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007シリーズ、第16作。
ティモシー・ダルトンがボンドを演じた2作目であり、彼はこの作品で降板することになる。
監督ジョン・グレン、キャリー・ローウェル、ロバート・ダヴィ、ベニチオ・デル・トロ共演。
監督:ジョン・グレン
製作
マイケル・G・ウィルソン
アルバート・R・ブロッコリ
原案:イアン・フレミング
脚本
マイケル・G・ウィルソン
リチャード・メイボーム
撮影:アレック・マイルズ
編集:ジョン・グローヴァー
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽:マイケル・ケイメン
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌 :グラディス・ナイト”License To Kill”
出演
ジェームズ・ボンド:ティモシー・ダルトン
パム・ブービエ:キャリー・ローウェル
フランツ・サンチェス:ロバート・ダヴィ
ミルトン・クレスト:アンソニー・ザーブ
ルペ・ラモーラ:タリサ・ソト
シャーキー:フランク・マクレー
エド・キリファー:エベレット・マクギル
ジョー・ブッチャー博士:ウェイン・ニュートン
トゥルーマン=ロッジ:アンソニー・スターク
ヘラー大佐:ドン・ストロード
ダリオ:ベニチオ・デル・トロ
クワン:ケリー・ヒロユキ・タガワ
ロティ:ダイアナ・シュ
フィリックス・ライター:デヴィッド・ヘディソン
デラ・チャーチル:プリシラ・バーンズ
ホーキンス:グランド・L・ブッシュ
ヘクター・ロペス大統領:ペドロ・アルメンダリスJr.
M:ロバート・ブラウン
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:キャロライン・ブリス
イギリス 映画
配給
MGM
ユナイテッド・アーティスツ
1989年製作 134分
公開
イギリス1989年8月4日
北米:1989年7月14日
日本:1989年9月9日
製作費 $32,000,000
北米興行収入 $33,197,509
世界 $156,200,000
DEA(麻薬取締局)は、南米の麻薬王フランツ・サンチェス(ロバート・ダヴィ)が、フロリダに現れたことを察知する。
イギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ティモシー・ダルトン)は、CIAの情報員で、友人のフィリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)の結婚式に出席しようとしていた。
ボンドはDEAの報告を受け、シャーキー(フランク・マクレー)の制止を振り切り、フィリックスと現場に向かう。
サンチェスを捕らえるために、ヘリで飛び立ったボンドらは彼のセスナを追跡する。
セスナにワイヤーをくくりつけ、サンチェスを捕らえることに成功したボンドとフィリックスは、パラシュートで結婚式会場に降下する。
DEAの捜査官エド・キリファー(エベレット・マクギル)の、厳しい尋問を受けたサンチェスだったが、移送中、買収されていた彼の手助けで逃亡する。
無事に結婚式を終えたフィリックスだったが、サンチェスの手下に妻デラ(プリシラ・バーンズ)は殺され、彼は捕らえられ、鮫に左足を食いちぎられてしまう。
帰国しようとしていたボンドは、サンチェスが逃亡したことを知り、フィリックスの家に向かうが、彼はそこで、デラの遺体を発見する。
一命を取り留めたフィリックスを発見したボンドは、彼を病院に運び、シャーキーと共に犯人を捜し始める。
サンチェスの右腕で、海洋調査船を所有するミルトン・クレスト(アンソニー・ザーブ)を怪しんだボンドは、その夜、彼の倉庫にシャーキーと侵入する。
ボンドは隠された麻薬を発見するが、警備員に見つかってしまう。
現れたキリファーに銃口を向けられたボンドは、彼を鮫の餌食にして、その場を立ち去る。
DEAの捜査官に、ヘミングウェイ博物館に連れて行かれたボンドは、彼を待っていたM(ロバート・ブラウン)から、母国の任務に戻るよう命令される。
ボンドは、”殺しのライセンス”を捨てても、友人フィリックスの復讐を果たそうとして、その場から逃亡する。
クレストの調査船に忍び込んだボンドは、サンチェスの女ルペ・ラモーラ(タリサ・ソト)の部屋に隠れる。
シャーキーが殺されたことを知ったボンドは、船から抜け出し、取引された麻薬を海中に捨て、現金を積み飛び立ったセスナを奪い逃亡する。
その後、フィリックスの極秘資料から、CIAのパイロットでサンチェス担当のパム・ブービエ(キャリー・ローウェル)の存在を知ったボンドは彼女に接触する。
殺し屋ダリオ(ベニチオ・デル・トロ)の襲撃を逃れたボンドとブービエは、サンチェスの本拠地パナマのへと向かう。
目的地に着いたボンドは、ブービエに報酬を渡して別れようとする。
しかし、ボンドに惹かれるブービエは協力を申し出る。
サンチェスの銀行に500万ドルの大金を預け、彼のカジノに乗り込んだボンドは賭けを始める。
それを知ったサンチェスは、ボンドを探らせるためルペをカジノに向かわせる。
サンチェスを恨むルペはボンドに情報を流して、彼はサンチェスの元へ案内させる。
ボンドに探りを入れたサンチェスは、彼のパスポートを預かり身元を調べようとする。
ホテルに戻ったボンドは、彼の身を案ずるマネーペニー(キャロライン・ブリス)に頼まれ、休暇を取って現地に現れたQ(デスモンド・リュウェリン)から装備品を支給さる。
ボンドは、サンチェスのオフィスの防弾ガラスに爆薬を仕掛け、彼を狙撃しようとする。
しかし、ブービエと、サンチェスのボディガードのヘラー大佐(ドン・ストロード)が会っているのをボンドは目撃してしまう。
その時、何者かに襲われたボンドは、彼らのアジトに連れて行かれてしまう。
そこには、東洋のシンジケートに扮して、サンチェスを捜査していた麻薬捜査官クワン(ケリー・ヒロユキ・タガワ)らがボンドを待ち構えていた。
捜査をボンドに邪魔されたクワンは彼を責めるのだが、サンチェスがヘラーにその場を襲撃させ、クワンらは死亡する。
クワンらに囚われていた、ボンドを救い出したサンチェスは、元諜報部員だというボンドを信用する。
その後、ボンドはルペの協力でサンチェスの屋敷を抜け出し、ホテルに戻りブービエにヘラーとのことを追及する。
ブービエは、サンチェスがスティンガーミサイルを手に入れ旅客機を撃墜しようとしていることと、DEAが恩赦を与え、ヘラーを寝返らせようとしていたことをボンドに話す。
クレストの船が港に到着し、ボンドとブービエは船内に侵入し、引き出した現金を船に隠す。
サンチェスも現れ、クレストに麻薬取引の現金の行方を尋ねるが、彼はそれが奪われたことを伝える。
しかし、サンチェスは船内で現金を発見し、クレストは裏切り者とみなされ殺害される。
ブービエとQに、マイアミに戻るよう指示したボンドは、単身サンチェスの屋敷に戻り、彼から裏切りを知らせてくれたことを感謝される。
その後ボンドはルペと一夜を過ごし、彼女は愛してしまったボンドを助けるため、ブービエとQに協力を求める。
サンチェスが、ボンドの身辺を探っていることをブービエに知らせたルペだったが、ブービエは、自分とも愛し合ったボンドに憤慨してしまう。
その頃、ダリオが”スティンガーミサイル”を手に入れ、サンチェスの元に向かう。
サンチェスはジョー・ブッチャー博士(ウェイン・ニュートン)を広告塔に、”国際瞑想センター”の名の下、裏で麻薬の精製を行っていた。
ボンドはサンチェスらと共にセンターの見学をしていたが、殺し屋ダリオに気づかれてしまう。
ブービエもセンターを訪れ、ブッチャー博士に接近し、彼に銃を向けて監禁する。
ダリオに銃を向けられていたボンドだったが、実験室で騒ぎを起し、麻薬精製に使われていたガソリンに火をつける。
ボンドは、サンチェスに正体がばれて殺されそうになり、センター内は混乱し、サンチェスらは避難を始める。
しかし、センターに侵入していたブービエがダリオを倒し、ボンドを救い脱出しようとする。
サンチェスは、寝返って、”スティンガーミサイル”を奪おうとするヘラーを殺して逃亡する。
センターは爆発し、ボンドとブービエは、セスナでサンチェスを追う。
ボンドは、麻薬を溶かしたガソリンを積む、タンクローリーに飛び乗りそれを奪い、もう一台のローリーに体当たりして走行不能にする。
サンチェスの手下はボンドを迎え撃ち、ローリーにミサイルを撃ち込む。
ボンドはそれをかわし、ミサイルはもう一台を直撃して大破する。
サンチェスの前を走行するローリーに、自分のタンクを激突させたボンドは、もう一台のローリーに乗り逃亡しようとするサンチェスを追う。
そのローリーに飛び乗ったボンドは、サンチェスと格闘になるがローリーが横転してしまう。
ボンドは、フィリックスとデラから贈られたライターで火を放ち、サンチェスはローリーごと爆死する。
そして、ボンドはトレーラーで後を追ってきたブービエに拾われ、フロリダに戻り、回復したフィリックスに連絡を入れる。
その後ボンドは、サンチェスから自分を救ったルペに感謝される。
それを見たブービエはショックを受けるが、ボンドは迷わず彼女の元に向かう。
*(簡略ストー リー)
南米の麻薬王サンチェスが、フロリダに現れたことを、DEA(麻薬取締局)は察知する。
イギリス諜報員ジェームズ・ボンドは、CIAの情報員で友人のフィリックス・ライターの結婚式に出席しようとしていた。
結婚式を前に、ボンドはフィリックスと現場に向かい、サンチェスを捕らえ、無事に結婚式も済ませる。
その後、サンチェスは移送中に逃亡してしまい、フィリックスを襲い重傷を負わせ、妻を殺害する。
それを知ったボンドは復讐を誓うが、上司Mはそれを禁じて彼を帰国させようとする。
しかしボンドは、”殺しのライセンス”を捨ててでも、友人フィリックスの復讐を果たそうと、その場から姿を消す・・・。
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「ユア・アイズ・オンリー」(1981)から、連続で5作目となる、監督のジョン・グレンにとっても最後のシリーズ作品となった。
シリーズの人気に陰りが見え始め、興行成績も、前作の「リビング・デイライツ」(1987)で回復したのを大きく下回ってしまい、次回作となる「ゴールデンアイ」(1995)が登場するまで6年を費やすことになる。
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製作費 $32,000,000
北米興行収入 $33,197,509
世界 $156,200,000
南米の麻薬王に友人を傷つけられ、その妻を殺されたボンドが、任務ではなく個人的な復讐に執念を燃やすという珍しい展開で、友情のために任務を無視し”殺しのライセンス”を捨ててしまうことになるというストーリー自体は面白味がある。
故に、劇中でボンドが”元諜報員”というのも偽りではなく、またQのデスモンド・リュウェリンが休暇という設定で登場して、いつもならボンドに嫌味ばかり言っている彼が、ボランティア的に献身的な協力者として、シリーズ中、最も活躍するところなどが興味深い。
ゴージャスな雰囲気のグラディス・ナイトの主題曲”License To Kill”も聴き応えある。
逆に、鮫を使った拷問や殺戮など、アンソニー・ザーブが破裂させられ、ベニチオ・デル・トロが粉砕機に落ちてしまうシーン他、残虐さの目立つ作品でもあった。
ロジャー・ムーアのような、悪く言えば”不真面目”な雰囲気のない、ティモシー・ダルトンのボンド役を、もう何作か見てみたかったような気もする。
美しいだけでなく行動力があり勝気で逞しいキャリー・ローウェル、不幸な身の上の麻薬王の情婦タリサ・ソト、共にボンドの協力者として、なかなかの好演を見せ、歴代ボンド・ガールの中でもかなり評価は高い。
30代半ばとは思えない、威圧感と貫禄のある、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを髣髴させる極悪非道の男ロバート・ダヴィ、その片腕アンソニー・ザーブ、ボンド及びフィリックス・ライターの協力者フランク・マクレー、金のために裏切るDEA捜査官のエベレット・マクギル、麻薬シンジケートの広告塔ウェイン・ニュートン、麻薬王のボディガード、ドン・ストロード、21歳ながら非常に印象に残る殺し屋ベニチオ・デル・トロ、麻薬組織に潜入する捜査官ケリー・ヒロユキ・タガワ、16年前に「死ぬのは奴らだ」(1973)でも、CIA情報員フィリックス・ライターを演じたデヴィッド・ヘディソン、殺されるその妻プリシラ・バーンズ、ロペス大統領のペドロ・アルメンダリスJr.、Mのロバート・ブラウン、マネーペニーのキャロライン・ブリスなどが共演している。
参考:
ペドロ・アルメンダリスJr.は、シリーズ第2作「ロシアより愛をこめて」(1963)でケリム・ベイを演じ、往年のジョン・フォード作品などで活躍したペドロ・アルメンダリスの息子である。
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