ジュノーと孔雀 Juno and the Paycock (1930) 3.07/5 (14)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

1924年に上演されたショーン・オケイシーの舞台劇”Juno and the Paycock”を基に製作された作品。
アイルランド独立戦争”後の内戦の混乱期を舞台に、ある家族の悲劇を描く、監督、脚本アルフレッド・ヒッチコック、主演エドワード・チャップマンシドニー・モーガンサラ・オールグッドメイア・オニールバリー・フィッツジェラルド他共演のドラマ。


ドラマ

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:ジョン・マックスウェル
原作:ショーン・オケイシーJuno and the Paycock”(戯曲)
脚本
アルフレッド・ヒッチコック

アルマ・レヴィル
撮影:ジャック・E・コックス
編集:エミール・デ・ルール

出演
ジョン・ボイル/船長:エドワード・チャップマン

”ジョクサー”デイリー:シドニー・モーガン
ジュノー・ボイル:サラ・オールグッド
メイジー・マディガン:メイア・オニール
ジョニー・ボイル:ジョン・ローリー
メアリー・ボイル:キャサリン・オレガン
チャールズ・ベンサム:ジョン・ロングデン
ジェリー・ディヴァィン:デイヴ・モリス
雄弁家:バリー・フィッツジェラルド

イギリス 映画
配給
Wardour Films(イギリス)
Harold Auten(北米)
1930年製作 95分
公開
イギリス:1930年9月22日
北米:1930年6月29日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

アイルランドダブリン
アイルランド内戦”の最中、街角で人々を前に語る雄弁家(バリー・フィッツジェラルド)が、過激派に射殺される。

その場にいたジョン・ボイル/船長(エドワード・チャップマン)と”ジョクサー”デイリー(シドニー・モーガン)はパブに逃げ込む。

二人は、パブのオーナー、メイジー・マディガン(メイア・オニール)から、過激派に密告する者がいるらしいという話を聞く。

ジョクサーはボイルに酒をおごろうとするものの無一文だったため、メイジーが払うと言ってくれたのを幸いに、二人は一杯飲み干してその場を去る。

ボイルは、妻ジュノー(サラ・オールグッド)がいないはずだと言ってジョクサーを家に誘う。

仕事もせずに酒ばかり飲んでいるボイルに呆れているジュノーは、自分がいることも知らずにお茶を飲もうとしている二人を観察する。

ジョクサーがジュノーに気づき去ろうとしたため、ボイルは彼を引き留め、職探しをしているような話をする。

馬鹿げた話を聞いていられないジュノーはジョクサーを追い出し、ボイルに小言を言い始める。

ボイルは3週間も強い酒を口にしてないことを伝え、朝食もいらないと見栄を張る。

そこに、ボイルの娘メアリー(キャサリン・オレガン)に惹かれるジェリー・ディヴァィン(デイヴ・モリス)が現れ、ボイルは少し前までパブにいたことがバレてしまう。

ジェリーに炭鉱の仕事を紹介されたボイルは、急に足が痛いと言い出すが、支度をして仕事に向かうようジュノーに指示される。

メアリーが他の男性と付き合っているのかをジェリーはジュノーに尋ねるが、娘がもう大人だからと言われるだけだった。

ジュノーは出かけてしまい、ボイルにお節介だと言われたジェリーはその場を去る。

独立戦争で腕を失い塞ぎ込む息子ジョニー(ジョン・ローリー)とのまともな会話もないボイルは、意地を張ってはいたものの、朝食のソーセージを食べようとする。

そこにジョクサーが現れ、下に誰かが来ているとボイルに伝え、それをジョニーが気にする。

ボイルはトレンチコートを着た男を確認するが、気にせずにジョクサーと朝食を食べようとする。

ジョクサーは、なぜ作業ズボンをはいているのかをボイルに問い、彼がジョニーに炭鉱の仕事を紹介されたことを知る。

それは吉報だと言うジョクサーに、足が痛い自分の身にもなれと勝手なことを話すボイルは、かつて航海をしていたことも語る。

そこにジュノーが戻ったためジョクサーは窓から飛び出し、ボイルは慌ててテーブルを片付ける。

ジュノーは、メアリーの客が良い話を持ってくることをボイルに伝え、身なりを整えるよう指示する。

そこに現れたメアリーから、ジュノーは弁護士のチャールズ・ベンサム(ジョン・ロングデン)を紹介される。

物音だけ立てて支度もまともにできないボイルに苛立つジュノーは、息子のジョニーをチャールズに紹介する。

チャールズは、ようやく現れたボイルに挨拶して話を始める。

亡くなったボイルの親戚に遺書を託されたチャールズは、1500~2000ポンドの遺産がボイルに遺されたことを伝える。

ボイルは突然、真面目になり、遺産を遺してくれた故人の死を悼み祈りを捧げる。

この件を誰にも話すなと言うボイルは、今後ジョクサーとは付き合わないと言い切る。

そこに、雨に濡れながら窓の外にいたジョクサーが部屋に戻り、ジュノーに出て行くようにと指示され、ボイルに嫌みを言ってその場を去る。

その後ジュノーは、遺産を当てにして様々な物を買い揃えて贅沢を始めてしまう。

ボイルらはチャールズを迎えて彼の話を聞き、それが幽霊と殺人についてなどに発展する。

ジョニーが動揺し始め、部屋で幻覚を見たと言って怯える。

ジュノーがジョニーをなだめ、メアリーが部屋の様子を見に行こうとした時、メイジーとジョクサーが現れる。

メイジーは、メアリーが生れた時のことなどをチャールズに話し、ボイルはジョクサーを紹介する。

ボイルに酒を注がれたメイジーは、彼が故郷に引っ越す話などを聞き、ジュノーとメアリーが唄を歌う。

メイジーも促されて歌い始め、ボイルはジョクサーに酒を注ぎ彼にも歌わせる。

ボイルは酷い歌だと言って蓄音機を出すが、ジュノーは、息子を亡くした隣人タンカード夫人を気遣いそれを制止する。

タンカード夫人の悲痛な言葉を聞いたジュノーは、ジョニーと仲が良かった夫人の息子が密告され、銃で殺されたことをチャールズに話す。

ボイルは話題を変えて蓄音機を鳴らすが、タンカード夫人らの葬儀の歌が聞こえ始めたのでジョニーが動揺する。

ジョニーは、現れたトレンチコートの男から、タンカード隊長を売った者について聞きたいため、集会に参加するようにと言われる。

その後、チャールズのオフィスを訪ねたボイルは、気落ちしてその場を去る。

遺書は本物ではなく、ボイルに金が入らないことを知ったジョクサーは、姿が見えなくなったチャールズのことも疑う。

ジョクサーは、ボイルに貸しがある仕立て屋のケリーと共に彼の家に向かう。

ケリーはコートもツケで作りたいというボイルに腹を立てて、作ったスーツを取り上げてその場を去る。

テーブルにあったビールを盗んだジョクサーは、何も知らぬ振りをして、遺産が入らなくなったという噂が流れていることをボイルに話す。

それを否定するボイルは、ケリーがビールまで奪ったと言って疑う。

そこにメイジーが現れて、ボイルに3ポンドの借金返済を迫る。

ボイルが無一文だと知ったメイジーは、蓄音機を持ち出そうとしながら、”孔雀”のように気取っているからこうなると皮肉を言ってその場を去る。

ボイルに追い出されたジョクサーは、怠け者の大嘘つきと嫌みを言いながら部屋を出る。

帰宅したジュノーは、メアリーが妊娠したことをボイルに伝え、チャールズがイングランドに逃げたことを知らせる。

メアリーを叱ると言うボイルに、それならば出て行くと伝えるジュノーだったが、それを止めようともしない夫から遺産が嘘だったと知らされて驚く。

ショックを受けたジュノーは、チャールズがメアリーを捨てた理由に気づき嘆く。

ジョニーは、遺産を当てにして借金をした父を責めるが、ジュノーになだめられる。

飲みに行くと言うボイルは、その間にメアリーを追い出すようにとジュノーに指示し、言い寄るジョニーを相手にせず家を出る。

ジョクサーを誘ってその場を去ろうとしたボイルは、建物の外にいたメアリーを無視する。

失意のメアリーはジェリーに声をかけられ、愛を伝える彼に妊娠していることを知らせる。

驚いたジョニーはその場を去り、メアリーは家具などが家から運びだされることに気づき、ジュノーから遺産が入らなくなったという話を聞く。

ジュノーとメアリーがその場を去った後、銃を持った二人の男が現れ、ジョニーはタンカードを売ったと言われて連行され、その後、銃声が鳴り響く。

何もなくなった部屋に戻ったジュノーは、なぜジョニーが連れて行かれたのかを考え、災難ばかり起きる人生を嘆く。

ジュノーは、現れたメイジーから青年の遺体が見つかったことで警察が来ていることを知らされる。

ジョニーの死を知ったジュノーは悲しみ、メアリーも神を憎む。

ジュノーは、神に何もかも頼るべきではないとメアリーに伝え、愚かな人間のしたことだと言って娘を抱き寄せる。

遺体確認のため警察に向かうジュノーは、もうこの場には戻らないと言って、メアリーを姉の家に向かわせる。

ジュノーはジョニーのことを想い、マリア像に語り掛け、憎しみを消し去りたいと語り、永遠の愛を求めながら部屋を出る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

仕事嫌いで酒浸りのボイルと暮らす妻ジュノーは、夫の言動に呆れる日々を送っていた。
そんなある日、娘メアリーと付き合う弁護士のチャールズの訪問を受けたボイルは、亡くなった親戚の遺産である大金が受け取れることを知らされる。
生活に困窮していたボイル一家は、遺産を当てにして贅沢を始めるのだが・・・。
__________

ショーン・オケイシーの舞台劇”Juno and the Paycock”を絶賛したアルフレッド・ヒッチコックが、妻アルマ・レヴィルと共に脚色した意欲作。

ヒッチコック自身は、映画として追加する場面がないという考えで、舞台を忠実に再現したと言われている。

”船長”と呼ばれるボイルを舞台で演じた、映画デビューしたばかりである、その後、数々の名画に出演するバリー・フィッツジェラルドが、冒頭で殺されてしまう雄弁家を演じている。

仕事もしないロクデナシ亭主である”船長”の言動がユーモラスなため、タイトルを含めてコメディ映画のように感じるが、終盤にかけては、その家族を襲う悲劇を描くドラマである。

ローマ神話の結婚生活を守護する女神の名でもある、貧民街で暮らす女性”ジュノー”と、見栄ばかり張ることで”孔雀”と渾名される夫を皮肉るタイトルも面白い。

序盤で、”内戦”における過激派の行動や裏切り行為などが語られ、それに絡む主人公の息子の怯える姿、未婚の母となる娘が、父親や神にも見捨てられと思い込む悲劇などが描かれ、ヒッチコックがその後の作品で見せる”間接的恐怖”のベースが窺えるところなどが興味深い。

実はまだ20代である、自堕落な夫を演ずるエドワード・チャップマン、その妻で舞台のオリジナル・キャストでもあるサラ・オールグッド、船長(エドワード・チャップマン)の友人で飲み仲間のシドニー・モーガン、パブのオーナーのメイア・オニール、主人公の息子ジョン・ローリー、娘キャサリン・オレガン、その恋人ジョン・ロングデン、娘に惹かれる青年デイヴ・モリス、そして雄弁家でバリー・フィッツジェラルドが冒頭だけ登場している。


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