野のユリ Lilies of the Field (1963) 5/5 (2)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

シドニー・ポワチエが、アフリカ系俳優初となる、アカデミー主演男優賞を受賞した記念すべき作品で、監督ラルフ・ネルソン、共演リリア・スカラによる、メルヘンチックでもある心温まるヒューマン・ドラマの傑作。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:ラルフ・ネルソン
製作:ラルフ・ネルソン
原作:ウィリアム・E・バレット
脚本:ジェームズ・ポー
撮影:アーネスト・ホーラー
編集:ジョン・マカフェティー
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演
シドニー・ポワチエ:ホーマー・スミス
リリア・スカラ:マザー・マリア
リサ・マン:シスター・ガーテルード
アイサ・クリノ:シスター・アグネス
フランチェスカ・ジャーヴィス:シスター・アルベティン
パメラ・ブランチ:シスター・エリザベス
スタンリー・アダムス:ホアン・アキリート
ダン・フレーザー:マーフィー神父
ラルフ・ネルソン:アシュトン

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1963年製作 94分
公開
北米:1963年10月1日
日本:1964年10月
製作費 $240,000


アカデミー賞 ■

第36回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(シドニー・ポワチエ)
・ノミネート
作品
助演女優(リリア・スカラ)
脚色・撮影賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

アリゾナ
気ままな旅を続ける青年ホーマー・スミス(シドニー・ポワチエ)は、人里離れた土地で車を走らせていた。

スミスは、車がオーバーヒートしそうになっていることに気づき、ある建物に立ち寄る。

そこには、東ドイツの修道会から派遣された、ヨーロッパ各地の修道女達、マザー・マリア(リリア・スカラ)、シスター・ガーテルード(リサ・マン)、シスター・アグネス(アイサ・クリノ)、シスター・アルベティン(フランチェスカ・ジャーヴィス)、そしてシスター・エリザベス(パメラ・ブランチ)らが暮らしていた。

マザー・マリアは、神が使わした男とばかりに、スミスに、自分達の仕事を手伝わせようとする。

旅の途中のスミスは、当然それを断り車で立ち去るのだが、所持金も乏しいこともあり、修道女達の元に引き返す。

スミスは、賃金をもらえるつもりで、早速、屋根の補修作業を始める。

屋根を直し終えたスミスは、報酬をもらい旅立とうとするが、マザー・マリアがなぜか彼を引き止める。

粗末な食事に招かれたスミスは、その場を立ち去ろうとするのだが、英語のレッスンを始めた修道女らの仲間に入る。

スミスは、楽しく英語を教え、修道女らの笑いを誘い楽しい時を過ごす。

結局スミスは、一晩その場所に泊まることになり、車で夜を明かす。

修道女が畑仕事などをしているにも拘らず、寝ているスミスに呆れるマザー・マリアは、彼に食事をして働くよう命ずる。

金をもらって旅立とうとするスミスに対し、マザー・マリアは、彼に教会を建てさせようとする。

呆れるスミスだったが、マザー・マリアは、”金の亡者”だと言ってスミスを罵り気分を害してしまう。

仕方なくその日も作業をしたスミスは、食事と英語のレッスンを済ませ、働いた分の賃金をマザー・マリアに請求する。

聖書の一説で、マザー・マリアを納得させようとしたスミスだったが、彼女は”マタイの福音書:第6章28ー29節”を読ませて、スミスを黙らせてしまう。
__________

なぜ衣服を思い煩う? 野のユリを見よ。
働きもせず、紡ぎもしない。
ソロモンでさえ、ユリほど装わざりき。
__________

さらにスミスは、翌日の日曜日、ミサに行く修道女を車で送るよう命ぜられ、マザー・マリアの強引さに戸惑ってしまう。

翌朝、修道女達を連れて現場に到着したスミスは、野外ミサに驚いてしまう。

その場のタンド兼食堂の店主ホアン・アキリート(スタンリー・アダムス)に朝食を注文したスミスは、 修道女らが一文無しだということを知らされる。

ホアンと意気投合したスミスは、久しぶりにまともな食事をとり、その後、マザー・マリアにマーフィー神父(ダン・フレーザー)を紹介される。

スミスは、マザー・マリアの考えとは違う現実的なマーフィー神父の話を聞き、彼に旅だつことを告げる。

住居に戻ったスミスは、修道女達の美しい歌声につられて、彼女らと教会に行く時に歌う”Amen”を口ずさむ。

そして、いよいよ旅立とうと、町までマザー・マリアを送ったスミスは、彼女らが資材提供を要請している、建設会社社長アシュトン(ラルフ・ネルソン)に声をかけられる。

アシュトンが、マザー・マリアを詐欺師呼ばわりするの聞いたスミスは、彼女に同情し、思わず教会建設を手伝っていると言ってしまう。

それを聞いたマザー・マリアの顔はほころび、スミスは、週二日、アシュトンの下で働くことにもなる。

意地を張って、バスで帰ろうとするマザー・マリアを、スミスは車に乗せて住居に戻る。

その後、建築に必要な材料はマザー・マリアが調達することになり、スミスは彼女らに一層頼りにされ、次第に労働に喜びを感じ始める。

修道女達は各方面に援助を求め、大柄なホーマーは、粗食に耐える彼女らと同じ食事では満足できず、建設会社の稼ぎで食材を提供する。

日曜の野外ミサに修道女を送ったスミスは、マザー・マリアから、教会を建ててくれる奇跡を起こす男として、信者達に紹介される。

マザー・マリアは、援助をことごとく断られ資材の調達ができず、建設会社の仕事ばかりするスミスに腹を立てる。

二人は対立し、スミスは、強引で神にすがってばかりいるマザー・マリアを見限って、出て行ってしまう。

時は流れ、方々で遊びまわってきたスミスが現れ、歩いてミサに向かう修道女達を車で送る。

修道女達や信者達もスミスが戻ったことを喜び、人々から資材の提供を受けて作業を手伝ってもらうことになる。

改心したスミスは、自分がマザー・マリアから請負った仕事だと、独りで教会を建てようとする。

しかし仕事ははかどらず、見物に来たホアンらは、勝手に手伝ってしまい、スミスはそれに不満を感じる。

スミスが仕事に参加しなくなると、マザー・マリアの思い描くような教会に仕上がらなくなってしまう。

マザー・マリアの注文に、手伝っていた人々は引き上げようとするが、結局は、スミスが現場監督として仕事に復帰することで作業は再開する。

教会建設が進んでいることを知ったアシュトンは、資材や人手が集まっていることに驚いてしまう。

ホアンは、全てが信仰によるものだとアシュトンに伝え、スミスは、建設終了後に現場監督としてアシュトンに誘われるが、彼はそれを断る。

そして、アシュトンも資材提供を申し出るが、次々出されるマザー・マリアの注文に閉口してしまう。

やがて、人々の思いに支えられた教会は、ついに完成する。

教会に現れたマーフィー神父は、神や人々の力を知り感無量となる。

そして、役目を終え、全てをやり遂げたスミスは、マザー・マリアから、初めて感謝の言葉を伝えられる。

スミスは、いつものように英語のレッスンを初め、”Amen”を歌い始める。

修道女達はスミスと合唱を続けるが、彼は気づかれないように教会を去ろうとする。

しかし、マザー・マリアだけはそのことに気づき、戸惑いも見せる。

そしてスミスは、満ち足りた気持ちを胸に旅立っていく。

”Amen”


解説 評価 感想 ■

1962年に発表されたウィリアム・E・バレット同名小説を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)

第36回アカデミー賞では、シドニー・ポワチエが主演男優賞を受賞した。
・ノミネート
作品
助演女優(リリア・スカラ)
脚色・撮影賞(白黒)

シドニー・ポワチエが、アフリカ系俳優初となる、アカデミー主演男優賞を受賞した記念すべき作品で、メルヘンチックでもある心温まるヒューマン・ドラマの傑作。

建設会社社長で、重要な役として出演もしている、製作も兼ねたラルフ・ネルソンの、意気込みが感じられる作品。

主人公らが歌うジェリー・ゴールドスミスの主題曲と共に、”The End”ではなく”Amen”の文字で幕を閉じる、粋なラストも印象に残る。

正面きって押し付けがましくもなく、タイトルの基になる聖書の一説をさり気無く引用したり、気のいい青年シドニー・ポワチエと、頑固で確り者の修道院長リリア・スカラの交流が、実にユーモラスに描かれている。

主演のシドニー・ポワチエの、気さくで現代的な考えの青年が、天使のように見える忘れ難い感動のラストは涙を誘う。

強引な院長に真っ向から意見を返し、何事にも動じない自己主張を貫く態度は、いかにもアメリカ人的だ。

最後まで、スミスに面と向かって感謝の言葉を伝えない、頑固な修道院長リリア・スカラの名演なくして本作は語れない。

クライマックスで、スミスが立ち去る前に、マザー・マリアは、”彼(神)が教会を建てた”と言いながらスミスを見つめ、神と彼を同等に扱う、彼女らしい感謝を表現する演出も素晴らしい。
オーストリア生まれの彼女は、夫がユダヤ人だということを理由にナチスから迫害を受け、イギリスからアメリカに渡った苦労人である。
ドラマの中でスミスに、「私達がどれだけ苦労してこの地に辿り着いたか・・」というセリフには説得力があり、迫力すら感じる。

その他4人のシスター、リサ・マン、アイサ・クリノ、フランチェスカ・ジャーヴィス、パメラ・ブランチ、レストランの主人スタンリー・アダムスや、神父のダン・フレーザーとの、主人公の親交も興味深く描かれている。


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