赤い河 Red River (1948) 5/5 (22)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

テキサスからカンザスまでのキャトル・ドライブで、”チザムの牛の道”を初めて切り開いた男達を豪快に描いた架空のドラマ。
ハワード・ホークスジョン・ウェインのコンビによる、何作もの名作の中でもベストと言っていい傑作西部劇。
共演モンゴメリー・クリフトジョーン・ドルーウォルター・ブレナンハリー・ケリー、音楽ディミトリ・ティオムキン


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:ハワード・ホークス
製作:ハワード・ホークス
原作:チャールズ・スクニー”The Chisholm Trail.”
脚本:
ボーデン・チェイス
チャールズ・スクニー
撮影:ラッセル・ハーラン
編集:クリスティアン・ニービー
音楽:ディミトリ・ティオムキン

出演
ジョン・ウェイン:トム・ダンスン
モンゴメリー・クリフト:マシュー”マット”ガース
ジョーン・ドルー:テス・ミレイ
ウォルター・ブレナン:ネディーン・グルート
ハリー・ケリー: Mr.メルヴィル
ジョン・アイアランド:チェリー・ヴァランス
ハリー・ケリーJr.:ダン・ラティマー
コリーン・グレイ:フェン
ノア・ベリーJr.:バスター・マッギー
ハンク・ウォーデン:シムス・リーヴス
ポール・フィックス:ティーラー・イェーシー
アイヴァン・パリー:バンク・ケネリー
チーフ・ヨウラチ:クオ
リチャード・ファーンズワース:牧童
シェリー・ウィンターズ:幌馬車隊でダンスする女性

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1948年製作 132分
公開
北米:1948年9月30日
日本:1951年12月21日
製作費 $3,000,000


アカデミー賞 ■

第21回アカデミー賞
・ノミネート
編集・原作賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1851年。
トム・ダンスン(ジョン・ウェイン)と相棒ネディーン・グルート(ウォルター・ブレナン)は、幌馬車隊と共にテキサス近郊にたどり着く。

二人は、テキサスに大農場を作る夢をかなえるため、幌馬車隊と別行動をとることになる。

ダンスンは、同行を希望する恋人フェン(コリーン・グレイ)に別れを告げ、彼女に母親のブレスレットを渡す。

ダンスンとグルートは、テキサスとの境界線”赤い河”を目の前に、幌馬車隊がコマンチに襲われているのろしを見て警戒する。

その夜、二人はコマンチに襲われるものの、それを倒し、ダンスンは、殺した相手がフェンのブレスレットをしていることに気づく。

翌日、二人はテキサスを目指そうとするのだが、幌馬車隊の生き残りの少年(マット)が、さ迷いながらダンスンらの前に現れる。

ダンスンは、何かの役に立つだろうと思い、少年マシューを同行させて先を急ぐ。

やがて、テキサス入りしたダンスン達は、牧草地を求めて南下する。

そしてダンスンらは、ようやく3000キロの旅を終えて、メキシコとの国境の川リオ・グランデの近くで、牛が育つ豊かな牧草地を見つける。

ダンスンは最初の牛二頭に、自分の名前の”D”と”赤い河”の印2本線の焼印”レッド・リバーD”を入れる。

そこに現れたメキシコ人に、地主がいると言われたダンスンは、リオ・グランデ川から北は自分の土地だと主張して譲らず、そのメキシコ人を殺してしまう。

その後、ダンスンは、国中の人々に自分の良質な牛を食べさせたい一心で働き続け、14年の月日が流れる。

必死に働いたダンスンは1万頭の牛を所有はするが、文無しで終わりたくないと考え、牛をミズーリに売りに行くことを決断する。

年をとったダンスンは日増しに頑固になり、戦争から帰り成長したマシュー”マット”ガース(モンゴメリー・クリフト)が仕事を仕切るようになる。

ダンスンは、近隣牧場主の牛にまで自分の焼印を押し、それに不満なマットの意見を受け入れない。

やがて、腕の立つチェリー・ヴァランス(ジョン・アイアランド)が仲間に加わり、同じく銃には自信のあるマットとは、双方の腕を認め合う。

準備の整ったダンスンは牧童達を集め、誰も成功したことのない、困難な旅に同行する契約書にサインさせる。

ダン・ラティマー(ハリー・ケリーJr.)、バスター・マッギー(ノア・ベリーJr.)、シムス・リーヴス(ハンク・ウォーデン)、ティーラー・イェーシー(ポール・フィックス)、クオ(チーフ・ヨウラチ)、バンク・ケネリー(アイヴァン・パリー)ら人員は集まり、そして、いよいよミズーリへの旅が始まる。

1万頭の牛を引き連れ、順調に旅を続ける一団の牧童の中で、険しい道のりのミズーリの他、同じ鉄道が通るカンザス行きも話に出るが、ダンスンはあくまでミズーリ行きにこだわる。

その後は、何事も起こらず、一月が経ったある野営地で、ケネリーが砂糖を舐めようとして物音をたて、牛を刺激して暴走させてしまう。

見張りのダンがそれに巻き込まれて命を落とし、翌日、一行は彼を埋葬して祈りを捧げる。

犠牲者を出し、400頭の牛を失ったダンスンは、ケネリーを鞭打とうとする。

ケネリーは謝罪するものの、拳銃を抜こうとする。

その瞬間、ダンスンが銃でケネリーの眉間を狙ったため、マットが彼を助けようと、一瞬早くケネリーの肩を撃ち抜く。

ケネリーは傷を手当てをされ、馬に乗せられ引き返すことになる。

乾燥とホコリの日々が過ぎた後は40日間雨が続き、旅は困難を極める。

牛の暴走で食料馬車を失い、食事もままならず、2ヶ月が過ぎた頃、牧童達の不満が一気に募っていく。

ミズーリに向かうことが、危険だと考えた牧童の数人は、ダンスンに反発して個人行動を取ろうとするものの、逆に射殺されてしまう。

神経過敏になったダンスンは、以前にも増して頑固になり、牧童達に厳しく接し、マットやグルートにその行動が危険を招くことを忠告される。

逃げ出す者もあらわれ、ダンスンは、チェリーらにそれを追わせる。

赤い河”を渡った頃、 眠ることもできずに酒びたりになり、別人のようになってしまったダンスンは、 チェリーが連れ帰ったティーラーらを縛り首にしようとする。

それに対し、マットを含めた牧童達は反乱を起こして、ダンスンを残して、アビリーン(カンザス州)へ向かおうとする。

グルートにも見放されたダンスンは、牛を連れて旅立とうとするマットに、”必ず殺す”と言い放つ。

ダンスンの影に怯えながら、アビリーンに向かったマットらは、バスターの偵察で、30キロほど先に幌馬車隊がいることを知る。

女もいて、まともなコーヒーがあると聞いたマットは、二日かけて幌馬車隊に合流しようとする。

しかし、現場に近づいたマットらは、幌馬車隊がコマンチに襲われていることを知る。

マットらは幌馬車隊を助けることを決め、既に合流していたチェリーや、勝気な女テス・ミレイ(ジョーン・ドルー)らと共にコマンチを撃退しようとする。

加勢が現れたためにコマンチは逃亡するが、テスが弓矢を受けてしまう。

マットがテスの矢を抜き介抱するが、彼女は自分を娼婦のような目で見た彼に平手打ちし、その後、ショックで気を失ってしまう。

回復したテスはマットに惹かれ、チェリーやグルートから彼の話を聞く。

そして、ダンスンのことなども聞いたテスは、見張りをしているマットの元に向かい、二人は心を通わせるようになる。

マットが、ダンスンに脅えながらも、彼を愛していることを察したテスは、マットの心の支えになる。

先を急いだマット達が去った幌馬車隊に、仲間を引き連れたダンスンが現れ、彼はテスからマットのことを聞きだす。

ダンスンは、自分の名を知っているテスから、マットを愛してしまったことを聞かされる。

子供のいない自分が、どれだけマットに期待していたかをテスに話したダンスンは、自分の跡取りを産んでくれと彼女に頼む。

テスはそれを承知するのだが、引き返すことが条件だとダンスンに伝える。

マットに惹かれるテスの気持ちを知ったダンスンは、自分とフェンのことを思い出し、彼女の頼まれ同行を認める。

100日目。
噂の鉄道が敷かれていたことを確認したマット達は、遂にアビリーンに到着しする。

1865年8月14日。
マット達は、”チザムの牛の道”を切り開くことに成功した。

その後マットは、牛の到着を待っていた、グリーンウッド商社のメルヴィル(ハリー・ケリー)との商談も済ます。

メルヴィルはマットが気に入り、仲間達から聞いたダンスンのことで彼を気遣う。

後を追ってきたダンスンとテスだったが、彼女は一足先にマットの元に向かい、ダンスンの到着を知らせる。

そしてダンスンもアビリーンに到着し、ついにマットと決着をつける時が来る。

ダンスンは、行動を阻止しようとするチェリーに、脇腹を撃たれても動ずることなく、マットに向って行き銃で挑発する。

そして、マットが抵抗しないため、ダンスンは彼を殴り続ける。

ようやくマットが反撃にでた時、二人が互いに慕い合っているにも拘わらず、ばかげた行為だと言ってテスが拳銃を手に涙ながらに割って入る。

それを見たダンスンは、マットにテスと結婚するように命じ、二人のわだかまりが消える。

そしてダンスンは、”牧場に帰ったら、焼印を変える。 ダンスンの”D”に赤い河の2本線、そしてマットの”M”、全てお前の実力だ”と伝える。


解説 評価 感想 ■

チャールズ・スクニーの原作である”The Chisholm Trail.”を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)

トム・ダンスンは、テキサスに大牧場を持つ夢を抱き、相棒グルートと共に”赤い河”を渡り南下する。
途中、コマンチに襲われた幌馬車隊の生き残り少年マットを連れ、 ダンスンは、ついに理想の牧草地にたどり着く。
時は流れ、1万頭の牛を保有する大牧場主になっていたダンスンだったが、財産もない彼は、牛をミズーリに運んで売りさばこうとする。
そしてダンスンは、マットやグルートと共に牧童を集め、誰も成し遂げたことのない苦難の旅に挑もうとする・・・。
__________

第21回アカデミー賞では、編集・原作賞にノミネートされた。

1990年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品。

ウェインの特異なキャラクターや、多彩な出演陣を巧みに使い分け、キャトル・ドライブをテーマに置き、西部劇独特の醍醐味を見事にスクリーンに映し出している。
復讐撃でもあるが、後腐れない、潔い男らしさや生き様を描いた、ハワード・ホークスの演出手腕は冴え渡る。

勇ましく雄壮なディミトリ・ティオムキンの主題曲は、後に同じハワード・ホークスの「リオ・ブラボー」(1959)でも使われる。

1万頭のキャトルドライブを、迫力ある映像で見せるラッセル・ハーランの撮影も素晴らしい。

ウェインは、「勇気ある追跡」(1969)でアカデミー賞を獲得することになるが、本作や「捜索者」(19566)、または「静かなる男」(1952)あたりが、受賞に相応しかったとも思える。

大牧場を作ることだけを夢みて、自分の信念を貫き通そうとする男は、愛した女も捨て、形振り構わず突き進む。
ジョン・フォードの「捜索者」(1956)同様、作品中、ウェインは終始怒っている。
こういう役が許され、また演じられるのは彼くらいしかいない。

ウェインの物腰や、張りのあるバリトンの声は、40歳になったばかりとは思えない貫禄と迫力で圧倒的な存在感だ。

優男に見えがちなモンゴメリー・クリフトだが、デビュー2作目とは思えない。
ウェインの向こうを張り、小柄ながら精神的にも逞しく、堂々と牧童頭を演じている。

リオ・ブラボー」(1959)でもウェインとの絶妙のコンビ見せることになるウォルター・ブレナンは、ひょうきんな世話焼き老人役を、紅一点のジョーン・ドルーのじゃじゃ馬娘ぶりも、ドラマにアクセントを加えている。

ニヒルなジョン・アイアランドジョン・フォードの恩人で盟友ハリー・ケリーと息子ハリー・ケリーJr.ハンク・ウォーデンらの出演も、ファンには嬉しいどころか涙ものだ。

残念ながらハリー・ケリーは、本作の公開を待たずに他界し、それを忍んでジョン・フォードが製作した作品が、ウェインハリー・ケリーJr.出演で本作の直後に公開される「三人の名付親」(1948)だ。

こちらにもハンク・ウォーデンは出演している。

後に名バイプレイヤーとして活躍する牧童のポール・フィックスノア・ベリーJr.、アイヴァン・パリー、チーフ・ヨウラチリチャード・ファーンズワース、主人公の恋人でコマンチに殺されるコリーン・グレイ、「陽のあたる場所」(1951)でモンゴメリー・クリフトと共演するシェリー・ウィンターズも、終盤の幌馬車隊の一員で端役出演している。

テキサスの牧草地の場面とラストで登場する”Red River D”の焼印は、本作後にウェインが、ハワード・ホークス作品他で使用するベルトのバックルのデザインになる。

ジョン・フォード作品では、さすがに遠慮して付けていない。

*私も愛用しています。

ピーター・ボグダノヴィッチの「ラスト・ショー」(1971)で、閉館間近の映画館で最後に上映されていたのが本作「赤い河」だった。
ジョン・フォードを敬愛するも、インタビュー等で彼に素っ気無く対応されたのが原因でもないだろうが、ビグダノヴィッチの西部劇への思い入れを、ハワード・ホークスの本作を使うことで表現したかったようにも思える。


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