ブラジルから来た少年 The Boys From Brazil (1978) 4.34/5 (29)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

1976年に発表された、アイラ・レヴィン同名小説の映画化。
アドルフ・ヒトラーナチス・ドイツ復活を企む残党と、それを阻止しようとするナチ・ハンターとの戦いを描く、監督フランクリン・J・シャフナー、主演グレゴリー・ペックローレンス・オリヴィエジェームズ・メイスン他共演によるサスペンス映画の秀作。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■

監督:フランクリン・J・シャフナー
製作:
マーティン・リチャーズ

スタンリー・オトゥール
原作:アイラ・レヴィン
脚本:ヘイウッド・ゴールド

撮影:アンリ・ドカエ
編集:ロバート・スインク

音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演
グレゴリー・ペックヨーゼフ・メンゲレ博士
ローレンス・オリヴィエ:エズラ・リーバーマン
ジェームズ・メイスン:エドゥアード・ザイベルト
リリー・パーマー:エセル・リーバマン
スティーヴ・グッテンバーグ:ベリー・コーラー
ユタ・ヘーゲン:フリーダ・マローニ
ジョン・ルビンシュタイン:デヴィッド・ベネット
デンホルム・エリオット:シドニー・ベイノン
ウォルター・ゴテル:ムント
ギュンター・ミスナー:ファルンバッハ
ブルーノ・ガンツ:ブロックナー教授
ヴォルフガング・プライス:ハルトンク
マイケル・ガフ:ハリントン
ローズマリー・ハリス:ドーリング夫人
アン・メアラ:カリー夫人
ジョン・デナー:ヘンリー・ウィーロック
ジェレミー・ブラック:ボビー・ウィーロック/エリック・ドーリング/ジャック・カリー/サイモン・ハリントン

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1978年製作 123分
公開
北米: 1978年10月5日
日本: 未公開
製作費 $12,000,000
北米興行収入 $19,000,000


アカデミー賞 ■

第51回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優(ローレンス・オリヴィエ)
編集・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

南米パラグアイ
ナチ・ハンター(ナチ残党狩り)として活動を続けるユダヤ人青年ベリー・コーラー(スティーヴ・グッテンバーグ)は、残党の不穏な動きを察知する。

コーラーは、残党に関わる者の写真や情報を集め、彼らが集結する屋敷の召使の少年に接触する。

オーストリアウィーン
ナチ・ハンターを使命とするユダヤ人エズラ・リーバーマン(ローレンス・オリヴィエ)は、コーラーからの連絡を受けるが、危険だと言うことだけを彼に伝えて電話を切る。

そして、ある夜、残党達の待つ屋敷に、ある大物が現れる。

その人物とは、アウシュビッツ他強制収容所の人体実験で、”死の天使”とその名を恐れられた、元ナチス親衛隊将校ヨーゼフ・メンゲレ博士(グレゴリー・ペック)だった。

元同志らの歓迎を受けたメンゲレは、ムント(ウォルター・ゴテル)やファルンバッハ(ギュンター・ミスナー)らを前に、ある計画実行を発表する。

今後2年半の間に、西ドイツ(現ドイツ)16人、スウェーデン14人、イギリス13人、アメリカ12人、オーストリア9人、ノルウェー10人、オランダ8人、そしてデンマークカナダが6人ずつの合計94人の人間を、特定の日に殺すというのだ。

いずれも65歳の誕生日までに殺す計画が、アーリア民族の運命と何の関係があるのか、疑問を投げかけるムントの質問をメンゲレは遮る。

屋敷の少年に、盗聴器を仕掛けさせたコーラーは、それを聞いて驚くのだが、やがて盗聴されているのを知ったメンゲレは盗聴器を探し、犯人が少年だと突き止める。

残党の大計画を知ったコーラーは、意気揚々とアパートに帰り、リーバーマンに電話してそれを伝える。

メンゲレ南米にいることは承知のリーバーマンだったが、コーラーが録音した盗聴テープを電話で聞きながら、彼が殺されたことを知る。

コーラーを部下に殺させたメンゲレは、遺体の痕跡を消し”第4帝国”誕生のための計画実行を急ぐ。

やがてリーバーマンは、コーラーから送られてきた資料に”ナチス結社”の幹部で、第二次大戦中、殺戮部隊を指揮したナチス・ドイツ将校のエドゥアード・ザイベルト(ジェームズ・メイスン)の写真があるのに気づく。

妹エセル(リリー・パーマー)と協力しながら、コーラーが言い残した”94人の公務員抹殺”が、残党の集結と何の関係があるかは、依然リーバーマンには分からなかった。

ロイター通信の記者ベイノン(デンホルム・エリオット)に、協力を依頼したリーバーマンは、”65歳の公務員”の死亡者リストを手に入れようとする。

西ドイツ(現ドイツ)、グラドベック
メンゲレの命令を受けたファルンバッハが、65歳の郵便局員を殺す。

ブラジルの密林地帯の研究施設で、メンゲレは、計画が順調に行われているという報告をザイベルトから受ける。

ザイベルトはリーバーマンの動きを警戒し、メンゲレに慎重な行動をと提言するが、彼はそれを聞き入れようとしない。

リーバーマンは、ベイノンからのリストを元にグラドベックに向かい、未亡人ドーリング夫人(ローズマリー・ハリス)を訪ねる。

青い目の生意気な少年(ジェレミー・ブラック)に迎えられたリーバーマンは、息子を溺愛し、夫の死をむしろ喜んでいるドーリング夫人に驚き、ナチメンゲレとは無関係であるだろうと判断する。

ロンドン
公務員ハリントン(マイケル・ガフ)は、下宿人の恋人に扮したメンゲレの部下に殺される。

メンゲレは、リーバーマンがグラドベックに現れたことをザイベルトから知らされ、直ちに彼の抹殺指令を出す。

ウィーンに戻ったリーバーマンの元に、コーラーの友人デヴィッド・ベネット(ジョン・ルビンシュタイン)が現れる。

情報提供を望むデヴィッドを、リーバーマンは仕方なく助手にする。

スウェーデン
ムントは、元上官ハルトンク(ヴォルフガング・プライス)に、ダムの上で偶然会ったように見せかけ、彼をそこから突き落とす。

アメリカ、マサチューセッツ州。
夫が死んだカリー夫人(アン・メアラ)を訪ねたリーバーマンは、その家にドーリング夫人の息子と瓜二つの少年がいるのを知り驚いてしまう。

ロンドンのハリントン家を訪れたデヴィッドを、ドーリング家とカリー家にいた少年とそっくりの子が迎える。

デヴィッドから、その少年のことを聞いたリーバーマンは、カリー夫人から、息子はドイツ人女性から世話をされた養子であることを知らされる。

リーバーマンはそのドイツ人女性、自分が逮捕させた元ナチ収容所の女看守フリーダ・マローニ(ユタ・ヘーゲン)を刑務所に訪ねる。

マローニが養子斡旋で渡した子供や、他の家族の情報を手に入れたリーバーマンは、夫を殺された家族、同じ顔の少年、そしてメンゲレとの関係をさらに探る。

ナチス結社”の集会パーティーに出席したメンゲレは、任務でスウェーデンにいるはずのムントを見て怒り狂い、彼に殴りかかってしまう。

ムントが任務を遂行し、パラグアイへの帰還命令を受けていたことを知ったメンゲレは、さらにザイベルトの命令で、各国の暗殺者を引き上げさせている報告も受ける。

マローニが、リーバーマンに養子の件を話した以上、暗殺者として送り込まれた同志の命を危険にさらすことは出来ず、”ナチス結社”の上層部は、計画中止の命令を出していたのだ。

メンゲレはそれを無視し、単独で作戦実行を始めようと、かつて、自分が送り出した子供達を作り出した研究所で思いにふける。

生物学研究所のブロックナー教授(ブルーノ・ガンツ)を訪ねたリーバーマンは、少年達が、クローンによる人間の複製である可能性を知る。

生存していない人間からも、クローンが作れると聞いたリーバーマンは、少年達が、”税官吏だった厳しい父親が52歳の時に誕生し、母親に溺愛されて育てられ、65歳で父を亡くした、14歳の陰気な少年アドルフ・ヒトラー”のクローンだという結論に達する。

ザイベルトは計画中止の指令を受け、メンゲレの研究所を焼き払う。

ランカスター郡ペンシルベニア州。
メンゲレは計画を実行すべく、次なる標的ウィーロック(ジョン・デナー)の元に向かう。

リーバーマンに扮し、ウィーロックを安心させたメンゲレは、飼い犬のドーベルマンを別の部屋に入れた彼に突然銃を向ける。

地下室でウィーロックを射殺したメンゲレは、自らが作り上げた少年の帰りを待つ。

やがてリーバーマンが現れ、待ち構えていたメンゲレは彼と格闘になり、リーバーマンは腕を撃たれてしまう。

メンゲレは、ヒトラーに、この大計画を賞賛された時のことをリーバーマンに語り、1980年代に復活する英雄ヒトラーへの期待を力説する。

リーバーマンは力を振り絞り、ドーベルマンがいる隣部屋のドアを開けようとする。

メンゲレは、リーバーマンと襲い掛かかるドーベルマンを撃つ。

しかし、主人から命令を下されないドーベルマンは、メンゲレの前で彼を威嚇するだけだった。

帰宅したウィーロックの息子ボビー(ジェレミー・ブラック)は、メンゲレからヒトラーの生まれ変わりだと言われ嘲り笑う。

瀕死のリーバーマンから、父が殺されたはずだと言われたボビーは、地下室で殺されている父を見つけて、ドーベルマンメンゲレを噛み殺させる。

リーバーマンは、メンゲレの遺体からターゲットのリストを探し出し気を失う。

一命を取り留め、病院に運ばれたリーバーマンは、少年達を殺そうとするデヴィッドにリストが渡るのを阻止しようと、それに火を点けて燃やしてしまう。

その頃、写真家を夢見るボビーは、メンゲレの死体の写真を現像して微笑む。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

南米パラグアイ
ナチ・ハンターとして活動するユダヤ人青年コーラーは、ナチの残党の不穏な動きを察知する。
やがて残党達の元に、アウシュビッツ他で人体実験を行い、”死の天使”とその名を恐れられた元ナチス親衛隊将校であるヨーゼフ・メンゲレ博士が現れる。
メンゲレは、今後2年半の間に、世界の各地で合計94人の人間を特定の日に殺すというアーリア民族の運命を懸けた計画を発表する。
その情報を入手したコーラーは、ウィーンナチ・ハンター、エズラ・リーバーマンに、殺戮部隊を指揮した、ナチス・ドイツ将校のザイベルトの写真などを含めた資料を送る。
その後リーバーマンはコーラーが殺されたことを知り、妹エセルと共に、94人の公務員抹殺が残党の集結と何の関係があるかを探るため、早速、行動を開始するのだが・・・。
__________

今この時代に製作されても、正に的を得たテーマと成りうるクローン人間技術を軸に、それが独裁者の”アドルフ・ヒトラー”復活計画という、ショッキングなストーリーで展開する作品。

今でこそクローンが現実化されているが、1970年代後半に、この題材を扱っているということが非常に興味深い。

実在のヨーゼフ・メンゲレを登場させ、実際に南米に潜伏し、本作が公開された当時、まだ生存していた(1979年没)ということなどが、フィクションではあるもののドラマにリアリティを与えている。
実際のメンゲレは、クローンを作ったという事実はない。

奇抜なアイデアを見事に映像化し、物語に引き込まれていくフランクリン・J・シャフナーの演出と共にヘイウッド・ゴールドの巧みな脚本、超豪華顔合わせの俳優陣と、どれをとっても一級の大作にも拘らず、一流のスタッフ、往年のスターに敬意を表する心がないのか、本作が日本未公開とは信じ難い。

第51回アカデミー賞では、主演男優(ローレンス・オリヴィエ)、編集、作曲賞にノミネートされた。

オスカー候補になった、ジェリー・ゴールドスミスの勇壮で力強いテーマ曲も印象的だ。

ヒトラー復活を夢見る狂気のメンゲレ博士を演ずるグレゴリー・ペックは、珍しい完全な悪役を、圧倒的存在感で熱演する。

有名なナチ・ハンターサイモン・ヴィーゼンタールをモデルに、アカデミー主演賞候補になったローレンス・オリヴィエの、老練などという言葉では言い尽くせない重厚な演技も秀逸だ。

思慮深く冷静沈着な残党保安部長役ジェームズ・メイスンの好演も見逃せない。

リーバーマン(L・オリヴィエ)の妹であり良き協力者リリー・パーマーナチの女看守だった子供の運び屋ユタ・ヘーゲン、リーバーマンに協力するユダヤ人青年ジョン・ルビンシュタイン、同じく協力させられる記者デンホルム・エリオットメンゲレの部下でナチ残党ウォルター・ゴテルギュンター・ミスナークローン技術を解り易く説明する教授役ブルーノ・ガンツドイツ将校といえばこの人ヴォルフガング・プライス、そして、恐怖の”クローン少年”を演ずるジェレミー・ブラックなどが共演している。

また、「ポリスアカデミー」シリーズのスティーヴ・グッテンバーグが、ナチ・ハンターユダヤ人の青年役で若々しく、「バットマン」(1989)シリーズの執事アルフレッド役マイケル・ガフや、大ヒット作「スパイダーマン」(2002)シリーズの”メイおばさん”ローズマリー・ハリス、アメリカで少年を育てる婦人役でベン・スティラーの実母アン・メアラも出演している。

劇場で観れなかったのは非常に残念。
必見のお勧め作!!!!


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