周遊する蒸気船 Steamboat Round the Bend (1935) 4.05/5 (20)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

1933年に発表されたベン・ルシアン・バーマンの小説”Steamboat Round the Bend”を基に製作された作品。
殺人を犯した甥の無実を晴らそうとする行商人の奮闘を描く、日本人には想像がつかないほどの、国民的な大スターのウィル・ロジャースジョン・フォードのコンビによるヒューマン・コメディの傑作。
アン・シャーリーユージン・パレットフランシス・フォード他共演。


コメディ

ジョン・フォード / John Ford 作品一覧


スタッフ キャスト
監督:ジョン・フォード
製作:ソル・M・ワーツェル
原作:ベン・ルシアン・バーマン”Steamboat Round the Bend”
脚本
ダドリー・ニコルズ
ラマー・トロッティ
撮影:ジョージ・シュナイダーマン
編集:アルフレッド・ディギターノ
音楽:サミュエル・ケイリン

出演
ウィル・ロジャース:ドクター”ドク”ジョン・パーリー
アン・シャーリー:フリーティ・ベル
ユージン・パレット:ルーフ・ジェファー保安官
フランシス・フォード:イフ
ジョン・マクガイア:デューク
アーヴィン・S・コッブ:イーライ船長
バートン・チャーチル:ニュー・モーゼ
ステピン・フェチット:ジョナ
ジャック・ペニック:川の住人

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1935年製作 82分
公開
北米:1935年9月6日
日本:1996年1月


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1890年代初頭、ミシシッピ川
川を下る蒸気船”プライド・オブ・パドゥーカ”の甲板で、預言者のニュー・モーゼ(バートン・チャーチル)は、酒こそが悪であると説教する。

ニュー・モーゼは、酔いながら酒瓶を掲げる目の前のイフ(フランシス・フォード)に語りかけ、酒を捨てた彼を称える。

同じ船上で、ドクター”ドク”ジョン・パーリー(ウィル・ロジャース)は、先住民の伝説の少女ポカホンタスが作ったという媚薬を売り稼いでいた。

それを酒だと思ったイフは、二瓶買い味を確かめて満足する。

操舵室に向い友人のイーライ船長(アーヴィン・S・コッブ)に話しかけたドクは、甥のデューク(ジョン・マクガイア)と共に買った古い蒸気船”クレアモア・クイーン”のことを語る。

イアーライ船長から、レースをしてお互いの蒸気船を賭けることを提案されたドクは、それを受けて立つ。

下船するドクは、デュークが水先案内人をしている蒸気船の船長は、神に背く者だとニュー・モーゼに言われる。

酔ったイフは、酒のことでニュー・モーゼから忠告を受けながらドクの後を追う。

”媚薬”が気に入ったイフはそれを手に入れるため、働いて返すとドクに伝え、機関士として雇われることになる。

荒れ果てた船内だったが、蒸気船は女性と同じで、川に出て人に見られれば美しく変身するとイフに語るドクは、彼に掃除をさせる。

その後ドクは、沼地に住む娘フリーティ・ベル(アン・シャーリー)を連れて現れたデュークから、彼女を守ろうとして船の機関士を殺してしまったと言われる。

相手がナイフを抜いたため、それを薪で払おうとして頭に当たり殺したと知らされたドクは、正当防衛だと言って目撃者がいたかをデュークに確かめる。

ニュー・モーゼが見ていたと知ったドクは、彼と船に乗り合わせたことをデュークに伝える。

自首するべきだとニュー・モーゼに言われたデュークに、ドクは彼が正しいと伝え、保安官に会いに行く提案をする。

それに反対するフリーティ・ベルを黙らせたドクは、デュークのことは自分に任せるようにと言って彼女に食事をさせる。

納得いかないフリーティ・ベルを説得するデュークは、逃げずに自首することを彼女に伝える。

話を聞き入れないフリーティ・ベルは、初めて愛した人を誰にも渡さないと言って興奮する。

フリーティ・ベルは、沼の住人を見下していると言って、保安官の元に向かおうとするドクを非難する。

考えを変えないドクは、フリーティ・ベルを残してデュークと共に保安官に会いに行く。

ドクは、二階で寝ていた保安官のルーフ・ジェファー(ユージン・パレット)を起こし、デュークが人を殺したことを伝える。

ジェファーはデュークに鍵を渡し、勝手に事務所に入り牢屋で寝ていろと指示する。

翌朝、来るようにとドクに伝えたジェファーは寝てしまう。

船に戻ったドクは、気が強く反抗的なフリーティ・ベルに梃子摺る。

そこに、フリーティ・ベルの父親と結婚相手だという男達が現れ、彼女を連れ戻そうとする。

フリーティ・ベルはそれを拒み、彼女を守ろうとするドクは、デュークと既に結婚したことを伝える。

ドクは父親達を追い払い、フリーティ・ベルは彼に感謝する。

みすぼらしい姿のフリーティ・ベルに、ドクはデュークの母親の服を渡す。

ドクの優しさに触れたフリーティ・ベルは心を開く。

翌朝、着飾ったフリーティ・ベルを伴い法廷に向かったドクだったが、デュークは死刑判決を受けてしまう。

再審のために最高の弁護士を雇おうとしたドクだったが、その費用を用意しなければならなかった。

通りでジェファーに声をかけられたドクは、デュークを絶対に縛り首にはしないと伝える。

その場に設営された、興行主が夜逃して放置されたままの蝋人形館をジェファーに案内されたドクは、展示物を船に運び見世物にして稼ぐことを思いつく。

ジェファーはそれを許可し、その場で働いていたジョナ(ステピン・フェチット)を雇ったドクは、イフと共に船の改造を始める。

留置場に向かったフリーティ・ベルは、船で旅立つことをデュークに伝え、格子越しにキスをして愛を確かめ合う。

出発したドクはフリーティ・ベルに舵取りを教え、すれ違うイーライ船長の船に汽笛を鳴らす。

イーライ船長にからかわれたドクは、それを気にせずに、フリーティ・ベルと親交を深めながら旅を続ける。

最初の巡業地で、ショーを嫌う住民に船を壊されそうになったドクだったが、イフが”ジェシー・ジェームズ”の蝋人形を使って脅す。

ショーではなく博物館だと言うドクは、中を見学して人々に確かめさせようとする。

無料だと言って人々を中に入れ、展示物の説明をしたドクは、彼らを納得させて、結局は金を払ってもらえる。

町に戻ったドクとフリーティ・ベルは、デュークの控訴が棄却されたことをジェファーから知らされて驚く。

移送されるデュークに会いに行ったはフリーティ・ベルは、結婚できないのなら死んだほうがましだと伝える。

デュークとフリーティ・ベルのことを思うドクは、二人を獄中で結婚させる。

駅でデュークを逃がそうとしたフリーティ・ベルは、同行するジェファーに銃を向ける。

しかし、誰にも迷惑をかけたくないデュークはフリーティ・ベルから銃を奪い、彼の気持ちを理解するジェファーは、何も言わずに汽車に乗り込む。

デュークを見送ったドクは、まだ諦めるのは早いと言ってフリーティ・ベルを励まし、事件の目撃者であるニュー・モーゼを捜そうとする。

ドクとフリーティ・ベルは、川を下りニュー・モーゼを捜すものの彼を見つけることがでない。

デュークのことを思うと心が沈むドクだったが、フリーティ・ベルは諦めようとしない。

南北戦争で共に戦った旧知の知事に会い、ニュー・モーゼの話をして正当防衛を認めてもらおうとしたドクは、船でバトン・ルージュに向かう。

ミシシッピ川が蒸気船レースで閉鎖されていたため、イーライ船長との賭けのこともあったドクは、バトン・ルージュがゴールのレースに出場する。

号砲と共にレースはスタートし、先頭を行くドクは、ニュー・モーゼを見つけて岸に近づき、彼を無理矢理、船に乗せてしまう。

ドクに協力を求められたニュー・モーゼは、デュークに罪はないと伝える。

燃料が足りなくなり、ニュー・モーゼは甲板などを壊して使うよう、イフとジョナに指示する。

イーライ船長の船に追いついたドクは、船尾にロープを繫いで燃料を節約する。

それに気づいたイーライ船長は憤慨し、ドクを罵ってロープを外す。

その頃、処刑を待つデュークは、ドクが必ず助けに来てくれることを信じていた。

イフから燃料がなくなったと言われたドクは、蝋人形を燃やすよう指示する。

ゴールが近づき、ドクは、全てを燃やしてしまった機関室の様子を見に行く。

イフの飲んでいたポカホンタスの媚薬が酒だと知ったニュー・モーゼは、それを燃やしてしまう。

その火力に驚いたドクは、媚薬が40本残っていることを思い出し、それを燃料にして速度を上げる。

イーライ船長の船を一気に追い抜いたドクの船は、バトン・ルージュに近づく。

処刑を前に最後の望みを聞かれたデュークは、レースの結果を見届けたいと伝え、それが認められる。

最初の船が見えたために刑は執行されることになるが、その船がクレアモア・クイーンだとジェーファーが気づく。

舵をとるフリーティ・ベルは汽笛を鳴らし、優勝したドクは、その場にいた知事にデュークのことを説明して処刑場に連れて行く。

ドクと共に処刑場に着いた知事は、デュークを釈放させる。

その後、イーライ船長から手に入れた蒸気船をデュークとフリーティ・ベルに任せたドクは、のんびりと釣りをしながら旅を続ける。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1890年代初頭。
ドクター”ドク”ジョン・パーリーは、先住民の伝説の少女ポカホンタスの媚薬だという、アルコールのような薬を売りさばいていた。
そんなドクは、甥のデュークと共に古い蒸気船を買い、その船でミシシッピ川を旅するのが夢だった。
ところが、フリーティ・ベルという沼地に住む娘を守ろうとして、デュークが殺人を犯してしまったことを知ったドクは、正当防衛だと確信する。
デュークを保安官のジェファーの元に連れて行ったドクは、自主させる。
その後、反抗的だったフリーティ・ベルは、ドクの人柄に触れて心を開くのだが、デュークは裁判で死刑の判決を受けてしまう。
再審の弁護士費用を稼ぐために、船を蝋人形館に改造したドクは、フリーティ・ベルと共に巡業の旅に出る。
しかし、デュークの控訴は棄却されてしまい、ドクは、事件の目撃者である予言者ニュー・モーゼを捜す・・・。
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ウィル・ロジャースジョン・フォードのコンビによる3部作は、「ドクター・ブル」(1933)、「プリースト判事」(1934)と続き本作が3作目なのだが、作品の公開直前に、ウィル・ロジャースは飛行機事故で他界している。

ジョン・フォードはこの年、「男の敵」(1935)で初のアカデミー監督賞を受賞している。(4度受賞)西部劇や社会派ドラマを手がける傍ら、本作のような人情味溢れるコメディも数多く残した、ジョン・フォードの才能を再確認できる作品でもある。

1930年代の作品ということを考えると、蒸気船レースの場面などはかなり大掛かりでその迫力は見ものだ。

ハリウッドの長い歴史の中でも、最も愛されたスターと言っていいウィル・ロジャースの最期の年の作品で、この後に「In Old Kentucky」(1935)を残して他界した。

演技とは思えない人柄の良さが伝わるウィル・ロジャースは、とにかく好感度抜群で、さすがに大統領候補に名前が上がっただけある。

彼は、国民や俳優仲間からも愛されて、大統領候補を断り、ハリウッド市長にもなった人格者である。

毎度、飲んだくれで登場するジョン・フォードの兄フランシス・フォードや、だみ声のユージン・パレット、後に「駅馬車」(1939)にも出演する予言者を愉快に演ずるバートン・チャーチル、 ずる賢そうな主人公の友人の船長アーヴィン・S・コッブに、3部作全てに登場するステピン・フェチットらの芸達者な名優達が大いに笑わせてくれる。
ドラマの中心人物アン・シャーリーの可愛らしさと、ジョン・マクガイアの実直な青年役も印象に残る。
川の住人として端役ではあるが、ジョン・フォード一家の一員で、フォード作品の41作に出演したジャック・ペニックに気づいた方は、筋金入りの映画通だ。


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