恋人よ帰れ!わが胸に The Fortune Cookie (1966) 5/5 (1)


■ 作品情報へ ■
スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

怪我をしたテレビ・カメラマンが、義兄の弁護士にそそのかされて損害賠償の訴えを起こすものの、加害者の献身的な態度に改心し悪事と手を切り自分を取り戻すまでを描く、ビリー・ワイルダー製作、監督、共同脚本I・A・L・ダイアモンドジャック・レモンウォルター・マッソー共演のコメディ。


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■

監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
脚本
ビリー・ワイルダー

I・A・L・ダイアモンド
撮影:ジョゼフ・ラシェル
編集:ダニエル・マンデル
美術・装置
ロバート・ルサート

エドワード・G・ボイル
音楽:アンドレ・プレヴィン

出演
ハリー・ヒンクル:ジャック・レモン

ウィリー・ギングリッチ:ウォルター・マッソー
サンディー:ジュディ・ウエスト
ルーサー”ブーン・ブーン”ジャクソン:ロン・リッチ
パーキー:クリフ・オズモンド
オブライエン:ハリー・ホルカム
ヒンクル夫人:ルレーナ・タトゥル
シャーロット・ギングリッチ:マージ・レドモンド
ウィンターホルター教授:シグ・ルーマン
クラグマン医師:ハリー・デイヴィス
シンドラー医師:ネッド・グラス

マックス:ノーアム・ピトリック
ジャクソン:アーチー・ムーア
エルヴァイラ:ジュディ・ペイス

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1966年製作 125分
公開
北米:1966年10月19日
日本:1967年9月23日
製作費 $3,705,000
世界 $6,800,000


アカデミー賞 ■

第39回アカデミー賞
・受賞
助演男優賞(ウォルター・マッソー)
・ノミネート
脚本・撮影・美術賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1.事故

CBSのカメラマン、ハリー・ヒンクル(ジャック・レモン)は、フットボールの試合の中継中に、巨漢選手のルーサー・ジャクソン(ロン・リッチ)に激突され気絶してしまう。

意識の戻らないハリーは救急車で運ばれ、ジャクソンはそれを気にしながら試合に戻る。


2.義理の兄

ハリーの義兄で弁護士のウィリー・ギングリッチ(ウォルター・マッソー)と、母親(ルレーナ・タトゥル)、そしてウィリーの妻シャーロット(マージ・レドモンド)が病院に駆けつける。

ウィリーは、ハリーが子供時代に脊椎を傷めたことを知り、CBSとフットボール・チーム、そして競技場に100万ドルの損害賠償の訴訟を起そうとする。

3.悪巧み

ハリーの様態が心配なジャクソンは、彼を病院に見舞いに行く。

しかし、回復しているハリーを怪我人に仕立て、彼から目を離さないウィリーはジャクソンを追い返してしまう。

ウィリーの悪巧みに加担したくないハリーは、彼の言動にうんざりする。

そんな時、別れた妻サンディー(ジュディ・ウエスト)が病院のハリーに電話をよこすが、生活がだらしなく腹黒い彼女の魂胆は見え見えだった。

クラグマン医師(ハリー・デイヴィス)がハリーを診察に来たため、一応彼は様態が悪いように装うが、なんと医師から脊椎が痛んでいると診断されてしまう。

4.やり手の弁護士

ウィリーに訴えられた保険会社は、大手弁護士事務所の所長オブライエン(ハリー・ホルカム)に相談し、100万ドルの訴訟を起したハリーに対抗する。

オブライエンは、私立探偵のパーキー(クリフ・オズモンド)にハリーのカルテを入手させ、同じビル内にオフィスを置くウィリーに探りを入れる。

ウィリーを自分の事務所に呼んだオブライエンだったが、全く動じないウィリーは、自分の言い分を捲くし立てて悠然と立ち去る。

5.中華ランチ

ハリーをさらに重症に見せかけたウィリーは、賠償金を当てにして新車や妻の毛皮を買ってしまう。

再び見舞いに現れた気のいいジャクソンは、チームメイトで金を出し合って買った車椅子をハリーに贈る。

その後、ハリーは保険会社が派遣したウィンターホルター教授(シグ・ルーマン)の診察を受けることになる。

中華ランチの出前を頼んだウィリーは、それを届けた獣医シンドラー(ネッド・グラス)に、ハリーの神経を麻痺させる注射を打たせる。

ランチに付いていた”おみくじクッキー”の運勢を見てみたハリーは、”一部の人間は騙せても・・・”という、不吉なくじを引いてしまう。

6.蛇の穴

そして、保険会社側のウィンターホルター教授らの診察が始まり、教授以外の医師はハリーの神経障害を認める。

しかし、ウィンターホルター教授だけはハリーが仮病だと決め付け、最新技術を否定し、蛇の穴に患者を放り込む過激な方法があったことなどを語る。

7.ジェミニ計画

医師団の診察結果が、ハリーの障害を認めるものであったため、オブライアンは仕方なくウィリーに示談を提案する。

今後、一切賠償請求をしないという条件で、2000ドルを提示したオブライエンだったが、ウィリーはそれを退けて50万ドルを要求する。

憤慨するオブライエンに対し、ウィリーは中間の20万ドルで話をつけようとするのだが、オブライエンは電話を切り、徹底抗戦に方針を切り替えようとする。

しかし、証拠不十分のため、側近は戦っても勝ち目がないとオブライエンに助言する。

意地を張ったオブライエンは、私立探偵パーキーにハリーとウィリーを見張らせる。

パーキーは、翌日退院するハリーの張り込みには、より高度な”ジェミニ計画”をとオブライエンに提案する。

8.恋の炎

退院の準備が整ったハリーは、罰金を払ってまで練習を休み、献身的に自分に尽くすジャクソンを騙すのが嫌になる。

怪我人の振りを止めようとするハリーだったが、実は別れたサンディーに未練があり、彼女からの労わりの電話で気を取り戻す。

9.金魚鉢

自宅に戻ったハリーは、毎日現れるジャクソンとリハビリに励んでいたため、パーキーと相棒のマックス(ノーアム・ピトリック)は彼の尻尾を掴めない。

サンディーを待ち詫びるハリーは、その気持ちをジャクソンに伝え夢見心地になるのだが、ウィリーは向かいの建物にパーキーが入るのを目撃する。

さらに、ハリーの部屋の盗聴器を見つけたウィリーは、浴室でもそれを見つけ、浴槽のジャグジーで盗聴マイクの音を消して、示談で大金を巻き上げる計画をハリーに話す。

10.ティンカー・ベルの帰還

サンディーを空港に迎えに行ったジャクソンは、彼女がアトランティックシティに行く途中に立ち寄っただけで、歌手復帰を目指し金が必要だということを知る。

パーキーとマックスは、サンディーの登場に、いよいよ証拠を掴めるかと期待する。

ハリーは、ようやく到着したサンディーとの再会を喜び、その気持ちをジャクソンに話すが、彼は浮かれているハリーを気の毒に思う。

11.一番長い夜

ジャクソンの作った夕食を終え、彼が帰った後で、ようやく二人の時間を楽しもうとしたハリーとサンディーだった。

ウィリーに、羽目を外し過ぎるなと忠告されたハリーは不機嫌になるが、自分を待つサンディーの元に向かう。

12.もう一人の金髪

気分の冴えないジャクソンは、元ボクサーの父(アーチー・ムーア)に任せてある、ボーリング場のバーで酔っていた。

そこに、髪を金髪に染めたアフリカ系の女性エルヴァイラ(ジュディ・ペイス)が現れ、髪の毛に意見したジャクソンと彼女の連れとで殴り合いの喧嘩になる。

13.分け前を期待する者達

昔のサンディーとは違い、洗濯や掃除そして食事までするという彼女をハリーは嬉しく思う。

それを怪しく感じるウィリーは、”ハリー・ヒンクル財団”を設立し、賠償金を障害者のために寄付することを彼女と、盗聴しているパーキーらに知らせる。

サンディーは裏があることを見抜き、それをウィリーに追求する。

ハリーの脊椎の怪我が、子供の頃のものと知っているサンディーは、相手が慈善団体なら、まともに争わないと見るウィリーの魂胆を聞き出し、分け前を要求する。

14.現金の味

ハリーが慈善家になるという、証拠テープをパーキーから聞かされたオブライエンは、勝ち目が無いと察し、今こそ交渉の時とウィリーに連絡を入れる。

しかし、そのテープを聞かれたことは百も承知のウィリーは、オブライエンからの連絡を待ち構え、彼を自分のペースに巻き込みオフィスに呼び出す。

ウィリーはオブライエンと交渉を始め、示談金を徐々に引き上げていく。

その頃ハリーは、テレビニュースでジャクソンが暴行事件を起し逮捕され、無期限出場停止になったことを知る。

ウィリーに、ジャクソンの弁護を頼んだが断られたハリーは、思わず今までのことが嘘だと口走ってしまう。

金のために我慢するよう、それをなだめるサンディーの本心を知ったハリーは愕然とする。

15.より良いネズミ捕り

交渉を終え、ハリーの元に戻ったウィリーは、間抜けなパーキーらに声をかけて笑い者にする。

意気揚々と部屋に入ってきたウィリーは、20万ドルの小切手をハリーとサンディーに見せる。

浮かれるウィリーとサンディーとは対照的に、ハリーの心は沈む。

パーキーは、退散したと見せかけて、さらにハリーの監視を続けようとする。

悪知恵が働くウィリーではなく、情け深いハリーの心を知るパーキーは部屋を訪ね、ジャクソンを軽蔑してハリーを挑発する。

そしてパーキーは、ハリーが自分を殴ったところをマックスにカメラで撮影させる。

しかし、暗がりで撮影が失敗したことを知ったウィリーは、ハリーを車椅子に戻す。

ハリーは我慢の限界となり、部屋の明かりを点けて、もう一度パーキーを殴り、自分が正常だとアピールしてしまう。

嘆くウィリーから、ハリーは新車の鍵を奪い、サンディーを罵倒してその場を立ち去る。

開き直ったウィリーは、プライバシー侵害でオブライエンの法律事務所を訴えることなどを宣言し、それをフィルムに撮らせる。

16.ファイナル・スコア

フットボールの競技場に向かったハリーは、そこを去ろうとするジャクソンを見つける。

ジャクソンは事実だけを知り、ハリーを責めずに立ち去ろうとするが、ハリーはボールを彼に蹴り渡して自分をタックルさせる。

今度は、本当に怪我をさせてしまったと思ったジャクソンだったが、ハリーは立ち上がり二人は陽気にプレイを続ける。


解説 評価 感想 ■

ビリー・ワイルダー製作、監督、共同脚本は彼の盟友I・A・L・ダイアモンド、そして黄金コンビのジャック・レモン、更にはウォルター・マッソーまで加わった、ファンにはたまらない贅沢な作品。

*(簡略ストー リー)

巨体のフットボール選手ジャクソンに激突され、病院送りになってしまったテレビ・カメラマンのハリー・ヒンクルは、腹黒い弁護士で義兄のウィリー・ギングリッチの、賠償金請求の謀略に加担させられる。
ハリーは気乗りしないまま、チームやスタジアムに対し、100万ドルの損害賠償を求めようとする。
しかし、怪我をさせたジャクソンの献身的な態度に触れていくうちに、ハリーは自分のしたことに後悔してしまい・・・。
__________

主演の二人は、この後8作で共演することになり、記念すべき初顔合わせとなった。

第39回アカデミー賞では、”悪徳”弁護士を怪演したウォルター・マッソーが、助演男優賞を受賞し、脚本、撮影、美術賞(白黒)にノミネートされた。

お馴染みビリー・ワイルダーI・A・L・ダイアモンドによる脚本は、冒頭から矢継ぎ早に飛び出すギャグやジョークで、大いに笑わせてくれる。
中盤からは、情け深い加害者が重要な役となり、クライマックスにかけ、彼を騙す結果となり、良心の呵責に苦しむ主人公の心の動きを描いた、人情喜劇としても楽しめる、脚本家二人(ワイルダー/ダイアモンド)の職人技が堪能できる、非常に完成度の高い作品でもある。

また、ドラマを16のシークエンスで分けた構成で、飽きずに見られる。

そのタイトルも実に洒落ていて、例えば”7.ジェミニ計画”は、当時の最先端宇宙計画である”ジェミニ計画”だと誰でもわかるのだが、ただの狭い部屋の、二人組みの張り込みであるところなど、シンプルなジョークは絶品だ!!

ジェミニ宇宙船は二人乗りの非常に狭い船内だった。

見る者は、悪人になどなれるわけがないと思いながら彼を観察し、そして期待通りに人情味溢れる人物として描かれる、しがない男ジャック・レモンの好演は光る。

対照的に、ずる賢い”悪徳”弁護士を演ずるウォルター・マッソーのマシンガントーク、表情、仕草など、体全体を使った完璧な演技は絶品だ。

小悪魔的な、腹黒い主人公の前妻ジュディ・ウエスト、気の良い加害者のロン・リッチ、私立探偵のクリフ・オズモンド、大手弁護士事務所所長のハリー・ホルカム、主人公の母ルレーナ・タトゥル、姉マージ・レドモンド、医師のシグ・ルーマン、ハリー・デイヴィス、ネッド・グラス、私立探偵の同僚ノーアム・ピトリック、加害者の父でプロボクシング元ヘビー級チャンピオンのアーチー・ムーアも登場する。


スポンサードリンク
ウェブ・ムービー・シアター

ウェブ・ムービー・シアター