偽装の女 Quality Street (1937) 3/5 (26)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

1901年に上演された、J・M・バリーの舞台劇”Quality Street”を基に製作された1927年のサイレント映画”Quality Street”と同じ題材による作品。
憧れの医師が出征している間に若さを失った女性の女心とロマンスを描く、監督ジョージ・スティーヴンス、主演キャサリン・ヘプバーンフランチョット・トーンエリック・ブロアフェイ・ベインター他共演のロマンチック・コメディ。


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト ■

監督:ジョージ・スティーヴンス
製作:パンドロ・S・バーマン
原作:J・M・バリーQuality Street”(戯曲)
脚本
モーティマー・オフナー
アラン・スコット

撮影:ロバート・デ・グラス
編集:ヘンリー・バーマン
音楽:ロイ・ウェッブ

出演
フィービー・スロッセル/オリヴィア”リヴィー”:キャサリン・ヘプバーン

ヴァレンティン・ブラウン:フランチョット・トーン
志願兵公募官:エリック・ブロア
スーザン・スロッセル:フェイ・ベインター
パティ:コーラ・ウィザースプーン
シャーロット・パラット:ジョーン・フォンテイン
メアリー・ウィロビー:エステル・ウィンウッド
イザベラ:ボンタ・グランヴィル

アメリカ 映画
配給 RKO

1937年製作 83分
公開
北米:1937年3月26日
日本:1937年6月


アカデミー賞 ■

第10回アカデミー賞
・ノミネート
作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1805年、イングランド、クオリティー・ストリート。
20歳のフィービー・スロッセル(キャサリン・ヘプバーン)は、医師ヴァレンティン・ブラウン(フランチョット・トーン)に憧れていた。

フィービーの姉スーザン(フェイ・ベインター)は、友人のメアリー・ウィロビー(エステル・ウィンウッド)らに、妹が結婚するかもしれないと言って彼女達を驚かせる。

帰宅したフィービーにその件を確かめたスーザンは、まだ求婚はされていないと言われる。

メアリーは、そのことが気になり姉妹に探りを入れ、家の中に男性がいる雰囲気を感じると指摘する。

現れた志願兵公募官(エリック・ブロア)に、戦争に志願した男性が誰かを尋ねたフィービーは、答えない彼を追い払う。

メアリーらに結婚を祝福されたフィービーは、スーザンがブラウンのことを話してしまったことを気にしながら、訪れることになっている彼のことを話す。

スーザンもフィービーを祝福し、かつて愛した人との結婚を諦めたことを語り、自分が着る予定だった直したウェディングドレスを妹に渡す。

感激したしたフィービーは、スーザンと共に訪ねて来たブラウンを迎える。

立ち入った話になり始めたため、スーザンはそれがプロポーズだと思い席を外す。

フィービーもそれを期待してブラウンと裏庭に向い、彼の甘い言葉に思いが膨らむ。

ところが、ブラウンが話したかったのは戦争(ナポレオン戦争)に志願したことだった。

驚きながら、手紙を書くことなどをブラウンに約束したフィービーは、スーザンに彼の志願についてを知らせる。

フィービーは、結婚の報告に来たのかと思っていたとブラウンに伝えるが、彼は笑いながらそんな相手はいないと答える。

ブラウンはその場を去り、フィービーは涙し、スーザンは心を痛める妹の気持ちを察して、ウェディングドレスを片付ける。

他の男性が見つかるというスーザンの意見を遮り、フィービーは、もうこの話は終わりにすると言って涙を流す。

通りでは、ブラウンを含めた6人の志願者が旅立とうとしていた。

フィービーとスーザンは、行進するブラウンが手を振る姿を見守る。

戦争は、その後10年間続いた。

スーザンとフィービーは、学校を開設して子供達を教育していた。

フィービーは、帰還兵が戻る度にブラウンの帰りを待ったが、彼の姿はなかった。

そんなフィービーの元に、ブラウンが帰還して現れ、既に若さを失っていた彼女は戸惑う。

苦労したフィービーの気持ちを察しながら、ブラウンはフィービーを舞踏会に誘おうとするが、彼女は遠慮してしまう。

その夜、ブラウンの相手が若いシャーロット・パラット(ジョーン・フォンテイン)であることを気にする30歳のフィービーは落ち込む。

スーザンは、フィービーより10歳年上のメイドのパティ(コーラ・ウィザースプーン)が、15年間もある男性のことを想っていることを知る。

気分転換のため、着飾り化粧をしたフィービーを見たスーザンとパティは、美しい彼女に見とれてしまう。

そこにブラウンが現れ、フィービーは、自分と気づかない彼に姪のオリヴィア”リヴィー”だと答える。

昔のフィービーによく似ているリヴィーに惹かれたブラウンは、彼女とスーザンを舞踏会に誘う。

それを知ったスーザンは戸惑い、リヴィーは、素敵な男性を紹介してもらえるか期待する。

ブラウンは自分が相手をすると言うものの、リヴィーは、彼が年を取り過ぎているのではないかと意見する。

スーザンとカードをすると言って現れたメアリーらは、ブラウンから、フィービーの姪リヴィーとスーザンと共に舞踏会に行くと言われる。

メアリーらは姉妹に姪がいたことを疑問に思うが、それを説明するスーザンに続き着飾ったフィービーが現れたために驚く。

舞踏会会場に着いたスーザンは、教え子がいたために焦るが、彼らに姪のリヴィーを紹介してもフィービーと気づかなかった。

他の将校と踊ろうとするリヴィーに近づくブラウンだったが、彼女は、スーザンと踊ることを勧める。

その後もリヴィーは、自分を奪い合う将校の行為をブラウンに見せつけて彼をからかう。

ブラウンが病気のフィービーに会うと言い出したため、リヴィーは雨の中、急いで家に戻り着替えてベッドに入る。

見舞いに来たブラウンはフィービーを気遣い、彼女は、姪リヴィーに生活を掻きまわされていると言って嘆く。

ブラウンは立ち去り、フィービーは、病気の自分には優しく接する彼に腹を立て、夜にリヴィーとなり痛い目に遭わせると言って息巻く。

スーザンに、そこまで残酷になれるのかと言われたフィービーは、それが本意ではないため悲しくなってしまう。

その夜、着飾ったフィービーはリヴィーに扮し、舞踏会でブラウンと踊る。

メアリーらは、リヴィーを観察して正体を暴こうと考え、それを聞いたパティも舞踏会に向かう。

ブラウンは、リヴィーに付きまとう士官らを追い払う。

会場に着いたパティは、メアリーらがリヴィーを探りに来るため、フィービーを見つけてそれを伝えるよう公募官に頼むが、彼にはそれが理解できない。

パティは、その場にいたスーザンにメアリーらが現れることを伝える。

ブラウンがリヴィーに重要な話をしようとした時に、スーザンが現れて気分が悪いことを知らせる。

気付けのアルコールを取りに行くためブラウンが席を外した間に、スーザンはメアリーらがこの場に来たことをフィービーに伝え、二人はその場から逃れる。

結局、フィービーはメアリーらに見つかってしまうが、裏庭のパティの後姿を見て、彼女がリヴィーだと思い込んでいることに気づく。

誤解していたことを謝罪するメアリーらは、フィービーの美しさに驚き、男性が放っておかないだろうと問う。

フィービーが、ブラウンはリヴィーに夢中だと言うため、メアリーは現れた彼に、フィービーを大事にするべきだと助言する。

それを今リヴィーに伝えようとしていたと言うブラウンの言葉を聞いて、メアリーらは帰ろうとする。

メアリーは、明日、改めてリヴィーに会いに行くと言ってその場を去る。

リヴィーはブラウンから大事な話を聞き、一緒にいると楽しいが、周囲の人々に迷惑をかけると言われる。

他の女性に恋していると言うブラウンは、それがリヴィーによく似た人だと伝える。

リヴィーは、年を取ったフィービーのことを批判し、ブラウンは気分を害してその場を去る。

それを見ていたスーザンは、ブラウンに酷いことを言うフィービーを責める。

しかしフィービーは、ブラウンがリヴィーではなく自分のことを愛していると言って、それをスーザンに伝えながら喜ぶ。

翌朝、訪ねて来たメアリーに、スーザンとフィービーはリヴィーが病気だと伝える。

パティがリヴィーに食事を運ぶというのだが、病人が食べるようなものでないことを確認したメアリーは、フィービーとスーザンを疑いの眼差しで見つめながらその場を去る。

リヴィーは帰ったと言って結婚することを提案するスーザンだったが、フィービーは、ブラウンを一生騙すことなどできないと答える。

フィービーは、現れたブラウンに気づき、思わず怯んでしまう。

辛い女心を伝えたフィービーは、ブラウンの気持ちを受け入れられない。

そこに、メアリーと待ち合わせしたヘンリエッタらが現れ、フィービーは、ブラウンに愛を告げられたというリヴィーに罰を与えたと話す。

ブラウンは、自分はリヴィーを思っているのではなく、フィービーを愛していることを伝える。

それを聞いたヘンリエッタらに祝福されたフィービーは、動揺して席を外してしまう。

ヘンリエッタらに、リヴィーとフィービーが同一人物ではないかと言われたブラウンは、病気のリヴィーを医者の立場で診察しようとする。

通りを歩いていたメアリーは、ヘンリエッタに呼ばれて家に入る。

誰もいなかった部屋から出て来たブラウンは、リヴィーを眠らせておく方がいいと言って、メアリーらに帰った方がよいと促す。

ブラウンは、リヴィーに会いたいと言ってフィービーとスーザンに迫る。

二人が答えないため不審に思うブラウンだったが、パティは、帰還した際にフィービーに冷たくしたせいだと言って彼を責める。

フィービーは着飾ってリヴィーに扮して病気を装い、それに気づいたブラウンは、フィービーがどこなのかをスーザンに尋ねる。

空気の入れ替えをしていると言われたブラウンは、リヴィーに今すぐ支度をして帰る様に指示する。

洋服と帽子を持ってきたブラウンは、その場にいた公募官に手伝わせて、ソファーのクッションに洋服を着せて帽子を被す。

ブラウンは、混乱する公募官と共にそれを外に運び出す。

慌てたフィービーは、ブラウンがリヴィーを連れ出したとスーザンに言われ、彼女が何を話しているのか理解できない。

ブラウンは”リヴィー”を馬車に運び、公募官とパティにどこかに埋めてくるよう指示する。

それを見ていたメアリーらは、家の外に飛び出して馬車を追うものの、一歩遅かった。

ブラウンは、自分がリヴィーを見送ったことをメアリーらに伝える。

リヴィー目当てに現れた士官らの贈り物をメアリーらに渡したブラウンは、学校の看板を外して家に入る。

ブラウンは、看板を薪だと言ってスーザンに渡し、フィービーに愛を伝える。

フィービーはそれを受け入れ、ブラウンは、彼女とスーザンを抱き寄せる。

その様子を見ていたメアリーや近所の女性達は、事の結末に一応は満足する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1805年、イングランド、クオリティー・ストリート。
若くて美しい20歳のフィービー・スロッセルは、姉スーザンと質素に暮らしていた。
そんなフィービーは医師であるブラウンに憧れ、求婚されることを心待ちにしていた。
ところが、意中の相手もいないと言うブラウンは出征してしまい、10年が経過する。
スーザンとと共に子供達のための学校を運営していたフィービーは、帰還したブラウンが、老けてしまった自分に興味を示さないためにショックを受ける。
気分転換に着飾って化粧をしてみたフィービーの美しさに、スーザンは驚く。
フィービーは”リヴィー”という名の姪に扮し、自分に惹かれたブラウンと共に舞踏会に向かう。
老けた自分を相手にしなかったブラウンへの復讐を考える”リヴィー”は、男性の注目を浴びて有頂天になりながら、ブラウンをからかうのだが・・・。
__________

後に重厚な作品を世に出すことになる若きジョージ・スティーヴンスの純粋なコメディで、「乙女よ嘆くな」(1935)でも組んだキャサリン・ヘプバーン主演による、ロマンス映画としても楽しめる作品。

少々、複雑に展開する恋愛劇であり、全てを知った医師が、誰にも迷惑をかけず傷つけないまま、話をうまくまとめて恋も手に入れるというクライマックスは痛快でもある。

またヒロインが、相手を思う気持ちを踏みにじられて”復讐”を考え、二役を演じる姿が実に愉快だ。
しかし、正直なところ、10年が経ち老けてしまったというキャサリン・ヘプバーン演ずる主人公と、それ以前が極端に変わったようには画面上では感じない・・・。

第10回アカデミー賞では、ロイ・ウェッブによる軽快で楽しい楽曲が作曲賞にノミネートされた。

1933年の「勝利の朝」で早くもアカデミー主演賞を受賞したキャサリン・ヘプバーンは、30歳手前にして既に貫録の演技を見せ、喜怒哀楽を変幻自在に演じている。
それでも、しおらしい場面も多く、やや抑え気味のようにも思える。

主人公と紆余曲折の末に結ばれる”理想の男性”を味わい深く演ずるフランチョット・トーン、志願兵公募官を愉快に演ずるエリック・ブロア、おっとりしながらも人の好さが滲み出ている主人公の姉フェイ・ベインター、そのメイド、コーラ・ウィザースプーン、主人公の隣人エステル・ウィンウッド、若いだけの女性と言われる、デビュー直後のジョーン・フォンテイン、学校の女子児童役でボンタ・グランヴィルなどが共演している。


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