女相続人 The Heiress (1949) 5/5 (29)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1880年に発表された、 ヘンリー・ジェームズの小説”Washington Square”を基に、1947年に、ブロードウェイで上演された舞台劇の映画化。
内気で社交性のない女性が、遺産目当ての男の裏切りと父からも心無い言葉を浴びせられ、2人に対し復讐心を燃やすほどに変貌していく姿を描く、製作、監督ウィリアム・ワイラー、主演オリヴィア・デ・ハヴィランドモンゴメリー・クリフトラルフ・リチャードソンミリアム・ホプキンス他共演の傑作ドラマ。


ドラマ


スタッフ キャスト ■

監督:ウィリアム・ワイラー
製作:ウィリアム・ワイラー
原作:ヘンリー・ジェームズWashington Square
脚本
ルース・ゲッツ
オーガスタ・ゲイツ
撮影:レオ・トーヴァー
編集:ウィリアム・ホーンベック

美術・装置
ジョン・ミーハン

ハリー・ホーナー
エミール・キュリ

衣装デザイン
イデス・ヘッド
ジャイル・スティール
音楽:アーロン・コープランド

出演
オリヴィア・デ・ハヴィランド:キャサリン・スローパー
モンゴメリー・クリフト:モリス・タウンゼント
ラルフ・リチャードソン:オースティン・スローパー
ミリアム・ホプキンス:ラヴィニア
モナ・フリーマン:マリアン・アーマンド

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1949年製作 115分
公開
北米:1949年10月6日
日本:1950年11月
製作費 $2,600,000


アカデミー賞 ■

第22回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(オリヴィア・デ・ハヴィランド)
美術・衣装デザイン・作曲賞(ドラマ・コメディ)
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ラルフ・リチャードソン)
撮影賞(白黒)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

19世紀半ば、ニューヨークワシントン広場
富豪で学識のある医師オースティン・スローパー(ラルフ・リチャードソン)は、妻に先立たれ、一人娘のキャサリン(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と暮らしていた。

そこに、未亡人である妹ラヴィニア(ミリアム・ホプキンス)が、冬の間だけ同居することになる。

オースティンは、理想の女性であった亡き妻の命と引換えに授かった、娘の不出来に失望する毎日を送っていたのだが、彼女に、人生の楽しみ方を教え込もうとするラヴィニアに期待する。

ラヴィニアに促され、従姉妹の婚約パーティーに出席することになったキャサリンは、最高の教育や躾を受けたものの、冴えない容姿と内気な性格で、どうしても浮いた存在になってしまう。

そんなキャサリンを気遣うラヴィニアは、ヨーロッパ帰りの上品な青年、モリス・タウンゼント(モンゴメリー・クリフト)を紹介する。

自分に優しく接するモリスとのダンスや会話に、夢見心地のキャサリンは、彼に強く惹かれてしまう。

その後、度々キャサリンの家を訪れるモリスに、彼女は惑ってしまう。

そんなキャサリンに、ついにモリスは愛を告白する。

モリスを夕食に招いたオースティンは、定職を持たない彼が、世間知らずのキャサリンに近づこうとしていることを見抜き、ラヴィニアに監視をさせる。

そんなオースティンの考えを余所に、ラヴィニアは姪が掴みかけた幸せを逃すまいと、二人の仲を何とか取り持とうとする。

モリスは、初心なキャサリンに迫り、そして結婚を申し込み、彼女はそれに同意してしまう。

モリスは、財産目当ての結婚と言われるのを心配するが、初めて訪れた恋心に、キャサリンはそれを気にする余裕もなかった。

それを聞いたオースティンは、浮かれるキャサリンを尻目に、モリスの姉に探りを入れ、財産目当ての結婚だという結論を出してしまう。

キャサリンは、直ぐにでも結婚すると言い出すが、モリスは、オースティンの承諾なしには、皆が不幸になると判断する。

モリスは、オースティンがキャサリンを半年ヨーロッパに連れて行き、その間も二人の気持ちが変わらない場合、結婚を許可するという提案を受け入れる。

旅立つキャサリンとオースティンを見送ったモリスは、留守中にラヴィニアとの親交を深め、彼女のお気に入りとなる。

時は過ぎ、一向に気持ちが変わらぬキャサリンを見て、オースティンは帰国することにする。

帰宅したオースティンは、自宅にモリスが入り浸っていたことを知り憤慨し、キャサリンに対し、財産しか取り柄のない不出来な娘だと口にしてしまう。

ショックを受けたキャサリンは、外で待ち構えていたモリスの元に駆け寄り、駆け落ちを決意する。

そしてキャサリンは、自分を侮辱した父オースティンを、一生許さないことを誓う。

自らの自立と希望を胸に、モリスの迎えを待つキャサリンは、ラヴィニアにも祝福される。

キャサリンは、父オースティンとの決別を決め、相続権を拒否することをラヴィニアに伝える。

ラヴィニアは、それをモリスも承知だということを知り、不安に思う。

ラヴィニアの心配は的中し、結局モリスは現れなかった。

旅行から帰って以来、オースティンは体調を崩し、当然キャサリンとの間には深い溝ができてしまっていた。

キャサリンは心を閉ざしてしまい、婚約を破棄したことを喜ぶオースティンに怒りをぶつけ、彼は、相続権についての遺書を書き変えようとする。

キャサリンはそれに応じて、自ら筆を取り遺書を代筆し始める。

先の長くない父には、自分の取る行動はわからないとまでキャサリンに言われたオースティンは、ショックを受けて席を立つが、それを見た彼女は同情すらしなかった。

さらにキャサリンは、オースティンの臨終の知らせを受けても、父に会おうともしなかった。

オースティンも亡くなったある日、モリスに会ったラヴィニアが、彼のとった行動を正当化し、キャサリンの元に連れてきてしまう。

モリスに会うことを拒んだキャサリンだったが、彼の言い分を聞き求婚を受け入れてしまう。

しかし、キャサリンは、モリスが財産ばかりか、愛情まで欲しがっている本性を見抜き、迎えに来た彼に見向きもせずに見捨ててしまう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

19世紀半ば、ニューヨーク
富豪の医師オースティン・スローパーは、妻に先立たれ、一人娘キャサリンと暮らしていた。
そこに、未亡人である妹ラヴィニアが訪れ、冬の間だけ同居することになる。
娘キャサリンの不出来に失望していたオースティンは、人生の楽しみ方を教え込もうとするラヴィニアに期待する。
あるパーティーに出席したキャサリンは、上品なヨーロッパ帰りの青年モリスをラヴィニアから紹介される。
容姿も冴えない浮いた存在のキャサリンだったが、そんな自分に優しく接してくれるモリスに強く惹かれてしまう。
その後、モリスは、度々キャサリンの家を訪れ、そして彼女に愛を告白する。
しかし、キャサリンの父オースティンは、モリスが、世間知らずの娘に近づこうとしていることを見抜き警戒する。
そんなキャサリンを見て、姪が掴みかけた幸せを逃すまいと、ラヴィニアが2人の仲を取り持とうとするのだが・・・。
__________

既に「ミニヴァー夫人」(1942)と「我等の生涯の最良の年」(1946)でアカデミー監督賞を受賞していたウィリアム・ワイラーが続いて製作した、パラマウントに移籍後の最初の作品。

第22回アカデミー賞では、作品賞以下8部門にノミネートされ、主演女優(オリヴィア・デ・ハヴィランド)、美術、作曲賞、衣装デザインを受賞した。

・ノミネート
作品・監督
助演男優(ラルフ・リチャードソン)
撮影賞(白黒)

何の変哲もないホーム・ドラマのように始まり、やがて良質の推理ドラマからサスペンス・タッチにまで変貌する展開など、繊細な人物描写と合わせて、ウィリアム・ワイラーの確かな演出に、終始圧倒されてしまう。

20世紀のアメリカを代表する作曲家アーロン・コープランドの、アカデミー賞を受賞した、優雅でドラマチックな音楽も印象に残る。

「遥かなる我が子」(1946)に続き、2度目となるアカデミー賞受賞のオリヴィア・デ・ハヴィランドの演技は完璧と言っていいほど素晴らしく、各場面の表情から仕草まで一瞬たりとも目を離せない名演を見せてくれる。

ラストで、すがる男性を無視して家中の灯りを消し、2階に上がっていく姿の恐ろしさは、痛快ささえ感じる。

モンゴメリー・クリフト故に、本心は彼女を想い・・・と信じたくなってしまう、最後まで完全な悪役とは感じさせない人物を、デビュー間もない彼は好演している。

娘の幸せを願うものの、財産の保持と妻の幻影にとらわれ過ぎたため、結局は娘から見放されてしまう、アカデミー賞候補になったラルフ・リチャードソンと、世話好きの叔母ミリアム・ホプキンスの、ドラマにアクセントを加える演技も見逃せない。


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