めぐりあう時間たち The Hours (2002) 4.1/5 (29)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

1998年に発表された、マイケル・カニンガムの”The Hours”を基に製作された作。
*同作は翌年ピューリッツァー賞ペン/フォークナー賞を受賞。
主人公ヴァージニア・ウルフの”ダロウェイ夫人”をモチーフに、彼女自身とそれに関わる二人の女性の時代を越えたつながりを描く、監督スティーヴン・ダルドリー、主演ニコール・キッドマンスティーヴン・ディレインミランダ・リチャードソンジュリアン・ムーアジョン・C・ライリートニ・コレットメリル・ストリープエド・ハリス共演のドラマ。


ドラマ

ニコール・キッドマン / Nicole Kidman 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:スティーヴン・ダルドリー
製作総指揮:マーク・ハッファム
製作
ロバート・フォックス

スコット・ルーディン
原作:マイケル・カニンガム
脚本:デヴィッド・ヘア
撮影:シーマス・マクガーヴェイ
編集:ピーター・ボイル
衣装デザイン:アン・ロス
音楽:フィリップ・グラス

出演
1923年
ヴァージニア・ウルフニコール・キッドマン

レナード・ウルフスティーヴン・ディレイン
ヴァネッサ・ベルミランダ・リチャードソン
ネリー・ボックソール:リンダ・バセット
ロッティー・ホープ:リンゼイ・マーシャル
クエンティン・ベル:ジョージ・ロフタス

1951年
ローラ・ブラウン:ジュリアン・ムーア

ダン・ブラウン:ジョン・C・ライリー
キティ・バーロウ:トニ・コレット
ラッチ夫人:マーゴ・マーティンデイル
リッチー・ブラウン:ジャック・ロヴェロ

2001年
クラリッサ・ヴォーン:メリル・ストリープ

リチャード”リッチー”ブラウン:エド・ハリス
サリー・レスター:アリソン・ジャネイ
ジュリア・ヴォーン:クレア・デインズ
ルイス・ウォーターズ:ジェフ・ダニエルズ
バーバラ:アイリーン・アトキンス

アメリカ/イギリス 映画
配給
パラマウント映画(北米)
ミラマックス(世界)
2002年製作 114分
公開
北米:2002年12月27日
日本:2003年5月17日
製作費 $25,000,000
北米興行収入 $41,675,994
世界 $108,846,072


アカデミー賞 ■

第75回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(ニコール・キッドマン)
・ノミネート
作品・監督
助演男優(エド・ハリス)
助演女優(ジュリアン・ムーア)
脚色・編集・衣装デザイン・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1941年3月28日、イングランドサセックスウーズ川
錯乱状態が続いて、心乱れる作家ヴァージニア・ウルフ(ニコール・キッドマン)は、夫レナード(スティーヴン・ディレイン)と姉ヴァネッサ・ベル(ミランダ・リチャードソン)に置手紙を遺し入水自殺する。
__________

● 1923年
ロンドン郊外、リッチモンド
病気療養を兼ねたヴァージニアは、新作”ダロウェイ夫人”の執筆を始めていた。

使用人ネリー・ボックソール(リンダ・バセット)に筆を止められたヴァージニアは、散歩に出かけながら小説の原案を思い浮かべる。

その日の午後、姉ヴァネッサロンドンからヴァージニアを訪ねてくる。

他愛もない話をする姉妹だったが、ヴァネッサの子供達が死んでいる小鳥を見つけ、それを葬ろうとしたヴァージニアはその”死”を考えて見つめ続ける。

その後、ヴァージニアヴァネッサらとのお茶の席で、”ダロウェイ夫”の中で主人公を殺すことを考え始めて思いに耽ってしまう。

しかし、ヴァージニアは、話しかけられたヴァネッサの娘に、主人公を殺すことを止めたことを伝える。

ヴァネッサロンドンに戻ろうとするが、自分に安らぎの日が来るのだろうかと、異常な様子で尋ねるヴァージニアを見て動揺する。

そしてヴァネッサは、素っ気無い答えを返し、逃げ去るように立ち去る。

その後、ヴァージニアが外出したことを知った夫レナードは、それを追い彼女を駅で見つける。

レナードに、もどかしい日々の不満をぶつけるヴァージニアだったが、彼は現実に向き合おうとしない妻を理解できないでいた。

自分のためだとはいえ、住みたくもない町で本意でない人生を送ることの無意味さを語るヴァージニアは、ロンドンに戻りたい意向をレナードに伝える。

ヴァージニアに、田舎暮らしよりも死を選ぶとまで言われたレナードは、思案した末にロンドンに戻ることに同意する。

その夜レナードは、どうして小説の中で人が死ぬのかをヴァージニアに尋ねる。

ヴァージニアは、人の死で生きることの価値を理解させ、対比でそれを表現しているとレナードに伝えて、彼女は”妄想家の詩人が死ぬ”と付け加える。

そして、ヴァージニアは、”ミセス・ダロウェイ”の終焉を思い描きながら眠りにつく。

● 1951年
ロサンゼルス
ダロウェイ夫”を愛読する、妊娠中の主婦ローラ・ブラウン(ジュリアン・ムーア)は、夫ダン(ジョン・C・ライリー)の理想の妻でいることに疲れ果てていた。

ローラは、夫の誕生日を祝いに、息子リッチー(ジャック・ロヴェロ)とケーキを焼くことにする。

出来上がったケーキの出来栄えに満足できないローラの元に、隣人キティ・バーロウ(トニ・コレット)が訪ねてくる。

様子がおかしいキティの様子を気遣ったローラは、子宮の腫瘍がみつかり、彼女が検査入院することを告げられる。

それを知ったローラは、不安が募るキティを抱き寄せ唇にキスしてしまい、彼女を励まし見送る。

それを見ていたリッチーに、厳しい言葉をかけてしまったローラは、ケーキをゴミ箱に捨ててしまう。

その後ローラは、再度チャレンジして見事なケーキを仕上げる。

ローラは、大量の薬を持参し、嫌がるリッチーをラッチ夫人(マーゴ・マーティンデイル)に預けホテルに向かう。

そして、ベッドに横たわったローラは、”ダロウェイ夫”を読み始める。

物語の中で、主人公が、死を諦める部分を読んでいたローラは、結局は死ぬことは出来なかった。

リッチーを迎えに行ったローラは、愛していることを伝え彼を安心させる。

その夜、帰宅したダンを迎え、ローラとリッチーは彼の誕生パーティーを始める。

ダンは、理想の妻として共に幸せを築いてくれたローラに感謝する。

幸せな気分を味わった一日に満足したダンだったが、何もかも思い通りにならなかったローラは、彼に隠れて涙する。

● 2001年
ニューヨーク
編集者クラリッサ・ヴォーン(メリル・ストリープ)は、エイズに苦しむ元恋人で、詩人で作家のリチャード”リッチー”ブラウン(エド・ハリス)の、名誉ある賞の受賞を祝うため、パーティーの準備をしていた。

クラリッサのことを”ミセス・ダロウェイ”と渾名するリチャードは、献身的に自分を支えてくれる彼女に、受賞は同情からで、今の自分には何も出来ないと苦しみを伝える。

さらに、クラリッサを満足させるために生きていると語るリチャードは、何年も自分の世話を続ける彼女の人生を奪いたくない事実も伝える。

クラリッサは動揺するが、気を取り戻し、リチャードを迎えに来ることを告げその場を立ち去る。

帰宅したクラリッサは落ち込むが、同居して10年ぬなるサリー・レスター(アリソン・ジャネイ)に励まされる。

その後、パーティーの準備を始めていたクラリッサの元に、リチャードの元恋人であるルイス・ウォーターズ(ジェフ・ダニエルズ)が訪ねてくる。

クラリッサはルイスを歓迎するが、次第に落ち着きを失い、不吉な予感がすることを彼に伝える。

リチャードがルイスを選んだことなどを思い出し、泣き崩れたクラリッサだったが、彼のサンフランシスコの暮らしなどを聞き、気を取り戻してパーティーの準備を続ける。

暫くして、帰宅した大学生の娘ジュリア(クレア・デインズ)と、クラリッサはリチャードのことや、人生で一番幸せだったことを語り気を紛らす。

母親ローラの写真を見ながら思いに耽るチャードは、その後、抗ウツ剤と覚せい剤を飲み興奮状態になり、迎えに来たクラリッサを驚かせる。

クラリッサは、授賞式やパーティーに欠席させることでリチャードを落ち着かせようとする。

しかしリチャードは、クラリッサに彼女の一日の出来事を尋ね、彼女の優しさに感謝し愛を告げ、窓から身を投げてしまう。

クラリッサは、中止になったパーティーの後片付けをしていた時に、リチャードの母親ローラの訪問を受ける。

ローラは、家族全てを失ったことをクラリッサに告げ、自分が価値のない人間に思えることを伝える。

リチャードの小説の中で、どうして自分が殺されたかを語るローラは、子供二人を残し家を出たことをクラリッサに話す。

ローラは、自殺しようとしたその夜、子供が生まれたら家庭を捨てようと決心したこともクラリッサに伝える。

それを実行したローラは、その後カナダに向かい、図書館に勤めたのだが、後悔することを無意味だと感じて生きてきた。

そして、生涯、責め苦を負い、自分が許されることはないだろうとも語る。

結婚は死と同じだというローラの話を聞き、人工授精までしてジュリアを生んだクラリッサはショックを受け、彼女を気遣うサリーにキスする。

そしてジュリアは、宿泊することになったローラにお茶を運び、彼女を固く抱きしめる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1923年、ロンドン郊外、リッチモンド
作家ヴァージニア・ウルフは、病気療養と新作”ダロウェイ夫人”執筆のために、夫レナードとこの地に移り住む。
ヴァージニアは、姉ヴァネッサとのお茶の時間を控え、作品の内容や人間の死の意味などを考える・・・。
1951年、ロサンゼルス
ダロウェイ夫人”を愛読する、妊娠中の主婦ローラは、夫のために理想の妻でいることに疲れ果てて自殺を考える・・・。
2001年、ニューヨーク
編集者クラリッサは、元恋人でエイズ患者である、詩人で作家のリチャードが名誉賞を受賞したことで、その祝賀パーティーを催す準備を始める。
しかし、死を目前にしたリチャードは、献身的なクラリッサへの精神的な負担と、生きる価値のない自分に絶望して、母ローラを想いながら死を決意する・・・。
__________

三人の女性が、微妙に絡み合う一日を通した物語を、目まぐるしく移り変わる場面構成で描いた作品。
その見事な編集と、重みを感じさせてくれる各セリフ、そしてスムーズに展開するストーリーに引き込まれる。

前作の「リトル・ダンサー」(2000)、次回作の「愛を読むひと」(2008)と共にアカデミー監督賞にノミネートされたスティーヴン・ダルドリーの流れるような演出手腕、そして、原作者であるマイケル・カニンガムと同じく、ゲイ、バイセクシャルと公言している二人の、作品内での様々な表現力も注目だ。

上記のように、年代ごとのストーリーを読むと、さほど面白味のある作品には思えないというところがこの作品の素晴らしさで、全く違う三話の物語がまとまりを見せる、その絶妙な感覚は、実写映像を見ないと文字では味わえない。

各時代、1950年代のアメリカの豊かさを象徴するような中流家庭の様子、また、1920年代の、イングランドの田舎町の穏やかな雰囲気やファッションなども興味深い。

北米興行収入は4200万ドル、全世界では、1億ドルを超えるヒットとなった。

第75回アカデミー賞では、作品賞以下9部門にノミネートされ、ニコール・キッドマンが主演女優賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(エド・ハリス)
助演女優(ジュリアン・ムーア)
脚色・編集・衣装デザイン・作曲賞

三人の主人公、メリル・ストリープジュリアン・ムーアは終盤で対面するものの、ニコール・キッドマンは他の二人とは同じ場面では登場しない。

彼女と言われなければ、多分誰も気づかないだろう、特殊メイクで変貌したニコール・キッドマンは、神経発作に悩み情緒不安定な主人公ヴァージニア・ウルフに成り切っている。

既に40歳を過ぎていたジュリアン・ムーアは、ヤング・ミセスから、終盤では老女までを演じ、ニコール・キッドマン以上の、表現力豊かな演技を見せてくれる。

メリル・ストリープは、病魔に侵された元恋人を献身的に支える、バイセクシャルの中年女性を好演し、貫禄の演技を見せてくれる。

スティーヴン・ダルドリーマイケル・カニンガムに感情移入されていると思われる、エイズ患者役エド・ハリスは、それに見事に応えた、切実なる思いの作家を、彼らしく熱演している。

ヴァージニアの夫レナード役のスティーヴン・ディレイン、姉ヴァネッサミランダ・リチャードソン、使用人のリンダ・バセット、ローラ(J・ムーア)の夫ジョン・C・ライリー、息子ジャック・ロヴェロ、隣人のトニ・コレット、知人マーゴ・マーティンデイル、クラリッサ(M・ストリープ)の同居人アリソン・ジャネイ、娘クレア・デインズ、リチャード(E・ハリス)の元恋人役でジェフ・ダニエルズなどが共演している。


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