波止場 On the Waterfront (1954) 5/5 (34)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

ピューリツァー賞(1949)を受賞した、マルコム・ジョンソンの、ニューヨーク・サン紙に連載(24回)された記事を基にして製作された、監督エリア・カザン、主演マーロン・ブランドカール・マルデンリー・J・コッブロッド・スタイガーエヴァ・マリー・セイントマーチン・バルサム共演による社会派ドラマの傑作。


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:エリア・カザン
製作:サム・スピーゲル
脚本:バッド・シュールバーグ
撮影:ボリス・カウフマン
編集:ジーン・ミルフォード
美術・装置:リチャード・デイ
音楽:レナード・バーンスタイン

出演
マーロン・ブランド:テリー・マロイ
カール・マルデン:バリー神父
リー・J・コッブ:ジョニー・フレンドリー
ロッド・スタイガー:チャーリー・マロイ
エヴァ・マリー・セイント:イディ・ドイル
ジョン・F・ハミルトン:”ポップ”ドイル
リーフ・エリクソン:グローヴァー
マーチン・バルサム:ジレット

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1954年製作 107分
公開
北米:1954年7月28日
日本:1954年6月24日
製作費 $910,000
北米興行収入 $9,600,000


アカデミー賞 ■
第27回アカデミー賞
・受賞
作品・監督
主演男優(マーロン・ブランド)
助演女優(エヴァ・マリー・セイント)
編集・脚本
撮影(白黒)・美術賞(白黒)
・ノミネート
助演男優
(カール・マルデン/リー・J・コッブ/ロッド・スタイガー)
作曲賞(ドラマ・コメディー)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニューヨーク
港湾労働者組合を牛耳っているジョニー・フレンドリー(リー・J・コッブ)は、右腕のチャーリー・マロイ(ロッド・スタイガー)の弟テリー(マーロン・ブランド)を、自分を告発する心配のある労働者で、信望の厚いジョーイ殺害に加担させる。

ジョーイを脅すだけと聞いていたテリーは、ボスの労働者に対する仕打ちに嫌気がさしていた。

テリーは、元ボクサーで乱暴者に見えるが、ジョーイが可愛がっていた鳩の面倒を見る、優しい一面のある青年だった。

港湾犯罪委員グローヴァー(リーフ・エリクソン)とジレット(マーチン・バルサム)から、ジョーイの死亡の件でテリーに接触があるが、彼は関与を否定する。

正義感のあるバリー神父(カール・マルデン)は、ジョーイの父親ドイル(ジョン・F・ハミルトン)や、妹のイディ(エヴァ・マリー・セイント)の復讐心をなだめ、フレンドリーらに法的な裁きを受けさせようと考える。

バリー神父は、仕事にあぶれる労働者の組合活動を支援しようと、教会で集会を開こうとするが、チャーリーは、それを弟テリーに探らせようとする。

神父は、フレンドリーを恐れて口を閉ざし、すわずかな人数しか集まらない教会の集会を見て、絶句する。

集会はフレンドリーの部下に妨害されてしまい、偵察に来ていたテリーはイディを助け出す。

痛めつけられた労働者の中には、協力があれば共に戦い抜くことをバリー神父に約束され、勇気を与えられる者もいた。

イディは、テリーが兄殺害に関与しているものと疑うが、子供時代に同じ学校に通っていたこともある、純真な心も持ち合わせた彼に惹かれ始める。

そんなイディに、父ドイルは、テリーの素性を知らせて、修道会が経営する大学に戻らせようとするが、彼女は、兄を殺した犯人を捜し不正を暴くためにそれを拒絶する。

テリーとイディはその後も顔をあわせ、テリーは自分の生い立ちを正直にイディに話して聞かせる。

しかしテリーは、信じるものは自分だけだけで”やられる前にやる”と言い切る、獣のような側面も見せる。

イディは、テリーに不正を正すための協力を頼むが、彼はそこまでの決心はつかず、イディに危険な犯人捜しを止めさせようとする。

やがて労働者は立ち上がりフレンドリーを訴え、テリーに犯罪委員会から召喚状が届く。

イディはそれを見て、兄の殺害犯はフレンドリーであり、その仲間なのかをテリーに問い質す。

しかし、テリーは答えを返すことが出来ず、イディはその場から立ち去ってしまう。.

教会の偵察の件を、フレンドリーに責められたテリーは、イディと離れることを彼に強要され、気持ちが次第に一味から遠ざかっていく。

そして、フレンドリーへの訴えを起こした労働者は、事故に見せかけられて殺害される。

犠牲者に祈りを捧げたバリー神父は、声を荒げて戦い抜くことをフレンドリーらに告げる。

テリーは心を動かされ、フレンドリーに反抗し、それを見ていたイディは、テリーの元に向かい心を許す。

そしてテリーは、ジョーイを呼び出したのは自分だということをバリー神父に告白する。

神父は、イディと犯罪委員会にもそれを話すことをテリーに勧め、真実を知らされたイディは愕然とする。

委員会のグローヴァーと接触したテリーは、ボクシングの八百長試合の話をしただけだった。

フレンドリーは、先手を打って、チャーリーにテリーの口封じを命ずる。

自分に銃まで向け、証言を拒否するよう迫るチャーリーに対し、テリーはそれを断る。

八百長までさせて、ボクシング生命を終わりにさせたことなどもチャーリーに話したテリーは、人間として生きる道を模索する自分の気持ちを伝える。

チャーリーは、テリーを説得できなかったため、覚悟を決め、彼に拳銃を渡して別れる。

イディの元に向かったテリーだったが、フレンドリーの手下達が、責任を取らされたチャーリーの殺害現場に彼を誘い出す。

テリーは、銃を持ちフレンドリーへの復讐を誓うが、暴力を否定して法廷で闘うべきだと言う、バリー神父の言葉で思い止まる。

そしてテリーは、フレンドリーが殺害を指示したことを法廷で証言する。

その後テリーは、仲間達や、労働者からもジョーイ殺害に関与したために無視され、警護の警官が付けられる。

弟分の少年達もテリーの裏切りにショックを受け、彼の飼っていた鳩を殺してしまう。
テリーは、イディが引き止めるのを聞かずに、ジョーイの上着を着て波止場に向かう。

仕事をもらえないテリーは、フレンドリーの事務所に押し入り袋叩きにされる。

イディとバリー神父が現れてテリーを助けようとするが、周囲を固めたフレンドリーの手下がそれを阻止する。

テリーを軽蔑していた労働者達も、それを見て労働を拒否する。

そして彼らは、テリーとなら働くことを雇い主に告げて、フレンドリーを海に突き落とす。

傷を負ったテリーは、バリー神父らに励まされて立ち上がる。

そして、テリーは雇い主の待つ倉庫へと向かい、彼の勇気を見て、労働者達もそれに続く。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニューヨーク
港湾労働者組合を牛耳っているフレンドリーは、右腕のチャーリーの弟テリー・マロイを、自分を告発するかもしれない労働者で、人々の信望厚いジョーイ殺害に加担させる。
脅すだけと聞いていたテリーは、ボスの労働者に対する仕打ちに嫌気がさしていた。
テリーは、港湾犯罪委員のグローヴァーには、事件の関与を否定する。
その頃、正義感のあるバリー神父は、復讐心を抱くジョーイの父ドイルや妹イディの心をなだめ、フレンドリーらに法的な裁きを受けさせようと考える。
組合活動を支援するバリー神父だったが、報復を恐れ、集会にはわずかしか人は集まらず、彼は絶句する。
集会はフレンドリーの部下に妨害され、偵察に来ていたテリーはイディを助け出す。
イディは、テリーが兄殺害に関与しているものと疑うが、純真な心も持ち合わせたテリーの子供時代を知っているため、彼に惹かれ始める・・・。
__________

まるでドキュメンタリーのような、ムダのない脚本を生かした息もつかせぬエリア・カザンのシャープな演出は、出演者の細やかな感情表現や感動的に盛り上がるクライマックスも含め見応え十分で、非常に完成度の高い作品に仕上がっている。

第27回アカデミー賞では、作品、監督、主演男優(マーロン・ブランド)、助演女優(ヴァ・マリー・セイント、編集、脚本、撮影(白黒)、美術賞(白黒)の8部門を受賞した。
・ノミネート
助演男優(カール・マルデン/リー・J・コッブ/
ロッド・スタイガー)
作曲賞(ドラマ・コメディ)

1989年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

セット撮影はほとんどなく、全編ニューヨーク・ロケという、当時としては画期的な手法がとられている。

しかも、ほとんどが野外撮影で、特に、主人公が神父に説得され、殺害関与について告白する場面で、対岸に”エンパイア・ステート・ビル”を臨む遠景のショットは秀逸だ。

レナード・バーンスタインの、力強い音楽も印象に残る。

内面に秘める感情を表現するマーロン・ブランドの抑え気味の演技には圧倒される。

他の出演者、受賞は逃すもののそれぞれアカデミー助演賞候補になった、神父役のカール・マルデン、組合を牛耳る大物のリー・J・コッブ、その右腕で主人公の兄のロッド・スタイガーに加え、映画初出演でアカデミー助演賞を受賞したエヴァ・マリー・セイントらの名演も素晴らしい。

犯罪委員会のリーフ・エリクソンマーチン・バルサム、港湾労働者でイディ(E・M・セイント)の父親のジョン・F・ハミルトンなどが共演している。
本作でマーロン・ブランドは、アカデミー主演男優賞を史上最年少(30歳11ヶ月)で受賞するが、この記録は1977年公開の「グッバイガール」で、リチャード・ドレイファスが受賞(30歳6ヶ月)するまで破られなかった。
その25年後、「戦場のピアニスト」(2002)で、エイドリアン・ブロデイがこの記録を破ることになる。


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