クレイマー、クレイマー Kramer vs. Kramer (1979) 4.18/5 (17)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

1977年に発表されたアヴェリー・コーマンの同名小説の映画化。
家族を犠牲にして働いてきた夫と自立を求める妻、子供の親権争いを絡めた夫婦の苦悩を描く、監督、脚本ロバート・ベントンダスティン・ホフマンメリル・ストリープジャスティン・ヘンリージェーン・アレクサンダー他共演のドラマ。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:ロバート・ベントン
製作:スタンリー・R・ジャッフェ
原作:アヴェリー・コーマン
脚本:ロバート・ベントン
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:ジェラルド・B・グリーンバーグ
音楽
ポール・ジェミグナニ

ジョン・カンダー
ヘンリー・パーセル
アントニオ・ヴィヴァルディ

出演
テッド・クレイマー:ダスティン・ホフマン

ジョアンナ・クレイマー:メリル・ストリープ
ビリー・クレイマー:ジャスティン・ヘンリー
マーガレット・フェルプス:ジェーン・アレクサンダー
ジョン・ショーネシー:ハワード・ダフ
ジム・オコンナー:ジョージ・コー
フィリス・バーナード:ジョベス・ウィリアムズ

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ

1979年製作 105分
公開
北米:1979年12月19日
日本:1980年4月
北米興行収入 $106,260,000


アカデミー賞 ■

第52回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演男優(ダスティン・ホフマン)
助演女優(メリル・ストリープ)
脚色賞
・ノミネート
助演男優(ジャスティン・ヘンリー)
助演女優(ジェーン・アレクサンダー)
撮影・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

ニューヨーク
仕事一筋のビジネスマン、テッド・クレイマー(ダスティン・ホフマン)は、妻ジョアンナ(メリル・ストリープ)が突然、家を出て行こうとしたために困惑する。

テッドは、家族のために必死に働いたにも拘らず、不満を訴えて出て行ったジョアンナの気持ちが理解できない。

その後テッドは、連絡を受けて駆けつけた、ジョアンナの親友マーガレット・フェルプス(ジェーン・アレクサンダー)に、怒りをぶつけてしまう。

ジョアンナの味方をするマーガレットだったが、7歳の一人息子ビリー(ジャスティン・ヘンリー)を、ジョアンナが置いて出て行ったことを知り驚きを隠せない。

翌朝、ジョアンナが、ただの喧嘩で出て行ったと、ビリーに説明したテッドは、悪戦苦闘しながら朝食の支度を済ませ、息子を学校に送り届けて会社に急ぐ。

出勤したテッドは、家に電話をかけても誰も出ないことで、ジョアンナが本気だということを知り、事の重大さを痛感する。

上司のジム・オコンナー(ジョージ・コー)に、重要なポストを約束され、期待に応えようとするテッドは、ビリーの世話をするために、家に仕事を持ち込むことになる。

ある日、ジョアンナからビリー宛の手紙が届くが、息子にも、別居の正当性を頑なに主張する彼女の手紙を読み、テッドはついに、家中の彼女に関する物を排除する。

学校の迎えは遅れ、食事は冷凍食、ジョアンナへの想いが募るばかりのビリーは、テッドに反感を抱き始め、二人の会話も少なくなる。

その後、離婚を経験して、一人で子育てをするマーガレットは、テッドの良き相談相手になってくれる。

しかし、テッドは今まで順調だった仕事も失態続きになり、ビリーは、ジョアンナを求めて反抗ばかりするようになる。

ジョアンナが出て行ったことが、自分の責任かと問い質すビリーに、テッドは、彼女を型にハメようとしたことを素直に認め、自分のせいだと言って謝罪し、父子の心は通い合う。

そんなテッドは、同僚のフィリス・バーナード(ジョベス・ウィリアムズ)と一夜を共にしてしまう。

テッドは、それをビリーに知られたりするが、彼は父親らしい生活にも少しずつ慣れてくる。

一方、ジョアンナは、二人に殆ど連絡もとらなかったが、知られないように様子を窺っていた。

ある日、公園で遊んでいたビリーが、ジャングルジムから落ちて怪我をしてしまう。

テッドはビリーを抱いて病院に駆け込み、一緒に公園にいたマーガレットは、罪の意識を感じる。

そんなマーガレットに、テッドは自分に何かがあったらビリーを頼むと、彼女を心から信頼して言葉をかける。

ある日、テッドはジョアンナから連絡を受けて呼び出され、突然ビリーを引き取りたいと言われる。

それを聞いて、身勝手だと言わんばかりのテッドは激怒し、その場を立ち去る。

その後、テッドは弁護士ジョン・ショーネシー(ハワード・ダフ)に相談して、ジョアンナと断固戦う決心をする。

しかし、テッドは会社を解雇されてしまい、法廷での勝ち目もなくなってしまう。

テッドは、クリスマス休暇直前に、強引に職探しを始め、何とか仕事を見つける。

その後、ジョアンナはビリーに会うことになり、束の間の母子の対面を果たす。

そして裁判は始まり、テッドはその場で初めて、ジョアンナが結婚生活にどのような考えを抱いていたかを知る。

その後、辣腕弁護士ショーネシーの厳しい質問の前に、言葉を失うジョアンナを見て、テッドは彼女を気の毒にも思ってしまう。

ビリーの幸せを願い始めた裁判が、互いを傷つける結果になったことを、テッドとジョアンナは後悔しながら裁判は終わる。

結局、ビリーの親権はジョアンナのものになり、上告するのに、ビリーを証言台に上げるというショーネシーの提案を、テッドは拒んでしまう。

今後は、母親ジョアンナと暮らせるということを、テッドはビリーに伝えるが、彼は愛情溢れ家事も無難にこなすようになった父との別れを悲しむ。

そして、ビリーとの別れの日、ジョアンナは息子のために、自分を変える努力をしたテッドの元に、息子を残す決心をしたことを伝える。

そして、ジョアンナの気持ちを察して固く抱きしめたテッドは、ビリーと話したいと言う彼女を、独りで部屋に向かわせる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

妻子のために働きづめだったテッド・クレイマーは、結果的に、家庭を顧みなかったことを妻のジョアンナに責められ、彼女は家を出てしまう。
昇進も近かったテッドは、忙しい最中、7歳の息子ビリーの世話もしなくてはならなくなり、悪戦苦闘する。
母親を恋しがるビリーは反抗的になり、家庭のごたごたを仕事に持ち込んだテッドは、会社をクビになってしまう。
そんな時、ジョアンナは息子ビリーの親権を求め、それを拒否したテッドと裁判で争うことになるのだが・・・。
__________

主婦である妻は自立を選び、子供のために、仕事一筋だった夫が”父”へと変わっていく姿を、一人息子の親権争いを絡めながら、繊細なタッチで描いたロバート・ベントンの演出と作品のテーマは、地味な作品ではあるが、当時、カルチャー・ショックを与えるほどでもあり、その後の作品にも影響を与えた。

法廷で争い結局は和解する夫婦だが、二人が再び一緒に暮らそうという雰囲気には終わらないところが、第2のフェミニズムの波が押し寄せていた、1970年代末の世情を反映している。

アントニオ・ヴィヴァルディの”マンドリン協奏曲ハ長調 RV.425”が、戸惑う人々の心理を表現するかのように効果的に使われている。

第52回アカデミー賞では、8部門でノミネートされ、作品、監督、主演男優(ダスティン・ホフマン)、助演女優(メリル・ストリープ)、脚色の主要5部門を受賞した。

・ノミネート
助演男優(ジャスティン・ヘンリー)
助演女優(ジェーン・アレクサンダー)
撮影・編集賞

”クレイマー”を重ねただけの邦題が意味をなさないということが話題になり、間に”vs.”を付けずに、どのようにして本作を表現したいのか疑問だけが残った。

40代になり、既にハリウッドでも実力派の地位を確立していたダスティン・ホフマンが、ついにアカデミー賞を獲得した作品で、家庭を顧みないビジネスマンが、愛情溢れる父親、そして夫に変化していく姿を見事に演じている。

前年の「ディア・ハンター」(1978)でも、アカデミー助演賞にノミネートされ、本作で同賞を受賞したメリル・ストリープは、出演場面は少ないが、その全てで、ほぼ完璧と言えるほどの演技を見せてくれる。
ノーメイクに近い彼女の涙する表情は非常に印象的だ。

小学校に上がりたてで、大人の争いごとに巻き込まれてしまう、撮影当時7歳のジャスティン・ヘンリーの苦悩の表情は涙を誘う。
受賞は逃したものの、アカデミー助演賞に8歳でノミネートされ、その史上最年少記録は現在でも破られていない。

「ボクサー」(1970)や「大統領の陰謀」(1976)で既にアカデミー賞候補になっていたジェーン・アレクサンダーは、本作でも再びノミネートされ、主人公の力になろうとする、離婚経験者を好演している。

弁護士ハワード・ダフ、主人公の上司ジョージ・コー、主人公と一夜を共にする同僚ジョベス・ウィリアムズなども出演している。


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