ノーカントリー No Country for Old Men (2007) 5/5 (28)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

2005年に発表された、コーマック・マッカーシーの”No Country for Old Men”の映画化。
動のジョシュ・ブローリン、恐怖のハビエル・バルデム、静のトミー・リー・ジョーンズ、それぞれの信ずる思惑がいかにしてぶつかり合うか・・・。
自らの作品の中で最も暴力的だと語る製作、監督、脚本、編集を兼ねるコーエン兄弟がリアリズムを追求して描く、主演トミー・リー・ジョーンズハビエル・バルデムジョシュ・ブローリンウディ・ハレルソンケリー・マクドナルド共演による犯罪ドラマの傑作。


ドラマ(サスペンス/犯罪)

コーエン兄弟 / Joel Coen, Ethan Coen 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:ジョエル&イーサン・コーエン
製作:
ジョエル&イーサン・コーエン

スコット・ルーディン
製作総指揮:
ロバート・グラフ

マーク・ロイバル
原作:コーマック・マッカーシー
脚本:ジョエル&イーサン・ コーエン
編集:ジョエル&イーサン・ コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
音楽:カーター・バーウェル

出演
トミー・リー・ジョーンズ:エド・トム・ベル保安官
ハビエル・バルデム:アントン・シガー
ジョシュ・ブローリン:ルウェリン・モス
ウディ・ハレルソン:カーソン・ウェルズ
ケリー・マクドナルド:カーラ・ジーン・モス
スティーブン・ルート:シガー、ウェルズの雇い主
ベス・グラント:アグネス
ギャレット・ディラハント:ウェンデル保安官補
テス・ハーパー:ロレッタ・ベル
バリー・コービン:エリス

アメリカ 映画
配給 ミラマックス / パラマウント・バンテージ
2007年製作 122分
公開
北米:2007年11月21日
日本:2008年3月15日
制作費 $25,000,000
北米興行収入 $74,273,505
世界 $171,627,166


アカデミー賞 ■

第80回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
助演男優(ハビエル・ バルデム)
脚色賞
・ノミネート
撮影・編集・録音・音響編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1980年6月、テキサス州西部
祖父も父親も保安官で、25歳から保安官を続けるエド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は、増え続ける凶悪犯罪を理解できず嘆き悲しむ。

逮捕された殺し屋アントン・シガー(ハビエル・ バルデム)は、保安官補を殺して、武器の圧縮ボンベのエアーガンを持ちパトカーで逃亡する。

一般の車を止めたシガーは、何のためらいもなく運転手をエアガンで殺害して車を奪う。

リオ・グランデ川近郊。
プロングホーン狩りをしていた、ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は、死体が散乱している、麻薬の取引現場を発見する。

そこには、銃弾を受けた瀕死のメキシコ人や大量のヘロインが残されていた。

取引の現金があるはずだと考えたモスは、小高い丘の木陰で、死体と共にケースに詰まった大金を見つけ、彼は、その現金を持ち去ってしまう。

帰宅したモスは、拳銃や見慣れないケースなどを持ち帰ったことを気にする妻カーラ・ジーン(ケリー・ マクドナルド)の質問にまともに答えず眠ろうとする。

しかしモスは、現場のメキシコ人が気になり、様子を見に行き、現われた、現金の行方を追う者に襲撃され、傷を追いながら川に飛び込み逃げ延びる。

何とか家に戻ったモスは、カーラ・ジーンを実家に帰し、現金の入ったケースを持って逃亡の旅に出る。

自分のルール通りに、ためらいなく殺人を繰り返すシガーは、モスの持ち去った現金を取り戻すために雇われる。

シガーは、モスの車の登録プレートを外し、金に仕組まれた発信機を渡され、呼び出した男達を射殺する。

保安官ベルは、ウェンデル保安官補(ギャレット・ディラハント)と共に焼け焦げた車を調べる。

ベルは、保安官補を殺して逃げた犯人の仕業だと確信して、麻薬取引現場も検証し、残された車と死体から、モスが事件に関与していることを知る。

シガーは、モスのトレーラー・ハウスに侵入し、電話会社の請求書から通話記録を手に入れ、彼と現金の行方を追い始める。

モスがどんな相手に追われているか知っている限り、何とかして逃げようとすることを察したベルは、彼の身柄の保護と殺し屋を捕えるため彼らの行方を追う。

カーラ・ジーンをバスに乗せて、デル・リオのモーテルに身を隠したモスは、現金をエアダクトに隠す。

電話記録を見たシガーは、モスの妻カーラ・ジーンの実家を探し当てる。

護身用のショットガンとテントを買ったモスは、モーテルに戻り、借りていた部屋の二部屋隣の部屋も借りる。

現金の発信信号をキャッチしたシガーは、モスの居場所を知り現場に急行する。

モスは、借りた部屋のエアーダクトからテントのポールなどを使い、隠した現金のケースを取り出して逃亡する。

同じ頃、現金の在り処を受信機で知ったシガーは、モスの最初に借りたモーテルの部屋に忍び込み、雇われた別の殺し屋を殺害して金を探す。

シガーは、エアーダクトに気づき調べるが、ケースを引きずった跡が残されているだけで現金は持ち去られていた。

シガーを雇った現金の所有者(スティーブン・ルート)は、彼に危険を感じて、別の追跡者カーソン・ウェルズ(ウディ・ ハレルソン)にシガーの始末を依頼する。

モスは別のホテルに潜むが、現金に仕込まれた発信機を見つけ、忍び寄るシガーを迎え撃とうとする。

その時、シガーのエアーガンで撃ち抜かれたドアの鍵が、モスの脇腹に命中する。

窓から逃げたモスは、ベトナム帰還兵の自分なら、シガーを始末し出来ると判断し、彼に立ち向かい傷を負わせる。

負傷したものの、仕留められない獲物はないという自信があるシガーは、奪った医療品で傷の手当てをして、再びモスを追う。

メキシコに逃れたモスは、現金を隠した後、病院に運ばれるのだが、現れたウェルズから、金と引き換えにシガーから守ると持ちかけられ、妻カーラ・ジーンの危険も知らされる。

ベル保安官は、カーラ・ジーンと会い現状を把握すると、数十年の自分のキャリアで、悪は必ず倒せると信じるのだった。

シガーは、自分には邪魔なウェルズをあっさりと殺し、彼に連絡してきたモスに、金を渡せば妻と共に命は見逃すと言い渡す。

しかし、シガーの流儀を理解したモスは、困惑して電話を切る。

ベルは、モスの家とデル・リオのモーテルの部屋の鍵を吹き飛ばした手口が同じことから、モスを殺し屋が追っていることを察知する。

病院を抜け出したモスは、エル・パソのモーテルにカーラ・ジーンを呼び出し、現金を預けようとする。

そしてシガーは、ウェルズを雇った雇い主を殺害する。

母アグネス(ベス・グラント)と共に、エル・パソに向かおうとするカーラ・ジーンは、ベル保安官に、モスの安全を保障する条件で彼の居場所を知らせる。

その間アグネスは、親切にしてくれたメキシコ人に目的地のホテルの名前を教えてしまう。

エル・パソのモーテルに着いたベルだったが一足遅く、モスは殺し屋の銃弾に倒れていた。

理解できない犯行を嘆く、地元保安官と会ったベルは、犯行現場のモーテルに向かう。

ベルは撃ち抜かれたドアの鍵を確認し、犯人が中に潜んでいることを察して、拳銃を抜き部屋に入る。

しかし、部屋には人影はなく、腰を下ろして気を落ち着かせたベルは、エアーダクトの蓋が開けられているのに気づく。

引退して、今は車椅子生活を送っている元保安官エリス(バリー・コービン)を訪ねたベルは、自分には力が足りないとを嘆く。

エリスは、”この国は人に厳しく何も止められない、変えられると思うのは、思い上がりだ”と言い放つ。

病死した母の葬儀を終えて帰宅したカーラ・ジーンは、シガーが家の中にいることに気づく。

カーラ・ジーンを殺すのが、殺したモスとの約束だと、彼女には理解できない筋を通そうとするシガーは、コインの裏表で彼女の生死を決めさせようとする。

しかし、カーラ・ジーンはそれを拒否し、決めるのはコインではなくシガーだと伝えるが、彼はコインに従ってきたと答える。

カーラ・ジーンの家を出たシガーは、ブーツの汚れをチェックして、車でその場を立ち去る。

自転車の子供を気にしながら運転していたシガーは、交差点で、ステーションワゴンに衝突される。

腕を骨折したシガーは、子供からシャツを買い取り、首にかけて腕を吊り、その場から立ち去っていく。

引退したベルは、妻ロレッタ(テス・ハーパー)に、亡くなった父親がでてくる、二つの夢を見たことを話し始める。

夢では父親は自分よりも20歳若く、一つ目のは、どこかの町で父に金をもらい、それを無くしたような夢で、二つ目は二人で昔に戻ったような夢だった。

その夢は、
ベルは馬に乗り、夜中に寒くて雪も積もる山道を越えるが、父は何も言わず、体に毛布を巻きつけて、うなだれながら進み彼を追い抜く。

父は、昔のように、月に似た光る火を入れた牛の角を持っていた。

夢の中でベルは知っていた、父が先に行き、闇と寒さの中で、どこかで火を焚いていると、そして、自分が行く先に父がいることを。

ベルは、そこで目が覚めたとロレッタに話す。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1980年6月、テキサス州西部
狩りをしていたルウェリン・モスは、死体が散乱する麻薬の取引現場を発見する。
大量のヘロインと大金を見つけたモスは、その現金を持ち去ってしまう。
帰宅したモスは、妻カーラ・ジーンの質問に答えずに眠ろうとするが、現場が気になり再びその場に向かう。
しかし、モスは、現金の行方を追う者達に襲撃されて逃亡する。
家に戻ったモスは、カーラ・ジーンを実家に帰し、現金を持って逃亡の旅に出る。
その頃、無差別殺人を繰り返す殺し屋アントン・シガーは、モスの持ち去った現金を取り戻すため雇われる。
一方、殺人事件を追っていた保安官エド・トム・ベルは麻薬の取引現場に向かい、モスが事件に巻き込まれていることを知るのだが・・・。
__________

バックミュージックもない、淡々と進む単純明快な展開の中で突然訪れる恐怖は、異常なまでの緊張感を与え、観る者をドラマに引き込んでいく。

保安官トミー・リー・ジョーンズの視点で捉えた物語であり、数十年、警察官を勤めたにも拘らず、あまりに無力な自分や、金のために殺し合う人間の愚かさ、それに逆らうことが出来ない運命を、コーエン兄弟らしい、痛烈な皮肉も込めて描いている。

第80回アカデミー賞では、8部門にノミネートされ、作品、監督、助演男優(ハビエル・ バルデム)、脚色賞を受賞した。
・ノミネート
撮影・編集・録音・音響編集賞

挿入曲などはないが、音楽担当はコーエン兄弟の盟友カーター・バーウェル、同じくロジャー・ディーキンスが撮影を担当している。

北米興行収入は約7400万ドルに留まるが、全世界では、約1億7200万ドルのヒットとなった。

自分の警察人生を見つめ直しながら、黙々と逃亡者と殺し屋を追う、老練保安官を演ずるトミー・リー・ジョーンズの、深みのある演技は素晴らしい。

殺人鬼役ハビエル・バルデムの全身から漂う恐怖感は、映画史上に残るキャラクターとも言える。

殺し屋には似合わない独特なヘアースタイル、無表情で不敵な面構えで迫る、圧縮ボンベのエアーガンと黒づくめの衣装、そして哲学的とも言える自分の殺しのルールを徹底して貫き通す姿は凄まじい迫力だ。

モス(J・ブローリン)に撃たれたて、自分の足を治療する手際のよさや医療知識から知性も感じ、何を目的に殺しを続けるのか、周辺の人間には全く理解できない描写で、プロの殺し屋としての恐ろしさを表現している。

アメリカン・ギャングスター」(2007)や「ミルク」(2008)など話題作の出演が続いていた、退役軍人としてのタフさが印象的なジョシュ・ブローリンの好演も光る。

普通ならば凄みのある殺し屋だろうが、シガーに子供扱いされ、あっさり消されてしまうウディ・ハレルソン、何の罪もないままシガーの餌食になってしまうモスの妻ケリー・マクドナルド、その母親ベス・グラント、殺し屋達の雇い主スティーブン・ルート、経験の浅い保安官補ギャレット・ディラハント、ベル保安官の妻テス・ハーパー、元保安官バリー・コービンなどが共演している。


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