イン・アメリカ/三つの小さな願いごと In America (2002) 4/5 (1)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

ニューヨークに移住した貧しいアイルランド人一家の苦悩と新たな人生を歩み始めるまでを描く、製作、監督、脚本のジム・シェリダンの自伝的物語を描く感動のドラマ。
主演パディ・コンシダインサマンサ・モートンサラ・ボルジャーエマ・ボルジャージャイモン・フンスー他共演。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:ジム・シェリダン
製作
アーサー・ラッピン
ジム・シェリダン

脚本
ジム・シェリダン

ナオミ・シェリダン
カースティン・シェルダン

撮影:デクラン・クイン
編集:ナオミ・ジェラハティ
音楽
ギャヴィン・フライデー

モーリス・シーザー

出演
ジョニー・サリヴァン:パディ・コンシダイン

サラ・サリヴァン:サマンサ・モートン
クリスティ・サリヴァン:サラ・ボルジャー
アリエル・サリヴァン:エマ・ボルジャー
マテオ・クワミ:ジャイモン・フンスー
店主:エイドリアン・マルティネス

アイルランド/アメリカ/イギリス 映画
配給 フォックス・サーチライ ト・ピクチャーズ

2003年製作 105分
公開
アイルランド:2003年10月31日
イギリス:2003年10月31日
北米:2003年11月26日
日本:2003年12月13日
製作費 $
北米興行収入 $15,539,656
世界 $25,382,911


アカデミー賞 ■

第76回アカデミー賞
・ノミネート
主演女優(サマンサ・モートン
助演男優(ジャイモン・フンスー
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1982年。
アイルランド人の俳優ジョニー・サリヴァン(パディ・コンシダイン)と妻サラ(サマンサ・モートン)、娘のクリスティ(サラ・ボルジャー)とアリエル(エマ・ボルジャー)は、休暇旅行ということにしてカナダからアメリカに入国しようとする。

5歳の息子”フランキー”を脳腫瘍で亡くしていたジョニーとサラそして娘達は辛い思いをしながらの旅だった。

クリスティは、フランキーが三つの願い事を叶えてくれると信じ、入国時にそれを一つ使う。

ニューヨーク
マンハッタンに着いた4人は、大都会の様子に驚きながら”ヘルズ・キッチン”に向かう。

ジャンキーや女装趣味者、そして叫ぶ男がいる古ぼけたアパートに着いた一家だったが、ジョニーとサラは、修繕費や家賃を考えると不安になる。

広さだけはある空間を何とか住める場所にした4人は、何とか生活を始め、教師の仕事がなかったサラはアイスクリーム店で働き始める。

オーディションを受けるジョニーにはチャンスが訪れず、やがて夏が来る。

経験したことのない”湿気”を知った家族は、その暑さに限界を感じ、ジョニーは古いエアコンを手に入れてアパートに運ぶ。

苦労してそれを部屋に持ち込んだジョニーだったが、コンセントのプラグが合わなかった。

空き瓶を売って不足分を補い、2ドル足らずのプラグをようやく手に入れたジョニーは、エアコンを動かすことに成功するが、直ぐに壊れてしまいアパート中が停電してしまう。

家族は涼しい場所を求め、貯金を下ろして映画館に向い”E.T.”を観る。

その後、カーニバルに寄った家族は、アリエルがボール投げで”E.T.”人形を見つけたため、ジョニーがそれに挑戦する。

7回入れれば人形がもらえて料金は返すと言われ、64ドルまでかけて失敗し、意地があるジョニーは、サラに家賃を出させて128ドルの勝負をする。

それにも失敗したジョニーだったが、自分も子供達も信じると言うサラは続けさせる。

見物人が集まり注目する中、ジョニーは次も失敗し、有り金をはたいた父を見たクリスティは、フランキーに二つ目の願い事をする。

そして、ジョニーはそれに成功して人形を手に入れるが、クリスティは、それがフランキーのお蔭だと信じた。

娘達と戯れながらアパートに戻ったジョニーは、一瞬フランキーのことを想い考え込んでしまう。

サラに声をかけられたジョニーは現実に戻り、目隠しをして娘達を追い始める。

自分を捜さないのかとサラに言われたジョニーは、いつでも捜しだせると答える。

子供達をアイスクリーム店に向かわせたサラは、ジョニーと愛し合う。

ジョニーの目がフランキーと同じだと言って息子を思い出したサラは、階段から落ちた際に自分が受け止めなかったことを後悔する。

責めるかと聞かれたジョニーは、そんな気はないとサラに応える。

秋になり、娘達をカトリックの学校に行かせるために、ジョニーはタクシー・ドライバーの仕事を夜勤で始め、サラは妊娠する。

ハロウィンの季節となり、自分達だけが手作り衣装だったため、クリスティとアリエルは他の子供達や親に奇異な目で見られ嫌な思いをする。

両親の許しを得てアパートの住人にお菓子をもらいに行ったクリスティとアリエルだったが、誰もドアを開けてくれない。

ドアに”入るな”と書いてあるナイジェリア人のアーティストで写真家のマテオ・クワミ(ジャイモン・フンスー)の部屋に向かった二人は、彼に怒鳴られるものの、意外にも優しく接してもらえる。

二人を部屋に招き入れたマテオは周囲を窺い、階上で見つめるサラに手を振る。

心配したジョニーは、下の階に向い様子を見に行く。

姉妹と話したマテオは、二人の弟が2歳の時に階段から落ち、助かったもののその後、悪性脳腫瘍で亡くなったことを知らされる。

アリエルは涙するマテオを慰め、彼は子供達に何かをあげようと考え小銭の入った瓶を渡す。

入り口にいたジョニーは、話しかけるマテオに頷いただけでその場を去る。

娘達と3ドル20セントあった小銭を確認したサラは、マテオの冷蔵庫の中が薬だらけだったことを知り、彼を食事に招待しようとする。

気味が悪い男だとジョニーに言われたサラだったが、お礼のつもりでマテオを家に招き食事を共にする。

その後、サラや娘達はマテオと親交深め、ジョニーはそれを気にする。

お腹の子に異常があることが分かり、出産には危険が伴うことが、医師からジョニーとサラに知らされる。

サラは出産を決意するが、ジョニーは母体が心配だと医師に言われていたため悩む。

ビデオ・カメラが趣味のクリスティは、両親の幸せそうな姿を撮る。

娘達にお腹の子を感じると言う嘘をつくことができないジョニーは、役者であるにも拘らずそれができないことをサラから批判される。

お腹の子はフランキーではないと言うジョニーは、息子のことは忘れるようサラに伝えて危険を冒すのを止めさせようとする。

納得できないサラを見ていられれずその場を去ったジョニーは、その様子を気にするマテオの部屋に押入る。

子供が幸運を呼ぶとサラに言ったことを批判するジョニーは、サリヴァン一家、世の中の事、怒りさえも愛すると語るマテオが不治の病だと知り気の毒に思う。

その後ジョニーは、娘達のために幸せを装うが限界を感じ、それをサラに伝える。

ある夜、マテオが階段で倒れて気を失い、それに気づいたクリスティは彼に人工呼吸をする。

サラも駆け付けて意識の戻ったマテオを介抱し、アリエルは彼のためにレモンドロップを持ってきて食べさせる。

冬になり、不通の生活に戻ったマテオだったが、やがて彼の様態は悪化する。

その様子を気にするアリエルは、自分は”E.T.”のようなエイリアンで、地球の環境が合わないと語るマテオから宇宙に帰ると言われる。

生れる子供に自分の名前を付けるとアリエルに言われながら、マテオは意識を失う。

サラは入院して早産に備え、クリスティは三つ目の願い事をしようとするが、何を願えばいいか思いつかない。

ジョニーは5000ドルの入院費を請求されてしまい、ビデオカメラを売ることも考えるクリスティに、その必要がないと伝える。

春になり、サラは苦しみながら未熟児の女の子を出産し、数時間以内の輸血が必要になる。

そのことをサラに伝えたジョニーは、再びフランキーのこと思い出す彼女から、息子が死んだのは柵を作った自分のせいだと言われて責められる。

生れた子に会せてほしいと言って取り乱すサラは、その子が死んだら自分も死なせてほしいとジョニーに伝える。

血液を提供することを決めたクリスティは、子ども扱いするジョニーに、フランキーの死後、自分が家族を支えたことを伝え毎晩祈り泣いたことを話す。

医療費の小切手が不渡りだと言われたジョニーは、採血されるクリスティンを見守る。

入院しているマテオを見舞ったジョニーは、フランキーが死んで神を憎み、決して泣かないと誓ったものの、この場に来れば泣けるかと思ったことを昏睡状態の彼に話す。

そうすれば生まれた子は助かり全てが良くなると語るジョニーは、奇跡が起きることを信じるしかなかった。

アパートに戻ったジョニーは、いつも金をせびる男にナイフを突きつけられる。

抵抗したジョニーはナイフを取り上げ、男を威嚇して部屋に向かう。

輸血を終えた子供の様子は変わらなかったが、病室のマテオが何かを唱え、子供はその瞬間に目を覚まし産声を上げる。

そして、マテオは息を引き取る。

ジョニーとサラ、クリスティは子供の様子を見守り安堵するが、病院からの請求額は3万420ドル20セントだった。

その全額をマテオが支払ったことをジョニーは知らされる。

オーディションを受けたジョニーは役をもらい、マテオというミドルネームが付けられた妹がサラと共に戻って来ることをクリスティとアリエルに伝える。

その様子をビデオに撮るクリスティは、空き部屋になったマテオの部屋に向い、サヨナラも言わなかったと言うアリエルにもカメラを向ける。

満月の夜、クリスティを窓辺に呼んだジョニーは、自転車で月を横切り、手を振りながらサヨナラを言うマテオが見えることを伝え、アリエルにも知らせようとする。

それが見えないアリエルだったが、マテオが手を振りながらサヨナラと言っていると話すジョニーとクリスティと共に、月に向かって手を振りマテオに別れを告げる。

アリエルとクリスティはフランキーのことをマテオに頼むが、ジョニーは戸惑う。

ジョニーを見つめるクリスティは、父がフランキーにもサヨナラを言うようにという三つ目の願い事をする。

”さよならフランキー”と呟いたジョニーは、クリスティに声が小さいと言われ戸惑いながら涙し彼女に励まされる。

サラを呼んだジョニーは、月を見つめながら彼女を抱き寄せる。

闘病中のフランキーのビデオを観たクリスティは、苦しみながらも笑顔を見せていた弟と同じように、父ジョニーも自分の心に勝ち涙を見せたことについてを考える。

そんなフランキーは見たくないと思ったクリスティは、ビデオ・カメラの電源を切る。

クリスティは、フランキーの思い出は永遠に残ると考える。

現実に戻ったクリスティは、フランキーに伝えたいことがあった。

”私を自由にして”と・・・。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1982年、ニューヨークヘルズ・キッチン
移住目的でカナダ経由で入国したアイルランド人の俳優ジョニー・サリヴァンは、妻サラと娘のクリスティとアリエルと共に古いアパートを借りて何とか生活を始める。
ジョニーとサラは幼い息子フランキーを脳腫瘍で亡くし、娘達と共に辛い思いを経験していた。
オーディションを受けるものの役が付かないジョニーは、苦しい日々を送りながらも幸せを求める。
やがてサラは妊娠して娘達は学校に通い始め、ジョニーは夜勤でタクシー・ドライバーの仕事を始める。
そんな時、階下に住む異様な男でナイジェリア人のアーティストのマテオがクリスティとアリエルと親交を持ち、サラも彼を歓迎する。
不気味な男マテオを警戒するジョニーだーったが、彼が不治の病で苦しんでいることを知る・・・。
__________

10歳で亡くなったジム・シェリダンの弟フランキーに捧げられた作品。
1981年、ジム・シェリダン自身がカナダニューヨークに移住した際の体験談を基に、彼の娘ナオミとカースティンの共同脚本により製作された作品でもある。

家族の不幸を忘れるための旅か、希望を求めた移住か、綱渡りのような暮らしを続け支えようとする者達の姿は痛々しささえ感じる。

人間の逞しさを描く、などときれいごとを言っていられないような生活の描写はリアルであり、苦しみの中、新しい生命が生まれ、長女の視点から描かれた内容は、名作「ブルックリン横丁」(1945)を思い起こさせる。

第76回アカデミー賞では、主演女優(サマンサ・モートン)、助演男優(ジャイモン・フンスー)、脚本賞にノミネートされた。

主人公を演ずるパディ・コンシダインサマンサ・モートンは、若手ではあるが実力派だけあり、心に傷を負いながらも、全てを犠牲にして家族の幸せを求める夫婦を渾身の演技で好演している。

異様な男として登場し人間味を感じさせるジャイモン・フンスーの確かな演技は言うまではないが、涙を誘う感動のドラマの中で、それを押しつけがましくなく描き、主人公の娘達を演ずる、サラ・ボルジャーエマの実の姉妹による見事な演技を引き出すジム・シェリダンの演出手腕が見所だ。


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