マラソンマン Marathon Man (1976) 3.93/5 (15)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

1974年に発表された、ウィリアム・ゴールドマンの小説”Marathon Man”を基に製作された作品。
ナチの残党の企むダイヤ密輸計画に巻き込まれる大学院生の孤独な戦いを描く、監督ジョン・シュレシンジャー、主演ダスティン・ホフマンローレンス・オリヴィエロイ・シャイダーウィリアム・ディヴェインマルト・ケラー他共演のサスペンス。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト
監督:ジョン・シュレシンジャー

製作
ロバート・エヴァンス
シドニー・ベッカーマン
原作:ウィリアム・ゴールドマンMarathon Man
脚本:ウィリアム・ゴールドマン
撮影:コンラッド・ホール
編集:ジム・クラーク
音楽:マイケル・スモール

出演
トーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィー:ダスティン・ホフマン
クリスチャン・ゼル博士:ローレンス・オリヴィエ
ヘンリー”ドク”リーヴィー:ロイ・シャイダー
ピーター・ジェーンウェイ:ウィリアム・ディヴェイン
エルザ・オペル:マルト・ケラー
ビーゼンタール教授:フリッツ・ウィーヴァー
カール:リチャード・ブライト
エアハルト:マーク・ローレンス
リーヴィー:アレン・ジョセフ
メレンデス:ティート・ゴヤ
クラウス・ゼル:ベン・ドーヴァ
ローゼンバウム:ルー・ギルバート
ルクレール:ジャック・マラン

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1976年製作 125分
公開
北米:1976年10月8日
日本:1977年3月26日
製作費 $6,500,000
北米興行収入 $21,709,000


アカデミー賞
第49回アカデミー賞

・ノミネート
助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ニューヨーク
貸金庫からある物を出し、街角でそれを男に渡したドイツ人老紳士クラウス・ゼル(ベン・ドーヴァ)は、道路で車が故障して止まってしまう。

その後ろでに止った初老のユダヤ人ローゼンバウム(ルー・ギルバート)はゼルを罵り、二人は言い合いになる。

ゼルの車にぶつけたローゼンバウムは、走りだした彼の車を追う。

二人は並走しながら暴走し、前方の燃料タンク車に衝突して爆死する。

ゼルは、持っていた貸金庫の鍵を落す。

マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する歴史学を学ぶ大学院生のトーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィー(ダスティン・ホフマン)は、トレーニング中にその事故現場を目撃する。

アパートに戻ったベーブは、事故のニュースを見ながら、死亡したゼルが、第二次大戦末期に死んだとされる、ナチのクリスチャン・ゼル博士(ローレンス・オリヴィエ)の兄であることを知る。

パリ
ベーブの兄ヘンリー”ドク”(ロイ・シャイダー)は、表向きは石油会社の重役であったが、政府の秘密機関の局員だった。

ホテルに向かったドクは、ゼルから渡って来た物をチョコレートの箱に詰める。

それを古美術商のルクレール(ジャック・マラン)に渡したドクは、今夜のオペラ会場である物を渡すと言われて、その場を去る。

ドクが車に乗った瞬間、付近に放置されたベビーカーに仕掛けられた爆弾が爆発する。

ビーゼンタール教授(フリッツ・ウィーヴァー)の講義を受けたベーブは、教授の恩師でもあった自殺した父親(アレン・ジョセフ)の話などをする。

無事だったドクは、支局長のピーター・ジェーンウェイ(ウィリアム・ディヴェイン)に会い、爆破とルクレールが関係しているのではないかと話す。

その夜、オペラ会場の桟敷席に向かったドクは、ルクレールが殺害されていることに気づく。

同僚のニコールと接触しようとしたドクは、彼女が姿を消しサッカーボールが転がってきたため、警戒しながらその場を去る。

ホテルで朝を迎えたドクは、クローゼットに隠れていた男に襲われ、傷つきながら相手を殺す。

手当てを受けたドクは、ゼルの兄が殺されたことをジェーンウェイから知らされて驚き、運び屋が抹殺されていることを知る。

図書館にいたベーブは、質問してきたエルザ・オペル(マルト・ケラー)が気になる。

本を忘れたエルザを追ったベーブは、彼女のアパートまで強引について行き、再会できることを願う。

南米ウルグアイ
潜伏中のゼルは、兄の死を知りニューヨークに向かう。

その後ベーブは、スイス人のエルザを誘いデートして楽しい時間を過ごし、二人は愛し合うようになる。

二人は、セントラルパークを散歩中に、暴漢のカール(リチャード・ブライト)とエアハルト(マーク・ローレンス)に襲われる。

ニューヨークに着いたゼルは、カールとエアハルトに迎えられる。

尋ねて来たドクを歓迎したベーブは、知らせた暴漢がビジネスマン風だったことを伝える。

父親の死に執着し過ぎるベーブを非難するドクは、弟が自殺した時の銃も持っていることを確認する。

ベーブとエルザと共に食事をしたドクは、彼女がスイス人ではなくドイツ人であることを見抜く。

気分を害したエルザは席を立ち、彼女を追うベーブに、ドクは詐欺師だと伝えるものの二人はその場を去る。

ゼルに会ったドクは、弟を巻き込むなと言って彼を殴る。

警告して脅すドクだったが、ゼルに腹部を刺されてしまう。

ランニングから戻ったベーブは、エルザと電話をして話した後、傷を負ったドクが現れたために驚く。

床に倒れたドクは、ベーブと呟きながら息を引き取る。

警察を呼んだベーブは動揺し、様々な質問をされて、現れたジェーンウェイからドクの友人だと言われる。

ジェーンウェイを迷惑に思うベーブは、ドクが政府の秘密機関の支局員だったことを知らされる。

それを信じないベーブに、相手が現れると伝えたジェーンウェイは、おとりになってほしいと言って協力を求める。

ジェーンウェイが帰った後で入浴していたベーブは、カールとエアハルトに襲われて拉致される。

ある場所に連れて行かれて拘束されたベーブは、現れたゼルから”安全か?”と訊かれるものの、その意味が理解できない。

カールに押さえつけられたベーブは、ゼルに虫歯を刺激され、痛みに苦しみ叫び声をあげる。

クローブ・オイル”を塗られて傷みが収まったベーブは、再び”安全か?”と訊かれて、何も答えないまま別の部屋に連れて行かれる。

そこに現れたジェーンウェイは、カールとエアハルトを殺し、ベーブを連れてその場から脱出する。

ジェーンウェイに感謝したベーブは、白髪が特徴のゼルが、”白い天使”と言われた元ナチの”武装親衛隊”である”アウシュヴィッツ”の歯科医で、ナチの残党としてウルグアイに潜伏中だと知らされる。

1945年、ゼルは、金やダイヤを対価として得て収容者を逃がした。

ゼルは、そのダイヤをドクに渡し、それは銀行の貸金庫に預けられていた。

金庫の鍵を持つのはドクとゼルで、ゼル自身がそれを開けるのは危険だった。

最初が金だったのは金歯を対価としたためで、ベーブはゼルが歯科医である理由を知る。

ゼルがニューヨークにいることを伝えたベーブは、信じないジェーンウェイに、歯科医に拷問されて”安全か?”と訊かれたことを話す。

白髪だったかを訊かれたベーブは禿げていたと答え、剃ったと悟ったジェーンウェイは、拉致された理由は、ドクがダイヤの運び屋だったからだと伝える。

死ぬ前にドクが何かを話したとゼルは考えたと言うジェーンウェイは、兄も部下だったのかとベーブに訊かれ、潜伏して探るスパイだと答える。

ゼルがナチの残党の行方を記録しているため、それを手に入れようとしていたことをジェーンウェイは話す。

ドクが死ぬ前に言った言葉を訊かれたベーブは、何も聞いていないと答える。

ジェーンウェイは車を止め、死んだはずだったカールとエアハルトが現れたために、ベーブは罠だったことに気づく。

ベーブが何も知らないとジェーンウェイから言われたゼルは、再び拷問を始めようとする。

自分が銀行から出たところで、ドクがダイヤを奪おうと企んでいたと話すゼルは、何も知らないとベーブから言われる。

ゼルは、カールにベーブを押さえつけるよう指示し、ドリルを用意して、虫歯ではない歯の神経を刺激する。

ベーブが何も知らないと判断したゼルは、カールとエアハルトに彼を始末するよう命ずる。

その場を去ろうとしたゼルはジェーンウェイに呼び止められ、明日の1時に帰国することになっていると言われる。

それまでに用が済まない場合のことを訊いたゼル、何とかしろと言われ、おとなしく帰国するよう指示される。

軽蔑されたジェーンウェイだったが、それを気にせず、国のために働いているだけだと伝え、皆同じだとゼルは答える。

カールとエアハルトに車に乗せられるベーブは、隙を見てその場から走り去り逃亡する。

ベーブを追ったジェーンウェイだったが逃げられてしまい、カールとエアハルトの車に乗り、彼を轢き殺そうとする。

隣の道路に飛び移ったベーブはその場から姿を消し、タクシーに乗る。

エルザに電話をしたベーブは、迎えに来てほしいと伝える。

監視するカールとエアハルトを警戒しながら、ベーブは向いのアパートのメレデス(ティート・ゴヤ)を呼び、自分の部屋の銃と着替えを取りに行ってもらう。

ベーブの部屋に入ろうとしたメレデスらは、その場を見張っていたジェーンウェイに銃を向けて黙らせる。

ドラッグストアの前でエルザの車に乗ったベーブは郊外に向い、彼女の友人の別荘に着く。

ベーブからゼルの家かと言われたエルザは、ジェーンウェイのことも訊かれて、仲間だと疑われる。

それを否定したエルザだったがベーブに責められ、仲間だと認めて、ゼルらがすぐに来ることを伝える。

納得したベーブは、家がゼルの兄のものだと知り内部を調べる。

ベーブは、エルザが現金をパリからウルグアイに運ぶ役目で、誰とも面識がないことを知る。

その後、ジェーンウェイとカールとエアハルトが現れ、警察が来ると言って銃を向けたベーブは、彼らを家に入れて話し合おうとする。

ゼルの居場所を訊いたベーブは、銃を手にしたカールとエアハルトを射殺する。

銃を捨てるようにと言われたジェーンウェイは、58丁目の銀行にゼルがいるとベーブに伝える。

その場に行くようエルザに指示されたベーブは車に向い、ジェーンウェイは彼を追う。

エルザを殺したジェーンウェイは、ベーブに射殺される。

宝石店を回ったゼルは、3カラットのダイヤの値段を調べる。

ある店で1カラット1万5000ドルだと言われたゼルは、収容所にいたと思われる初老の店員から、会ったことがあると言われる。

適当な話をして店を出たゼルは、自分に気づいた老婦人に名前を呼ばれる。

老婦人は、”白い天使”だと言って周囲の人々にゼルのことを知らせて指差す。

婦人は殺人鬼だと言って道に飛び出し、タクシーに轢かれそうになり倒れる。

起き上がった婦人は尚もゼルに向かって叫び声をあげ、宝石店の店員が彼に近づく。

誰か分かったとゼルに話しかけた店員は、ゼルが隠し持っていたナイフで喉を切られてしまう。

タクシーに乗りその場を離れたゼルは、銀行に向い貸金庫の中身を確認する。

大量のダイヤを見て、喜びのあまり思わず声をあげてしまったゼルは、銀行を出る。

その場にいたベーブに銃を向けられたゼルは、セントラルパークの水処理場に連れて行かれる。

銃を構えるベーブは作業員を追い払い、ゼルから鞄の中のダイヤを見せられる。

それを食えと言ってベーブはダイヤをバラ撒き、焦るゼルは仕方なく一粒、飲み込む。

それ以上は断ると言うゼルは、ドクや父親を侮辱して、隠していたナイフでベーブに襲い掛かる。

ベーブが鞄を捨ててしまったため、ゼルはそれを拾おうとして階段から転げ落ち、ナイフで自分の腹部を刺してしまう。

ゼルは水中に落下して死亡し、ベーブは銃を拾ってその場を離れる。

いつも走っているランニング・コースに向かったベーブは、貯水池に父親の銃を投げ捨てて、ランナー達とは逆方向に歩いていく。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する歴史学を学ぶ大学院生のトーマス・バビントン”ベーブ”リーヴィーは、兄のドクが石油会社の重役だと信じていたが、実は彼は、政府の秘密機関の局員だった。
第二次大戦中に”白い天使”と言われた、元ナチの”アウシュヴィッツ”の歯科医で、残党としてウルグアイに潜伏中のゼル博士は、兄の死を知りニューヨークに向かう。
ダイヤの密輸をしていたゼルの組織に潜入していたドクは、彼らがベーブに近づこうとしていたために警告する。
しかし、ゼルはドクを殺害してしまい、秘密を知っていると思われるベーブに襲い掛かる・・・。
__________

脚本を兼ねるウィリアム・ゴールドマンの小説”Marathon Man”を原作にしたベストセラーの映画化であり、監督ジョン・シュレシンジャー、当時、若手期待のダスティン・ホフマンと映画界を代表する名優であるローレンス・オリヴィエ共演のサスペンス。

ウィリアム・ゴールドマンの原作にほぼ忠実な内容も注目で、ナチの残党である歯科医が、主人公の歯の神経を刺激する拷問シーンが話題になった。

第二次大戦中、元ナチの”武装親衛隊”である”アウシュヴィッツ”の歯科医が、残党としてウルグアイに潜伏しているという設定であり、その恐怖をフラッシュバックなどで描写するわけではないが、悪魔のような人間性を感じさせ、見事な演技を見せるローレンス・オリヴィエの鋭い眼差しが強烈に印象に残る。

その歯科医、”白い天使”と言われた”クリスチャン・ゼル博士”が南米に潜伏している設定などは、「ブラジルから来た少年」(1978)に登場する、”死の天使”とその名を恐れられた、元ナチス親衛隊将校ヨーゼフ・メンゲレ博士をモデルにしていることは明らかだ。
ヨーゼフ・メンゲレは当時も存命だった。

本作の2年後の同作では、ローレンス・オリヴィエが、ヨーゼフ・メンゲレを追うナチ・ハンターを演じている。

サスペンスとしての展開で物語に引き込み、歯科医や秘密組織の異様性を描く、ジョン・シュレシンジャーの無駄のない力強い演出も見所の作品。

第49回アカデミー賞では、助演男優賞(ローレンス・オリヴィエ)にノミネートされた。
ローレンス・オリヴィエは、ゴールデングローブ賞では助演男優賞を受賞している。

主演のダスティン・ホフマンは、マラソン・ランナーの”アベベ・ビキラ”を崇拝する、ややストイックな性格の歴史学を学ぶ大学院生を熱演している。

犯罪とは無縁な主人公の弟とは違い、政府秘密機関の局員という身分を隠しながら行動するロイ・シャイダー、その上司である支局長のウィリアム・ディヴェイン、主人公と関係するゼル(ローレンス・オリヴィエ)の部下マルト・ケラー、主人公の恩師フリッツ・ウィーヴァー、ゼルの部下リチャード・ブライトマーク・ローレンス、主人公の自殺した父親アレン・ジョセフ、主人公の向いのアパートの住人ティート・ゴヤ、ゼルの兄ベン・ドーヴァ、彼と言い合いになるユダヤ人のルー・ギルバート、ダイヤの運び屋ジャック・マランなどが共演している。


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