ライアンの娘 Ryan’s Daughter (1970) 4.66/5 (32)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

反英運動が激化するアイルランドの寒村を舞台に、まだ成長仕切れていないまま、歳が離れた教師と結婚した妻の不倫の物語を中心に、人間の醜さや優しさを、雄大な大自然をバックに描く、いかにもデヴィッド・リーンらしい、風景描写のスケールの大きさも際立つ、ロバート・ミッチャムサラ・マイルズトレバー・ハワードジョン・ミルズ共演のドラマ。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:デヴィッド・リーン
製作:アンソニー・ハヴロック=アラン
脚本:ロバート・ボルト
撮影:フレディ・ヤング
編集:ノーマン・サヴェージ
音楽:モーリス・ジャール

出演
チャールズ・ショーネシー:
ロバート・ミッチャム

ロージー・ライアン:サラ・マイルズ
ヒュー・コリンズ神父:トレバー・ハワード
マイケル:ジョン・ミルズ
トーマス・ライアン:レオ・マッカーン
ランドルフ・ドリアン:クリストファー・ジョーンズ
ティム・オリアリー:バリー・フォスター

イギリス 映画
配給
MGM

1970年製作 196分
公開
イギリス:1970年12月9日
北米:1970年11月9日
日本:1971年4月24日
製作費 $15,000,000


アカデミー賞 ■

第43回アカデミー賞
・受賞
助演男優(
ジョン・ミルズ)
撮影賞
・ノミネート
主演女優(
サラ・マイルズ)
録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

第一次大戦中。
アイルランドディングル半島の村キネリー。
海岸を散歩中の娘ロージー・ライアン(
サラ・マイルズ)は、ヒュー・コリンズ神父(トレバー・ハワード)と言葉の不自由なマイケル(ジョン・ミルズ)に出くわす。

男を求めているように見える、ロージーの様子を窺いながら、コリンズ神父は酒場に向かい、彼女の父親で店主のトーマス・ライアン(レオ・マッカーン)にそのことを話す。

浜辺にいたロージーは、その後、会議が終わりダブリンから戻った学校教師チャールズ・ショーネシー(ロバート・ミッチャム)と話し込む。

二人は暫し話を弾ませ、チャールズはロージーと別れた後に、亡くなった妻の墓参りをして酒場に向かう。

ライアンらは、ダブリンの様子をチャールズから聞こうとするが、彼は多くを語らなかった。

イギリス感情の高まるアイルランド国民は、駐屯するイギリス軍に対し、武器を密輸して再び立ち上がる機会を窺っていた。

ロージーは、学校に向かいチャールズの帰宅を待ち、彼に愛を伝えようとする。

チャールズは、ロージーの気持ちは嬉しく思うのだが、中年の男が、若さを奪うわけにはいかないと彼女に言い聞かせる。

しかし、自分を嫌いかと問われたチャールズは、ロージーが愛しくなり抱き寄せてしまう。

その頃、アイルランド義勇軍のリーダー、ティム・オリアリー(バリー・フォスター)が、鋳掛け屋に扮して村に入り、海岸の視察などを始め、連絡員だったライアンと接触しようとする。

やがて、年齢差を克服し、チャールズとロージーは結婚することになり、コリンズ神父が二人の式を執り行う。

マイケルは、何事が起きているのか理解できず、それを見て、複雑な表情で二人を見つめる。

ライアンは、娘ロージーのために盛大な祝宴を催すが、その夜、チャールズは、若いロージーの欲望を満たすことが出来なかった。

その後、二人の新生活は始まり、実直な人柄である教師チャールズは理想の夫ではあったが、ロージーの欲求は増すばかりで、満足の出来ない日々が続く。

ロージーは、それをコリンズ神父に見抜かれ、克服するよう助言される。

そんな時、イギリス軍駐屯地の指揮官として、戦場で足を負傷した、ランドルフ・ドリアン少佐(クリストファー・ジョーンズ)が着任する。

マイケルは、自分と同じ足の悪いドリアンを見て親しみを感じる。

ドリアンは、部下からライアンが情報を流していることを聞き、彼の店で手伝っているロージーと出会う。

ロージーは若いドリアンを意識するが、彼は戦場を思い出し、突然、発作で倒れてしまう。

戦場の悲惨な体験から心を閉ざしていた男と、欲望の満たされない女の心は一気に燃え上がってしまう。

やがてロージーは、自宅の裏手の高台にある、軍の駐屯地を気にし始める。

その夜、気持ちが高ぶるロージーが裏庭にいると、ドリアンが現れ、再会を約束をして立ち去る。

翌日の午後、父ライアンから譲られた馬で、ドリアンと遠乗りに出かけたロージーは、欲望のままに彼と何度も愛し合い、初めて満ち足りた思いになる。

そんな二人をマイケルは目撃してしまうが、誰かに伝えることもできない。

帰宅したロージーは、馬が倒れて、ドリアンに助けてもらったとチャールズに伝える。

チャールズは、何となくそれが気になり、ロージーに自分を裏切っていないか問い質す。

そんな夫をロージーは抱き寄せるのだが、彼女はその後もドリアンと情事を重ねる。

ある日、チャールズは子供達を連れて、課外授業で浜辺に向かう。

そこでチャールズは、足を引きずった男と女性の足跡を見つけ、それがロージーとドリアンのものではないかと想像する。

足跡の途中、貝殻を拾った形跡があり、さらにそれは洞窟まで続き、チャールズは愕然としてしまう。

マイケルが、洞窟でドリアンの軍服のボタンを見つけて、人々の前でロージーに対し、ドリアンの真似をして敬礼をしてしまう。

そして、ロージーは淫らな女のレッテルが貼られてしまう。

帰宅したロージーを訪ねたコリンズ神父は、彼女から、ドリアンと遠乗りに行ったと聞かされ、何もなかったかを問い質す。

ロージーは、神父に二人の関係を否定するが、そこにチャールズが戻る。

チャールズは、ロージーが浜に行かなかったことを確認するが、帽子に付いた砂と貝殻を見つけてしまう。

ロージーが嘘をついているのは明白だったが、チャールズは彼女を責めるのではなく、自分が相応しい夫かとということを考え直してみる。

嵐の夜、オリアリーら義勇軍の一団が、ライアンの前に姿を現し、海に漂流してしまった武器弾薬などを、回収する手助けを要請する。

しかし、ライアンはイギリス軍にそれを密告し、オリアリーらと海岸に向かう。

嵐の中で積荷を引き上げるのは困難と思えたが、そこに村人が駆けつけて、先頭に立って作業をしたライアンは、オリアリーに称えられる。

トラックに荷を積み、海岸を離れたオリアリーらだったが、ドリアンの部隊が彼らを待ち伏せしていた。

村人が見守る中、オリアリーは逃亡を図り、ドリアンが彼を銃撃して傷を負わせる。

しかし、ドリアンは発作が起きてしまい、ロージーが彼に寄り添おうとしたため、村人は彼女を嘲り笑い、チャールズがロージーを連れて、その場を立ち去る。

オリアリーと義勇軍の一団は逮捕され、村人はドリアンに憎しみをぶつける。

帰宅したチャールズは、ロージーの不貞を責めはしなかったが、彼女が、再びドリアンの元に向かうのを目撃してしまい、ついに家を出てしまう。

家に戻ったロージーは、チャールズが不在なのに気づき、現れたコリンズ神父に、ドリアンと会っていたことを話す。

コリンズ神父は、浜辺で武器の回収をするドリアンに、妻を寝取られた男に服を届けると言って立ち去る。

神父に服を渡されたチャールズは家に戻り、ロージーと別れる相談をする。

しかし、村人はロージーが密告者だと決め付け、彼女をリンチにかけようとする。

ロージーは、父が裏切り者ではないかと思うが、人々に取り押さえられ、髪の毛を切られて衣服を剥がされ、さらし者にされる。

彼女を助けようとしたチャールズも殴り倒され、コリンズ神父がその騒動を鎮める。

浜辺でマイケルに出くわしたドリアンは、彼が、義勇軍の爆薬を隠し持っているのを知り、心乱れた彼は、それを使い自ら命を絶つ。

爆音を聞いたロージーは、駆けつけたマイケルの表情を見て、ドリアンが自殺したことを知る。

チャールズは、ロージーと共に村を離れる決心をして、コリンズ神父とマイケルに付き添われながら家を出る。

今後のことを心配しつつも、チャールズはロージーの気持ちを察し、寄り添いながら村の大通りを抜ける。

酒場に寄ったロージーは、父と簡単な会話を交わして別れを告げる。

ライアンは、二人に罵声を浴びせる村人達の声を聞きながら、その場にたたずむ。

ダブリンに向かう、バスを待っていたロージーの帽子が風で飛んでしまい、マイケルは無惨に切られた彼女の髪の毛を見て驚いてしまう。

バスが到着して、ロージーは、嫌っていたマイケルにキスをして別れを告げる。

コリンズ神父は、ロージーに餞別を渡し、彼女と別れることを考えるチャールズに、それは疑問だと言い残して彼らを見送る。

そしてコリンズ神父は、”理解できない”とつぶやきながら、マイケルを連れて村に戻る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

アイルランド海岸沿いの村。
学校教師チャールズ・オショネシーは、教え子でもあった、ロージー・ライアンに愛を告白され、その純真な愛らしさに惹かれて結婚する。
しかし、親子ほどの歳の差からロージーの欲求は満たされることなく、彼女は同じ頃に赴任した若い
イギリス軍将校との情事に走ってしまう。
やがて、それが村人に知れ、
アイルランド義勇軍を支援する人々から、ロージーは裏切り者とみなされてしまう。
夫チャールズは、ロージーの気持ちを察し、彼女を責めようとしなかったが、村人達の醜い心は、二人の運命に容赦なく襲いかかる・・・。
__________

ドクトル・ジバゴ」(1965)から5年が経ち、これで引退かとも思われたデヴィッド・リーンは、14年後に「インドへの道」(1984)を発表することになる。

第43回アカデミー賞では、ジョン・ミルズの助演男優と撮影賞を受賞した。
・ノミネート
主演女優(
サラ・マイルズ)
録音賞

アカデミー撮影賞を受賞したフレディ・ヤングの、この種の作品では考えられないほどの、ロングショットを多用した、ディングル半島の美しい映像は秀逸だ。

また、戦場の悲惨な体験に怯えるイギリス軍指揮官の、決して晴れることのない心を表現する、顔に影を落とすショットなど、細やかな撮影手法などもうならされる。

同じく、デヴィッド・リーン作品の常連モーリス・ジャールの音楽の素晴しさなくして、この映像の見事さは伝わらない程の効果を上げている。

どちらかと言えば男臭いタフガイ的なアメリカ人俳優ロバート・ミッチャムを起用したところが、非常に興味深い。
ロバート・ミッチャムはそれに見事に応え、思慮深く身の程を知る教師役を、抑えた演技で好演している。

彼は父親が
スコットランドアイルランド系で、母親はノルウェーである。

欲望をどうにも抑えられない、子供のような人妻サラ・マイルズも、アカデミー主演賞候補に相応しい熱演を見せ、欲求不満で、病的に震えるような表情が実に印象的だ。

言動は厳しいが洞察力があり、また人情味溢れる神父トレバー・ハワードも、重要な役をベテランらしく演じ存在感を示している。

障害を持ち、セリフがない男性を演じたジョン・ミルズの、豊かな表現力も出色で、正にアカデミー助演賞に値する演技だ。

彼は、アカデミー賞受賞の際のスピーチでも何も語らず、ただお辞儀をしただけというエピソードも残されている。

娘を犠牲にする裏切り者レオ・マッカーンサラ・マイルズの時よりも、ジョン・ミルズとのツーショットの豊かな表情が魅力的なクリストファー・ジョーンズ義勇軍のリーダーバリー・フォスターらの好演も印象に残る。


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