ガス燈 Gaslight (1944) 4.07/5 (27)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

イギリスの劇作家パトリック・ハミルトン同名戯曲(1938)の映画化で、1940年のイギリス版映画のリメイク作品。
隠されたオペラ歌手の宝石を狙う音楽家が、その姪に接近して彼女を精神的に追い込みながら宝石を手に入れようとする策略を描く、監督ジョージ・キューカー、主演シャルル・ボワイエイングリッド・バーグマンジョセフ・コットンメイ・ウィッティアンジェラ・ランズベリー他共演によるサスペンス・ドラマの秀作。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■

監督:ジョージ・キューカー
製作:アーサー・ホーンブロウJr.

戯曲:パトリック・ハミルトンGas Light
脚本
ジョン・ヴァン・ドルーテン
ウォルター・ライシュ
ジョン・L・ボルダーストン
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
編集:ラルフ・E・ウィンターズ
美術・装置
セドリック・ギボンズ
ウィリアム・フェラリ
エドウィン・B・ウィリス
ポール・ハルズキンスキー
音楽:ブロニスラウ・ケイパー

出演
シャルル・ボワイエ:グレゴリー・アントン
イングリッド・バーグマン:ポーラ・アルクイスト
ジョセフ・コットン:ブライアン・キャメロン
メイ・ウィッティ:ベッシー・スウェイツ
アンジェラ・ランズベリー:ナンシー・オリヴァー
バーバラ・エヴァーレスト:エリザベス
テリー・ムーア:ポーラ・アルクイスト(14歳)

アメリカ 映画
配給 MGM
1944年製作 113分
公開
北米:1944年5月4日
日本:1947年6月


アカデミー賞 ■

第17回アカデミー賞
・受賞
主演女優(イングリッド・バーグマン)
美術賞
・ノミネート
作品
主演男優(シャルル・ボワイエ)
助演女優(アンジェラ・ランズベリー)
脚本・撮影賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1875年10月、ロンドン
世間を騒がす、ソーントン広場の絞殺事件は、いまだに未解決のままだった。

殺された歌手の姪ポーラ・アルクイスト(イングリッド・バーグマン)は、失意のうちに、叔母のようなオペラ歌手になるためイタリアに向かう。

やがてポーラは、音楽家グレゴリー・アントン(シャルル・ボワイエ)と恋に落ち結婚の約束をするが、ポーラは自分を見つめ直すために、1週間コモ湖への旅行に向かう。

ポーラは途中、列車内で、イギリス人の老婦人ベッシー・スウェイツ(メイ・ウィッティ)と出会う。

話題好きのスウェイツ夫人に、ソーントン広場の絞殺事件を興味心身に語られ、ポーラは動揺してしまう。

コモ湖でポーラを待っていたアントンは、結婚してロンドンに住む提案をする。

一瞬、不安が過ぎったポーラだが、アントンとならば再出発ができると考え、再びソーントン広場の自宅に戻る決心をする。

ロンドンに着いたアントンとポーラは、スウェイツ夫人と近所だということが分かり挨拶を交わす。

そして、新しいメイドのナンシー・オリヴァー(アンジェラ・ランズベリー)を雇い入れ、二人の優雅な生活は始まる。

アントンは、ポーラに母のブローチをプレゼントする。

ナンシーは、初めて会った、ポーラの様子がおかしいことに気づく。

料理人エリザベス(バーバラ・エヴァーレスト)は、アントンから、ポーラが病気だと聞かされていることをナンシーに伝える。

ロンドン塔を見学に行った、アントンとポーラだったが、彼女は、贈られたブローチがなくなっているのに気づく。

スコットランド・ヤードの総監助手ブライアン・キャメロン(ジョセフ・コットン)は、少年時代から、殺されたポーラの叔母のファンだった。

キャメロンは、ロンドン塔でポーラを見かけて以来、彼女が気になり、スウェイツ夫人に、アントン夫妻についてを尋ねる。

キャメロンは、アントン邸の異常さをスウェイツ夫人から知らされ、終了していた”アルクイスト絞殺事件”の調査を再開し、事件の中で、ある宝石が見つかっていないことを知る。

外出もできず、屋敷内の異状やメイドの、自分を見下す態度などで気分が落ち込むポーラに、夫アントンも彼女が神経病ではないかと疑い始める。

そして今度は、壁に掛けてあった絵が紛失し、使用人が疑われるのだが、以前も、その絵を置いてあった場所を知っているポーラは、それを見つけてアントンに渡す。

アントンは、ポーラが精神を病み、記憶喪失にまでなりかけていると判断し、家に閉じ込めてしまう。

名士が集まる音楽会に、アントン夫妻も現れるだろうと考えたキャメロンだったが、アントンは外出を拒み、ポーラは一人で音楽界に向かおうとする。

それを知ったアントンは、何かを企みながら音楽会に行くことに決め、二人で会場に向かう。

演奏が始まった会場で、アントンの懐中時計がないことが分かる。

ポーラが疑われて、バックから時計が見つかり、彼女は取り乱してしまう。

帰宅したアントンは、ロンドン中に恥をさらしたポーラを責め、ロンドン塔以来、自分達を付回すキャメロンとの関係も追求する。

ポーラは見知らぬ男だと言い張るが、アントンは彼女の精神状態を疑い、医者に診察させる決心をする。

屋敷を見張っていたキャメロンは、アントンが外出して近所で姿を消したことを不審に思う。

一軒先の空き家に、アントンが侵入しているのではないかと考たキャメロンは、付近を監視させている巡査から、彼の不審な行動を知らされ、ポーラに直接会う方法を考える。

キャメロンはポーラに会うために、子供の頃に彼女の叔母からもらった手袋を見せ信用してもらう。

ポーラも、叔母から聞いていた”秘密のファン”がキャメロンだと知り安心する。

キャメロンは、神経を病み生活に怯えているポーラに対し、彼女は正常であり、アントンが何かを企んでいることを知らせる。

ガス燈の明かりが暗くなったり、奇妙な物音がするのは、ポーラの思い過ごしではないことを、キャメロンは彼女に伝える。

階上の家具の物置の、ポーラの叔母の所持品を、アントンが狙いあさっているとキャメロンは推理する。

物置のガス燈を点けたために、ポーラの部屋の明かりが暗くなっていたのだ。

キャメロンは、アントンが宝石目当てにポーラの叔母に近づき、彼女を殺したとのだということをポーラに話す。

そしてキャメロンは、アントンを捜すために屋敷を出る。

その頃、アントンは、物置でついに宝石を見つけて目的を果たし、階下に下りて、自分の机がこじ開けられているのに気づく。

ポーラを問い詰めるアントンは、ある男の仕業だと彼女から聞くのだが、料理人エリザベスは、誰も来なかったと白を切る。

アントンは、ポーラが妄想で苦しんでいる姿を見て、精神的に追い込もうとするが、彼の行動を知ったキャメロンが階上の物置から姿を現す。

キャメロンは、アントンが隠し持っていた拳銃を払いのけ、物置で彼を縛り上げる。

ポーラに命乞いをするアントンだったが、ポーラはそれを聞き入れず、彼は警察に連行される。

そして、ポーラの叔母に憧れていたキャメロンは、叔母に似て美しいポーラに惹かれ、彼女もそれを受け入れる。

そんな寄り添う二人を見たスウェイツ夫人は驚き、彼女の新しい噂話のネタが生まれる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1875年、ロンドン
世間を騒がす、オペラ歌手殺害事件で、その姪ポーラ・アルクイストは、失意のうちに、自身も歌手になるためイタリアに向かう。
ポーラは、音楽家グレゴリー・アントンと恋に落ち、彼女は不安を抱えながらも結婚を決意する。
そして、ロンドンに住むことになり、二人の優雅な生活は始まるが、メイドのナンシーは、ポーラの様子がおかしいことに気づき、アントンは使用人に、妻が病気だと伝える。
少年時代から、殺されたポーラの叔母のファンだった、スコットランド・ヤードの総監助手キャメロンは、街でポーラを見かけ彼女が気になる。
隣人のスウェイツ夫人に、アントン夫妻について尋ねるキャメロンは、夫妻の屋敷の異常さを知らされる。
キャメロンは、既に終了していたポーラの叔母の絞殺事件の調査を始め、被害者の宝石が見つかっていないことを知る。
外出もできず、様々な出来事で気分が落ち込むポーラに、夫アントンも、彼女が神経病ではないかと疑い始めるのだが・・・。
__________

第17回アカデミー賞では、作品賞をはじめ7部門でノミネートされ、イングリッド・バーグマンが主演女優賞を、そして美術賞を受賞した。

・ノミネート
作品
主演男優(シャルル・ボワイエ)
助演女優(アンジェラ・ランズベリー)
脚本・撮影賞(白黒)

話の筋立てとしては、それほど奇抜ではないが、主人公と妻の心理描写や、全体的に漂う陰鬱な雰囲気を、ジョージ・キューカーが繊細なタッチで描いている。

原題でもあるガスの燈、宝石、手袋や屋敷の近所の立地図など、小道具の使い方もなかなかうまい。

アカデミー主演賞にもノミネートされたシャルル・ボワイエは、紳士的な音楽家から、ロンドンに住み着いた途端に悪役に豹変し、妻を精神的に追い込む、非情な殺人鬼振りが、イメージとギャップがあり興味深い。

策略で精神的に追い込まれ、ついには錯乱状態寸前にまでなってしまう、アカデミー主演賞を受賞したイングリッド・バーグマンの、細やかな心理表現は秀逸だ。

ファンであった、オペラ歌手殺人の犯人を追い、陥れられようとするその姪を救おうとする、正義感のある警察官を、ジョセフ・コットンがスマートに演じている。

どこにでもいる、世話焼きで噂話好きの夫人を好演する、大ベテランのメイ・ウィッティが閉めるラストは、陰気な雰囲気の内容を和らげる、ややヒッチコック作品を彷彿させるエンディングでもある。

アカデミー助演賞にノミネートされた、良家のメイドにしては、ふしだらな役柄のアンジェラ・ランズベリーの小悪魔的魅力と、最後に警察に協力する耳の悪い料理人役のバーバラ・エヴァーレストが、不審な物音にも気づかないところなども、気の利いた演出となっている。


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