リトル・ミス・サンシャイン Little Miss Sunshine (2006) 5/5 (36)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

各人が問題を抱えている家族の、幼い娘が挑むミスコンに向かう旅と絆を描く、監督ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ヴァリス、主演グレッグ・キニアトニ・コレットアビゲイル・ブレスリンスティーヴ・カレルポール・ダノアラン・アーキン他共演によるハートフル・ファミリー・コメディの秀作。


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト
監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ヴァリス
製作
アルバート・バーガー

デヴィッド・T・フレンドリー
ピーター・サラフ
マーク・タートルトーブ
ロン・イェルザ
脚本:マイケル・アーント
撮影:ティミ・サーステッド
編集:パメラ・マーティン
音楽:マイケル・ダナ

出演
グレッグ・キニア:リチャード・フーヴァー
トニ・コレット:シェリル・フーヴァー
アビゲイル・ブレスリン:オリーヴ・フーヴァー
スティーヴ・カレル:フランク・ギンスバーグ
ポール・ダノ:ドウェイン・フーヴァー
アラン・アーキン:エドウィン・フーヴァー
ブライアン・クランストン:スタン・グロスマン
ゴードン・トムソン:ラリー・シュガーマン
メアリー・リン・ライスカブ:パム
ベス・グラント:ジェンキンス
ウォレス・ランガム:カービー
ジュリオ・オスカー・メチョソ:整備工
ディーン・ノリス:パトロール警官
ローレン・シオハマ:ミス・カリフォルニア

アメリカ 映画
配給 フォックス・サーチライト・ピクチャーズ
2006年製作 103分
公開
北米:2006年7月26日
日本:2006年12月23日
製作費 $8,000,000
北米興行収入 $59,887,870
世界 $100,221,300


アカデミー賞
第79回アカデミー賞

・受賞
助演男優(アラン・アーキン
脚本賞
・ノミネート
作品
助演女優賞(アビゲイル・ブレスリン


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューメキシコアルバカーキ
シェリル・フーヴァー(トニ・コレット)は、フランス人作家プルースト学者であるゲイの兄フランク・ギンスバーグ(スティーヴ・カレル)が、恋人にふられて自殺未遂をしたとの連絡を受けて、病院に駆けつける。

無事だったフランクを一時的に預かることにしたシェリルは、彼を連れて帰宅する。

フランクを一人にしないよにと医師から言われたシェリルは、息子のドウェイン(ポール・ダノ)とフランクを相部屋にする。

帰宅したシェリルの夫リチャード(グレッグ・キニア)は、人々を成功の道に導くアドバイザーとして、それをビジネスにしている現実派で、新たに開発したプログラムを出版する契約を結ぼうとしていた。

夕食の支度が出来たことをフランクに知らせに行ったドウェインは、話さない理由を訊かれ、壁に貼ってあるニーチェを指差す。

フランクは、ニーチェに感化されたドウェインが話さないことを理解する。

テーブルに着いたフランクから、友達がいるか訊かれたドウェインは、”皆、嫌いだ”とメモに書いて答えただけだった。

家族は?と訊かれたドウェインは、”皆”の単語にアンダーラインを引く。

リチャードに歓迎されたフランクは、ドウェインのことが心配だとシェリルに伝え、無言の誓いをしたと言われる。

空軍のテスト・パイロットになるまでは沈黙を守るという誓いを立てたドウェインの考えが信じられないフランクは、ミス・コンテストに憧れる7歳になるシェリルの娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)に声をかけられる。

フランクの手首の包帯のことを訊いたオリーヴは、事故だと言われる。

現れたリチャードの父エドウィン(アラン・アーキン)は、連日チキンしか食べさせてもらえないために不満を訴える。

リチャードから落ち着くようにと言えわれたエドウィンは、仕方なくテーブルに着く。

第二次大戦ナチと戦ったエドウィンだったが、ヘロイン中毒だったために老人ホームを追い出されていた。

9か月前から話さないドウェインの話になり、リチャードは、シェリルの連れ子の彼が、目標に向かって努力していることを一応評価していた。

オリーヴがフランクの手首のことを気にするため、シェリルは、話していいかフランクに確認する。

フランクが自殺未遂をしたことを話したシェリルは、食事中にする話ではないとリチャードから言われる。

どうせバレると言うシェリルは、フランクに話すよう促し、男性の相手に愛されなかったことが原因だと知ったオリーヴは驚く。

不思議に思うオリーヴに、相手が、自分の次に有名なプルースト学者ラリー・シュガーマン(ゴードン・トムソン)を愛したことをフランクは正直に話す。

更にフランクは、気が動転して異常な行動をしたため、仕事は解雇されてアパートも追い出されたことを伝える。

それで自殺したのではなく、その後、財団がシュガーマンに”天才賞”を贈ったため、思い余って行動に移したことをフランクは話す。

フランクは落伍者だと言うリチャードは、話題を変えて、オリーヴにミスコンの話をさせる。

アルバカーキの大会で2位になったオリーヴは、次は優勝を目指しているため、エドウィンと共に猛特訓をしていることを話す。

シェリルは、妹のシンディから留守電にメッセージが入っていることをリチャードから知らされ、ミスコンの”リトル・ミス・サンシャイン”のことらしいと言われたオリーヴはその内容を聴こうとする。

メッセージを聴いたオリーヴは、1位が辞退したため、次点だった”リトル・ミス・サンシャイン”の州代表に決まったことを知り、興奮し大喜びする。

シンディに電話をしたシェリルは、リチャードが仕事の関係でコンテスト行きを渋ったために言い合いになる。

出場準備を始めたオリーヴを悲しめる訳にもいかないリチャードは、自分がバスフォルクスワーゲン・タイプ2)を運転していくことを伝える。

リチャードは、精神不安定なフランクを置いて行けないと言うシェリルに連れて行くと伝る。

フランクは承知するものの、一人にしてほしいとメモしたドウェインは、同行を拒む。

航空学校に行かせる条件でシェリルに説得されたドウェインは、仕方なく納得する。

コーチであるエドウィンも同行することを確認したオリーヴは、仕事柄、チャレンジするとしたら優勝するしかないと考えるリチャードから、その自信があるかを訊かれる。

”自信はある”と答えたオリーヴを抱きしめたリチャードは、家族全員でカリフォルニアに向かうと言って気合を入れる。

800マイル先のロサンゼルス郡レドンドビーチに向けて、家族は出発する。

暫くして、車での移動に疲れたエドウィンは悪態をつき、下ネタの話題で家族を呆れさせる。

途中、一行は、レストランで食事することになる。

アイスクリームを注文したオリーヴに高い意識を持たせようとししたリチャードは、太ることがミスコンで優勝する目標から遠ざかることを教えようとする。

テーブルに置かれたアイスクリームに手を出す気になれなくなったオリーヴだったが、シェリル、エドウィン、フランク、ドウェインが食べ始めたために、それを制止して欲求を満たしてしまう。

食事を済ませた後で、自分のプログラムをセールスしてくれるはずのスタン・グロスマン(ブライアン・クランストン)に電話をしたリチャードだったが、連絡がつかないためにメッセージを残す。

その後、車のクラッチが故障してしまい、リチャードらは街道沿いの整備工場に立ち寄る。

整備工(ジュリオ・オスカー・メチョソ)からクラッチの交換が必要だと言われたリチャードは、スタート時に押しがけすれば走ると言われる。

エンジンをかけてバスを押した一行は、車に飛び乗り先を急ぐ。

運転中にスタンから電話があり、電波情況が悪かったために、リチャードはガソリンスタンドに寄る。

公衆電話でスタンに連絡をしたリチャードだったが、契約はボツになってしまう。

その場で買い物をしようとしたフランクは、ドウェインからポルノ雑誌を頼まれる。

店内で、自殺未遂の原因になった恋人に出くわしたフランクは焦り、車で待っていたラリーも一緒だったために落ち込んでしまう。

リチャードの契約失敗にシェリルもショックを受け、一行は出発するものの、オリーヴを置き去りにしてきたことに気づく。

オリーヴを迎えに行ったリチャードは、契約の失敗で気落ちする自分のチャレンジ精神を称えてくれたエドウィンに感謝する。

その後、一行はモーテルに宿泊し、リチャードとシェリルは契約失敗のことなどで言い争いになる。

オリーヴは、エドウィンと共に翌日のコンテストに備える。

リチャードの”負け犬になるな”という言葉がプレッシャーになるオリーヴは、怖気づいてしまう。

エドウィンは、”世界一可愛い”と思える孫娘に、チャレンジすることが大切だと言って励ます。

今回の契約破棄に納得がいかないリチャードは、スタンの元に向かおうとするが、バスが動いてくれない。

駐車場にいた青年からバイクを借りたリチャードは、スコッツデールのセミナー会場のホテルにいたスタンに会い、自分の言い分を伝えて気を晴らす。

翌朝、夜中にヘロインを吸ったエドウィンは、目覚めないまま救急車で病院に運ばれえる。

家族の回復の願いもかなわず、エドウィンは息を引き取る。

死亡の手続きに手間がかかり、コンテストに間に合わないことが分かったリチャードは、このままでは一生、後悔すると考える。

リチャードは、エドウィンの遺体を病室の窓から運び出し、会場に向かおうとする。

一行は脱出に成功し、エドウィンがどうなるかを心配するオリーヴは、天国はあるかとフランクに尋ね、自分はあると思うと伝える。

その後、車のクラクションが壊れて鳴り続け、止まらなくなってしまう。

パトロール警官(ディーン・ノリス)に車を止められたリチャードは、荷台の遺体が見つかりそうになり焦る。

荷台を開けた警官は、車内にあったポルノ雑誌を見つけて、リチャードがそれを隠そうとしていたと思い込む。

それが警官のお気に入りの雑誌だったために、リチャードは見逃される。

一行は先を急ぐが、コンテストの受付時間に間に合うかの瀬戸際で、ドウェインの色覚特性が分かる。

パイロットにはなれないことをフランクから知らされたドウェインは、車内で取り乱してしまい、リチャードは仕方なく車を止める。

ドウェインを慰めるシェリルだったが、彼は家族全員嫌いで、負け犬だと言って叫び始める。

しかし、寄りそうオリーヴのことを考えたドウェインは、家族に謝罪して車に戻る。

ようやく会場に着いた一行だったが、時間に遅れてしまい、主催者のジェンキンス(ベス・グラント)に受付を拒否される。

頼み込むリチャードを気の毒に思ったスタッフのカービー(ウォレス・ランガム)が、自分が手続すると言ってジェンキンスを説得する。

リチャードらに感謝されたカービーは、ジェンキンスの態度を批判し、来年は参加しないと言いながら手続きをする。

”ミス・カリフォルニア”(ローレン・シオハマ)に会うことができたオリーヴは、彼女もアイスクリームが好きだと知って安心する。

手続きを済ませたリチャードは、付近に葬儀屋があるかカービーに尋ねる。

シェリルと控室に向かったオリーヴは、ステージに上がる準備をする。

ロビーで新聞に目を通していたフランクは、著書を宣伝するラリーの一面広告に気づき、複雑な思いでそれを見つめる。

ドウェインに誘われたフランクは、会場の外に向かう。

エドウィンの葬儀の手配をして会場に向かったリチャードは、ステージに現れた、着飾った作り物のような子供達を見て頭を傾げてしまう。

沈黙を破ったドウェインは桟橋でフランクと語り合い、人生やミス・コン、空軍アカデミーを含めて全てが馬鹿げていると伝え、意気投合した二人は会場に戻る。

控室に向かったリチャードとドウェインはシェリルと話し、オリーヴが恥をかくだけだと言って出場させないように説得する。

オリーヴが努力してきたことを無駄にしたくないと言うシェリルは、コンテストのアシスタント、パム(メアリー・リン・ライスカブ)に急かされながら、オリーヴに無理には出場を勧めない。

しかし、オリーヴはステージに上がり、エドウィンにダンスを捧げることを伝えて、”リック・ジェームス”の曲”Super Freak”に合わせて踊り始める。

エドウィン仕込みのストリップを始めたオリーヴのダンスに会場は騒然となり、不快に思った観客は退席する。

ジェンキンスは、オリーヴのダンスを止めさせるようリチャードに警告するが、彼と家族はそれに従おうとしない。

MCに追いかけられるオリーヴを助けたリチャードは、ジェンキンスの指示を無視して踊りだしてしまい、フランク、ドウェインもステージに上がり、シェリルもそれに加わる。

踊り終えた家族に拍手したのはカービーだけで、観客の男性一人が最高だったと叫ぶ。

コンテスト終了後、フーヴァー一家は、罰としてカリフォルニアのコンテストから追放されてしまう。

エドウィンが誇りに思っていることをオリーヴに伝えたリチャードは、家族と共にバスを押して出発する。

バスに乗った家族は、ジェンキンスの車が止まっていたために入り口のゲートを突き破り、驚く彼女を気にせずに会場を後にする。

そして、型破りな一家は固い絆で結ばれて、自宅のあるアルバカーキに向かう。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ニューメキシコアルバカーキ
家族のそれぞれがそれなりの問題を抱えるフーヴァー家で、7歳の娘オリーヴが、ミスコンの全国大会”リトル・ミス・サンシャイン” に出場することになる。
興奮しながら家族と共にカリフォルニアに向かうことになったオリーヴだったが、旅行途中に父リチャードの仕事はボツになり、ヘロイン中毒の祖父エドウィンが死亡し、沈黙する兄ドウェインは色覚特性と分かり夢が打ち砕かれてしまう。
トラブルが続き、コンテスト出場が危ぶまれる中、家族はオリーヴのために会場に向かう。
やがて、リチャードの妻シェリルの兄で、自殺未遂したため家族に同行したゲイのフランクに、ドウェインは心を開く。
ようやく参加できたコンテストだったが、リチャードとドウェインは、大人のエゴを競うようなバカげた大会に、オリーヴを出場させるのを止めさせようとするのだが・・・。
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インディーズ作品として製作され、サンダンス映画祭で脚光を浴び、わずか数館で限定公開された作品が、その後に大評判となり世界で絶賛された、ハートフル・ファミリー・コメディの秀作。

監督は夫婦でもあるジョナサン・デイトンとヴァレリー・ヴァリスで、わずか800万ドルの製作費ながら、全世界で1億ドルを超すスマッシュヒットとなった作品でもある。

インディーズ作品と言えども、注目のキャストは、ベテラン、実力派、期待の若手などメジャー俳優が顔を揃える作品で、企画段階から、高い評価を得られる自身があったようにも感じられる、心を捉える素晴らしい作品に仕上がっている。

第79回アカデミー賞では、作品賞など4部門にノミネートされ、アラン・アーキンの助演と脚本賞を受賞した。
・ノミネート
作品
助演女優賞(アビゲイル・ブレスリン

ミス・コンテストに憧れる、その出場資格を得た7歳の太めの少女のために、”崩壊寸前”でもないが様々な問題を抱える家族が、チャレンジの旅を通して絆を深めるという、誰もが幸せな気分で観終われる作品。

家族が旅で使うおんぼろ”フォルクスワーゲンT2”は、覇権国としての力を失いつつある、問題を抱えるアメリカ社会そのものであり、それに乗車する家族が国民にも思える。
社会の問題が集約された家族でありながら、挑戦することに意義があると考えるアメリカ的精神でそれを克服するという、単純明快さが大いに受けた。

軽快で爽やかな、マイケル・ダナの音楽も実に心地よい。

少女が胸ときめかす、コンテストの様子がどうなるのかと期待をして見ていると、作られた人形かロボットのように着飾り踊る子供達が、不気味に見え始め、それを催す大人達のエゴに対する強烈な皮肉も描かれている。

ドラマの中心が7歳の少女にも拘らず、下品な言葉などが容赦なく飛び交う刺激的な場面も多く、上映に際してはかなり厳しい規制がかかった国もあったようだ。
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個人的には、下記のシーンが印象に残る。

コンテストに向かう途中で家族が立ち寄ったレストランで、オリーヴが、ウエイトレスに謝ったのを見た父が、”謝罪は、弱さに通じる”と言い切るシーンがある。
*セリフ原文
”Don’t apologize, it’s a sign of weakness.”

どんな事でも勝つことに意義があると考える父親らしいセリフなのだが、これは西部劇の傑作「黄色いリボン」(1949)で、アメリカの強さの象徴的存在でもあったジョン・ウェインが、劇中、頻繁に発するセリフだ。

ジョン・ウェインのセリフ。
”Never apologize, it’s a sign of weakness.”

傲慢にも思えるこのセリフは、ジョン・ウェインにはよく似合う。

スクリーン上で久しぶりに聞いた言葉に、思わず感激してしまった。
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”負け犬”を嫌うが、結局、自分もビジネスで失敗してしまうものの、勝つことだけではなくチャレンジする過程の尊さを、父や娘から教えられる、気のいい家長役をグレッグ・キニアは好演している。

現実主義の夫、心を閉ざす息子、自殺未遂の兄、悪態をつく義父に悩まされるトニ・コレット、愛くるしい笑顔に加え、喜びや悲しみの表現が撮影当時9歳とは思えない、アカデミー助演賞候補になったアビゲイル・ブレスリン、自殺未遂をした精神不安定でもある学者でゲイ役をいい雰囲気で演ずるスティーヴ・カレル、沈黙を破ってからの行動が頼もしいポール・ダノ、無鉄砲で口は悪いが孫娘を溺愛し、息子の行動を称える愛すべきキャラクターであり、出色の好演が光るアラン・アーキンの存在感抜群の演技は見ものだ。

その他、リチャード(グレッグ・キニア)のビジネス・パートナー、ブライアン・クランストン、フランク(スティーヴ・カレル)の元恋人の相手ゴードン・トムソン、コンテストの主催者ベス・グラント、アシスタントのメアリー・リン・ライスカブ、スタッフのウォレス・ランガム、整備工のジュリオ・オスカー・メチョソ、パトロール警官のディーン・ノリス、ミス・カリフォルニアのローレン・シオハマなどが共演している。


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