グラン・プリ Grand Prix (1966) 4.55/5 (33)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

ヨーロッパで生まれた、モーターレースの最高峰、F1グランプリを舞台にしたドラマ。
終身犯」(1962)など、社会派ドラマを得意にしていたジョン・フランケンハイマーが、アクション作品の演出の才能も発揮したオートレース映画の秀作。
主演ジェームズ・ガーナーイヴ・モンタン三船敏郎エヴァ・マリー・セイント他共演。


ドラマ(スポーツ)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フランケンハイマー
製作:エドワード・ルイス
脚本:ロバート・アラン・アーサー
撮影 ライオネル・リンドン
編集
スチュー・リンダー

ヘンリー・バーマン
フランク・サティーロ
音楽 モーリス・ジャール

出演
ジェームズ・ガーナー:ピート・アロン
イヴ・モンタン:ジャン=ピエール・サルティ
三船敏郎:矢村伊造
エヴァ・マリー・セイント:ルイーズ・フレデリクソン
ブライアン・ベッドフォード:スコット・ストダード
アントニオ・サバト:アントニオ”ニーノ”バルリーニ
ジェシカ・ウォルター:パット・ストダード
フランソワーズ・アルディ:リーザ
ジュヌヴィエーヴ・バージュ:モニーク・デルボー・サルティ
ジャック・ワトソン:ジェフ・ジョーダン
アドルフォ・チェリ:アゴスティーニ・マネッタ
ドナルド・オブライエン:ウォレス・ベネット
エンツォ・フィエルモンテ:グイド
クロード・ドファン:ユゴー・シモン
フィル・ヒル:ティム・ランドルフ
グラハム・ヒル:ボブ・ターナー
ブルース・マクラーレン:ダグラス・マクレンドン

アメリカ 映画
配給 MGM
1966年製作 179分
公開
北米:1966年12月21日
日本:1967年2月
製作費 $9,000,000


アカデミー賞 ■
第39回アカデミー賞
・受賞
編集・録音・音響編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
F1グランプリの初戦、モナコ・グランプリが開催され、レース中盤で、BRMのアメリカ人ドライバーのピート・アロン(ジェームズ・ガーナー)のマシンに、ギアの異常が発生する。

ピット・インし、それをオーナーのジェフ・ジョーダン(ジャック・ワトソン)に知らせるアロンだったが、聞き入れられない。

トップに立った、同僚でイギリス人ドライバーのスコット・ストダード(ブライアン・ベッドフォード)は、周回遅れで前方を塞いでいるアロンに苛立つ。

そして、同じチームの2台のマシンが、接触事故を起こしてしまい、アロンは海中に転落、ストダードは壁に激突して重傷を負ってしまう。

BRMのジョーダンはアロンを責めるが、彼は、ストダードに追い抜けと合図したと反論するも聞き入れられず、チームから追放されてしまう。

ストダードの妻パット(ジェシカ・ウォルター)は、病院に駆けつけ、これでレースが出来なくなり、望み通りになったと皮肉るジョーダンに、その通りだと言い返す。

結局レースは、フェラーリのジャン=ピエール・サルティ(イヴ・モンタン)が優勝をさらってしまう。

その後、ホテルに戻ったサルティは、アロンから事故の状況を聞き、レースに情熱がなくなってきたことを伝える。

ストダードは一命を取り留めるが、こんな事故に遭っても、夫が復帰を考えていることを知ったパットは、彼の元を去って行く。

アロンも病院を訪れるが、彼はストダードに卑怯者呼ばわりされてしまう。

その夜の祝賀パーティーで、サルティは、アメリカ人のファッション雑誌記者のルイーズ・フレデリクソン(エヴァ・マリー・セイント)と出会う。

サルティは、サーキットに顔も見せない、自動車会社社長でもある妻モニーク・デルボー(ジュヌヴィエーヴ・バージュ)とは、既に冷め切った仲だった。

重傷者が出たにも拘らず、祝賀会を開催する人々の気持ちが理解できないルイーズだったが、サルティはレースに懸ける男達の心情を率直に語る。

元2輪の世界チャンピオンで、若手のイタリア人ドライバーのアントニオ”ニーノ”バルリーニ(アントニオ・サバト)は、寂しげな女性リーザ(フランソワーズ・アルディ)と出会い愛し合うようになる。

数日後、BRMをクビになったアロンはレースを断念できず、かつての所属チーム”フェラーリ”オーナー、アゴスティーニ・マネッタ(アドルフォ・チェリ)を訪ねる。

しかし、アロンを勝てるドライバーと判断しないマネッタは、彼の受け入れを断る。

アロンは、フランス・グランプリではテレビの解説者に甘んずるしかなかった。

サーキットでサルティらに再会したアロンは、レースに参加している日本の実業家、矢村伊造(三船敏郎)にインタビューを申し込むが断られてしまう。

イギリスに戻り、回復に向かっていたストダードは、モデルの仕事に復帰して、自分の元に戻ろうとしない妻のパットが、インタビューを受ける姿をテレビで見ていた。

その現場にいたアロンは、ストダードの事故は、自ら招いた結果だと、彼とパットの私生活にまで触れた発言をする。

その後、パットに、失言をしたことを謝罪したアロンだったが、ストダードを理解しようとしない彼女に、再び嫌悪感を示す。

その頃、シーズンを通して、レースを取材することになったルイーズは、次第にサルティとの親交を深めていく。

そして、レースはモナコに続きサルティが連勝して、アロンとパットは、正直な話をしたことがきっかけで親密になっていく。

そんな時、アロンは矢村に呼び出され、是が非でも勝利を手にしたいことを伝えられ、ドライバーとして復帰することになる。

矢村はアロンのレースへの闘志を買い、アロンは矢村の、日本の伝統を重んじる率直な人柄に惚れ込む。

その頃、実家に戻ったストダードは、再びマシンに乗る意欲をジョーダンに見せる。

次のグランプリが行われるベルギーにストダードが現れ、既にパットと愛し合うようになっていたアロンは、夫婦の間で話し合いをさせる。

パットを必要とするストダードだったが、彼女は以前の生活に戻る気はなかった。

そして、ベルギー・グランプリが行われ、雨の降る悪天候の中、サルティのマシンのサスペンションが破損して事故を起こし、観客の少年二人が巻き添えになり死亡してしまう。

その後、アロンが矢村の期待に応え、チームに初勝利をもたらし、見事に復帰戦を飾る。

ピットに戻ったサルティは、亡くなった少年の父親に責められるが、気持ちを抑えて次のレースへの準備をしなければならなかった。

サルティは、以前からレースへの意欲を失いかけていたのだが、愛し合うルイーズが心の支えとなっていた。

しかし、今回の死亡事故で、サルティは、徐々に精神的に追い込まれていく。

一方、順調に回復したストダードは、元世界チャンピオンで、事故死した兄の活躍したマシンに、乗り込むまでになっていた。

次のドイツ・グランプリでもアロンが優勝するが、ストダードは、オランダ・グランプリでの復帰に向けて最終調整に入る。

再起不能の危機を克服したストダードは、奇跡的にレースに復帰し、オランダアメリカメキシコ・グランプリで優勝する。

その間、サルティはマシントラブルが続き苛立ち、アロンは障害が残っているストダードに勝てない原因を、矢村と共に追求する。

その後ストダードは、痛み止めの投与のし過ぎがたたり、地元イギリス・グランプリではリタイヤしてしまう。

イギリスでは、モナコで2位に入ったフェラーリのバルリーニが優勝する結果となる。

そして、アロンとサルティ、そしてストダードとバルリーニの4人が、年間チャンピオンを目指し最終イタリアグ・ランプ(モンツァ)に挑むことになる。

ストダードとパットは、やがて少しずつ歩み寄り、サルティは、マシンを巡ってのチームとの確執や、妻モニークとの問題を抱えながら、引退も覚悟してレース当日を迎える。

優勝争いで有頂天のバルリーニは、リーザを相手にしなくなり、別れ話を切り出した彼女を何の未練もなく捨てる。

レースはスタートし、サルティがエンジン停止で出遅れ、バルリーニが先頭に立ち、ストダードとアロンがそれを追う展開になる。

サルティは、最下位から追い上げて4位まで順位を上げるが、前を行くマシンの部品を拾ってしまい、スピンして壁に激突して爆破炎上する。

サルティはマシンから放り出され救出されるが、ルイーズはホテルを飛び出し、彼に駆け寄り狂ったように泣き叫ぶ。

フェラーリのマネッタは、サルティの事故死で黒旗をコースに示してレースを放棄し、バルリーニはピットに向かう。

レースはアロンとストダードの一騎討ちとなり、激しい争いの末、一瞬の差でアロンがチェッカーフラッグを受ける。

アロンは年間チャンピオンも勝ち取り、熱狂する観客に応え、2位のストダードとのわだかまりも消えるが、サルティの死を知り、手放しで喜ぶ気にはなれなかった。

モナコ優勝直後に、サルティが疲れ果てレースに意欲を失った言葉を語ったことを、アロンは想い起こす。

そしてアロンは、レース後のサーキットのスターティング・グリッドにたたずみ、心の安らぎを求め、新しい人生を歩むことを決意する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
アメリカ人F1レーサーのピート・アロンは、開幕戦のモナコ・グランプリで、同僚にストダードと接触事故を起こし、チームを追放されてしまう。
アロンはレースを諦めきれず、古巣フェラーリに自分を売り込むが断られてしまう。
一方、2連勝したサルティは、レースへの意欲が薄れ始めていた時、出会った記者ルイーズを心の支えに厳しい戦いを続ける。
F1に参戦する、日本の実業家矢村は、勝利を手にするために、アロンをドライバーとして受け入れ、彼は復帰戦で勝利をもたらす。
アロンは、夫ストダードの生き様を理解しない、妻パットに嫌悪感を示すが、やがて率直に話
し合った二人は愛し合うようになる。
その頃、奇跡の復帰に闘志を燃やすストダードは、障害を抱えながらもサーキットに戻る準備を始める・・・。
__________

F1グランプリそのものを扱ったレースの迫力は言うまでもなく、人々から憧れの眼差しで見られている、レーサーやその家族の苦悩などを繊細に描き、人間ドラマとしても十分に見応えある作品に仕上がっている。

モーリス・ジャールの、華々しいテーマ曲に乗り展開する、レースシーンの迫力は見ものだ。

各チームのレーサーや、勝者と敗者を同時に映し出し対照的に見せる、シネラマ映像を見事に生かした、斬新なフレドリック・ステインカンプらの編集技術も素晴しく、伝わりにくいレース展開なども非常にうまくまとめている。

第39回アカデミー賞では、編集、録音、音響編集賞を受賞した。

レースで登場する日本チーム”ヤムラ”はホンダ・レーシングチーム三船敏郎演ずる矢村は、もちろん本田宗一郎がモデルだ。

ホンダは、1965年の第10戦メキシコ・グランプリで実際に初優勝している。

日本での4輪車最後発企業が、1960年代の半ばに達成した大偉業には驚くばかりだ。

三船敏郎が、ジェームズ・ガーナーと車のシートを合わせる場面で、彼が日本語で言う”奴さん、大きいからなぁ”というセリフが、気さくな人柄の本田宗一郎をイメージさせるいいシーンだ。

主演のジェームズ・ガーナーは、ヨーロッパで活躍する、精神的にも逞しいアメリカ人レーサーを好演している。
撮影前に彼は、ジム・ラッセル・レーシングスクールで特訓を受け、実際に運転するドライビングも見事で、翌年レーシングチームを自ら立ち上げてしまったほどだ。

日本の伝統文化を、非常に高く評価して描いた作品で、ハリウッド作品初登場の、堂々とした人情味のある役柄の三船敏郎の存在が、日本人としては誇らしい印象を受ける作品でもある。

レーサーとしてよりも、内面的な男の苦悩を渋く演じたイヴ・モンタン、その恋人で、彼の心の支えとなるエヴァ・マリー・セイント、重傷を負いながらも、強靭な精神力で再起するブライアン・ベッドフォード(彼は公道運転免許を持っていない)、その妻ジェシカ・ウォルター、奔放な若手ドライバーのアントニオ・サバト、その恋人役のフランソワーズ・アルディ、サルティ(Y・モンタン)の妻役ジュヌヴィエーヴ・バージュBRMのオーナー、ジャック・ワトソンフェラーリのオーナー、アドルフォ・チェリなどの共演者も豪華で、ジム・クラークフィル・ヒルグラハム・ヒルブルース・マクラーレンなど、現役レーサーや関係者他も、本人としてではなく役名付で出演している。

ジム・クラークは本人として映像が登場する。


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