終身犯 Birdman of Alcatraz (1962) 4.9/5 (31)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1955年に発表された、実在の終身犯ロバート・F・ストラウドの半生を描いた、トーマス・E・ガディスの小説”Birdman of Alcatraz ”を基に製作された作品。
札付きの殺人犯が、刑務所の独房内で、いかにして鳥類学の世界的権威に成りえたかという、一人の囚人の、人間としての可能性と権力への闘いを描いた、監督ジョン・フランケンハイマーバート・ランカスターカール・マルデンセルマ・リッターテリー・サヴァラスエドモンド・オブライエン共演によるヒューマン・ドラマの秀作。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フランケンハイマー
製作総指揮:ハロルド・ヘクト
製作
スチュアート・ミラー
ガイ・トロスパー
原作:トーマス・E・ガディス
脚本:ガイ・トロスパー
撮影:バーネット・ガフィ
編集:エドワード・マン
音楽:エルマー・バーンスタイン

出演
バート・ランカスターロバート・F・ストラウド
カール・マルデン:ハービー・シューメーカー
セルマ・リッター:エリザベス・ストラウド
ベティ・フィールド:ステラ・ジョンソン
テリー・サヴァラス:フェト・ゴメス
ネヴィル・ブランド:ブル・ランサム
エドモンド・オブライエントーマス・E・ギャディス
ヒュー・マーロウ:ロイ・コムストック
ウィット・ビッセル:エリス医師
クラハン・デントン:クレイマー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1962年製作 148分
公開
北米:1962年7月3日
日本:1962年9月1日


アカデミー賞 ■
第35回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(バート・ランカスター)
助演男優(テリー・サヴァラス)
助演女優(セルマ・リッター)
撮影賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
人生の大半を獄中で過ごした男ロバート・F・ストラウドが、17年過ごしたアルカトラズから出所し、他の刑務所に移されることになっていた。

ストラウドについて書いた著書”Birdman of Alcatraz”の著者であるトム・ギャディス(エドモンド・オブライエン)は、アルカトラズの対岸で彼を待つ。
__________

1912年。
恋人に乱暴した男を殺し、ワシントン州で服役中だったロバート・F・ストラウド(バート・ランカスター)は、カンザスレヴンワース刑務所に移されることになる。

刑務所長ハービー・シューメーカー(カール・マルデン)は、必ず改心させるという決意をストラウドに告げ、監視役にクレイマー(クラハン・デントン)とブル・ランサム(ネヴィル・ブランド)をつける。

しかし、母親エリザベス(セルマ・リッター)の写真のことで、囚人とトラブルになったストラウドは、一方的に罰せられ、30日間の闇牢入りを命ぜられる。

クレイマーは、改心しないと言い切るストラウドを、独房で隔離するべきだとシューメーカーに提案するが、 彼は必ず立ち直らせるつもりだった。

ストラウドは、母エリザベスへの想いだけが心の支えだであったが、クレイマーは、遥々アラスカから息子に会いに来るとの面会を許可しなかった。

そんなある日、ストラウドは、母親との面会をクレイマーに頼み込むが、 規則は変えられないと言われ、彼を刺し殺してしまう。

ついに、シューメーカーはストラウドを見限り、彼を裁判にかけて死刑にすると言い放つ。

クライマーが、警棒を振り上げたという正当防衛は認められず、ストラウドは絞首刑を言い渡される。

ストラウドは覚悟を決めるものの、母エリザベスは諦めず、ウィルソン大統領に直訴するため奔走し、大統領夫人に嘆願書を手渡し、それが認められて、刑は終身刑に減刑させる。

シューメーカーは、大統領命令による恩赦の通知を持参してストラウドの前に現れるが、それは独房生活を一生続ける苦しみを背負わされることを意味した。

ストラウドは一瞬驚くものの、意地を張ってシューメーカーを追い払い、孤独な生活を始めようとする。

誰とも接触しない、決まりきった日々が続いていたある日、ストラウドは、嵐の最中、中庭の運動場で、折れた木の枝の巣にいた雛鳥を見つけて独房に連れ帰る。

そして、餌を欲しがる雛鳥のために、ストラウドは、虫などを探し集めてそれを与える。

人との接触もないストラウドは、やがて成長して飛ぶようになった小鳥に興味を持ち、飼育して観察を始める。

そして、シューメイカーは転任することになり、新所長に小鳥の芸を見せたストラウドは、独房で小鳥を飼うことを許可される。

既にわだかまりも消え、小鳥を飼いならすストラウドに感心したシューメイカーは、転任先から便りをよこすことを彼に約束する。

その後、他の独房の囚人も小鳥を飼い始め、それに飽きた囚人は、ストラウドに小鳥を渡した。

12年も顔をつき合わせている看守のランサムは、ストラウドの傲慢な態度に激怒する。

ストラウドは、小鳥との触れ合いで徐々に性格が穏やかになり、ランサムに謝罪し、二人には友情すら芽生え始める。

ある日、独房仲間のフェト・ゴメス(テリー・サヴァラス)の小鳥が鳴かないということで、ストラウドがそれを預かるが、小鳥がメスだということが分かる。

その後、自分とゴメスのカナリヤが番いとなったために、ストラウドは鳥かごを作り始め、 最初に育てたスズメを大空に放つ。

そして、ゴメスのカナリヤは卵を産み、やがて雛が生まれる。

ストラウドは小鳥の世界にのめり込み、独房内は鳥かごで溢れ、彼は、決して裏切らない小鳥達に愛情を注ぎ、生育を観察し続けた。

やがて、最初のスズメが独房に戻ってきたのを嬉しく思うストラウドだったが、同じ頃、小鳥達が病気で死に始める。

エリス医師(ウィット・ビッセル)の指示を仰ぎ、ウィルスによる敗血症が原因だと分かったストラウドは、鳥かごを洗い独房内を掃除して消毒をする。

薬剤を母親から取り寄せたストラウドは、それを使いあらゆる治療法を試す。

そして、寝食を忘れて研究を続けたストラウドは、治療法のなかった鳥の熱病の特効薬を開発してしまう。

1年後。
その特効薬は、世界中の愛鳥家に知られて、謎の鳥類学者は注目されるようになる。

そんな時、ステラ・ジョンソン(ベティ・フィールド)という未亡人が、ストラウドに面会に現れる。

ストラウドは、ステラに共同で飼育した鳥を売りさばく事業を持ちかけられ、それを嬉しく思い賛成する。

時は流れ、連邦刑務局が設立されて、刑務所長もロイ・コムストック(ヒュー・マーロウ)に代わり、彼はストラウドに小鳥の飼育や商業行為の禁止を言い渡す。

ストラウドはマスコミを扇動することを考えるが、それに協力する母エリザベスは、 ステラが、自分と息子の間に割って入るのを嫌う。

さらに、ストラウドは、ステラと獄中結婚して大きな話題となり、政府を動かしてしまう。

ストラウドは、刑務局を代表して面会にきたシューメーカーと取引し、鳥の飼育や商業行為を許可されることになる。

しかし、囚人ではあるが、政府が個人の商売に介入することに納得がいかないストラウドは意見する。

一応は、自分の勝ちだということを認めたストラウドは、仕方なくその取引に応じる。

そして、ストラウドは、アルカトラズに赴任するというシューメーカーの幸運を祈り彼と別れる。

その後、母エリザベスは、ストラウドにステラと縁を切るよう強要する。

しかし、ストラウドはそれを聞き入れず、母親がその件をマスコミに暴露してしまったのをきっかけに、 大切にしていた彼女の写真を燃やし、親子の縁を切ってしまう。

一旦は自虐的にもなったストラウドだったが、ランサムからもらった顕微鏡で、小鳥の科学研究に没頭する。

そして、ストラウドは著書を執筆し、年老いた終身犯は鳥の世界的権威になる。

所長のコムストックは、エリス医師にストラウドの著書についての意見を求め、彼が努力の結果として天才になり得たことを確認し、原稿を出版社に渡すことを許可する。

刑務所内の優秀な頭脳が、世間に知られることを嫌う刑務局は、仮釈放の希望を抱くストラウドとステラの期待を踏みにじり、彼をアルカトラズに移すことを決める。

ストラウドは、長年、友として共に監房で過ごした看守のランサムに、ステラには自分を追うなとの伝言を残し、涙を浮かべる彼と別れを告げる。

アルカトラズに着いたストラウドは、所長になっていたシューメイカーに迎えられ、 収監されていたゴメスと再会する。

小鳥の飼育が許されないストラウドは、1790年以降の刑務所の歴史について執筆を始めるが、シューメーカーは、それを没収してしまう。

シューメーカーは、ストラウドを何とか改心させたいと、彼への協力を望んでいた自分に対する仕打ちに憤慨する。

ストラウドは、”快心”の定義を明確にして、囚人達から”尊厳”を奪っているシューメーカーは、所長失格だと言い切り彼を納得させる。

そして、ストラウドとの面会に来たステラは、彼に希望を与えようとする。

しかし、出獄が望めないストラウドは、ステラのためを思い、彼女に別れを告げる。

1946年5月2日。
刑務所内で暴動が起き、海兵隊まで出動したこの騒ぎは、2日後に、ストラウドの働きで騒ぎを鎮めることが出来る。
__________

その後、1953年にシューメーカーは亡くなり、その2年後にギャディスは”Birdman of Alcatraz”を出版する。

1959年に、ストラウドアルカトラズから他の刑務所に移されることになる。

対岸に着いたストラウドは、ギャディスに気づき声をかけ、自分を案ずる彼に、護送先の刑務所が、自由な生活を許されることを伝え安心させる。

二人は抱き合い別れを告げ、ストラウドは安らぎを求め、笑みを浮かべながら旅立つ。

そしてストラウドは、アルカトラズの古い地名が、”鳥の島”だということをギャディスに教えて去って行く。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
殺人犯のロバート・F・ストラウドは、護送先の刑務所長シューメーカーから、 必ずや改心させるとの決意を示される。
しかしストラウドは、母親エリザベスに面会をさせない看守を刺し殺してしまい、反抗的な態度を続け、死刑を言い渡されてしまう。
ストラウドは、母親の努力で大統領の恩赦を受けられるものの、彼は、独房での終身刑を言い渡される。
そんなある日、看守としか接する事を許されていないストラウドは、嵐で折れた、木の枝の巣にいた雛鳥を見つけ、それを独房に持ち帰る。
そして、その雛鳥の観察と調教がストラウドの人生の転機となり、彼は鳥類の研究に没頭していく・・・。
__________

社会派のジョン・フランケンハイマーは、原作者トーマス・E・ガディスのナレーション(エドモンド・オブライエン)で進行していく、ドキュメンタリー・タッチのストーリー展開で、 主人公ロバート・F・ストラウドの人物像や刑務所の雰囲気、また、非人間的な扱いを受ける囚人の目から見た、政府や権力への痛烈な批判を描き訴えようとしている。

第35回アカデミー賞では、主演男優(バート・ランカスター)、助演男優(テリー・サヴァラス)、助演女優(セルマ・リッター)、撮影賞(白黒)にノミネートされた。

西部劇や戦争映画とは全く違う、重厚なエルマー・バーンスタインの音楽も印象に残る。

40年以上にも及ぶ、時代の流れを感じさせるメイクも見事だ。

鳥類学の世界的権威になった、実在の終身犯を演ずるバート・ランカスターは、必要以上なセリフを語らず、表情で心情を表現する演技に徹している。

実際のストラウドを、刑務所の歴史学者は、犯した罪を後悔もせず、情け容赦のない殺人者だったと証言しているが、ドラマの中のバート・ランカスターは、それらしき場面はあるものの、思慮深くIQも高い、知的な一囚人を淡々と演じている。

雛鳥と戯れる仕草や物腰、表情が非常にやわらかく、小鳥達と一体化している徹底した演技は説得力があり、アカデミー主演賞候補に相応しい熱演だった。

数十年もの間、主人公に関与し続けるカール・マルデンも、権力の象徴として描かれているものの、ストラウドと固い友情で結ばれる、人間味のある刑務所長を好演している。

自分に会いたいがために、看守を殺してしまった息子に、結局は見捨てられてしまう、傷心の母親を演じたセルマ・リッターの、失意の表情も印象に残る。

息子を溺愛する母親に嫌われながら、獄中結婚後も献身的に主人公を支えるものの、止むを得ず彼の元を去っていくベティ・フィールドアカデミー助演賞候補になった、独房の同僚でアルカトラスでは改心していたテリー・サヴァラス、悪役のイメージが強いが、人情味のある看守を好演し、主人公との別れ際に目に涙を浮かべる表情が忘れられないネヴィル・ブランド、ナレーター及び原作者T・E・ガディスエドモンド・オブライエン、頭の固い役人所長ヒュー・マーロウ、主人公の知性を高く評価し、彼の研究の手助けをする医師のウィット・ビッセルなど、演技派、ベテランの名演も見逃せない。


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