手錠のまゝの脱獄 The Defiant Ones (1958) 4.84/5 (32)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

社会派の気鋭スタンリー・クレイマー(製作、監督)が、鎖でつながれた囚人間の争いとやがて生まれる友情で人種問題を鋭く描く、トニー・カーティスシドニー・ポワチエ共演の異色作。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:スタンリー・クレイマー
製作:スタンリー・クレイマー
原作:ネドリック・ヤング
脚本
ネドリック・ヤング

ハロルド・ジェイコブ・スミス
撮影:サム・リーヴィット
編集:フレデリック・ナドソン
音楽:アーネスト・ゴールド

出演
ジョン”ジョーカー”ジャクソン:トニー・カーティス

ノア・カレン:シドニー・ポワチエ
マックス・ミュラー保安官:セオドア・ビケル
ビッグ・サム:ロン・チェイニーJr.
フランク・ギボンズ警部:チャールズ・マッグロー
ビリーの母:カーラ・ウィリアムズ
ビリー:ケヴィン・コーリン
マック:クロード・エイキンス

記者:ローレンス・ドブキン

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1958年製作 96分
公開
北米:1958年9月24日
日本:1958年10月14日


アカデミー賞 ■

第31回アカデミー賞
・受賞
脚本・撮影賞(白黒)
・ノミネート
作品・監督
主演男優(トニー・カーティス/シドニー・ポワチエ)
助演男優(セオドア・ビケル)
助演女優(カーラ・ウィリアムズ)
編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

街道を走る囚人護送車が、豪雨の中ハンドルを取られて土手から転落する。

現場に駆けつけたマックス・ミュラー保安官(セオドア・ビケル)は、手錠を鎖でつながれた白人ジョン”ジョーカー”ジャクソン(トニー・カーティス)と、黒人のノア・カレン(シドニー・ポワチエ)が逃亡したことを知る。

非常線を張ったミュラーは、到着したフランク・ギボンズ警部(チャールズ・マッグロー)に、署長が二人の捜索はするまでもなく、直に殺し合うだろうという見解を示したことを伝える。

一方、ジョーカーとカレンは、鎖を切ろうとするのだが、それができずにいた。

南部に向かうというジョーカーに対して、黒人のカレンは迫害を恐れてそれを拒否する。

カレンは、100キロ先の輸送列車に乗ることを提案するのだが、ジョーカーは当てにならない話に怒りを露にする。

争っても得にならないことをジョーカーに悟らせたカレンは、彼に北に向かうことに同意させる。

猟犬のドーベルマンと、それを扱う民間人の猟師を伴い、警察犬も引き連れてギボンス警部は山林の捜索を始め、それに同意したミュラー保安官も同行する。

川の激流に流されかけながら、かえるを食料に火を焚いて夜を過ごしたジョーカーとカレンは、翌朝の雨で目覚めて先を急ぐ。

背後に突然、馬車が現れ、二人は気付かれないようにと粘土を掘る深い穴に飛び込むものの、なかなか這い上がることが出来ず、助け合いながらようやく穴から脱出する。

ミュラーとギボンズは、川を渡る前の二人の足跡などを見つけるが、次第に追跡は遅れ始めていた。

憎しみ合いながらも協力して行動するしかないジョーカーとカレンは、ある村落にたどり着き、互いの身の上を語り合う。

住民が寝静まった頃、食料を求めて商店に侵入した二人だったが、ジョーカーが、粘土の穴で痛めていた手首を、さらに痛めて物音を立ててしまう。

二人は、あえなく村人マック(クロード・エイキンス)らに捕らえられてしまう。

捜査が思うようにいかず苛立つギボンズは、援軍を断ったミュラーに責任を取らせようとする。

ミュラーは、薄給の保安官職を辞め弁護士に戻ることも考えていたが、同行していた記者(ローレンス・ドブキン)に、戻れば稼ぎは良くなるのかを聞かれる。

痛いところをつかれたミュラーは、ジョーカーとカレンを恨み必ず逮捕することを誓う。

マックを先頭に、村人は二人をリンチにかけようとするが、ビッグ・サム(ロン・チェイニーJr.)という男が、翌日、警察に二人を引き渡すと言いだし、それを力ずくで制止する。

翌朝、自分も刑務所暮らしの経験があるサムは、二人を解放して逃亡を助ける。

夢中で村から遠ざかったジョーカーとカレンだったが、二人は言い争い殴り合いの喧嘩を始めてしまう。

そこに、銃を持った少年ビリー(ケヴィン・コーリン)が現れ、二人はビリーから銃を奪い彼の家に案内させる。

ビリーは母(カーラ・ウィリアムズ)と二人暮しで、彼女は黒人のカレンに警戒しながら二人に食事を与える。

ビリーが持ってきたハンマーで、二人は手錠をはずすが、手首からばい菌が入ったジョーカーは気を失ってしまう。

村にたどり着いたミュラーらは、サムやマックを尋問するが、彼らは二人に逃げられたと言うだけだった。

ミュラーは、愚痴ばかりこぼす猟師を怒鳴り、ギボンズに指示を出し、指揮官として自分流の捜査を開始する。

夫が蒸発したビリーの母は、ジョーカーの看病をするうちに次第に彼に惹かれていく。

翌朝、回復したジョーカーは、カレンが寝ている間に、納屋に故障している車があることをビリーの母に知らされる。

エンジンがかかることを確認したジョーカーは、ビリーを兄に預けて同行したいと、母親に頼まれる。

そこにカレンが現れ、ジョーカーと彼女の関係を知り、食料を持ち単独で逃亡しようとする。

ジョーカーとカレンは、互いの無事を祈り、簡単な言葉を交わして別れるのだった。

ビリーの母は、ジョーカーと共に旅立つため、カレンにわざと危険地帯に向かわせ、彼を囮に使って二人で逃げようと考えていた。

それを知ったジョーカーは激怒し、彼女を捨ててカレンの元に向かおうとする。

辺鄙な場所から逃れたいと、ジョーカーにすがる彼女だったが、彼はそれを振り切り家を出ようとする。

ジョーカーの、母に対する乱暴な態度を見たビリーは銃弾を浴びせ、彼はそのまま走り去っていく。

ビリーの家に着いたミュラーらは、親子から事情を聞き二人の後を追う。

沼地でカレンを捜したジョーカーは、彼を見つけて、口封じに利用されたことを知らせる。

ドーベルマンを放とうとするギボンズを制止し、ミュラーは単独で二人を追い詰めようとする。

傷を負ったジョーカーを励ましながら、鉄橋にたどり着いたカレンは、速度が落ちた列車に飛び乗る。

カレンはジョーカーの手を掴かもうとするのだが、力尽きたジョーカーの手が離れた時、カレンも一緒に列車から落ちてしまう。

ジョーカーを抱きかかえ、タバコを吸わせたカレンは、警察犬の吠える声を聞きながら、民謡”ロング・ゴーン”を口ずさむ。

二人を見つけたミュラーだったが、カレンは動ずることなく歌い続け、ジョーカーも、ふてぶてしい笑みを浮かべる。


解説 評価 感想 ■

ハリウッド・テン”を含む、赤狩りブラックリストに載った、脚本家のネドリック・ヤングの原案を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)

囚人護送車が豪雨の事故を起こし、駆けつけたミュラー保安官は、手錠を鎖でつながれた白人ジョーカーと、黒人のカレンが逃亡したことを知る。
お互い人種的偏見を持ち合わせる二人は、激しく憎み合いながらも逃亡を続ける。
南部に向かおうとするジョーカーに対して、迫害を恐れるカレンはそれに同意できない。
ジョーカーは、100キロ先の輸送列車に乗ることを提案する、カレンの話に聞く耳を持たない。
やがて、逃亡を続けるために、二人は協力し合わなければならない状況に陥る。
その頃、ミュラー保安官は、ギボンズ警部と共に捜査を始めていた。
その後、ジョーカーとカレンはある村の商店に侵入して、あえなく捕らえられてしまい、村人にリンチにかけられそうになる。
しかし、刑務所生活の経験がある、ビッグ・サムという男に二人は助けられ、そして再び逃亡を続けるのだが・・・。
__________

売り出し中の若手スター、トニー・カーティスシドニー・ポワチエの、躍動感ある個性を生かした、スタンリー・クレイマーの力強く骨太の演出は冴え渡る。

鎖が解かれた直後から友情が芽生え、クライマックスでは感動と痛快さも感じる。

音楽は、その後、活躍するアーネスト・ゴールドの担当ではあるが、バック・ミュージックは一切なく、ラジオの音楽と主演のシドニー・ポワチエの歌う”ロング・ゴーン”しか登場しないところや、作品全体の殆どを占める緊迫感溢れる野外ロケ、カットの無駄を極力省いた編集手法なども実に興味深い。

第31回アカデミー賞では、作品賞以下8部門にノミネートされ、脚本と撮影賞(白黒)を受賞した。
・ノミネート
作品、監督
主演男優(トニー・カーティス/シドニー・ポワチエ)
助演男優(セオドア・ビケル)
助演女優(カーラ・ウィリアムズ)
編集賞

子供時代に初めて観た時には、主人公達の対立ばかりが強烈なインパクトとしてイメージに残ったのだが、数十年間を通して何度か観直しているうちに、友情を描いた場面の方が多いことに気づき、常に新鮮さを感じる作品でもある。

共にアカデミー主演賞にノミネートされた二人、トニー・カーティスシドニー・ポワチエは、色男と人種的偏見の目で見られる者という設定が、いかにもという感じなのだが、両者の鬼気迫る熱演は、映画史上に残る名演として記憶に残る。

どこか内に秘めたものがある、人間味も感じさせる保安官のセオドア・ビケル、豪傑的雰囲気と苦い過去の持ち主として、中盤で存在感を発揮する村人ロン・チェイニーJr.、先走る警部のチャールズ・マッグロー、ジョーカー(T・カーティス)に惹かれ、共に逃げようとするカーラ・ウィリアムズと息子ケヴィン・コーリン、捜査に同行する記者のローレンス・ドブキン、主人公らをリンチにかけようとする村人クロード・エイキンスも共演している。


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