我が道を往く Going My Way (1944) 5/5 (15)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

レオ・マッケリー製作、監督、原案の心温まるヒューマン・ドラマの傑作にして、ハリウッド映画史上に残る不朽の名作。
教会再建のために派遣された進歩的で型破りな神父と保守的な老神父、そして教区の人々の触れ合いを描く、主演ビング・クロスビーバリー・フィッツジェラルドリーゼ・スティーブンス他共演のドラマ。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

製作:レオ・マッケリー
監督:レオ・マッケリー
原案:レオ・マッケリー
脚本
フランク・バトラー

フランク・キャベット
撮影:ライオネル・リンドン

編集:リロイ・ストーン
音楽:ロバート・エメット・ドーラン

出演
ビング・クロスビー:チャック・オマリー神父
バリー・フィッツジェラルド:フィッツギボン神父
リーゼ・スティーブンス:ジェニヴィエーヴ・リンドン
フランク・マクヒュー:ティモシー・オダウド神父
ジーン・ロックハート:テッド・ヘインズ
ジェームズ・ブラウン:テッド・ヘインズJr.
ジーン・ヘザー:キャロル・ジェームズ
エイリー・マリオン:カーモディ
トム・ディロン:マッカーシー巡査
スタンリー・クレメンツ:トニー
カール”アルファルファ”スウィッツ:ハーマン
アニタ・シャープ=ボルスター:クインプ夫人
アデリン・デ・ウォルト・レイノルズ:フィッツギボンの母親

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1944年製作 126分
公開
北米:1944年5月3日
日本:1946年10月1日


アカデミー賞 ■

第17回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演男優(ビング・クロスビー)
助演男優(バリー・フィッツジェラルド)
原作・脚本・歌曲賞
主題歌:”星にスイング/Swinging on a Star
・ノミネート
主演男優(バリー・フィッツジェラルド)
撮影・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

ニューヨークの下町、セント・ドミニク教会。
老神父フィッツギボン(バリー・フィッツジェラルド)は、財政難を背い教会運営に四苦八苦する中、テッド・ヘインズ(ジーン・ロックハート)と、息子のテッドJr. (ジェームズ・ブラウン)の借金の催促を、言葉巧みに交わしてしまう。

教会に新たに赴任する若い神父チャック・オマリー (ビング・クロスビー)は、街に着く早々、告げ口屋の
クインプ夫人(アニタ・シャープ=ボルスター)や無神論者の洗礼を受けてしまう。

フィッツギボンとメイドのカーモディ(エイリー・マリオン)はオマリーを迎え、神父らしからぬ彼に戸惑ってしまう。

ゴルフにテニスをするらしく、そして釣竿まで持参したオマリーの様子を、興味深く観察するフィッツギボンだった。

その後、オマリーを訪ねて来た、親友のオダウド神父(フランク・マクヒュー)も同じようなタイプだったために、フィッツギボンはさらに驚いてしまう。

教区の司祭が、オマリーをフィッツギボンと交代させるためにを送り込んだことを知るオダウドは、それを心配する。

しかしオマリーは、教会を建て直すまではフィッツギボンを支える役目を続けるつもりでいた。

オマリーは、ヘインズが教会を取り壊して、駐車場にしようとしていることを息子のテッドJr.から聞き、何とかそれを阻止しようとする。

そんなオマリーは、街で不良少年達を見かけても、彼らを頭ごなしに叱ろうとはせず、野球や歌を教えて、正しい道に導こうとする。

ある日、マッカーシー巡査(トム・ディロン)が、家出少女のキャロル・ジェームズ(ジーン・ヘザー)を伴い、オマリーを訪ねてくる。

キャロルの事情を聞いたオマリーは、自分に理解を示さないという、親への不満を彼女から聞かされる。

歌手になって稼ぐという、キャロルの歌を聴いたオマリーは、その心得を伝授していたのだが、フィッツギボンは家政婦の仕事を紹介しようとする。

キャロルは、それに全く興味を示さず、その場を立ち去ろうとするが、オマリーは、彼女に10ドルを渡し「自分の信ずる道を歩むこと」と励まし、幸運を祈り送り出す。

不良少年のトニー(スタンリー・クレメンツ)とハーマンカール”アルファルファ”スウィッツ)に目を付けたオマリーは、2人をうまくおだてて少年達の聖歌隊を作ろうとうる。

少年達は、気乗りしないままに始めた歌の練習だったが、オマリーの的を得た指導に、彼らは次第に歌に興味を抱き始める。

一方、破天荒極まりないオマリーを見て、フィッツギボンは彼の行動に戸惑い、教区の司教にオマリーの転任を
要求しようとする。

しかし、フィッツギボンは、オマリーが自分の後任だと知り意気消沈してしまう。

そしてフィッツギボンは、それをオマリーに確認した後、教会から姿をけしてしまう。

やがて、雨の中、マッカーシー巡査の協力で保護されたフィッツギボンは、気まずい思いをしながら帰ってくる。

知らぬ不利をしていたオマリーだったが、冷たい雨に濡れた老神父フィッツギボンを、共に心配していたメイドのカーモディとで、暖かい食事と優しい言葉で迎える。

食事をして床についた、フィッツギボンの体が冷え切っていることに気づいたオマリーは、彼に酒を勧めようとする。

フィッツギボンは、毎年アイルランドの母親がクリスマスに送ってくれるブランデーをオマリーのグラスにも注ぎ、お互いの母のために乾杯する。

母親の歌を懐かしむフィッツギボンを、オマリーは故郷アイルランドの子守唄で寝かしつけて、部屋を出ようとする。

しかし、フィッツギボンはオマリーに”おやすみ・・”と語りかける。

オマリーは苦笑いしながら部屋を去り、フィッツギボンは安堵の眠りにつく。

ある日オマリーは、幼馴染の高名なオペラ歌手ジェニー・リンドン(リーゼ・スティーブンス)に偶然、再会する。

メトロポリタン劇場
楽屋にオマリーを連れて行ったジェニーは、 音信不通になっていた彼にその理由を尋ねる。

オマリーに恋心を抱いていたジェニーは、彼が神父になっていたことを知り驚いてしまうが、彼女はその現実を受け入れる。

オマリーは告げ口屋クインプ夫人の情報で、アパートを見つけた、家出少女キャロルのところにテッドJr.が入りびたりだということを知る。

キャロルのアパートを訪ねたオマリーは、居合わせたテッドと彼女から事情を聞き、説教をするどころか”我が道を往こう”と、歌で二人を励ましてしまう。

ジェニーをフィッツギボンに紹介した、こちらも彼女と幼馴染のオダウド神父は、ジェニーにオマリーが指導する少年聖歌隊の歌を聴かせる。

オマリーが、音楽への情熱を捨てきれずにいることを知ったジェニーは、彼が作曲した”我が道を往く”が気に入り、楽譜を預かり売り込むことにする。

息子テッドが、家出少女キャロルに熱を上げていることを知ったヘインズは、彼女のアパートを訪れて、二人に意見しようとする。

しかし、父親の言葉に耳も貸さず、オマリー神父に頼み、結婚式まで挙げてしまった二人に、ヘインズは呆れてしまう。

ところが、出征するため軍服に着替えたテッドを、健気に見守るキャロルを見て、ヘインズは二人の気持ちを認める。

オダウドとジェニーは、メトロポリタンを借り切って、彼女とオマリーの少年聖歌隊をジョイントさせた”我が道を往く”を、音楽プロデューサーに売り込もうとする。

しかし、プロデューサーは、その曲が上品過ぎて気に入らない様子で帰ってしまう。

ショックを受けるオマリー達だったが、”星にスイング”を歌って気を取り戻そうとする。

帰ろうとしていたプロデューサーは、その曲に飛びつき、 オマリー達は晴れて契約を結ぶことができる。

オダウドは、フィッツギボンを喜ばすために、契約金を教会への寄付金として受け取れるように頼み込む。

教会のミサで大金が集まり、フィッツギボンは、それが自分の説教のお陰だと思い満足する。

オマリーとオダウドは、献金から小遣いをもらいゴルフに出かけようとし、気分転換にフィッツギボンも誘う。

ゴルフ場に、フィッツギボンを連れて行ったオマリーとオダウドは、彼にプレーをさせて喜ばせる。

見違えるように元気になったフィッツギボンに、休暇をと って、アイルランドへの里帰りを勧めるオマリーだったが、 教会が火事で焼失してしまう事件起きる。

失意のフィッツギボンは、希望の火も消え去り、 彼の45年の苦労も灰となってしまう。

オマリーは、聖歌隊をジェニーの巡業に付き添わせて、教会再建の資金集めをしていることをフィッツギボンに伝え、ジェニーから送られた3500ドルの小切手を渡し、彼を励ます。

教会の再築は始まるが、オマリーは財政難で苦しむ他の教会の再建にのため、セント・ドミニク教会を去ること
になる。

それを知ったフィッツギボンは落胆するが、 オマリーの幸運を祈り酒を酌み交わす。

オマリーは、戦地で負傷して帰国したテッドやキャロル、そしてヘインズに別れを告げる。

そしてオマリーは、気心知れたオダウドが自分の後任だと知り、フィッツギボンと共に喜ぶ。

クリスマスの近づく夜、オマリーに別れを告げようとする人々が教会に集まる中、アイルランドから呼び寄せたフィッツギボンの母親(アデリン・デ・ウォルト・レイノルズ) を伴い、ジェニーがオマリーの元に現れる。

そして、オマリーに感謝の言葉を述べるフィッツギボンに、聖歌隊のアイルランドの子守唄が聞こえる。

フィッツギボンの母は彼に歩み寄り、年老いた親子は、数十年ぶりの再会を果たして抱き合う。

降りしきる雪の中、オマリーは人々の優しさに触れながら、 独り教会を去って行く。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

ニューヨーク
下町のセント・ドミニク教会の老神父フィッツギボンは、財政難を背い教会運営に四苦八苦していた。
その教会に新たに赴任した若い神父チャック・オマリーだったが、フィッツギボンとメイドのカーモディは、神父らしからぬ彼に戸惑ってしまう。
そこに、オマリーと似たタイプの、彼の親友であるオダウド神父も現れる。
オダウドは、フィッツギボンが、教区の司祭の考えでオマリーと交代させられることを知っていた。
オマリーは、教会再建までは、それをフィッツギボンには内緒にすることを決めて、教会を取り壊して駐車場にしようとするヘインズの考えを改めさせようとする。
そんなオマリーは、不良少年を叱らず、野球や歌で正しい道に導こうとしたり、家出少女のキャロルの悩みに耳を傾ける。
一方、型破りなオマリーに戸惑うフィッツギボンは、それを司祭に相談に行く。
しかしフィッツギボンは、オマリーが教会に来た本当の理由を知ってしまう・・・。
__________

本作の大ヒットで翌年に、続編「聖メリーの鐘」(1945)が、監督レオ・マッケリーと主演ビング・クロスビーに加え、イングリッド・バーグマンを迎えて製作、公開された。

参考:
聖メリーの鐘」は、「ゴッドファーザー」(1972)で、アル・パチーノダイアン・キートンが、クリスマスに”ラジオシティ・ミュージックホール”に見に行く映画として登場する。

2004年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

本作が公開された1944年5月と言えば、第二次世界大戦末期、勝敗の行方を決することになるノルマンディー上陸作戦実行の前月であり、その時期に、アメリカ本土では、このような作品が何作も世に出ていたことなどを考えると、改めて、日本との国力の差と国民の精神的な余裕の違い感じることができる。

第17回アカデミー賞では、作品賞をはじめ9部門でノミネートされ、作品、監督、主演男優(ビング・クロスビー)、助演男優(バリー・フィッツジェラルド)、原作、脚本、歌曲賞を受賞した。
・ノミネート
主演男優(バリー・フィッツジェラルド)
撮影・編集賞

既に「新婚道中記」(1937)でアカデミー監督賞を受賞していた、人情ドラマを得意とするレオ・マッケリーは、2度目のオスカー受賞となった。

不良少年、家出少女、利益優先の資産家、そして頭の固い老神父など、全ての人に、堅苦しい説教ではなく、現代的な手法で恵みを与えようとする主人公オマリー神父の人物像を、レオ・マッケリーは、押し付けがましくない描写で映し出している。
スケールの大きさや逞しさだけでない、愛すべきアメリカ人の本質や姿を表現しているとも言える。

人々の清らかな善意と良心が溢れる、ほのぼのとしたストーリーは、今でも全く色あせることなく、何度見ても心洗われる感動作である。

当時、既に大歌手であり、そしてアメリカを代表するエンタテナーとして頂点を極めていたビング・クロスビーの、持ち前の明るさと、温厚な人柄を生かした熱演は見もだ。
ひょうひょうとしたコミカルな演技に加え、性格俳優としても実力を発揮する彼のキャラクターは、ユーモアと人間味のバランスが絶妙だ。

アカデミー主題歌賞を受賞した”Swinging on a Star”をはじめ、もちろん見事な歌声も披露してくれる。

アカデミー主演・助演賞ダブルノミネートされた、ジョン・フォード作品などでお馴染みのバリー・フィッツジェラルドの老神父役は、アイルランド出身の彼そのものを演じているような、自然な演技だ。

メトロポリタンオペラのソプラノ歌手リーゼ・スティーブンスの、”ハバネラ”他の素晴らしい歌声も堪能できる。

オマリー同様、神父らしくないが人間味のあるフランク・マクヒュー、オマリーのペースにはまってしまう、資産家親子ジーン・ロックハートジェームズ・ブラウン、オマリーに人生を教えられる家出少女ジーン・ヘザー、教会の家政婦エイリー・マリオンなどが共演している。

故・淀川長治氏が「クリスマスをイメージする映画」に本作をあげているが、終戦直後、彼が街のアメリカ兵に、”最近見たベスト映画は?”と尋ねると、皆、口を揃えて”ゴマメ、ゴマメ・・”と答えたそうだ。
頭を傾げる淀川氏は、その後、本作の原題の”Going My Way”が”ゴマメ”と聞こえたのに気づき、アメリカで素晴らしい作品が公開されたことを知ったという。(北米公開1944年)

日本初公開は1946年。

余談:
1977年10月14日。
高校生だった私は、ビング・クロスビー死去の訃報を知り涙したのを思い出す。
その直前、初めて本作を見た時の感動は一生忘れられない。
この記事を書きながらも、多くのシーンを想い出し、心洗われ、人生の教訓になったことを思うと涙がこみ上げてくる。


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