ジョニー・ベリンダ Johnny Belinda (1948) 4.93/5 (28)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

エルマー・ブラニー・ハリスによる、同名の舞台劇の映画化。
よそ者への反発、障害者に対する偏見などを真正面から描きつつ、人間の持つ優しさや、素朴な愛の素晴らしさなどを伝える、監督ジーン・ネグレスコジェーン・ワイマンリュー・エアーズチャールズ・ビックフォードアグネス・ムーアヘッド共演による映画史上に残る珠玉の名作。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:ジーン・ネグレスコ
製作:ジェリー・ウォルド
原作:エルマー・ブラニー・ハリス
脚本
イルマ・フォン・クーベ
アレン・ヴィンセント
撮影:テッド・D・マッコード
編集:デヴィッド・ウィスバート
音楽:マックス・スタイナー

出演
ジェーン・ワイマン:ベリンダ・マクドナルド
リュー・エアーズ:ロバート・リチャードソン医師
チャールズ・ビックフォード:ブラック・マクドナルド
アグネス・ムーアヘッド:アギー・マクドナルド
スティーブン・マクナリー:ラッキー・マコーミック
ジャン・スターリング:ステラ・マグワイア・マコーミック
イアン・ウルフ:牧師

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1948年製作 101分
公開
北米:1948年9月14日
日本:1949年8月9日


アカデミー賞 ■

第21回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ジェーン・ワイマン)
・ノミネート
作品・監督
主演男優(リュー・エアーズ)
助演男優(チャールズ・ビックフォード)
助演女優(アグネス・ムーアヘッド)
脚本・編集・撮影(白黒)・美術(白黒)
作曲(ドラマ/コメディ)・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

カナダノヴァスコシアの北東、ケープブレトン島
漁業と農業で一年を過ごすこの村で、都会生活に飽きたロバート・リチャードソン(リュー・エアーズ)は、開業医として質素ではあるが満ち足りた生活を送っていた。

リチャードソンに好意を持ち、善意で世話をするステラ・マグワイア(ジャン・スターリング)を秘書に、彼は小さな診療所を開業していた。

ステラは叔父の財産を相続していたため、それを漁師のラッキー・マコーミック(スティーブン・マクナリー)が狙っていた。

ある日、ロバートは製粉業のブラック・マクドナルド(チャールズ・ビックフォード)の牛のお産を手伝いに行き、聴覚障害で、言葉が不自由な娘ベリンダ(ジェーン・ワイマン)に出会う。

リチャードソンは、治療代の代わりに、池で釣りをすることをブラックに承知してもらう。

早速、日曜日に池に行ったリチャードソンは、ベリンダが黙々と働く姿に目を留める。

べリンダに興味を持ったリチャードソンは、覚えた手話で彼女と会話をしようと試みる。

周囲の物を、ベリンダに手話で教えたリチャードソンは、彼女が非常に賢い女性だということに気づく。

しかし、べリンダは、父ブラックと叔母アギー(アグネス・ムーアヘッド)に、使用人のような扱いを受けて働き続けていた。

娘の教育など諦めていたブラックだったが、ベリンダの潜在的な賢さには気づいていたため、リチャードソンが、手話や読唇術を教えることを止めようとはしなかった。

やがてブラックは、娘の手話と読唇術の上達ぶりを喜び、手話で、初めて父と呼ばれて感激する。

そこに、ピクニックのついでに小麦を受け取りに来た、マコーミックやステラ達が現れダンスを始める。
ベリンダは、聞こえないはずの音楽を肌で感じ取り、リズムに合わせて踊りだしたりもする。

そんなべリンダにマコーミックが目をつけ、ステラは彼が何かしでかさないかと不安に思う。

アギーの妹の病気で、彼女とブラックが家を留守にすることになり、ベリンダが独りで留守番をする。

ブラックらが出かけるのを目撃したマコーミックは、べリンダの元に向かい、酔った勢いでに彼女に暴行してしまう。

その後、誰にもそのことを知らせようとしないベリンダは心を閉ざしてしまい、ブラックの相談を受けたリチャードソンは、彼女に優しく語り掛ける。

親身になって接してくれる、リチャードソンの気持ちを察したべリンダは、ようやく笑顔を見せる。

リチャードソンは、ベリンダを知人の耳鼻科の専門医に診せることをブラックに提案し、早速、病院に向かうことにする。

そして、検診が終わったベリンダが、妊娠していることを知ったリチャードソンは驚くが、冷静に対処しようとする。

村に戻ったリチャードソンは、ブラックとアギーに耳の診察についての報告をする。

リチャードソンは、アギーだけにベリンダの妊娠を知らせ、相手を殺しかねないブラックには、それを秘密にしておくことにする。

アギーは動揺し、ベリンダに辛く当たってきたことを後悔し、何とか彼女の力になろうとする。

次の日曜日、リチャードソンは、ブラック、アギー、ベリンダと共に初めて教会に姿を現す。

そこでリチャードソンは、ベリンダがマコーミックを見て動揺していることに気づく。

そして、その場で牧師(イアン・ウルフ)から、マコーミックとステラが結婚することが発表される。

その後、何も知らないブラックが、ベリンダを働かせようとしたため、アギーは真実を語ってしまう。

逆上したブラックだったが、現れたリチャードソンが彼をなだめ、ベリンダはそれを気にする。

しかし、リチャードソンから、ベリンダは母親になることを知らされ幸せを実感して、性別も分からないうちに、彼女は子供の名前をジョニーにすることに決める。

やがて、ベリンダは男の子を出産するが、リチャードソンが父親だと噂されて、彼とマクドナルド家は、村の人々から疎外されてしまう。

リチャードソンは解決策として、ベリンダと結婚することをブラックに提案する。

ブラックは、リチャードソンの気持ちは受け入れるが、同情心では解決できないことを彼に伝える。

嵐の近づいた日、現れたマコーミックが子供の父親だと知ったブラックは、彼と格闘になり崖から落とされて命を落とす。

ベリンダが、何かを感じ取ったことを知ったリチャードソンは、彼女とブラックの遺体を見つける。

ブラックの遺体は家に運ばれ、ベリンダは父に安らかな眠りを与えるために祈りを捧げる。

その後、患者がいなくなったリチャードソンは、村を離れる決心をして、身の回りの整理を始める。

それをベリンダに伝えたリチャードソンは、トロントの病院に採用されたため、別れなくてはならないことを彼女に告げる。

そのことを悲しむベリンダが、自分を愛していることを知ったリチャードソンは、彼女を抱き寄せる。

時は流れ、村を離れたリチャードソンは、生活が落ち着いた後に、ベリンダと子供を呼び寄せることを手紙で報せる。

村人達の決定により、結婚したマコーミックとステラが、ベリンダの子供を引き取ることになる。

二人はベリンダの子供を引き取りに行くが、躊躇したステラは父親がマコーミックだと本人から知らされる。

マコーミックは強引に子供を連れ去ろうとするが、ベリンダは抵抗して彼を撃ち殺してしまう。

現場を見たステラは、リチャードソンのベリンダへの、恋文に近い手紙を読んでしまう。

そして、逮捕されたベリンダの裁判が始まり、ステラは、リチャードソンに好意と嫉妬心を抱きつつ、法廷の証言台に立つ。

子供を返して欲しいとだけ伝える、ベリンダの通訳になったリチャードソンは、殺したマコーミックを恐れる理由を彼女に問い質す。

リチャードソンの手紙も法廷で読まれるが、ステラは良心の呵責から、子供の父親がマコーミックだと告白して泣き崩れる。

そして、ベリンダの正当防衛は認められ、彼女は無罪となる。

リチャードソンに感謝した、ベリンダの元に子供は戻り、判決を見守っていたアギーと共に、4人は家路を急ぐ。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

田舎暮らしに安らぎを求めていた開業医ロバート・リチャードソンは、製粉業を営む貧しいブラック・マクドナルドの娘で、聴覚障害者のベリンダと出会う。
彼女に興味を持ったリチャードソンは、娘の賢さに気づいていたブラックの許可を得て、手話や読唇術を教える。
その後ベリンダは、リチャードソンの献身的な指導で、手話で会話を始めるようになる。
しかし、彼女が言葉を話せないのを逆手に取り、漁師マコーミックは、彼女を暴行してしまう。
ベリンダは妊娠し、やがて男の子を出産するが、心無い村人達の言葉や視線は、リチャードソンやマクドナルド家の人々を傷つけてしまう・・・。
__________

第21回アカデミー賞では、作品賞以下12部門にノミネートされ、ジェーン・ワイマンが主演女優賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(リュー・エアーズ)
助演男優(チャールズ・ビックフォード)
助演女優(アグネス・ムーアヘッド)
脚本・編集・撮影(白黒)・美術(白黒)
作曲(ドラマ/コメディ)・録音賞

純真な心の持ち主である、言葉を話せない女性と、彼女を支える医師との親交が、憎しみや妬みを持つ人間の心をも動かしてしまうラストは、ジーン・ネグレスコの丁寧な演出により涙なしでは見られない。

全編で流れる、マックス・スタイナーの清らかで美しい主題曲も、心に残る名曲だ。

アカデミー賞(主演賞)を受賞したジェーン・ワイマンの、言葉を一言も発しない、表情豊かな演技は秀逸だ。

特に、医師リュー・エアーズから母親になることを知らされた際の、彼女の喜びの表情は忘れられない。

ご存知の通り、元大統領ロナルド・レーガン夫人だった彼女は、この年に彼とは離婚している。
アカデミー賞は逃すものの、ベリンダとその貧しい家族を温かく見守るリュー・エアーズの優しさは、アメリカの良心を感じさせてくれる。

「西部戦線異状なし」(1930)で注目を浴びた彼だったが、戦時中に兵役を拒否したことで、映画会社やファンから非難され、その苦しい時期を乗り越えてのカムバックは見事だった。

共にアカデミー助演賞にノミネートされた、主人公ベリンダの父親チャールズ・ビックフォードと叔母役のアグネス・ムーアヘッドの好演が、本作の価値を高めたことは間違いない。

ベリンダを使用人扱いしていた二人が、彼女と心を通わせた時に、本作のテーマとも言っていい、”人の優しさ”が最も伝わるシーンとなる。

特に、ベリンダが手話で”お父さん”と語るシーンは印象的だ。

ベリンダに暴行を加える漁師スティーブン・マクナリー、その妻となる、医師に心を寄せる秘書ジャン・スターリング、牧師イアン・ウルフなどが共演している。


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