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夜の大捜査線 In the Heat of the Night (1967)


4.98/5 (45)

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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

アメリカ南部の殺人事件に、またま遭遇した優秀な黒人警官と、偏見と事件解決責任の狭間で苦悩する警察署長との心の葛藤と友情を描いた、監督ノーマン・ジュイソン、主演シドニー・ポワティエロッド・スタイガーウォーレン・オーツリー・グラント共演による社会派サスペンスの傑作。


ドラマ(社会派)


スタッフ キャスト ■
監督:ノーマン・ジュイソン
製作:ウォルター・ミリッシュ
原作:ジョン・ボール
脚本:スターリング・シリファント
撮影:ハスケル・ウェクスラー
編集:ハル・アシュビー
音楽:クインシー・ジョーンズ
主題歌:レイ・チャールズ

出演
ヴァージル・ティッブス:シドニー・ポワティエ

ビル・ギレスピー:ロッド・スタイガー
サム・ウッド:ウォーレン・オーツ
レズリー・コルバート:リー・グラント
エリック・エンディコット:ラリー・ゲイツ
ママ・カリーバ:ビア・リチャーズ
ラルフ・ヘンショー:アンソニー・ジェイムス
ジョージ・コートニー:ピーター・ホイットニー
ロイド・パーディ:ジェームズ・パターソン
ウェッブ・スクーバート町長:ウィリアム・スカーレット
ハーヴェイ・オバースト:スコット・ウィルソン
デロレス・パーディ:クエンティン・ディーン
パッキー・ハリソン:マット・クラーク

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1967年製作 109分
公開
北米:1967年8月2日
日本:1967年10月
製作費 $2,000,000


アカデミー賞 ■
第40回アカデミー賞
・受賞
作品
主演男優(ロッド・スタイガー)
脚色・編集・録音賞
・ノミネート
監督・音響編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ミシシッピ州スパルタ
暑い夏の夜、地元警察のサム・ウッド(ウォーレン・オーツ)は、夜のパトロール中、町の実業家フィリップ・コルバートの死体を発見する。

サムの連絡で、署長のビル・ギレスピー(ロッド・スタイガー)は、早速、捜査を始める。

ギレスピーの指示で駅に向かったサムは、乗り継ぎのため、たまたま列車待ちをしていたヴァージル・ティッブス(シドニー・ポワティエ)という、身なりが良く大金を持っていた黒人男性を見つけ、警察署に連行してしまう。

警察署では、ギレスピーを含めティッブスを偏見の目で見て、彼が犯人と決め付けてしまう。

しかし、ティッブスはフィラデルフィア警察の殺人課の刑事で、彼は上司への確認をギレスピーに要求する。

ティッブスが、優秀な警察官だということをギレスピーは確認するが、彼の上司からの捜査協力をその場は断ってしまう。

面目がつぶれたギレスピーだったが、殺人事件の経験もなく、都会の優秀な刑事の意見を求めてみようとも考える。

ギレスピーは、プライドと偏見を捨ててティッブスに捜査の協力を要請するが、彼にそれを拒否されてしまう。

汽車の待ち時間もあり、仕方なく死体を調べたティッブスは、検死結果と全く違う見解をギレスピーに伝える。

ティッブスの手際の良さと説得力ある説明に、ギレスピーは感心してしまう。

そこに、殺人の容疑者であるハーヴェイ・オバースト(スコット・ウィルソン)を追っているという連絡が入ったため、ギレスピーはティッブスをその場に残し現場に向かう。

署に戻ったティッブスは、被害者コルバートの妻レズリー(リー・グラント)に夫の死を伝える。

ハーヴェイを捕らえたギレスピーらも署に戻り、サムらが浮かれるのを尻目に、ティッブスは容疑者を調べ、彼が左利きという理由で無実を主張する。

ギレスピーは、ハーヴェイが所持していたコルバートの財布から、彼を犯人だと断定しレズリーにそれを伝える。

ハーヴェイは財布を拾っただけだと言い張るが、ギレスピーはそれを信じようとはしない。

ティッブスの意見を聞いたギレスピーは、それをたわ言だと罵り駅に送ろうとする。

しかし、ティッブスは、左利きのハーヴェイが犯人でないことを確信し、検死結果はFBIに直接渡そうとする。

その様子を見ていたレズリーは呆れてしまい、早急に捜査を進めるよう、ギレスピーを一喝しその場を立ち去ってしまう。

その後ギレスピーは、検死結果を渡さないティッブスを拘留してしまう。

ハーヴェイと同じ房に入れられたティッブスは、彼のアリバイを確認した後、ギレスピーに釈放されそれを伝える。

さらにティッブスは、被害者は他の場所で殺されて、発見現場に運ばれたことをギレスピーに指摘し、ハーヴェイは窃盗罪となる。

ウェッブ・スクーバート町長(ウィリアム・スカーレット)に呼ばれたギレスピーは、その場にいたレズリーに、ティッブスを捜査担当にするよう強要される。

殺されたコルバートが計画していた、工場建設を取り止めるとまでレズリーに言われた町長は、ギレスピーに、それに従うよう圧力をかける。

ギレスピーは駅に向い、列車を待つティッブスに対し、不器用ながら捜査への協力を要請する。

それを断るティッブスだったが、白人の鼻を明かしたいはずだと言うギレスピーの指摘で、彼は捜査を続ける事を決めて町に引き返す。

その後ティッブスは、被害者コルバートの敵と言われていたエリック・エンディコット(ラリー・ゲイツ)に接触しようとする。

それを知ったギレスピーは、コルバートが来る前は町を牛耳り、”帝王”とまで言われていたエンディコットを、ティッブスが相手にするということで、それに同行することにする。

エンディコットはティッブスを歓迎するが、コルバートの車にあったシダの根がその場にあったことから事態は一変する。

ティッブスの、尋問するような態度に腹を立てたエンディコットは彼を殴る。

すぐさま殴り返したティッブスはその場を立ち去り、実力者に歯向かった彼をギレスピーは責める。

しかし、ティッブスが、エンディコットを屈服させるとまで言い興奮する姿を見たギレスピーは、それまでとは違う彼の態度に、人間らしさを感じてしまう。

エンディコット邸のトラブルを知った町長は、ギレスピーに、ティッブスを捜査から外すよう指示する。

ティッブスは、ギレスピーの忠告も聞き入れずにさらに捜査を続けようとしたため、命の危険にもさらされてしまう。

それを救ったギレスピーは、町長やティッブスに嫌がらせをしようとする者達から、黒人びいきとまで言われてしまう。

その後ティッブスは、サムを同行させて被害者発見時のパトロールの状況を調べようとする。

ギレスピーは、ティッブスが町を出ようとしないことに怒りを露にするが、ラルフ・ヘンショー(アンソニー・ジェイムス)が経営するダイナーを出た後の、サムの不審な行動に気づく。

サムの銀行預金を調べたギレスビーは、被害者が奪われた額と、ほぼ同額の現金を預けた彼を逮捕してしまう。

被害者が、エンディコットの温室にいたという証拠を掴んでいたティッブスは、それが見当違いだと言ってギレスビーに指摘する。

サムは、貯めた小銭をまとめて預金しただけだと弁明するが、ギレスビーはそれを信じない。

ティッブスは、少女デロレス・パーディ(クエンティン・ディーン)が裸でいるのを見ていたサムが、それを知られたくなかったために道順を変えただけで、犯行とは関係ないことを調べ上げていた。

そこに、兄ロイド(ジェームズ・パターソン)に連れられ、サムに手を出されたというデロレスまで現れ、彼の立場は益々悪くなる。

ティッブスは、彼に感謝するハーヴェイから、妊娠した女性が行く場所の情報を手に入れようとする。

その後ティッブスは、エンディコット邸から独りで戻った被害者が、工場の建設予定地に向かい、殺害された証拠を見つけ、それをギレスビーに伝える。

サムの無実は明らかだと言い張るティッブスは、被害者が殺害後、自分の車で運ばれていることも指摘する。

その夜、ギレスビーの自宅に招待されたティッブスは、彼が孤独で寂しい人生を送っていることを知る。

そこに、ハーヴェイに頼まれたパッキー・ハリソン(マット・クラーク)という男が現れ、ティッブスは、デロレスの堕胎手術の相談に乗った、ママ・カリーバ(ビア・リチャーズ)の元に案内される。

デロレスの堕胎手術のために、被害者を殺し大金を持って現れた男の正体を、ティッブスはママ・カリーバから聞きだそうとする。

そこに現れたデロレスを追ったティッブスは、外で待ち構えていたヘンショーに、コルバート殺しを追及する。

恥をかかされ、ティッブスを追っていたデロレスの兄パーディが現れ、全てを知った彼は怒りを露にするが、ヘンショーに射殺されてしまう。

ティッブスはヘンショーを取り押さえ、署に連行された彼は犯行を自供する。

そして事件は解決し、ギレスビーはティッブスを駅に送り、簡単な言葉を交わし別れようとする。

ギレスビーは、列車に乗ろうとするティッブスを呼び止め、旅の無事を祈り、笑顔で彼を見送る。

ティッブスはそれに応え、二人には、ほのかな友情が芽生えていた。


解説 評価 感想 ■

1965年に発表され、たジョン・ボール同名小説の映画化。

*(簡略ストー リー)
南部の田舎町で実業家が殺害される事件が起きる。
その町の駅に、たまたま居合わせた警官ヴァージル・ティッブスは、黒人で大金を持っていたという理由だけで逮捕されてしまう。
その後、警察署長のビル・ギレスピーは、連行されたティッブスが、優秀な警官だということを知る。
殺人事件の経験もないギレスピーは、一応ティッブスの経歴などを認めた上で捜査協力を要請する。
仕方なくそれに応じたティッブスは、検死結果や新たな容疑者の逮捕を、ことごとく見当違いだと指摘する。
更にギレスピーは、被害者の夫人レズリーから、警察の無能さも指摘されて、明らかに優秀なティッブスを、捜査担当にするよう強要されてしまう・・・。
__________

本作の成功を受けて、主人公のみが登場する続編、「続・夜の大捜査線」(1970)と、「夜の大捜査線 霧のストレンジャー」(1971)が製作された。

公民権運動で国中が揺れ動く中、人種差別がはびこる南部の町という舞台設定で、当時の世情と雰囲気を鋭く描いた、監督ノーマン・ジュイソンの切れのいい演出は見応え十分。

警察を仕切る暴君のような署長が、実は家族もなく孤独な人物と分かる終盤から、人間味溢れる彼が、友情を得た満足感で見せる笑顔は忘れ難く、その心を打つ人間描写も見事だ。

クインシー・ジョーンズの音楽とレイ・チャールズの主題歌も、ドラマを大いに盛り上げる。

2002年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第40回アカデミー賞では、作品、主演男優(ロッド・スタイガー)、脚色、編集、録音賞を受賞した。
・ノミネート
監督・音響編集賞

シドニー・ポワティエがノミネートすらされなかったことは疑問だ。

うだるような、南部の暑い夏が舞台の本作の撮影は、実は1966年9月からイリノイ州などで始まった。
よくあることだが、半袖の俳優の吐く白い息などに気づいた方はいるだろうか?

二人の主役、粗野だが人情味もある警察署長ロッド・スタイガーと、非の打ち所のないエリート刑事シドニー・ポワティエの演技のぶつかり合いや、ラストの男同士の友情は爽やかな感動を与えてくれる。

プライドだけでエリート刑事に対抗し、徐々に偏見をなくしていくロッド・スタイガーは、見事にアカデミー主演賞を受賞した。

共演陣も豪華であり、無能な警官のウォーレン・オーツ、ティッブス(S・ポワティエ)に信頼を置く被害者夫人リー・グラント、犯人アンソニー・ジェイムス、 町の大物で差別主義者のラリー・ゲイツ、殺人容疑者スコット・ウィルソン、町長ウィリアム・スカーレット、同じ年に「招かれざる客」(1967)でもシドニー・ポワティエの母親役を演じ、その演技でアカデミー助演賞の候補になるビア・リチャーズ、犯人の逮捕のきっかけとなる少女クエンティン・ディーン、その兄ジェームズ・パターソンなども共演している。


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