ハリケーン The Hurricane (1937) 4/5 (20)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

妻に会いたい一心で脱獄した南海の島の青年と人々が遭遇する巨大ハリケーンの脅威を描く、製作サミュエル・ゴールドウィン、監督ジョン・フォード、主演ドロシー・ラムーアジョン・ホールメアリー・アスターC・オーブリー・スミストーマス・ミッチェルレイモンド・マッセイジョン・キャラダイン他共演のアドベンチャー・アクション。


アクション/アドベンチャー

ジョン・フォード / John Ford 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督
ジョン・フォード

スチュアート・ヘイスラー(クレジット無し)
製作:サミュエル・ゴールドウィン

原作
ジェームズ・ノーマン・ホール

チャールズ・ノードホフ
”The Hurricane”
脚本
オリヴィア・H・P・ギャレット
ダドリー・ニコルズ

撮影:バート・グレノン
編集:ロイド・ノスラー
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
マラマ:ドロシー・ラムーア

テランギ:ジョン・ホール
ジャーメイン・デ・ラージュ:メアリー・アスター
ポール神父:C・オーブリー・スミス
ケルサン:トーマス・ミッチェル
ユージーン・デ・ラージュ:レイモンド・マッセイ
刑務所長:ジョン・キャラダイン
ネイグル船長:ジェローム・コーワン
メヘヴィ:アル・キクメ
マコ:レイン・トムJr.

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1937年製作 110分
公開
北米:1937年11月9日
日本:1938年12月15日
製作費 $2,000,000


アカデミー賞 ■

第10回アカデミー賞
・受賞
録音賞
・ノミネート
助演男優(トーマス・ミッチェル)
作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

太平洋
客船で旅を続けるケルサン医師(トーマス・ミッチェル)は、目前に見える荒れ果てた島”マヌクラ”を眺めながら、寄り添う女性客に、かつてはあの場所ほど緑の美しい島はなかったと語り魅惑の楽園を懐かしく想う。

島に向かって投げキスをしたケルサンは、通る度にすることだと言って、ハリケーンの通過する場所だったことが問題だったと呟く・・・。
__________

フランス領、マヌクラ島。
現地を厳しく統治する総督ユージーン・デ・ラージュ(レイモンド・マッセイ)は、カヌーを盗んだ青年を罰しようとする。

デ・ラージュは、未開の地で西洋文明を強要し過ぎると破滅すると、その場にいたケルサンに言われる。

妻ジャーメイン(メアリー・アスター)の乗った船が到着したことに気づいたデ・ラージュは、帰島祝いに減刑を求めるケルサンの意見を一応聞き入れ、族長メヘヴィ(アル・キクメ)に青年の刑を言い渡す。

人々はスクーナー”カトプア”を歓迎し、一等航海士として乗船していた現地の青年テランギ(ジョン・ホール)は、マストの上から、族長の娘である恋人のマラマ(ドロシー・ラムーア)の姿を確認して呼びかける。

テランギはその場から海に飛び込みマラマの元に向かい、二人は愛を確かめ合う。

デ・ラージュはジャーメインを迎え、ポール神父(C・オーブリー・スミス)は、旅の無事を神に感謝する。

帰島を祝うデ・ラージュは、船長ネイグル(ジェローム・コーワン)を招いて話を聞き、ケルサンは帰国許可が下りないことを嘆く。

結婚間近のテランギとマラマの話にもなり、ジャーメインは、テランギに休暇を与えることをネイグルに提案する。

ネイグルは、優秀な一等航海士であるテランギが、船のマストよりも必要であると答える。

その夜、ポール神父によるテランギとマラマの結婚式が行われ、二人は祝福を受ける。

島の儀式と祝宴も行われ、テランギとマラマは早々に姿を消し、カヌーで別の場所に向かい、そして二人は愛し合う。

翌朝、島が消えた不吉な夢を見たマラマは、テランギには船に乗ってほしくなかった。

それが無理だと言われたマラマは、同行することを求める。

カトプアはタヒチに向かい出航し、マラマはヤシの袋に入れられテランギが運び込むが、ネイグル船長に見つかってしまう。

ネイグルは仕方なくマラマが残ることを認めるが、テランギを航海士から船員に降格させる。

責任を感じたマラマは、テランギのために海に飛び込み泳いで島に戻る。

タヒチ
クラブで仲間達と楽しんでいたテランギは、現れた白人客に侮辱されて殴られる。

テランギは抵抗して相手を殴り倒してしまい、拘束されて6か月の懲役となる。

ネイグルは現地の総督に抗議するが、怪我をさせた上に相手が実力者だったため恩赦は認められなかった。

テランギは、男らしく刑を受けるようネイグルに説得され、牢に入れられ看守(ジョン・キャラダイン)に監視される。

重労働を課せられたテランギは、カトプアが出航することを知り、その場から脱出して海に飛び込み船に向かう。

しかし、帆を張った船のスピードについて行けず、テランギは浜辺に向かい捕えられてしまう。

罪を犯したテランギは、刑期を1年延長されてしまう。

カトプアはマヌクラに戻り、交渉してテランギを引き取るようネイグルはデ・ラージュに要望する。

他の島の法律に干渉することはできないと言うデ・ラージュに対し、島中の人々に愛されているテランギを救うべきだとケルサンは意見する。

しかしデ・ラージュは、タヒチの法律に従うべきだと考える。

ケルサンは、マラマが妊娠していても考えは変わらないかを問い、それを聞いたジャーメインは、そのような事情ならば植民地省も動くのではないかとデ・ラージュに問う。

デ・ラージュは、ジャーメインらに憎まれることになっても、総督としての使命を果たすしかないと言って考えを変えない。

ジャーメインは、自分の責任だと言ってこの件をマラマに伝える。

しかし、テランギの性格を知るマラマは、刑期を終えるのを待たずに夫が逃げようとすると考え絶望する。

その頃、テランギは脱獄して捕えられ、逃げる度に刑が2年加算されると言われる。

しかし、マラマに会うことだけが生きる目的のテランギは再び脱獄し、脚を撃たれて捕えられ刑は2年延長される。

その後も脱獄を繰り返すテランギは、結局は16年の刑となってしまう。

ケルサンは、無実の男の自由のため行動を起こすべきだとデ・ラージュに言い寄り、族長メヘヴィも島全体が不幸になったと訴える。

島の者達の考えが変わり不満を抱き、デ・ラージュの総督としての権威も失うとケルサンは付け加える。

しかし、責任を果たすまでだと言うデ・ラージュは、考えを変えるつもりはなかった。

所長になったことをテランギに伝えた元看守は、覚悟するようにと言って彼を脅す。

テランギは自殺したと見せかけて看守を叩きのめし、その場から脱出する。

所長はテランギを追うものの逃がしてしまい、看守が一人殺される。

大がかりな捜査が始まり、食料を確保したテランギはカヌーを奪って沖に出る。

部族の騒ぎに気づいたデ・ラージュは、何が起こったのかをメヘヴィに問い、幸せを願った祝いであることを知る。

メヘヴィはテランギが逃げたための祝いだと伝え、どこからの情報かは問題ではなく、自由を求める者を称える人々の、法に対する答えだとケルサンが言葉を添える。

食料がなくなったテランギは嵐に遭遇し、水だけは確保する。

テランギが人を殺したことを知ったデ・ラージュは、”カイエンヌ”の地下牢に入れられその場で死に忘れ去られると、報告を怠ったネイグルに伝える。

風もなく漂流していたテランギは、サメを捕えて食料にする。

再び嵐となり、カヌーの帆を下したテランギは転覆してしまう。

翌日、天候は回復し、海に出ていたポール神父がテランギを発見する。

タヒチから1000キロもカヌーで来たことに驚く神父は、幸人の件をテランギに尋ねる。

テランギは、逃げるために殴り殺す気はなかったことを神父に伝える。

島に近づき、テランギは、1日だけでいいので生まれた娘、そしたマラマと過ごしたいと願う。

自分には裁く権利はないと語る神父は、家族の近くの陸に降ろすことを伝えテランギに感謝される。

テランギは船を降りて島に向かい、翌朝、彼の娘ティタは男の人を見たことを母マラマに知らせる。

マラマは何かを感じて浜に向かい、倒れているテランギに寄り添う。

目覚めたテランギは、8年ぶりのマラマとの再会を喜び、娘ティタを抱き寄せる。

その後、現れたメヘヴィは、危険が迫っていることをテランギに伝え、今回のことを知ればデ・ラージュも追ってくると言って、禁断の地ファヌアイノに逃げるよう指示する。

その時、島には強風が吹き始める。

ケルサンとネイグルを食事に招いていたデ・ラージュは、人々の視線で自分が支持されていないことを察していた。

テランギのことが頭から離れないデ・ラージュはそれを気にして、島の人々が何かを隠していることを感じていた。

嵐は激しくなり、デ・ラージュは、悪天候の中カヌーにいた少年マコ(レイン・トムJr.)の行動を不審に思い、ポール神父の元に向かう。

マラマとティタはカヌーに乗り、テランギの待つ場所に向かう。

島の者がテランギの居場所を知っていると言い張るデ・ラージュは、その件を神父に追及する。

神父は、マコや村人は関係なく自分がテランギを見つけたことをデ・ラージュに伝え、殺人者を救ったという彼に、テランギの心は罪を犯していないと語る。

マコに話をさせようとするデ・ラージュだったが、誰も愛する者を裏切ることはできないと神父は語る。

政府に殺人者の情報を知らせる必要があると言うデ・ラージュに対し、この世にはそれ以上のもの、真実があると神父は答える。

喜んで罰を受けるという神父の言葉を聞いたデ・ラージュはその場を去る。

翌朝、ネイグルを呼んだデ・ラージュは、テランギを捜すため船を接収して出航をしようとする。

ハリケーンが近づく中、出航は無理だというネイグルだったが、デ・ラージュは聞き入れようとしない。

ケルサンは、テランギを追うことが身の破滅に通ずるとデ・ラージュに伝える。

デ・ラージュは出航準備をさせて、ネイグルは仕方なくそれに従う。

そして、さらに激しくなった嵐の中、カトプアは出航する。

テランギらも沖に向かうが、鳥の群れを見たマラマは、不吉な夢が現実になったことを伝え、彼らは島に戻ることになる。

人々はテランギらを助け、メヘヴィは、高波に備えるよう人々に指示する。

ケルサンは船でお産をすると言う女性の元に向かい、ジャーメインは、神父の指示で高台の教会に向かう。

神父や人々は、神に祈りを捧げるしかなかった。

高波が迫ったため、テランギはマラマとティタを連れて大木に登る。

家は吹き飛ばされ、瓦礫の下敷きとなる犠牲者も出る。

波は教会に襲い掛かり、それを知ったテランギはその場に向かう。

ポール神父はテランギらに避難するよう指示し、自分は残ることを伝える。

神父に救われたテランギは今度は自分が助ける番だと言うが、神父はジャーメインのことを彼に任せる。

テランギと共に行きたい者はそれに従うよう、祈りたい者はこの場で最後の祈りを捧げるようにと、神父は人々に伝える。

ジャーメインを大木まで連れて行ったテランギは、その場に体を縛りつけて耐える。

教会は波に破壊されて島全体も壊滅するが、ボートの女性は無事に子供を出産する。

嵐は去り、ケルサンやメヘヴィらは、生まれた男の子が生きていたことを確認する。

沖にカトプアが現れ、デ・ラージュは島が壊滅したことを知る。

島に上陸したデ・ラージュは、生存者が数人でありジャーメインは消息不明であるとケルサンに言われる。

デ・ラージュは、ハリケーンの外にいたため助かったことをケルサンに伝える。

大木ごと沖に流され無事だったテランギらは、戦闘用のカヌーを見つける。

デ・ラージュは、ジャーメインが教会にいたという話をケルサンに聞きながら、船を修理して捜索を始める準備をするようネイグルに指示する。

孤島にたどり着いたテランギは、捕えられたとしても、生きていただけで満足だとマラマとジャーメインに伝える。

そこにカトプアが現れ、テランギは、ジャーメインに見送られながらマラマとティタと共にカヌーで沖に向かう。

焚火の煙を確認したデ・ラージュはその場に向かい、無事だったジャーメインを抱きしめる。

デ・ラージュは、結婚して以来の全てのことについて謝罪し、1日で目が覚めたことを伝える。

テランギの足跡に気づいたデ・ラージュは、沖のカヌーを確認するが、ジャーメインに流木だと言われる。

ジャーメインは、確かに流木だと言う夫に寄り添い、二人はいつまでも沖を見つめる。


解説 評価 感想 ■

ジェームズ・ノーマン・ホールチャールズ・ノードホフの原作”The Hurricane”を基に製作された作品。
(出演者ジョン・ホールは、ジェームズ・ノーマン・ホールの甥)

*(簡略ストー リー)

太平洋フランス領、マヌクラ島。
部族長の娘マラマと結婚した島の青年テランギは、一等航海士としてスクーナー”カトプア”で出航する。
タヒチに着いたテランギは、クラブで白人に侮辱されて殴ってしまい、6か月の懲役刑となる。
マラマに会いたい一心のテランギは脱獄を繰り返し、延長された刑は16年になってしまう。
島の総督デ・ラージュは、人々に慕われるテランギを救うべきだという医師ケルサンや妻ジャーメインの意見を聞き入れず、法に従い職務を果たそうとする。
その頃、再び脱獄して漂流し、島のポール神父に救われたテランギは、遂にマラマの元に戻ることができる。
生れた娘と共に幸せを実感するテランギだったが、デ・ラージュに追われることは確実であり逃げることを考える。
危険が迫るテランギは脱出の準備を始めるのだが、巨大ハリケーンが島に襲い掛かる・・・。
__________

原題が”ハリケーン”であるため、クライマックスでのその映像が売り物の作品ではあるが、スペクタクルがなくとも人間ドラマ的に十分に楽しめる、流石にジョン・フォードの演出だと感じさせる深いドラマでもある。

従順な性格でもある青年の逞しく勇気ある行動と共に、愚かな人間の心を正すものとして、凄まじい”ハリケーン”の脅威が登場するという設定は、それが神の怒りにも思えるところがポイントだ。

罪なき者まで容赦なく犠牲になる様を見せながら、新たな考えを学ばなければ進歩はあり得ないという、人類への警鐘を感じさせる内容ともなっている。

1930年代としては破格の製作費200万ドルをかけただけあり、荒れ狂う波、雨風の猛威を映し出す驚異の映像の迫力は見事な仕上がりだ。

第10回アカデミー賞では録音賞を受賞した。
・ノミネート
助演男優(トーマス・ミッチェル)
作曲賞

本作の役柄としては正に適役、エキゾチックな美しさと魅力で族長の娘を演ずるドロシー・ラムーア、その夫役として主役と言っていい存在である、妻に会うために脱獄を繰り返す青年ジョン・ホール、行政官の仕事に徹する夫(レイモンド・マッセイ)の考えに従うしかない立場のメアリー・アスター、思慮深い島の神父C・オーブリー・スミス、総督に自らの考えを意見し続ける医師を好演するトーマス・ミッチェル、刑務所長ジョン・キャラダイン、船長ジェローム・コーワン、部族長アル・キクメ、島の少年レイン・トムJr.などが共演している。


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