ライムライト Limelight (1952) 5/5 (3)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

アメリカ国内で反共産主義が高まる中、”赤狩り”の対象となったチャップリンが、製作、監督、脚本、音楽、主演を兼ねた集大成的な作品。
人生に絶望した若いダンサーの命を救い希望を与える老芸人の生き様を描く、クレア・ブルームバスター・キートンシドニー・チャップリン他共演のヒューマン・コメディ。


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■

監督:チャールズ・チャップリン
製作:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
撮影:カール・ストラス
編集:ジョー・インゲ
音楽
チャールズ・チャップリン

レイモンド・ラッシュ

出演
カルヴェロ:チャールズ・チャップリン

テレーザ”テリー”アンブローズ:クレア・ブルーム
カルヴェロのパートナー:バスター・キートン
ネヴィル:シドニー・チャップリン
ポスタント:ナイジェル・ブルース
ボダリンク:ノーマン・ロイド
ブレイク医師:レオナルド・ムディー
ダンサー:アンドレ・エグレフスキー
テリーのダンスダブル:メリッサ・ヘイデン
アルソップ夫人:マージョリー・ベネット
道化師:チャールズ・チャップリンJr.
オープニング・シーンの少女:ジェラルディン・チャップリン
オープニング・シーンの少女:ジョセフィン・チャップリン
オープニング・シーンの少年:マイケル・チャップリン

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1953年製作 137分
公開
北米:
1952年10月23日(ニューヨーク)
1972年(ロサンゼルス)
日本:1953年2月12日


アカデミー賞 ■

第45回アカデミー賞(1972)
・受賞
作曲賞
ロサンゼルスの公開がこの年だったため。


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1914年、夏、ロンドン第一次大戦前夜。
かつて一世を風靡した芸人カルヴェロ(チャールズ・チャップリン)は、今では老芸人として落ちぶれた生活を送っていた。

ある朝、酔ってアパートに戻ったカルヴェロは、ガスの臭いに気づき、自殺を図った女性テレーザ”テリー”アンブローズ(クレア・ブルーム)を助ける。

ブレイク医師(レオナルド・ムディー)を呼んだカルヴェロは、テリーを自分の部屋に運び、手当てされた彼女は2日で回復すると言われる。

カルヴェロは、テリーを静養させるようブレイク医師に指示され、大切なバイオリンを質に入れ、意識の戻った彼女のために果物などを買って帰る。

アパートの大家アルソップ夫人(マージョリー・ベネット)は、テリーが逃げたものと思い込む。

しかし、夫人はカルヴェロの部屋にテリーがいることを知り、彼にそれを追求する。

カルヴェロは、テリーが自殺を図ったことを夫人に伝え、彼女は二人の関係を疑いながら、半信半疑でその場を立ち去る。

仕方なくカルヴェロは、自分とテリーが夫婦だということにして、部屋に戻ると言う彼女に、借り手がつきそれが無理なことを伝える。

死にたかったと言うテリーが、いかがわしい仕事をしていたと思っていたカルヴェロは、彼女がダンサーだと知って安心する。

そしてカルヴェロは、何もかもが空しくなったというテリーの悩みを聞き、彼女の心をユーモアで和ませ励ます。

そんなかカルヴェロは、舞台で最高の芸を見せるものの、観客がいない夢を見ては目が覚めていたのだが、その夢にテリーが現れるようになる。

足の感覚がないと言って悲観するテリーに、夢のことを聞かせたカルヴェロは、エージェントからの舞台復帰の連絡を受ける。

自信に満ち溢れるカルヴェロは、契約を待つだけとなり、意気込みを見せる。

その後カルヴェロは、テリーが、心理的な要因で足が麻痺していると思い込んでいるだけだと、ブレイク医師から指摘される。

カルヴェロは、とにかくテリーに話をさせることを試み、彼女から、若い作曲家ネヴィル(シドニー・チャップリン)に恋心を抱き、何とか彼を助けようとした話などを聞き出す。

それでも、人生を楽しもうという勇気を持てないテリーは涙し、それを見たカルヴェロは、彼女を甘やかすことなく叱咤激励する。

ようやくベッドから起き上がったテリーは、表情も明るくなり、少しずつ物事を前向きに考えられるようになる。

その後、舞台初日を迎えたカルヴェロの芸は全く受けず、彼は自信をなくして笑顔が消えてしまう。

それを知り、今度はテリーがカルヴェロを励ますが、彼は初日で契約を切られたことを伝え泣き崩れる。

それを見たテリーは立ち上がり、カルヴェロに、厳しい口調で勇気を出すよう叫んでしまう。

テリーは、自分が歩いていることに気づいて感激し、尚も気落ちするカルヴェロと共に散歩に出る。

心沈むカルヴェロとは対照的に、テリーは希望に満ち溢れ、ダンサーに復帰すれば、二人の生活が成り立つことを彼に伝える。

6ヶ月後、”エンパイア・シアター”。
ダンサーの職を得ていたテリーは、バレエ監督のボダリンク(ノーマン・ロイド)から、カルヴェロに道化の役をという言伝を頼まれる。

酒の力を借りて、心を癒す日々を送っていたカルヴェロは、テリーからそれを聞くものの劇場復帰を拒む。

しかし、カルヴェロはそれを受けることをテリーに伝え、彼女はそれを聞いて喜ぶ。

その後、テリーはボダリンクの推薦もあり、ネヴィルのピアノに合わせた彼女のバレエが、劇場主ポスタント(ナイジェル・ブルース)に気に入られ、彼女は劇場のプリマドンナになる。

それを見守っていたカルヴェロは、惨めさから独り涙してしまう。

契約を済ませ戻ってきたテリーは、カルヴェロが自分の成功に涙していると思い、彼に感謝し、そして愛を告げる。

テリーに結婚を申し込まれたカルヴェロは、自分は老人だと言って、それをナンセンスだと笑い飛ばす。

カルヴェロに昼食を取るよう言われたテリーは、レストランでネヴィルと相席になる。

ボダリンクに紹介された時、テリーに冷たくされたネヴィルはそれを気にしていたが、彼女はカルヴェロ以外の男性に今は興味がなかった。

テリーは、自分が助けようとした、若い作曲家がネヴィルだと知り、彼に直に結婚することを伝える。

そして、カルヴェロも端役で参加した、テリーのバレエ公演は初日を迎える。

しかし、テリーは出番の直前で足が動かなくなり、怯えてしまう。

カルヴェロは、テリーに厳しい言葉をかけ、それに刺激を受けた彼女は見事に踊りきる。

テリーはカルヴェロに感謝するが、彼はパーティーには姿を見せず、パブで酔っていた。

出征することになったネヴィルは、カルヴェロのことを気にかけるテリーをアパートに送り、彼女に自分の気持ちを伝える。

ネヴィルは、テリーがカルヴェロに尽くそうとする気持ちは認めるが、結婚は間違っていると意見する。

それを聞いてしまったカルヴェロは、翌日、尚も結婚を考えるテリーに、愛しているのはネヴィルだと言って身を引こうとする。

その頃、ポスタントは道化をクビにしようとするが、それが名前を隠していたカルヴェロだと知り、気の毒に思い、彼を残すことを決める。

ポスタントは代わりの道化役者をキャンセルしようとするが、運悪く、カルヴェロはその役者と出くわしてしまい、自分がお払い箱だと思い込む。

カルヴェロは、置手紙を残してアパートを去り、それを知ったテリーは取り乱してしまう。

その後、テリーはヨーロッパ巡業が始まり、姿を消していたカルヴェロは、辻音楽師として落ちぶれていた。

ある日カルヴェロは、戦地から休暇で戻っていたネヴィルに再会する。

ネヴィルからテリーのことを聞いたカルヴェロは、それだけで満足し、居合わせたポスタントの励ましの言葉も聞き流し、その場を去る。

その後、ネヴィルから話を聞いたテリーはカルヴェロを捜し、街角で彼を見つける。

久し振りの再会に二人は感傷的になるが、テリーは、仲間達と風刺コメディ公演をやりたいという、カルヴェロの夢をかなえてあげようとする。

テリーはポスタントの協力を得て、カルヴェロのプライドを傷つけないように準備を整える。

パートナー(バスター・キートン)と楽屋で出番を待っていたカルヴェロは、ポスタントやテリーに励まされながら出番を迎える。

カルヴェロはステージに上がり、十八番のノミの芸などで観客から大喝采を受け、その様子を知ったテリーは感激して、楽屋で涙する。

拍手は鳴り止まず、パートナーと共にアンコールに応えたカルヴェロは、張り切り過ぎてステージから落ち、背骨を傷めてしまう。

しかし、カルヴェロはステージに戻り、動けない状態で観客に挨拶し、さらに笑いを誘う。

道具部屋で安静にしていたカルヴェロは発作を起こし、彼の復活を祝福しようとしたポスタントは、ブレイク医師から、今夜が峠だと聞かされ驚いてしまう。

テリーは、カルヴェロに愛を告げて出番を迎え、彼は死を覚悟しながらステージの袖に運ばれる。

ポスタントとネヴィルがカルヴェロの異変に気づき、ブレイク医師が、彼の死を確認する。

テリーはそれを知らずに、カルヴェロのために踊り続ける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

かつて一世を風靡した老芸人カルヴェロは、今では落ちぶれていた。
そんなある日カルヴェロは、同じアパートに住む若い女性テリーが、ガス自殺を図ったのに気づき命を救う。
意識を取り戻したテリーは、ダンサーでありながら足が麻痺して踊れないことをカルヴェロに伝える。
カルヴェロは、医師から、それが精神的な要因だと聞いていたため、テリーの心を和ませ生きる希望を与えようとする。
そんな時、カルヴェロは、舞台に立つチャンスを掴むが、彼の芸は全く受けなかった。
落胆するカルヴェロを、今度はテリーが励まして、そして彼女は歩けるようになり、やがてダンサーの職を得られる。
バレエ監督ボダリンクや劇場主ポスタントに認められたテリーはプリマドンナとなり、カルヴェロに感謝して愛を告げ、そして結婚を申し込む。
芸や人生には誇りを持つものの、テリーの愛を受け入れることが出来ない老人のカルヴェロは、成功を手に入れた彼女から、身を引こうとするのだが・・・。
__________

1952年9月、チャップリンとその家族は、本作のロンドンプレミアのためニューヨークを旅立ち、船上で、事実上のアメリカ追放命令を受けたという曰く付きの作品。

20年後の1972年、チャップリンは、第44回アカデミー賞に招待され、再びアメリカの地を踏むことになる。

そして、ロサンゼルスで初めて本作が公開されたこともあり、翌年、第45回アカデミー賞で、本作の主題曲が作曲賞を異例の受賞を果たした。

また、ロバート・ アルドリッチがアシスタントとしてスタッフの一員に名を連ねている。

私が本作を始めて観たのは、チャップリンが再びアメリカに招かれた頃で、既に伝説化されていた彼の作品は、何作も観てはいたものの、トレードマークの”The Tramp”のキャラクター作品だった。
当時、子供だった私は、荻昌弘氏が解説を務めた”月曜ロードショー”で放映された本作を観て、無理矢理感動しなくてはいけないものかと、なぜか頭を傾げてしまった記憶がある。
上記のように、”The Tramp”こそがチャップリンだと思い込んでいた子供には、仕方のないことだったかもしれない。
その放映時、終了と共に登場した荻昌弘氏が、目に涙をためて、”何も言うことはありません・・・”と一言伝えて、番組を締めくくったことが印象に残っている。

約40年振りに本作を見ると、全く違った目で観られたことに、自分ながら改めて驚いてしまった。

どちらかと言うと、あまり好みではないチャップリンの芸風なのだが、その一つ一つの動作や仕草を見ていると、 完ぺき主義者の彼の芸は、正に芸術的で、体全体、指先まで、自分の全てを注ぎ込んでいることが伝わってくる見事さに、引き込まれてしまう。
今見ても、全く古さを感じない、オリジナリティー溢れる芸の数々に圧倒される。

不世出の才能とはこういうものかと、人類の遺産とも言える、彼のパフォーマンスを再認識できたことに幸福感さえ感じてしまう。

80歳を前にして、「英国王のスピーチ」(2010)でメアリー王太后を演じ、クレア・ブルームは元気な姿を見せてくれたことも嬉しい。
本作では、20歳になったばかりの彼女の、主人公に対する献身的な姿も涙を誘う。

芸のパートナーとして、クライマックスで登場する、友情出演的なバスター・キートン、ヒロインに思いを寄せる作曲家を演ずるチャップリンの実の息子シドニー・チャップリン、劇場主役のナイジェル・ブルース、バレエ監督のノーマン・ロイド、医師のレオナルド・ムディー、アパートの大家マージョリー・ベネット、道化役であるチャップリンの実の息子のチャールズ・チャップリンJr.、ダンサー役で登場するアンドレ・エグレフスキーメリッサ・ヘイデンが見事なバレエを披露し、そして、チャップリンの子供達ジェラルディンジョセフィンマイケルが冒頭の場面で登場する。


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