第十七捕虜収容所 Stalag 17 (1953) 5/5 (3)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

ドナルド・ ビーヴァンエドマンド・ トルチンスキーの体験を基にした、ブロードウェイの大ヒット舞台劇の映画化。
第二次世界大戦の捕虜収容所を舞台に、製作、脚本を兼ねるビリー・ワイルダー快心のコメディ・タッチの戦争ドラマ。
主演はオスカーを受賞したウィリアム・ホールデンドン・テイラーオットー・プレミンジャーロバート・ストラウスピーター・グレイヴスネヴィル・ブランド共演。


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■

監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
原作
ドナルド・ビーヴァン
エドマンド・トルチンスキー
脚本
ビリー・ワイルダー
エドウィン・ブラム
撮影:アーネスト・ラズロ
編集:ジョージ・トマジーニ

特殊効果:ゴードン・ジェニングス
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
ウィリアム・ホールデン:J・J・セフトン
ドン・テイラー:ジェームズ・ダンバー中尉
オットー・プレミンジャー:フォン・シェルバッハ大佐
ロバート・ストラウス:スタニスラス”アニマル”カサヴァ
ハーヴェイ・レンベック:ハリー・シャピーロ
ピーター・グレイヴス:プライス
ネヴィル・ブランド:デューク
シグ・ルーマン:ヨハン・セバスチャン・シュルツ軍曹
リチャード・アードマン:ホッフィー/ホフマン
ロビンソン・ストーン:ジョーイ
ジェイ・ローレンス:バグレジアン
ギル・ストラットン:クラレンス・ハーベイ”クーキー”クック/ナレーター

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1953年製作 120分
公開
北米:1953年7月1日
日本:1954年2月3日
製作費 $1,315,000
北米興行収入 $ 10,000,000


アカデミー賞 ■

第26回アカデミー賞
・受賞
主演男優賞(ウィリアム・ホールデン)
・ノミネート
監督
助演男優賞(ロバート・ストラウス)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1944年12月中旬、第二次世界大戦下。
ドナウ川近くのドイツ第十七捕虜収容所。

アメリカ陸軍航空軍の軍曹ばかりが、630人収容されている区画の、第4棟の二人が計画通り脱走を企てるが、あと一歩のところでドイツ兵の待ち伏せに遭い、銃殺されてしまう。

同じ棟のJ・J・セフトン(ウィリアム・ホールデン)は、ただ一人この脱走の失敗に賭けて的中させる。

翌朝、ドイツ兵看守ヨハン・セバスチャン・シュルツ軍曹(シグ・ルーマン)にたたき起こされた捕虜達は、点呼のため表に集合させられる。

収容所長フォン・シェルバッハ(オットー・プレミンジャー)は、脱走者の遺体をさらしものにして、捕虜達に脱走不可能であることを自身あり気に説明する。

第4棟のデューク(ネヴィル・ブランド)は、仲間の中にスパイがいる可能性を指摘する。

水のようなスープしか与えられない捕虜達の前で、物資調達を専門にするセフトンは、賭けで手に入れたタバコなどで、ドイツ兵と卵を交換して調理する。

そんなセフトンに、第4棟の捕虜達は脱走失敗の密告者の疑いをかける。

その後、調達したラジオで、劣勢のドイツ軍がベルギーの南東部アルデンヌで反撃を開始したとの情報が入る。

脱走を企てた罰として、所長シェルバッハは第4棟のストーブの撤去をシュルツに命ずる。

デュークらは、何でも知っているシュルツに、スパイは誰なのかと詰め寄るが、彼がそれを話すはずもなかった。

捕虜達を部屋から追い出したシュルツは、電球のコードが結ばれていることを確認する。

シュルツは、チェスの駒に忍ばせてあるメモを取り出し、密告者からの情報を手に入れ、電球のコードの結び目を解き立ち去る。

誰が密告者なのか、最も疑わしいセフトンは物資調達の他、賭博を仕切る元締、ブランデーを造り、望遠鏡で、ロシア女性を覗き見させるなどの商売も考える強か者だった。

第4棟の総務ホッフィー/ホフマン(リチャード・アードマン)は、セフトンにそれを止めさせようとするが、彼はそれを聞き入れる気配はなかった。

クリスマスが近づき、ジェームズ・ダンバー中尉(ドン・テイラー)とバグレジアン軍曹(ジェイ・ローレンス)が第4棟の仲間入りをすることになる。

ダンバーは、弾薬列車を爆破した英雄で、バグレジアンは、物まねが得意でだった。

第4棟のお騒がせ男、スタニスラス”アニマル”カサヴァ(ロバート・ストラウス)は、彼がこよなく愛する”ベティ・グレイブル”の物まねを、バグレジアンに要望する。

しかしバグレジアンは、”クラーク・ゲイブル”の物まねをして、仲間達の笑いを誘う。

セフトンはダンバーとは士官学校の同期で、自分が落第して、財閥の息子のダンバーが卒業したことを皮肉って嫌味を言う。

デュークらは、この棟にスパイがいるため、ダンバーの列車爆破の話などが外部に漏れると忠告する。

その後シュルツが、”ジュネーブ条約”の調査員が来ることを捕虜達に伝えに来るが、隠されていたたラジオをみつけて没収してしまう。

さらにシュルツは、電球のコードが結ばれていることに気づき、捕虜達を外に出して新しい情報を入手する。

捕虜達は、ラジオのことを知っていたセフトンを疑い、豪華な収集品を確認し、彼がシャワー室にフリーパスで入ったのを目撃する。

棟に戻ったセフトンは、仲間達に問い詰められるが、スパイだということを否定する。

そこに、所長シェルバッハが現れダンバーを連行したため、セフトンをスパイと確信した捕虜達は、彼をリンチにかけて痛めつける。

赤十字からの救援物資が届き、捕虜達はそれを運んできたトラックに群がっていたが、セフトンは、シュルツに賄賂を渡し、スパイが誰か聞きだそうとする。

運悪くそこに捕虜達が戻り、セフトンの立場はさらに悪くなる。

ジュネーブ条約”の調査員の検査が始まり、ホッフィーはダンバーが連行されたことを伝える。

その頃、シェルバッハは、ダンバーを3日間眠らさずに尋問を続けて、司令部に列車爆破犯逮捕の報せを入れる。

捕虜達の報告を受けた調査員は、シェルバッハに、即時ダンバーの釈放を要求する。

しかし、シェルバッハは、ダンバーを爆破実行犯と決め付けて、シュルツに、証拠品として隠し持っているはずの時限爆弾を探すよう命令する。

第4棟は、クリスマスを直前にささやかな盛り上がりを見せていたが、コードを結んだ電球に気づいた”スパイ”だった警務のプライス(ピーター・グレイヴス)は、シュルツからの指示を確認する。

プライスはコードを元に戻し、その後セフトンは、垂れ下がった電球が揺れ動くのを気づく。

プライスは警務の立場で、バグレジアンから時限爆弾のことを聞き出す。

クリスマス・イヴの夜、第4棟の捕虜達はそれを祝っていたが、仲間外れのセフトンは、電球のコードが結ばれていることに気づく。

クリスマス・キャロルを歌う捕虜達の中で、アニマルと相棒のハリー・シャピーロ(ハーヴェイ・レンベック)が、戦場の激しい戦闘で精神的ダメージを受けたジョーイ(ロビンソン・ストーン)にオカリナをプレゼントする。

その時、空襲警報が鳴り、シュルツが現れて捕虜達を防空壕に追いやり、残ったプライスからタバコとマッチを使った爆弾の発火の仕組みを聞き出す。

二人が去った後、隠れていたセフトンは全てを理解する。

クリスマス当日。
第4棟ではパーティーが開かれ、セフトンはプライスを監視しながら、相棒のクラレンス・ハーベイ”クーキー”クック(ギル・ストラットン)に、スパイをどうするかを考える。

その後アニマルが、相棒のハリーを、憧れの”ベティ・グレイブル”と思い込み、ダンスを楽しんでいる時に、ダンバーがベルリンに護送されるという情報が入る。

捕虜達はダンバーを助け出そうとすが、プライスは、無謀だと言ってそれを止めようとする。

セフトンは”スパイ”と言われた自分を、警務のプライスに監視させようと仕向ける。

プライスの正体を暴こうとするセフトンは、所属部隊のことなどを質問して、彼は次第に苛立ち始める。

赤十字からの救援物資の、ピンポン玉で作った煙幕を利用して、捕虜達は、ダンバーの身柄を確保して匿ってしまう。

その後、ホッフィーしか知らないダンバーの居場所を捜し、ドイツ兵は収容所内を隈なく捜索する。

貯水タンクに潜んでいたダンバーを、脱走させるための護衛を付けることになり、くじ引きでそれを選ぶのだが、セフトンとジョーイは外される。

警務の責任だということで、プライスがそれを買って出る。

セフトンはそれを制止し、プライスが実はドイツ人であり、シュルツに密告していた、スパイとしての手口を仲間達に知らせる。

逃げようとするプライスを捕虜達は拘束し、デュークは今までのことをセフトンに謝罪する。

そして、プライスを囮に、セフトンがダンバーを助け出すことになる。

捕虜達に別れを告げたセフトンは、棟の床下から抜け出し、貯水タンクのダンバーと合流する。

プライスは棟の外に放り出され、彼がドイツ兵に射殺される隙に、セフトンはダンバーを連れて脱走に成功する。

殺されたのが、潜んでいたダンバーだと思っていた所長シェルバッハとシュルツは、死体がプライスだと知り驚いてしまう。

そして、第4棟の捕虜達は、セフトンとダンバーが脱走に成功したことを確信しながら眠りに着く。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1944年、第二次世界大戦下。
ドナウ川近くのドイツ第十七捕虜収容所。
第4棟で、脱走が実行されて失敗するが、J・J・セフトンただ一人が、この脱走の失敗に賭けて的中させる。
収容所長シェルバッハは、脱走者の遺体を捕虜達に見せて、脱走が不可能であることを告げる。
第4棟の捕虜達は、仲間の中にスパイがいることを疑い始め、ドイツ兵と接触する機会の多い、物資調達屋セフトンが怪しまれる。
看守のシュルツ軍曹は、チェスの駒に忍ばせてある、密告者からのメモを手に入れ、目印の電球のコードの結び目を解き立ち去る。
そんな時、弾薬列車を爆破した英雄ダンバー中尉が、第4棟の仲間入りをすることになるが、彼はセフトンとは士官学校の同期だった。
その後、捕虜達が隠していたラジオが没収され、セフトンの疑いは確信となり、彼は第4棟の捕虜達からリンチを受けてしまう・・・。
__________

舞台の監督は名優ホセ・フェラーで、1951年5月1日に初演された

第26回アカデミー賞では、主演男優賞(ウィリアム・ホールデン)を受賞した。
・ノミネート
監督
助演男優賞(ロバート・ストラウス)

大いに笑わせてくれる作品なのだが、主人公のウィリアム・ホールデンが、スパイの濡れ衣を着せられながらも、抜け目ない性格を生かして真犯人を突き止めていく、サスペンスとしての面白味も兼ね備えた巧みな演出は、正にビリー・ワイルダーの真骨頂だ。

また、ワイルダーお得意の人情喜劇としての描写も随所に挿入され、この戦争の犠牲者であろう、いつもオカリナを吹いている、自閉症に陥る兵士などの登場で、戦争の悲惨さもきっちりと描かれている。

細かいことだが、ネヴィル・ブランドが、アドルフ・ヒトラーの著書である分厚い”我が闘争”をウィリアム・ホールデンに投げつけるシーンがあるのだが、大スターに成りつつある彼の顔に直撃したら・・・と思いドキッとしてしまう。

ジェイ・ローレンスのスターの物まねも、ワンポイントで面白味のある演出だ。

舞台のオリジナル・キャストが多く配役される中、自分の利益のためには手段を選ばない役柄を、ウィリアム・ホールデンは見事に演じアカデミー主演賞を獲得した。

実はこの役は、チャールトン・ヘストンカーク・ダグラスが予定されていて、ウィリアム・ホールデンは、セフトンの役柄が気に入らず出演を拒否したらしいが、パラマウント側に出演を強要されてしまう。
結果、各方面で彼の演技は絶賛され、代表作にもなったという皮肉な裏話もある。

ホールデンは、やや似ている役柄の「戦場にかける橋」(1957)でも好演しているので、あまり自分のキャラクターにはしたくない、皮肉屋で利己的な役も、まんざらでもなくなったのかもしれない。

収容所長オットー・プレミンジャーは正にハマリ役だ。
オーストリアウィーン出身の彼は、ユーモアというよりも、嫌味や皮肉を連発する敵役を、本人そのままで演じているようにも見える。

アカデミー助演賞候補にもなったロバート・ストラウスは、舞台のオリジナル・キャストとして、相棒のハーヴェイ・レムベックと共に大いに笑わせてくれる。

相棒のレムベックベティ・グレイブルに見えてしまい、もうろうとしながら踊る場面は最高に可笑しい!!

また、スパイだった、若き日のピーター・グレイヴスや、人間味のあるネヴィル・ブランドも好演している。

富豪の御曹司で、列車爆破実行犯として脱走する中尉ドン・テイラー、看守兵シグ・ルーマン、捕虜の総務役リチャード・アードマン、自閉症のロビンソン・ストーン、物まね達人のジェイ・ローレンス、そしてセフトン(W・ホールデン)の相棒で、ナレーターも兼ねるギル・ストラットンなどが共演している。


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