの物語”である。
19171925年のサイレント映画に続く3度目の映画化で、前文不要、製作、監督ウィリアム・ワイラー、主演チャールトン・ヘストンスティーヴン・ボイドジャック・ホーキンスヒュー・グリフィス他によるハリウッド映画史上に残る傑作にして不朽の名作。


ドラマ(歴史劇)


スタッフ キャスト ■

監督:ウィリアム・ワイラー
助監督
ヤキマ・カナット

セルジオ・レオーネ
リチャード・ソープ
製作
サム・ジンバリスト

ウィリアム・ワイラー
原作:ルー・ウォーレスベン・ハー
脚本:カール・タンバーグ

撮影:ロバート・サーティース
編集
ラルフ・E・ウィンターズ

ジョン・D・ダンニング
美術・装置
ウィリアム・A・ホーニング

エドワード・カーファグノ
ヒュー・ハント
衣装デザイン:エリザベス・ハッフェンデン
音楽:ミクロス・ローザ

出演
チャールトン・ヘストン:ジュダ・ベン=ハー
スティーヴン・ボイド:メッサラ
ジャック・ホーキンス:クイントゥス・アリウス
ヒュー・グリフィス:族長イルデリム
ハイヤ・ハラリート:エスター
マーサ・スコット:ミリアム・ベン=ハー
キャシー・オドネル:ティルザ・ベン=ハー
サム・ジャッフェ:サイモニデス
フランク・スリングポンティウス・ピラトゥス

フィンレイ・キュリー:バルタザール/ナレーター
ジョージ・ラルフティベリウス

クロード・ヒーターイエス
ジュリアーノ・ジェンマ:メッサラの部下

アメリカ 映画
配給 MGM
1959年製作 212分
公開
北米:1959年11月18日
日本:1960年3月30日
制作費 $15,000,000
北米興行収入 $74,000,000
世界 $109,000,000


アカデミー賞 ■

第32回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演男優(チャールトン・ヘストン)
助演男優(ヒュー・グリフィス)
撮影(カラー)
音楽(ドラマ/コメディ)・美術(カラー)
衣装デザイン(カラー)
特殊効果・音響・編集賞
・ノミネート
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

イエス・キリスト誕生の年。
ローマ帝国の圧制に苦しむユダヤは、独自の伝統と誇りを守り救世主の出現を信じていた。
__________

紀元26年
エルサレム
ローマ駐留軍司令官のメッサラ(スティーブン・ボイド)が着任する。

メッサラは、新しい思想や信念を持ち始め、それを導くが、現れたこの地を統治する難しさを、前任者から伝えられる。

14歳までエルサレムに住んでいたメッサラは、ユダヤの王族のジュダ・ベン=ハー(チャールトン・ヘストン)とは幼な友達だった。

偉大なるローマを目にし、若くして出世し傲慢になったメッサラと、ユダヤの誇りを捨てないベン=ハーは、お互いの立場の違いに戸惑いながらも再会を喜ぶ。

翌日、ベン=ハーの屋敷を訪れたメッサラは、彼に恋焦がれるベン=ハーの妹ティルザ(キャシー・オドネル)や、母ミリアム(マーサ・スコット)とも再会する。

ベン=ハーは、自分達の出世のために、同胞を裏切れというメッサラとローマへの反発を露にし、彼と袂を分かつ。

ハー家の奴隷であり財産の管理人サイモニデス(サム・ジャッフェ)は、娘のエスター(ハイヤ・ハラリート)と共に数年振りにベン=ハーの元を訪れる。

エスターは結婚の許しを得に来たのだが、密かに主人であるベン=ハーに心を寄せていた。

そして、美しく成長したエスターにベン=ハーも惹かれ、彼女を抱き寄せる。

数日後。
ローマ軍の隊列を見物中に、ベン=ハーの妹ティルザが、瓦の破片を落としてしまい総督を落馬させ、ハー一家がローマへの反逆罪に問われてしまう。

ベン=ハーは、メッセラに無実を主張するもの聞き入れられず、奴隷となりガレー船に送られることになる。

連行途中に拘束から逃れたベン=ハーは、メッサラの元に向かう。

ベン=ハーは家族の釈放を要求するが受け入れられず、非情なメッサラに復讐を誓う。

そして、ティルザと母ミリアムは地下牢に投獄されてしまう。

ベン=ハーは、連行される途中で、水を恵んでくれたナザレの若者/イエス(クロード・ヒーター)のおかげで、生きる力を与えられ、彼との運命的な出会いを感じる。

その後、”41”と呼ばれ、ガレー船漕ぎとしては異例となる、3年もの間、生き延びていたベン=ハーは、ローマ艦隊司令官クイントゥス・アリウス(ジャック・ホーキンス)の目に留まる。

アリウスはベン=ハーを呼び寄せ、戦車レースの御者になる気があるかを尋ねる。

ベン=ハーはそれに興味を示さず、自分と家族が無実の罪で捕らえられたことを告げる。

その後、ローマの商船を狙うマケドニア船団を撃滅する海戦が始まり、ベン=ハーは、アリウスの命令で鎖を外され、再び運命的なものを感じる。

ベン=ハーの船は敵船に体当たりされ、彼は衛兵の鍵を奪い奴隷達の鎖を外す。

甲板に上がったベン=ハーは、アリウスが海に突き落とされたのを見て、自らも海に飛び込み彼を助ける。

その後、自害しようとするアリウスを思い止めさせたベン=ハーは、漂流の末、彼方にローマ艦隊が近づくのを見つける。

それが味方の船だったため、ベン=ハーは再び囚われの身となることを、そしてアリウスは敗戦を覚悟する。

しかし、味方の大勝利の報告が入り、アリウスは命の恩人であるベン=ハーを伴いローマに凱旋する。

戦いを勝利に導いた英雄として、ローマ市民に迎えられたアリウスは、皇帝ティベリウス(ジョージ・ラルフ)から勝利のバトンを授けられる。

ティベリウスは、勝利の褒美に、ベン=ハーをガレー船漕ぎからは解放し、アリウスの奴隷とすることを許す。

そしてアリウスは、戦車レースの御者として、無敵を誇るようになったベン=ハーを養子にする。

その後アリウスは、エルサレムに帰ることを切望するベン=ハーを引き止めはしなかった。

エルサレムに戻る途中にベン=ハーは、バルタザール[東方の三博士](フィンレイ・キュリー)という老人から、ナザレのある人物(イエス)と間違えられる。

さらにベン=ハーは、アラブの族長イルデリム(ヒュー・グリフィス)と出会い、愛馬の調教を依頼される。

イルデリムは、ベン=ハーを戦車レースに参加させ、無敵を誇るメッサラと戦わせようとする。

その場にいたバルタザールは、それを断ったベン=ハーの目に殺意を感じ、憎しみを捨てて神の裁きに委ねるべきだと彼に伝える。

そして、バルタザールは、かつてナザレの馬屋で産まれた子の中に、神を見たこともベン=ハーに話し、彼と同じ位の年齢に成長しているはずの、その人物の傍にいたいという気持ちも伝える。

エルサレムに戻ったベン=ハーは、荒れ果てたハー家の屋敷を守るエスターと年老いたサイモニデスに再会する。

そして、結婚をしていなかったベン=ハーとエスターは、お互いの愛を確かめ合う。

エスターは、ベン=ハーのメッサラへの復讐を止めさせようと、やはり彼女もナザレの若いラビの話しをする。

翌日、アリウスの息子を歓迎したメッサラは、それがベン=ハーだと知り驚く。

復讐とその自信みなぎるベン=ハーの眼差しに、メッサラは脅威を感じる。

ベン=ハーから、生存を信ずる母ミリアムと妹ティルザを捜すように言われたメッサラは、 地下牢で悪病にかかっていた二人を死の谷に追放してしまう。

谷に向かう途中、屋敷に立ち寄ったミリアムとティルザが、悪病にかかっていることをエスターは知らされる。

ベン=ハーが戻っていることを、二人に伝えたエスターは、彼女らのことを秘密にすることを約束して 死の谷に向かうミリアムとティルザを見送る。

そしてエスターは、ミリアムとティルザが死んだことにして、それをベン=ハーに伝える。

二人の死を知らされたベン=ハーは愕然とし、そして、彼は再びメッサラへの復讐を誓う。
__________

● インターミッション 
__________

アラブの族長イルデリムは、 ベン=ハーを自分の愛馬の御者として戦車競走に出場させることを決め、無敵のメッサラに挑戦状を叩きつける。

そして、イルデリムの愛馬の調整も万全となったベン=ハーらは、エルサレムに乗り込む。

自らの”クアドリガ”に乗り、競技場で準備を進めるベン=ハーの前に、ギリシャ式の戦車に乗ったメッサラが姿を現し、二人は決着の時を迎える。

ベン=ハーらは円形大競技場に入場し、ポンティウス・ピラトゥス総督(フランク・スリング)に名前を紹介される。

地元ユダヤ代表のベン=ハーは、盛大な歓声を受け、皇帝への忠誠に場内は静まり返る。

そした、ピラトゥスの合図で、戦車レースが始まる。

重装備のメッサラの戦車と互角に戦うベン=ハーは、メッサラの卑劣な作戦にも怯まない。

激しいレースは続き、メッサラの”クアドリガ”の車輪が外れ、彼は落車して後続に轢かれてしまう。

そして、メッサラを振り切ったベン=ハーは、見事に勝利する。

全身に傷を負ったメッサラは担架で運び出され、観衆は場内になだれ込み、ベン=ハーの勝利に歓喜する。

総督ピラトゥスから、勝者の証”月桂樹の冠”を授かったベン=ハーを、ユダヤの民は声を上げて称える。

その後、重傷を負い瀕死のメッサラは、母と妹が悪病の谷で生存していることをベン=ハーに伝えて息絶える。

メッサラを倒し、尚も恨みが消えないベン=ハーは、エスターの助言も聞かずに、母と妹の元に向かおうとする。

しかし、母と妹を苦しめたくないベン=ハーは、已む無く谷を去る。

その後ベン=ハーは、多くの民衆と共にナザレイエスの導きの声(山上の垂訓)を聞こうとする、バルタザールと再会する。

ベン=ハーは、バルタザールにイエスの声を聞くように言われるものの、イエスの話が絶望した自分を救うとは到底考えられなかった。

総督ピラトゥスに呼ばれ、ローマ市民となったことを知らされたベン=ハーだったが、家族やメッサラの心までを滅ぼしたローマへの憎しみは、彼から消えてはいなかった。

ベン=ハーは、ユダヤの民として生涯を生きる決意をし、アリウスの指輪をピラトゥス渡す。

イエスの言葉に心洗われる思いのエスターは、苦しみ続けるベン=ハーに、”敵を愛せ”というイエスの教えを伝える。

どうしても、憎しみから抜け出せないベン=ハーに対し、エスターは、”あなたはまるでメッサラだ”と言い放ち彼を見限ってしまう。

その後エスターは、ミリアムとティルザをイエスの元に連れて行こうとする。

しかし、エスターは、ティルザが死にかけていることを知り、現れたベン=ハーと共に、二人を谷から救い出しイエスの元に向かう。

しかし、ローマ軍は、人々を扇動するかのようなイエスの行動を良しとせず、彼を磔刑に処することを決めてしまう。

母と妹を連れたベン=ハーは、処刑場に向かう途中でイエスに遭遇する。

そのイエスこそが、かつて自分がガレー船に送られる途中、水を恵んでくれた人物だったことをベン=ハーは知る。

バルタザールから、イエスが全ての民の罪を引き受けるためにこの世に現れ、そして死んでいくのだと知らされたベン=ハーは、ついにイエスの教えを理解する。

やがてイエスが息を引き取った時、突然、天が荒れ狂い始める。

次の瞬間、奇跡は起き、母ミリアムと妹ティルザの病は消える。

屋敷に戻ったベン=ハーは、”彼らを許したまえ”というイエスの臨終の言葉をエスターに伝える。

そしてベン=ハーは、イエスの死に直面し、憎しみを捨てた時、母と妹に奇跡が起きたことを知り、神に感謝して二人を固く抱きしめる。


解説 評価 感想 ■

19171925年のサイレント映画、2003年のアニメ作品、2016年「ベン・ハー」など5回映画化されている。

*(簡略ストー リー)

ユダヤローマ帝国の圧制に苦しんでいた頃、王族ジュダ・ベン=ハーの幼友達であるメッサラが、エルサレム駐留司令官に着任する。
メッサラは、繁栄するローマ帝国を後ろ盾に、旧友ベン=ハーに対し、高圧的な態度でローマへの協力を求める。
ユダヤの民であることを誇りにするベン=ハーはメッサラの要求を拒むが、ある事件が起き、家族と共に反逆罪に問われ捕らえられてしまう。
慈悲を請うベン=ハーを、非情にも突き放すメッサラは、母娘を地下牢に閉じ込めてしまい、ベン=ハーを奴隷としてガレー船に送りにする。
メッサラに復讐を誓ったベン=ハーだったが、ガレー船に送られる途中、渇きで死をも覚悟した時、ナザレで若者(イエス)に水を与えられ、生きる力と希望を得て運命的なものを感じる・・・。
__________

第32回アカデミー賞では、作品賞をはじめ12部門でノミネートされ、11部門で受賞した。
・受賞
作品・監督
主演男優(チャールトン・ヘストン)
助演男優(ヒュー・グリフィス)
撮影(カラー)・音楽(ドラマ/コメディ)
美術(カラー)・衣装デザイン(カラー)
特殊効果・音響・編集賞
・ノミネート
脚色賞

2004年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。

製作費54億円(当時)、6年の歳月をかけた212分という長編は、公開から半世紀以上が経ちながら、どんなにCGなどの技術が発達しても、未だに本作を凌ぐものはないと言えるほどの、大スペクタクル作品に仕上がっている。

ウィリアム・ワイラーの、奥深いドラマを細部に渡り丁寧に描いた演出は、全ての場面が、芸術品のように美しく威厳を感じさせる。

主演のチャールトン・ヘストンは、まるで古代の彫刻のような、逞しく頑強な肉体と彫りの深い顔立ちが、主人公ベン=ハーのイメージそのもので、容姿を生かしたダイナミックな表現力は、他の者を寄せ付けない圧倒的な存在感だ。

この後チャールトン・ヘストンは、ジョン・ウェインと同じく、アメリカの強さの象徴のような俳優に育って行く。

長身(190cm)に、広い肩幅とX脚までウェインに似ているが、厳ついくっきりとした目鼻立ちで、史劇の主人公を演じさせたらこれほど絵になる俳優もいない、正に天性の才能と魅力を持った俳優だ。
晩年は全米ライフル協会の会長も務め、彼の残した功績は、映画史上に永遠に残るだろう。

仇役メッサラ演ずるスティーヴン・ボイドの熱演も光る。
幼馴染のベン=ハーを、出世をのため冷酷な手段で突き放し、戦い終わり死を覚悟するに至っても、自分のプライドを捨てない、男の生き様とその力強さは圧巻だ。

そして、二人が火花を散らす戦車レースの見事な映像は、実際に15000人収容の競技場を建設して撮影され、史上空前と言えるスケールで映像化された。

競技場の上部の山並はグラスペインの合成画面。

助監督でもあるヤキマ・カナットの担当するこのレースのスタントシーンは、どのように撮影されたか分からないほどのスピード感と迫力がある。

グラスペイントを使った遠景のショットで画面に奥行きをだし、70ミリフィルム(MGMcamera 65)の効果を最大限に活かした大迫力映像も見応え十分。

アリウスとベン=ハーのローマ凱旋シーンは、中央の大通り以外は、ほとんどがグラスペイント。

本作こそは劇場で見なければ価値がない。
リバイバルではあったが、巨大なスクリーンで見れたのは幸運だった。

ミクロス・ローザの、勇壮な音楽も忘れられない。
アトランタオリンピックの、各競技の選手入場の際、戦車レースのシーンの音楽を使っていたの思い出す。

ローマ帝国の執政官でベン=ハーに救われ後見人となるジャック・ホーキンス、豪快な族長でアカデミー助演賞を受賞したヒュー・グリフィス、ハー家の奴隷だがベン=ハーを愛し、彼や家族を献身的に支えるハイヤ・ハラリート、3年前の「十戒」(1956)でもC・ヘストンの母を演じたベン=ハーの母マーサ・スコット、妹キャシー・オドネル、ハー家の財産管理人のサム・ジャッフェエルサレム総督ピラトゥスフランク・スリング東方の三博士・バルタザール役のフィンレイ・キュリーローマ皇帝ティベリウスジョージ・ラルフ、表情の映らないイエスを演ずるクロード・ヒーター、そして、メッサラの部下で、若き日のジュリアーノ・ジェンマも共演している。


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