ふしだらな女 Easy Virtue (1928) 3.14/5 (14)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

1924年に上演された、ノエル・カワードの舞台劇”Easy Virtue”を基に製作された作品。
離婚訴訟で傷ついた心を癒そうとした女性が、”安易な美徳”を求めた末に起きる”報い”を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演イザベル・ジーンズロビン・アーヴァインイアン・ハンター他共演のドラマ。


ドラマ

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:マイケル・バルコン
原作:ノエル・カワードEasy Virtue”(戯曲)
脚本:エリオット・スタナード

撮影:クロード・L・マクドネル
編集:イヴォール・モンタギュー

出演
ラリータ・フィルトン/ラリータ・ホイットテッカー:イザベル・ジーンズ

ジョン・ホイットテッカー:ロビン・アーヴァイン
原告弁護人:イアン・ハンター
ホイットテッカー大佐:フランク・エリオット
オーブリー・フィルトン:フランクリン・ダイオール
クロード・ロブソン:エリック・ブランズビー・ウィリアムズ
ホイットテッカー夫人:ヴァイオレット・フェアブラザー
マリオン・ホイットテッカー:ダーシア・ディーン
ヒルダ・ホイットテッカー:ドロシー・ボイド

サラ:エニッド・スタンプ・テイラー

イギリス 映画
配給
Woolf & Freedman Film Service(イギリス)
Sono Art-World Wide Pictures(北米)
1928年製作 70分
公開
イギリス:1928年3月5日
北米:1928年6月
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

”美徳は報いを受ける。
しかし、安易な美徳は、誹謗中傷という社会的な報いを受けることになる。”
__________

イングランド
ラリータ・フィルトン(イザベル・ジーンズ)の離婚裁判。

画家のクロード・ロブソン(エリック・ブランズビー・ウィリアムズ)と浮気をしたと思われるラリータは証言台に立ち、その件を追及される。

原告の弁護人(イアン・ハンター)は、持ち出した証拠品である酒のボトルについての説明をラリータに求める。
__________

クロードのアトリエで肖像画を描いてもらっているラリータの脇で、夫オーブリー(フランクリン・ダイオール)は、ボトルの酒を飲み続ける。

3日間描くことを中断して再びアトリエに向かったラリータは、クロードに手を握られる。

酔ったオーブリーに掴まれて手を痛めていたラリータは、それをクロードに伝える。

クロードは、アトリエでは二度と酒を飲ませないとラリータに約束する。
__________

証言台のラリータは、夫が酒乱だと考えるかを追及される。

裁判長は、それに答える必要はないと判断し、弁護人とラリータのやり取りは続く。

その後、あんな夫のために苦しむ必要がないという、クロードからラリータに送られた手紙が証拠として提出さる。
__________

手紙を受け取ったラリータはクロードに迫られるが、それをオーブリーが目撃してしまう。

オーブリーはクロードに近づき杖で襲い掛かるが、クロードは銃を手にして発砲する。

ラリータは倒れこんだオーブリーに寄り添い、警官を呼ばれたクロードは絶望する(自殺する)。

傷を負ったオーブリーはラリータに抱きかかえられながら、クロードの手紙を手にする。
__________

弁護人は、クロードが全財産をラリータに残すつもりだったと指摘し、ラリータには年約2000ポンドが入ることになっていた。

陪審員の協議の末、故クロードとの姦通による罪でラリータは有罪となる。

ラリータは、記者やカメラマン、そして人々の目から逃れるためにコート・ダジュールへと向かう。

ホテルに着いたラリータは、”ラリータ・グレイ”の名でチェックインする。

心は傷ついていたものの、魅力的なラリータには新たな恋の予感が・・・。

テニスコートにいたラリータに、打ったボールをぶつけてしまった青年ジョン・ホイットテッカー(ロビン・アーヴァイン)は、彼女に歩み寄り気遣う。

ラリータの部屋に向い、テラスでカクテルを飲みながら二人は話を弾ませる。

ジョンは、愛のメッセージが添えられたラリータへの花を見てその場を去る。

その後、花束を手に現れたジョンは、ラリータに好意を伝えるものの彼女は戸惑う。

親交を深めた二人は、自然に惹かれ合うようになり、ジョンの気持ちがラリータの心を癒した。

馬車で外出した際、愛を告げられたラリータは過去があるために戸惑う。

ジョンは愛があればいいと言ってラリータに結婚を迫り、返事を夜まで待つことになる。

馬車を降りた二人は歩いてホテルに向かい、その後、夜も更けて、ジョンの忍耐も限界に達した頃、ラリータからの電話を受ける。

それを聞いていた電話交換手の女性は、二人の関係が気になり、結ばれることを知り安堵する。

ジョン・ホイットテッカー夫人となったラリータはイングランドに戻り、ジョンの実家屋敷に向かい、彼の両親(フランク・エリオット/ヴァイオレット・フェアブラザー)と姉妹マリオンとヒルダ(ダーシア・ディーン/ドロシー・ボイド)に紹介される。

ラリータは、ジョンの妹ヒルダから、肌の色が浅黒い異国の人かと思っていたと言われて戸惑う。

ジョンは母親から、元恋人のサラ(エニッド・スタンプ・テイラー)が訪れると知らされて動揺する。

サラを歓迎したジョンは、彼女にラリータを紹介して祝福される。

食事の時間となり、ラリータをよく思わない母親は、以前会ったことがあるように思えるため、共通の友人がいるかを彼女に尋ねる。

父親は食後の会話で、ラリータが素敵な女性であることを認め、それをジョンに伝える。

しかし、母親はラリータを侮辱し、ジョンに彼女の素性を聞く。

ジョンは何も答えられず、父親は妻の言葉に不快感を示すが、彼女は、間違いなくラリータをどこかで見たことがあり、何かを隠していると言い張る。

ラリータは不穏な雰囲気に気づき、家族に挨拶して寝室に向かう。

メイドを下がらせたラリータは、一人考え込む。

それから数日、ラリータは母親の仕打ちに耐えながら平静を保ち笑顔で対応した。

ポロの競技場。
ジョンは知人の弁護士(離婚裁判での原告の弁護人)と会話を交わして別れる。

弁護士は、ジョンの車に乗っていたラリータに気づき、同じく目が合った彼女も驚く。

その後、屋敷でパーティーが開かれることになり、招待状を書く母親に声をかけて手伝おうとしたラリータだったが、それを断られる。

そこに弁護士が現れ、彼はラリータに挨拶する。

部屋に戻ったラリータは、その場に置いてあったカメラに気づき、記者達に追われた辛い思い出が甦り、それに本を投げつける。

ラリータは、このまま屋敷に留まることができないことをジョンに伝える。

コート・ダジュールに戻ることを提案するラリータは、皆が自分を嫌っていることと、やがて同じ思いになるのではないかとジョンに伝える。

しかし、ラリータはその場に残り悩み続け、ついにジョンも自分から心が離れたことを知る。

母親は、娘が見つけたラリータの記事が掲載されている雑誌を見て、彼女を憶えていたことが確認できる。

その記事を読んで驚いた母親は、ラリータが、例の離婚裁判で話題になった本人だったことに気づき驚く。

父親は落ち込むラリータを励ますものの、母親は、その記事を彼女に見せて罵り始め夫に全てを知らせる。

ラリータの過去を追及する気がないことを伝える父親だったが、彼女は全てをさらけ出すように、その記事を彼に読ませる。

サラが騒ぎに気づき、思慮深い彼女は、ジョンにラリータを守ってあげるよう伝える。

記事を読みショックを受けるジョンに母親は寄り添うが、ラリータは、愛し合ったから結婚したのであって、それ以上の理由は必要ないと言い切る。

母親は、ジョンがそれを受け入れても、自分達は決して納得しないことを伝える。

ラリータは、ジョンに会う以前のことは自分だけの問題だと言葉を返す。

家名が汚されてもいいのかとラリータに言い寄る母親は、ふしだらな女を理解することなどできないと伝える。

理解などしてほしくないと答えるラリータは、平然として、使用人が持ってきたパーティー用の提灯を選ぶ。

父親は娘達を下がらせて妻に冷静になるよう伝えるが、彼女が聞き入れないため席を外す。

ラリータは、他に話がなければ部屋に戻ると言ってその場を去ろうとする。

母親から、パーティーが終わるまで大人しくしているように言われたラリータは、笑いながらその場を去る。

父親は、ジョンの愛があれば乗り切れると言ってラリータを励ます。

ラリータは、ジョンが愛しているのは家族だけだと言って嘆き部屋に向かう。

家族会議が開かれ、母親は、パーティでは誰にも知られないような振る舞いをするよう指示する。

母親は、ジョンとラリータの幸せを願うサラを非難する。

招待客が現れたため対応する母親は、ラリータのことを聞かれ、頭痛で寝ていると答える。

パーティーは始まり、休んでいるはずのラリータが姿を現し、招待客の注目を集める。

ジョンに声をかけ、勝ち誇ったような表情を見せながら、母親から頭痛のことを聞かれたラリータは、そ知らぬ振りをして彼女に恥をかかせる。

弁護士に気づいたラリータは、彼に挨拶しながら、家族に過去を探らせたのではないかと尋ねる。

それを否定した弁護士は、いつかは知られることだと言って彼女と踊り始める。

弁護士と共に別の部屋に向かったラリータは、結婚したことを後悔していると語る。

ジョンを気の毒に思うラリータは、今回の離婚は簡単に済むと付け加える。

弁護士はホールに戻り、サラにラリータの元に向かうよう伝える。

ラリータは、今夜出て行くことと、ジョンと結婚するようサラに伝えてその場を去る。

離婚が成立したラリータは、法廷を離れて記者に囲まれるが、今回は逃げ隠れする気はなかった。


解説 評価 感想 ■

★ヒッチコック登場場面
上映から約21分、テニスコートにいたヒロイン(イザベル・ジーンズ)の横をステッキを手に通り過ぎ、その場を去る太った男性。
後姿なので注意していないと分からない。

*(簡略ストー リー)

イングランド
ラリータ・フィルトンは自殺した画家クロードとの浮気を疑われ、離婚裁判で有罪になる。
世間の目が気になり耐え切れないラリータは、コート・ダジュールに向い青年ジョンと出会う。
そして、傷ついた心を癒してくれたジョンとの結婚を決意し、夫人となったラリータは帰国する。
ジョンの家族に紹介されたラリータだったが、彼の母親に嫌われて素性を探られる。
やがて、話題になった離婚裁判の当事者であることを知られたラリータは、母親から酷い仕打ちを受け、ジョンの心も彼女から離れていく・・・。
__________

デザイナーから美術を担当し、監督となり既に10作以上の作品を手掛けていたアルフレッド・ヒッチコック演出のサイレント映画。

弱冠25歳のノエル・カワードが書いた戯曲を基に、独特の風刺や皮肉が入り混じる、当時としてはかなり刺激的な内容だったと想像ができる作品。

2008年にジェシカ・ビールコリン・ファースクリスティン・スコット・トーマス共演で再映画化された。

サイレント作品なので、説明不十分でやや分かり難い場面はあるのだが、時計の振子で時間の経過を表現したり、電話交換手の表情だけで主人公の結婚を伝えるシーンなど、かなり工夫が見られる興味深い作品。

サスペンスでもスリラーでもないヒッチコック作品であるが、”謎の物体”が裁判長のカツラだと分かる冒頭のシーンから異様なムードが漂い、後の彼の作品に影響しているようなシーンが多く見られる。

心傷ついた女性から恋する女、そして、素性を知られて開き直り、魔性の女の様な表情も見せるイザベル・ジーンズの好演は見ものだ。
恋の手ほどき」(1958)でヒロインの大伯母を演じ、60代後半にも拘らずその美しさに驚いた方も多いはずだ。

ヒロインと恋に落ちる青年ロビン・アーヴァイン、原告の弁護人イアン・ハンター、ヒロインを擁護する青年の父親フランク・エリオット、その妻ヴァイオレット・フェアブラザー、娘達ダーシア・ディーンとドロシー・ボイド、ヒロインの最初の夫フランクリン・ダイオール、ヒロインを愛する画家エリック・ブランズビー・ウィリアムズ、ヒロインの幸せを願う、青年の元恋人エニッド・スタンプ・テイラーなどが共演している。


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