博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb (1964) 5/5 (1)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

正気を失った司令官の行動で核戦争の危機が迫り、アメリカ大統領他がその非常事態に対処する姿を描く、製作、監督、脚本スタンリー・キューブリック、主演ピーター・セラーズジョージ・C・スコットスターリング・ヘイドンジェームズ・アール・ジョーンズ他共演のSFコメディ。


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■

監督:スタンリー・キューブリック
製作:スタンリー・キューブリック
原作:ピーター・ジョージ
脚本
スタンリー・キューブリック
ピーター・ジョージ
テリー・サザーン
撮影:ギルバート・テイラー
編集:アンソニー・ハーヴェイ
音楽:ローリー・ジョンソン

出演
ストレンジラヴ博士:ピーター・セラーズ
ライオネル・マンドレイク大佐:ピーター・セラーズ
マーキン・マフリー大統領:ピーター・セラーズ
バック・タージドソン大将:ジョージ・C・スコット
ジャック・D・リッパー准将:スターリング・ヘイドン
T・J”キング”コング少佐:スリム・ピケンズ
”バット”グアノ大佐:キーナン・ウィン
アレクセイ・デサデスキー大使:ピーター・ブル
ロザー・ゾッグ中尉:ジェームズ・アール・ジョーンズ
スコット:トレイシー・リード

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1964年製作 90分
公開
北米:1964年1月29日
日本:1964年10月6日
製作費 $1,800,000
北米興行収入 $9,440,272


アカデミー賞 ■

第37回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(ピーター・セラーズ)
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

冷戦下。
西側諸国では、ソ連が密かに”最終兵器”を開発しているという情報が流れる。

アメリカ空軍、バーペルスン基地。
交換士官であるイギリス空軍のライオネル・マンドレイク大佐(ピーター・セラーズ)は、上官ジャック・D・リッパー准将(スターリング・ヘイドン)から、戦争が始まり、基地を封鎖することを告げられ”R作戦”の命令が下る。

空軍は核攻撃に備え、50メガトンの核爆弾を搭載した、戦略航空軍団(SAC)の”B-52”の編隊を、24時間体制で飛行させて、ソ連領域の警戒を強化していた。

SAC”843飛行隊編隊長のT・J”キング”コング少佐(スリム・ピケンズ)は”R作戦”の指令を受けるものの、部下からの報告を信じることができない。

自分の目でそれを確認したコングは、それを基地に再度確認するよう命ずる。

コングは、爆撃手のロザー・ゾッグ中尉(ジェームズ・アール・ジョーンズ)の、訓練ではないかという問いかけに、既に首都が攻撃されたために出された命令だと答える。

基地との確認が取れたコングは、ソ連との核戦争を前に覚悟を決め、部下達に英雄になるための演説をする。

バック・タージドソン大将(ジョージ・C・スコット)は、秘書スコット(トレイシー・リード)とのお楽しみを邪魔され、”R作戦”発令の報告を受ける。

命令書を確認したコングは、通信の傍受や妨害電波を防ぐために、全ての受信回路を”CRM114”に接続するよう指示し、第一目標に向かう。

その頃、ラジオが、通常の放送を流していることに気づいたマンドレイクは、攻撃命令が間違いだと考え、それをリッパーに伝える。

ソ連の攻撃を受けていれば、ラジオ放送はないはずなのだが、リッパーはマンドレイクの意見を聞き入れようとしない。

恐ろしい事態になることを、当然承知しているマンドレイクは、自分の権限で爆撃命令を撤回しようとする。

しかし、リッパーは、部屋の鍵を閉めてマンドレイクを閉じ込め、作戦を撤回できる暗号は自分しか知らないことを伝える。

ペンタゴン
マーキン・マフリー大統領(ピーター・セラーズ)は、本件についてのタージドソンからの報告を受ける。

タージドソンから、自分の命令がないまま核攻撃ができてしまうシステムと、その命令を撤回できない、爆撃機との交信不能状態の説明を受けた大統領は、命令を発令したリッパーが基地を封鎖したため、連絡が不可能だと知り苛立つ。

大統領は、付近にいる部隊を基地に向かわせ、正気ではないリッパーに連絡させようとする。

しかし、その事態では基地内の守備隊との衝突は必至で、多数の死者が出ることを大統領に伝えたタージドソンは、ソ連の守備体制が整っていない状態での総攻撃を提案する。

エスカレートするタージドソンの意見を聞く気のない大統領は、国家の秘密会議の席上に、ソ連大使アレクセイ・デサデスキー(ピーター・ブル)を招こうとする。

愛国主義者のタージドソンは、一人うろたえて警戒し、現われたデサデスキーと揉め事を起す。

バーペルスン基地。
180m攻撃態勢に入っていた守備隊は、部隊が接近したために、容赦なく攻撃を開始する。

ソ連首相と”ホットライン”で連絡し合った大統領は、事実関係を正確に伝えるが、既にソ連が、人類を絶滅させる”最終兵器”の準備を始めたことを知る。

その頃、リッパーのオフィスも攻撃を受け、彼は用意してあった機関銃で反撃しようとする。

首相から連絡を受けたデサデスキーは動揺し、地球を10ヶ月で死の星にする、”コバルト・ソリウムG”の恐ろしさを伝える。

タージドソンは、そのような兵器の存在を信じようとしなかったが、大統領はその事実をデサデスキーに確認して、ドイツから帰化した、兵器開発局長のストレンジラヴ博士(ピーター・セラーズ)に意見を求める。

ストレンジラヴは、意外にも容易にそれを開発できることを大統領に伝え、抑止力として、なぜソ連が公表しなかったかを疑問に思う。

バーペルスン基地。
守備隊の防衛線は破られ、部隊は基地内に突入して投降する者も現われる。

リッパーは、水道水にフッ素を混入させている共産主義者の陰謀をマンドレイクに語り、自分は拷問に耐えられそうもないと言いながら、暗号を知らせることなく自殺してしまう。

同じ頃コングの機は、ミサイルが接近していることを確認するが、その攻撃を受け機体に損害を受ける。

暗号が解けたマンドレイクだったが、彼の前に建物を占拠した部隊の大佐”バット”グアノ(キーナン・ウィン)が現われる。

グアノに銃を突きつけられながら、マンドレイクは攻撃撤回の命令を出せる暗号を知らせようとするが、通信手段がない。

損傷を受けたコングの機は、”CRM”を含めて全ての無線装置が故障してしまう。

燃料の損失も確認される機は、目標地点には達するものの、帰還することができないことが分かるが、気象観測船”タンゴ・デルタ”付近に不時着することが可能であった。

低空でしか飛行できない機は、幸いソ連のレーダーに捉えられることはなかった。

マンドレイクを連行するグアノは、彼が正気をなくしリッパーにそれを知られて事を起したと判断する。

グアノは、攻撃開始に関しては知らされず、リッパーに大統領への連絡をさせることが任務だった。

それを聞いたマンドレイクは、副官の自分が大統領に連絡をする義務があることをグアノに伝える。

仕方なくグアノは、公衆電話からマンドレイクに大統領への電話をさせる。

それにより、暗号コードが全機に発令され、攻撃は回避されて全面戦争は免れる。

しかし、無線装置が損傷していたコングの機は、目標を目指して飛行を続ける。

ソ連首相から、一機が目的地に向かっているという連絡を受けた大統領だったが、タージドソンは、それが報復攻撃を考える相手の陰謀だと指摘する。

”最終兵器”の作動を恐れ、攻撃目標を首相に知らせた大統領は、機体を撃墜するよう要請する。

コングの機は、燃料の流出量が増え、目標地点まで達することができないことが分かる。

ある”ICBM”基地を攻撃し、観測船まで戻れる見込みがでた機は、それを目標に飛行を続ける。

コングは、爆弾の投下ドアが開かないことを、爆撃手ゾッグから報告され、自ら故障した回路を修理しようとする。

機は目標基地に接近し、ドアを開くことに成功したコングは、爆弾にまたがっていたために絶叫しながら投下される。

そして、核爆弾は目標基地を爆破する。

ストレンジラヴは、人類が核汚染から逃れるため、地下に約100年間潜む提案をする。

その件に関し、ソ連に対しての対策などを議論する大統領とタージドソンだったが、その隙にデサデスキーが、会議室内の情報をカメラで盗み撮りする。

車椅子のストレンジラヴは興奮して、対処方法があると立ち上がり歩き始めるが・・・。

地球の各地で核爆発が起きる。


解説 評価 感想 ■

1958年に発表された、ピーター・ジョージの小説”Red Alert”(Two Hours to Doom)を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)

戦略アメリカ空軍基地の司令官リッパー准将は、”R作戦”発令と共に基地を完全封鎖することを、交換士官であるイギリス空軍のライオネル・マンドレイク大佐に命ずる。50メガトンの核爆弾を搭載した戦略航空軍団の”B-52”の編隊長コング少佐は、”R作戦”の発令を受け、ソ連への核攻撃の準備を整え、目標地点に向かう。
アメリカ大統領マーキン・マフリーは、その報告をタージドソン大将から受ける。
大統領は、自分しか発令できないはずの核攻撃に至った経緯と、爆撃機に命令撤回するための、暗号連絡ができるリッパーが基地を封鎖していることを知らされる。
直ちに部隊を派遣し、リッパーから連絡を受けようとする大統領は、国家秘密会議の席上にソ連大使を呼び寄せる。
タージドソンはそれに納得せず意見するのだが、大統領はソ連首相から、核攻撃に対する”最終兵器”が作動することを知らされて動揺する。
大統領は、兵器開発局長のストレンジラヴ博士に意見を求め、”最終兵器”の存在を確認する。
一方、コングの機は、ソ連のミサイル攻撃で機体を損傷し、完全に無線連絡を絶たれながら、目的地に近づき、核爆弾投下の準備を始める・・・。

__________

原作自体はシリアスな内容なのだが、製作、脚本も兼ねるスタンリー・キューブリックは、企画段階でその内容に疑問を感じ、強烈な皮肉を込めたブラック・コメディとして仕上げられることになった。

究極の人類滅亡の危機を題材に、当時の世情を考えると、とてつもないインパクトを与えた傑作にして、シニカル・コメディの決定版。

1989年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第37回アカデミー賞では、作品、監督、主演男優(ピーター・セラーズ)、脚色賞にノミネートされた。

恐ろしい核攻撃の、緊迫感溢れる描写の素晴らしさもさることながら、それを含めた全ての場面がコミカルに描かれているところが注目だ。

大統領、軍人、科学者、三役を怪演するピーター・セラーズだが、実は戦略航空軍団の編隊長コング役も演ずる予定があった。

ピーター・セラーズの変幻自在な演技は大いに楽しめるが、個人的には、狂人のように愛国精神を全面に出し熱演するジョージ・C・スコットの演技を高く評価する。

正気をなくし、共産主義者の陰謀を恐れ、核攻撃を発令してしまう将軍スターリング・ヘイドン戦略航空軍団の編隊長として核攻撃指令を遂行するスリム・ピケンズ、基地を占拠する大佐キーナン・ウィンソ連大使ピーター・ブル、爆撃手ジェームズ・アール・ジョーンズ、タージドソン(G・C・スコット)の秘書兼愛人トレイシー・リードなどが共演している。


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