枢機卿 The Cardinal (1963) まだ評価されていません。


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

優秀な成績で神学校を卒業した青年神父が、野心家としての才能を発揮しながら、家族内や社会の問題、そして政治や許されぬ恋が絡む苦悩を経験して成長し枢機卿になるまでを描く、製作、監督オットー・プレミンジャー、主演トム・トライオンジョン・ヒューストンロミー・シュナイダー他共演の社会派・ヒューマン・ドラマ。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:オットー・プレミンジャー
製作:オットー・プレミンジャー
原作:ヘンリー・モートン・ロビンソン
脚本:ロバート・ドジアー
撮影:レオン・シャムロイ
編集:ルイス・ローフラー
美術・装置
ライル・R・ウィーラー
ジーン・キャラハン
衣装デザイン:ドナルド・ブルックス
タイトルデザイン:ソウル・バス
音楽:ジェローム・モロス

出演
トム・トライオン:スティーブン・ファーモイル
ジョン・ヒューストン:グレノン枢機卿
ロミー・シュナイダー:アンネマリー・フォン・ハートマン
キャロル・リンレー:モナ・ファーモイル/レジーナ・ファーモイル
マギー・マクナマラ:フローリー・ファーモイル
ラフ・ヴァローネ:クワレンギ枢機卿
ドロシー・ギッシュ:セリア・ファーモイル
セシル・ケラウェイ:モナハン司教
バージェス・メレディス:ハーリー神父
ジョン・サクソン:ベニー・ランペル
チル・ウィルス:ウィトル司教
アーサー・ハニカット:ダブロウ保安官
パット・ヘニング:モントン
ジル・ハワース:ララージ・モントン
オジー・デイヴィス:ギリス神父
パトリック・オニール:シースル・ターナー
マーレー・ハミルトン:レイフ
トゥーリオ・カーミナティ:ジャコービ枢機卿
ジョセフ・マインラッド:イニッツァー枢機卿
キャメロン・プラドム:ディン・ファーモイル
ビル・ヘイズ:フランク・ファーモイル

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1963製作 179分
公開
北米:1963年12月12日
日本:1964年6月


アカデミー賞 ■

第36回アカデミー賞
・ノミネート
監督
助演男優(ジョン・ヒューストン)
撮影・編集・美術・衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1917年。
アイルランド系アメリカ人スティーブン・ファーモイル(トム・トライオン)は、神学校を卒業して神父となる。

ファーモイルは、学校長クワレンギ司教(ラフ・ヴァローネ)にその才能を期待され、彼の家宝である”司教の指輪”を譲り受ける。

故郷ボストンに戻ったファーモイルは、妹フローリー(マギー・マクナマラ)、モナ(キャロル・リンレー)、弟フランク(ビル・ヘイズ)、母セリア(ドロシー・ギッシュ)そして父ディン(キャメロン・プラドム)ら家族と再会する。

モナハン司教(セシル・ケラウェイ)の下、助任司祭となったファーモイルは理想を掲げ、現実主義者の司教とは意見が合わなかった。

ファーモイルの妹モナは、カトリックにも拘らずユダヤ人で医師志望のベニー・ランペル(ジョン・サクソン)と付き合い、それを姉フローリーに責められる。

思慮深いファーモイルは、恋人ベニーに会うことをモナに約束し、彼女を優しく抱き寄せる。

ベニーと話し合ったファーモイルは、彼がモナと結婚するためなら改宗するという意思を歓迎する。

しかし、ベニーにその気がないことを知ったモナは、結婚を前に彼とベッドを共にしてしまい、それを懺悔で兄に告白し助けを求める。

ファーモイルは、大罪を犯したとモナに結婚を諦めるよう告げ、ショックを受けた彼女は、その場から立ち去ってしまう。

そんな時、ファーモイルは、枢機卿グレノン大司教(ジョン・ヒューストン)に呼び出される。

ファーモイルの著書が、極めて野心的であることが聖職者としては致命的な欠陥だと、グレノン大司教に判断されてしまう。

そしてファーモイルは、小さな教区の聖ピーター教会への赴任を命ぜられ、ハーリー神父(バージェス・メレディス)の助手となる。

田舎町ストーンベリーに着いたファーモイルは、迎えに来た村人モントン(パット・ヘニング)に、教会へ案内される。

ファーモイルは、貧しい教区の神父ハーリーが病を患っていることを知り彼を気遣う。

モントンの娘ララージ(ジル・ハワース)からの、暖かい食事をハーリー神父に届けたファーモイルだったが、神父が貧しくて医者の診察も受けられないことを知る。

そしてハーリー神父は、自分には教会経営の才能がなく、グレノン枢機卿を失望させてしまい、見放されていることをファーモイルに語る。

弟フランクからの連絡で、ボストンに帰ったファーモイルは、家を出て家族を悲しませているモナを救おうとする。

しかし、それが果たせず、ファーモイルは自分の責任だと深く心を痛める。

教区に戻ったファーモイルは、ララージが家族が世話になった恩返しで、ハーリー神父のために医者を呼び、神父が死に近づいていることを知らされる。

ファーモイルは、クワレンギ司教から譲られた指輪を売り金を工面して、ララージと共にハーリー神父を献身的に看病する。

グレノン枢機卿に呼ばれたファーモイルは、盗品の押収物だという、彼の売った指輪のことを追求され、ハーリー神父の病状を枢機卿に伝える。

それを聞いたグレノン枢機卿は、ハーリー神父の元に向かい、旧友として彼を見舞う。

ハーリー神父の死が近いことを悟ったグレノン枢機卿は、彼のための教区を閉鎖させ、ファーモイルを自分の秘書にする方針を伝える。

ファーモイルは、第一次大戦の戦地から戻ったベルと、妊娠して陣痛でもがき苦しむモナを捜し出す。

胎児を処置しなければ、モナが助からないことを知りながら、神父であるファーモイルは胎児を殺すことはできず、結局、彼女は息を引き取る。

モナの子供は無事に成長し、2歳の誕生日を迎えた日、ローマ教皇が死亡したという連絡が入り、ファーモイルはグレノン枢機卿バチカンに向かう。

そして、グレノン枢機卿の推薦で新教皇の下、教皇庁司教に赴任することになったファーモイルだったが、彼はそれを辞退する。

ファーモイルが教会を去る決断をしたため、グレノン枢機卿は激怒する。

冷静さを取り戻したグレノン枢機卿に、ファーモイルは神父として生きていく自信を失ったことを告げる。

しかしグレノン枢機卿は、ファーモイルを休職させて、彼に考える時間を与える。

1924年、ウィーン
英語の教師となっていたファーモイルは、アメリカに興味を抱く美しい女学生アンネマリー(ロミー・シュナイダー)と親しくなるが、自分が聖職者であることは隠していた。

ある日ファーモイルは、教会で自分が神父だということをアンネマリーに告白し、休職中の身でも戒律は守ることを告げる。

アンネマリーに舞踏会に誘われたファーモイルは、彼女への気持ちが抑えられなくなり、それをアンネマリーに伝えワルツを踊る。

浮かれてアパートに帰ったファーモイルは、聖職者を辞めるべきか苦悩する。

考え抜いた末に、聖職に戻る決意をしたファーモイルの元から、アンネマリーは去って行く。

1934年、ローマ
教皇庁の職に就いたファーモイルは、人種偏見に悩み教皇に面会を求めてきた、アメリカ人の黒人神父ギリス(オジー・デイヴィス)の訪問を受ける。

ギリス神父は、ジャコービ枢機卿(トゥーリオ・カーミナティ)との面会を許されるが、解決策は見つからなかった。

ファーモイルは、枢機卿になっていたクワレンギに自らがギリス神父の教区ジョージアに向かう意思を伝える。

ジョージア
現地に向かい、ギリスと再会したファーモイルは、ウィトル司教(チル・ウィルス)やダブロウ保安官(アーサー・ハニカット)に出会う。

教会を焼かれ、訴えを起こしていたギリスを止めようとするウィトル司教とダブロウ保安官だったが、ファーモイルが教皇庁から来たことを知り怯んでしまう。

町のホテルの入室を拒否されたファーモイルは、その夜KKKのターナー(パトリック・オニール)らに拉致され、鞭打たれてしまう。

翌朝、意識を取り戻したファーモイルは、KKKの一味だが後味の悪さから彼を助けに来たレイフ(マーレー・ハミルトン)に、車で町に送られる。

教皇庁に戻ったファーモイルは、ジャコービとクワレンギ両枢機卿に、ジョージアでの人種問題解決の前進を報告する。

やがてファーモイルは司教叙階され、ジョージアで共に闘ったギリス神父が彼を誇らしく見つめる。

1938年3月13日。
ヒトラー率いるナチス・ドイツが、オーストリアを併合する。

オーストリアのイニッツァー枢機卿(ジョセフ・マインラッド)が、ナチス・ドイツへの指示を表明したことを憂慮した教皇庁は、ウィーンに詳しいファーモイルを、特使として現地に派遣する。

ウィーンのイニッツァー枢機卿と面会したファーモイルは、あるパーティーでアンネマリーに再会する。

アンネマリーの自宅に招かれたファーモイルだったが、ナチスを歓迎しないユダヤ人の夫が、ゲシュタポに追われて自殺し、彼女の身にも危険が迫る。

尚もナチスとの関係を保とうとするイニッツァー枢機卿は、ファーモイルが匿っている、アンネマリーをゲシュタポに引き渡すよう忠告する。

国民投票で併合が圧倒的に支持され、ファーモイルはアンネマリーの亡命を手助けする決心をする。

イニッツァー枢機卿は、自らの外交手腕をファーモイルに見せ付けようと、ヒトラーに面会に行く。

しかし、ヒトラー枢機卿との約束を白紙に戻し、戦争を起こして聖職者の協力を強要しようとする。

そして、イニッツァー枢機卿とファーモイルは、信者達がナチスに弾圧される姿を目の当りにしながら逃亡する。

ファーモイルは、アンネマリーがゲシュタポに身を投じたことを知り、彼女との面会に向かう。

アンネマリーは、かつて愛したファーモイルから身を引き、望まない結婚した果てに、自暴自棄になり投降したことを彼に語り別れを告げる。

ローマに戻ったファーモイルは、教皇から枢機卿に指名される。

ヒトラーが仕掛ける戦火が迫る中、ファーモイルは政治や宗教を脅かす敵に立ち向かうための力を、教会、そして祖国に授けるために祈りを捧げる。


解説 評価 感想 ■

1950年に発表されたヘンリー・モートン・ロビンソンの同名小説の映画化。

*(簡略ストー リー)

1917年。
神学校を卒業したアイルランド系アメリカ人スティーブン・ファーモイルは神父となる。
学校長クワレンギ司教から、期待されれるファーモイルは、故郷ボストンに戻り家族と再会する。
助任司祭となったファーモイルは、家族内のトラブルなどを解決しながら、自らの理想の実現のため日々を過ごす。
そんな時、ファーモイルは、枢機卿グレノン大司教に呼び出される。
ファーモイルは、自分の著書が野心的であり過ぎることをグレノン大司教に指摘され、それを致命的な欠陥と判断されてしまう。
そしてファーモイルは、田舎町の小さな教区である、聖ピーター教会への赴任を命ぜられ
ハーリー神父の助手となる・・・。
__________

全編に崇高さが漂うドラマではあるが、原題でもある様々なタイプの枢機卿他聖職者の生き方を通して、時に人情を、また醜い人々の姿も生々しく描き、終盤の第二次大戦前夜の展開はサスペンス・タッチで展開する。
3時間の長編ながら全く飽きの来ない、切れのいいオットー・プレミンジャーの演出は見応え十分だ。

第36回アカデミー賞では、監督、助演男優(ジョン・ヒューストン)、撮影(カラー)、編集、美術(カラー)、衣装デザイン(カラー)賞にノミネートされた。

ゴールデングローブ賞では、ドラマ部門の作品賞と助演男優賞(ジョン・ヒューストン)を受賞している。

威厳ある教皇庁や街並みのセットと衣装、美しいウィーンのロケ、ジェローム・モロスの重みのある音楽や、プレミンジャーの盟友であるソウル・バスのタイトル・デザイン、そして多くの名バイプレイヤーの共演など見所の多い作品でもある。

いかにも、アメリカ人のタフガイ風のトム・トライオンの神父役ということで注目していたが、精悍な顔つきと堂々たる体格が画面に映え、キャリア最高の熱演を見せる。

多くの出演者の中で、その迫力と存在感で異彩を放ち、人間味溢れる役柄を演ずるジョン・ヒューストンの名演は光る。
(アカデミー助演賞候補)

主人公の神父を愛してしまい、また戦火の犠牲者となるロミー・シュナイダー、主人公の師であるラフ・ヴァローネ、恋人との宗教の違いから、悲劇に見舞われる娘との二役キャロル・リンレー、その姉役マギー・マクナマラ、母親役、リリアン・ギッシュの妹で、本作が遺作のドロシー・ギッシュ、弟ビル・ヘイズ、父キャメロン・プラドム、妹の恋人ジョン・サクソン、貧しい教区で病に倒れるバージェス・メレディスと彼を献身的に介護する村娘ジル・ハワース、他、聖職者の面々、セシル・ケラウェイオジー・デイヴィスチル・ウィルストゥーリオ・カーミナティジョセフ・マインラッド、また、アーサー・ハニカットパトリック・オニールマーレー・ハミルトンもゲスト出演的に登場する。


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