アラビアのロレンス Lawrence of Arabia (1962) 5/5 (31)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

アラブを愛した、実在のイギリス軍陸軍将校トマス・エドワード・ロレンスの、カイロ赴任からアラビアでの活躍を描いた、監督デヴィッド・リーンピーター・オトゥールアレック・ギネスアンソニー・クインオマー・シャリフ他共演の、歴史ドラマの超大作にして映画史上に残る不朽の名作。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:デヴィッド・リーン
製作:サム・スピーゲル
脚色:ロバート・ボルト
美術
ジョン・ボックス
ジョン・ストール
ダリオ・シモーニ
撮影:フレデリック・A・ヤング
編集:アン・V・コーツ
音楽:モーリス・ジャール

出演
トマス・エドワード・ロレンスピーター・オトゥール
ファイサル王子:アレック・ギネス
アウダ・アブ・タイアンソニー・クイン
アリ:オマー・シャリフ
エドモンド・アレンビー将軍:ジャック・ホーキンス
ジャクソン・ベントリー:アーサー・ケネディ
ハリー・ブライトン大佐:アンソニー・クェイル
ベイ:ホセ・フェラー
ドライデン:クロード・レインズ
ガシム:I・S・ジョハー

イギリス 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1962年製作 216分/228分(ディレクターズ・カット)
公開
イギリス:1962年12月10日
北米:1962年12月16日
日本:1963年12月21日
製作費 $15,000,000
北米興行収入 $44,824,144
世界 $70,000,000


アカデミー賞 ■

第35回アカデミー賞
・受賞
作品・監督・編集・録音・美術(カラー)
撮影(カラー)・作曲賞
・ノミネート
主演男優(ピーター・オトゥール)
助演男優(オマー・シャリフ)
脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1935月5月13日、イングランドドーセット
バイクに乗り街道を走る男性(ピーター・オトゥール)が、突然現れた自転車を避けようとして事故を起こし、6日後に死亡する。

セント・ポール大聖堂
その男性の名はトマス・エドワード・ロレンスで、葬儀が行われ、エドモンド・アレンビー将軍(ジャック・ホーキンス)ら多くの参列者が集まっていた。
__________

1916年。
イギリス軍エジプト駐屯部隊情報部のロレンス中尉は、周囲からは無骨者で通り、変人扱いされていた。

外交官のドライデン(クロード・レインズ)は、アラビア語に堪能で、アラブについて精通しているロレンスに目を付ける。

ロレンスは、オスマントルコからの独立を指揮する、シリアの王子ファイサルに会い、イギリス軍への協力を要請する
任務をドライデンから命ぜられる。

アラビア半島へ渡ったロレンスは、アラブ人の案内人と共に井戸で水を補給するが、そこに井戸の持ち主アリ(オマー・シャリフ)が現れる。

そして、他の部族に水を飲まれたアリは案内人を射殺してしまう。

アリに、ファイサルの元へ案内すると言われたロレンスは、それを断り単独で目的地に向かう。

途中、イギリス軍のハリー・ブライトン大佐(アンソニー・クェイル)と出くわしたロレンスは、その後トルコ軍の襲撃を受けているファイサルの元にたどり着く。

苦戦するファイサルに、ブライトン大佐は撤退して軍を訓練することを提言する。

しかし、アラブ人の心を知るロレンスは、イギリス軍の支配下になるだけだと、ファイサルに助言する。

そしてロレンスは、地中海に巨砲を向ける港湾都市アカバを内陸から攻める作戦を立てる。

キャンプに現れたアリは、ネフド砂漠を渡るのは不可能だとロレンスの無謀さを非難する。

しかし、50名を率いたロレンスはブライトン大佐に報告もせずアカバに向かう。

延々と続く砂漠で日の出る前の夜間行軍中、ガシム(I・S・ジョハー)という男が、ラクダから落ちて取り残されたことを知ったロレンスは、彼を救いに出かけてしまう。

制止するアリの言葉を無視し砂漠を戻るロレンスは、灼熱の砂漠でガシムを助け出し部隊に戻る。

ロレンスは歓喜で迎えられ、アリは彼を称えて敬意を表し首長の衣服を進呈する。

やがて、ロレンスとアリは、アウダ・アブ・タイ(アンソニー・クイン)率いる部族と遭遇する。

アカバに大金があると言ってアウダを説得し、ロレンスらは大部隊を率いてアカバに向かう。

アカバに迫った夜、アリの部下がアウダの兵を殺してしまうが、それはガシムの仕業だった。

軍の団結を維持するために、ロレンスは、命をかけて砂漠で助けたガシムを、已む無く射殺する。

1917年7月6日。
ロレンスの軍はアカバを襲撃し、トルコ軍を撃滅してアカバは陥落する。

ロレンスは、金貨がないことで怒りが収まらないアウダに、イギリスが金貨を支払うことを約束し、シナイ半島を渡り、カイロイギリス軍司令部に報告に戻る。

途中、召使の少年一人が流砂に巻き込まれて命を落とすが、 ロレンススエズ運河に到達し、やがてカイロにたどり着く。

ロレンスは、アラブ人の少年を連れて、司令部に隣接する将校クラブに向かう。

周囲から、奇異な服装などを指摘され、追い出されそうになったロレンスは、居合わせたブライトン大佐にアカバ攻略を報告する。

そしてロレンスは、司令官アレンビー将軍の元に向かう。

アレンビー将軍はロレンスの武勲を称え、彼を少佐に昇進させて、アラビアに戻ることを許可する。

アメリカ人記者ジャクソン・ベントリー(アーサー・ケネディ)は、ロレンスと行動を共にするために、ファイサルの許可を得る。

イギリス軍から兵器の援助を受けたアラブ軍は、トルコ軍への攻撃を拡大し、その先頭に立って、ロレンスは指揮を執る。

ベントリーはロレンスに密着取材をして、アラブ人と共に勇猛果敢に戦う彼に、とり憑かれた砂漠の魅力を聞く。

ロレンスは一言、”清潔さ”と答えるだけだった。

鉄道の爆破作戦は成功を続け、大量の馬を手に入れた同行していたアウダは、村に戻ってしまう。

更なる攻撃を仕掛けるロレンスは、不注意で爆弾の信管を懐で爆破させてしまった、シナイ半島を共に渡った少年を苦しみから救うために射殺してしまう。

ロレンスは、現地人の服装で、トルコ軍の支配するデラアの町を歩き回る。

そして、トルコ軍司令官ベイ(ホセ・フェラー)に捕らえられ、鞭打ちと辱めを受けてしまう。

釈放されアリに介抱されたロレンスは、戦う意欲をなくし、平凡な生活を望むようになる。

カイロに戻ったロレンスは、アレンビー将軍に転属願いを受理されなかった。

その後ロレンスは、アラビアに戻り兵を組織し、ダマスカス攻撃の準備を始める。

荒くれ者の賞金稼ぎを集めたロレンスは、狂気のごとく殺戮を繰り返す。

それを見たアリとベントリーは、異常とも思えるロレンスの行動を非難する。

そしてロレンスは、ダマスカスイギリス軍よりも早くトルコ軍から解放させる。

文明都市を占拠したアラブ人達は、電話は不通、電気も来ない混乱状況を打破する術を知らず、イギリス軍は高みの見物をしていた。

病院の被害修復と、負傷者手当てを人道的に始めたイギリス軍と、現状を視察に来たロレンスが鉢合わせとなる。

その惨状を見た軍医に、ロレンスアラブ人と間違われて殴り倒される。

やがてファイサルが到着し、役目が終わり必要のなくなったロレンスは、大佐に昇進するものの、帰国を命ぜられてしまう。

アラブに貢献した英雄ロレンスを、厄介払いしようとする指導者の会話に嫌気がさし、ブライトンは、失意の面持ちで帰国の途につく彼をいつまでも見つめる。

アラビアを愛したロレンスは、自分の乗る車を追い抜くオートバイを見つめながら、変わりゆく時代の流れを感じる。


解説 評価 感想 ■

オスマントルコからのアラブ独立(アラブ反乱)に関与した戦いの末に、指導者や指揮官に利用され、更に部族同士の愚劣な対立が、イギリス人青年将校ロレンスアラブに対する情熱を失わせ、挫折するまでを描いたヒューマン・ドラマでもある。

*(簡略ストー リー)

1916年。
イギリスの外交官のドライデンは、周囲から無骨者で通り、変人扱いされているものの、アラブについて精通していることから、イギリス軍エジプト駐屯部隊情報部のトマス・エドワード・ロレンス中尉に、シリアの王子ファイサルに会い、協力を要請する任務に就かせる。
早速、アラビア半島へ渡ったロレンスは、ファイサルの部下アリと出会うものの案内を断る。
ロレンスは途中、イギリス軍のブライトン大佐と出くわし、トルコ軍の襲撃を受けているファイサルの元にたどり着く。
ブライトン大佐は、苦戦するファイサルに撤退を勧めるが、アラブ人の心を知るロレンスは、地中海に向けて巨砲を構える港湾都市アカバを、内陸から攻める作戦を立てる。
到着したアリは、ネフド砂漠を渡るのは不可能だと言ってロレンスの無謀さを非難するが、50名を率いた彼はアカバに向かう・・・。
__________

何事が起こったのかと戸惑う、バイクの事故シーンで始まるオープニングから、果てしなく続く雄大な砂漠と地平線、美しい夕陽と海・・・
その映像美と、スケールの大きさに妥協を許さない、デヴィッド・リーンの最高傑作とも言える作品。

また、被虐と残虐性の両方を備えてしまう、変化するロレンスの人物像なども、繊細且つ大胆に描くデヴィッド・リーンの演出は秀逸だ。

第35回アカデミー賞では、10部門でノミネートされ、作品、監督賞他7部門で受賞した。
・受賞
作品・監督・編集・録音・美術(カラー)
撮影(カラー)・作曲賞
・ノミネート
主演男優(ピーター・オトゥール)
助演男優(オマー・シャリフ)
脚色賞

1991年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

日本の公開は欧米などより1年遅れ、初公開版に不満のあったデヴィッド・リーンが、再編集した完全版が1989年に公開されたが、日本では劇場公開はされていない。

本作こそは、劇場で見なければ価値のない作品と言える。

フレデリック・A・ヤングの芸術的な映像を生かしてドラマを盛り上げる、モーリス・ジャールの雄大な音楽も素晴らしい。

数本の映画出演の後、ロレンス役に大抜擢されたピーター・オトゥールは、実際には小柄なロレンスとは対照的な長身、異様なまでに青い目が印象的。
アラブのスペシャリスト、知的だがひ弱な外観とは違い、ロマンチストで勇猛果敢、さらには情熱的な人物を見事に演じている。

トルコ軍に苦戦を強いられる前半から、次第に指導者として政治力を発揮していくファイサル王子のアレック・ギネス、野蛮な部族長だが、部下や部族のために戦いを続けるアウダ・アブ・タイアンソニー・クインファイサルの部下で、ロレンスと友情を深めるオマー・シャリフ、後ろめたさを感じつつも、ロレンスを政治利用する、イギリス軍指揮官アレンビー将軍のジャック・ホーキンスと外交官クロード・レインズロレンスを追うアメリカ人記者のアーサー・ケネディ、指導者や指揮官に利用されたロレンスを哀れむ上官アンソニー・クェイルトルコ軍司令官ホセ・フェラーなど、錚々たる名優が脇を固めているのも見逃せない。


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