ゾラの生涯 The Life of Emile Zola (1937) 5/5 (33)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

フランスを代表する文豪エミール・ゾラの伝記映画で、彼が関わった軍内部のスパイ事件、ドレフュス事件を扱った作品。
監督ウィリアム・ディターレ、主演ポール・ムニジョセフ・シルドクラウトゲイル・ソンダーガードグロリア・ホールデンドナルド・クリスプ共演。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:ウィリアム・ディターレ
製作
ハル・B・ウォリス

ヘンリー・ブランケ
原案
ヘインツ・ヘラルド

ゲザ・ハーゼック
脚本
ノーマン・ライリー・レイン
ヘインツ・ヘラルド

ゲザ・ハーゼック
撮影:トニー・ゴーディオ
編集:ウォーレン・ロウ
美術:アントン・グロット
音楽:マックス・スタイナー

出演
ポール・ムニエミール・ゾラ

ジョセフ・シルドクラウトアルフレド・ドレフュス大尉
ゲイル・ソンダーガード:リュシー・ドレフェス
グロリア・ホールデン:アレクサンドリーヌ・ゾラ
ドナルド・クリスプフェルナンド・ラボリ

ウラジミール・ソコロフポール・セザンヌ
モリス・カルノフスキーアナトール・フランス
ルイス・カルハーン:ドール少佐
ハリー・ダヴェンポート:参謀総長
ヘンリー・オニールピカール中佐
ロバート・バラットフェルディナン・W・エステルアジ

ロバート・ワーウィックアンリ中佐
エリン・オブライエン=ムーア:ナナ
マーシャ・メイ・ジョーンズ:ヘレン・リチャーズ
ディッキー・ムーア:ピエール・ドレフェス
グラント・ミッチェルジョルジュ・クレマンソー

ラルフ・モーガン: 司令官

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1937年製作 116分
公開
北米:1937年10月2日
日本:1948年6月8日


アカデミー賞 ■

第10回アカデミー賞
・受賞
作品
助演男優(ジョセフ・ シルドクラウト)
脚本賞
・ノミネート
監督・助監督
主演男優(ポール・ムニ)
原作・音楽・録音・美術賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1862年、パリ
貧しい作家エミール・ゾラ(ポール・ムニ)は、画家であるポール・セザンヌ(ウラジミール・ソコロフ)と共に、古ぼけた屋根裏部屋で暮らしていた。

日頃から、真実を著書にする情熱を語るゾラは、恋人アレクサンドリーヌ(グロリア・ホールデン)から、出版社の仕事に就けることを知らされて著述に励む。

しかし、検察局がゾラの著書に不快感を表し、それに反論する彼は出版社をクビになってしまう。

ゾラはある日、警官に追われていた売春婦ナナ(エリン・オブライエン=ムーア)を助ける。

1880年。
ナナの身の上話を基に、”ナナ”を書き上げたゾラはベストセラー作家となる。

その頃、普仏戦争に敗れたフランスは、豊富な資源を持つアルザスロレーヌ地方を失い、莫大な賠償金を課せられ経済は困窮していた。

貧困から脱したゾラは、アレクサンドリーヌと結婚して、その後の著書は軍部を批判し、暴動を引き起こして物議をかもし出すが、信念を貫き通そうとする彼は一歩も引かなかった。

ゾラは、ライフワークとして”ルーゴン・マッカール叢書””ごった煮”、”ボヌール・デ・ダム百貨店”、”生きる歓び”、”ジェルミナール”、”制作”、”大地”、””、”獣人”、””、”壊滅”、”パスカル博士”などを次々と発表する。

作家として世界的名声を得たゾラは、フランス人の最高栄誉、レジオン・ドヌール勲章も授与される。

やがて、”芸術家は貧しくあるべきだ”と語る、旧友のセザンヌは、ゾラの元を去っていく。

1894年9月。
フランス軍部の機密事項が、ドイツ側に漏れるという事件が起きた。

軍首脳部は、陸軍参謀本部に籍を置くユダヤ人であるアルフレド・ドレフュス大尉(ジョセフ・シルドクラウト)を出頭させる。

ドレフュスは、情報部のドール少佐(ルイス・カルハーン)に呼ばれ、彼の代筆を命ぜられる。

漏洩文書と筆跡が似ていると判断されたドレフュスは、その場で逮捕され、軍人としての潔い死を選ぶことを許されるが、彼は、身に覚えのない罪に対して潔白を訴える覚悟を上官に告げる。

ドールは、ドレフュスの妻リュシー(ゲイル・ソンダーガード)に、夫が反逆罪で投獄されたことを告げて、強制的に自宅の家宅捜査を始める。

ドレフュスの有罪は決まり、彼は軍職を奪われて終身刑となり、売国奴の汚名を着せられ、国民から非難を受ける。

夫を案じて面会に来た妻リュシーに、真実は証明され、再び幸せな家庭が戻ると、ドレフュスは彼女に伝えて励ます。

1895年。
ドレフュスは、南米フランス領ギアナ悪魔島に送られ、厳重な監視下で孤独な生活を強いられる。

フランス陸軍情報部長ピカール中佐(ヘンリー・オニール)は、事件の筆跡の再調査をした結果、フェルディナン・W・エステルアジ少佐(ロバート・バラット)が真犯人であることを、参謀総長(ハリー・ダヴェンポート)に報告する。

軍上層部は体面を守るため、ピカールアフリカに左遷し、エステルアジを形式的な軍法会議にかけて無罪にして、それを揉み消そうとする。

ドレフュスの無罪を訴え続けるリュシーは、軍の陰謀を証明する証拠を持参して、ゾラの元を訪ねる。

ドレフュス事件に関わることに懸念を感じていたゾラだったが、貧困時代、真実の追究に熱意を燃やしていたことを、セザンヌの絵を見て思い出し、事件について調査してみる決心をする。

ゾラは、弁護士フェルナンド・ラボリ(ドナルド・クリスプ)を呼び寄せ、陸軍大臣、参謀総長、ドール少佐などを告発する手紙を大統領に送る。

1898年1月13日。
”オロール”紙の表紙を飾った、ゾラの公開質問状”私は弾劾する”は反響を呼ぶ。

ゾラは軍部から中傷罪で告訴され、国賊として民衆の非難を浴びる。

しかし、出廷したゾラは証人喚問を認めさせ、ピカール中佐を証人として指名する。

ピカールの証言は一応の成果を得たが、ドレフュス事件については判決は下されていると言うことで、裁判官はそれ以上の言及は避ける。

リュシーも証言台に立つが、裁判官はことごとく弁護士ラボリの質問を却下し、エステルアジが証人として法廷に呼ばれる。

エステルアジは質問に対し黙秘を貫き、不公平極まりない裁判は、ゾラ側が不利なまま大詰めを迎える。

証言台に立ったゾラは、偉大な国家が名誉を失う危機に瀕していることと、自らの人生全てを賭けてドレフュスの無実を信ずることを訴える。

ゾラへの怒号が飛び交っていた法廷内は、一転して彼への賛辞と拍手が巻き起こる。

しかし、ゾラは有罪となり、1年の禁固刑と3000フランの罰金が科せられる。

ゾラの控訴は棄却されて禁固刑が決定するが、友人は、イギリスに亡命すれば執筆活動で戦えると助言する。

ロンドンに亡命したゾラだったが、その間に、フランス国内は政変があり、新しい陸軍大臣は、ドレフュス事件の真実を追求しようとして、軍内部の調査を始める。

ついに、エステルアジと共謀していたアンリ中佐(ロバート・ワーウィック)が不正を自供して逮捕され、参謀総長は辞任、ドール少佐は職務を剥奪される。

金のために、ドイツのスパイとなったエステルアジは逃亡し、ドレフュスの再審が決定する。

1899年9月19日。
そして、ドレフュスが釈放されたことがゾラに知らされる。

世界に、戦うことの尊さうを知らしめたゾラは、著書”正義”の執筆を始める。

妻アレクサンドリーヌに、”世界は自由な思想に溢れるべきだ”と語りながら、ゾラは著書の完成を急ぐ。

少佐として軍に復職したドレフュスに、レジオン・ドヌール勲章が授与される。

復権を果たし、中将に昇進したピカールに、ドレフュスは感謝するが、ゾラが一酸化炭素中毒で死亡したことを知らされる。

ゾラが埋葬されるパンテオンでは、彼の友人でもある作家アナトール・フランス(モリス・カルノフスキー)が悼辞を述べ、正義の精神に基づいた秩序を築いた、彼の偉大なる功績を称える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

1862年、パリ
貧しい作家エミール・ゾラは、画家のポール・セザンヌと共に、古ぼけた屋根裏部屋で暮らしていた。
真実を著書にする姿勢を貫くゾラは、検察局に目を付けられ、手に入れた職を失ってしまう。
そんなゾラはある日、警官に追われていた娼婦ナナを助け、彼女の身の上話を基に”ナナ”を書き上げてベストセラー作家となる。
貧困から脱したゾラは、恋人アレクサンドリーヌと結婚し、次々と作品を発表して世界的な名声を得て、レジオン・ドヌール勲章も授与される。
そんな時、フランス軍部の機密事項が、ドイツ側に漏れるという事件が起きて、陸軍参謀本部に籍を置く、ユダヤドレフュス大尉が犯人とみなされ逮捕される。
ドレフュスは、無実を訴えながらも終身刑となり、無罪の証拠を持参した彼の妻の訪問を受けたゾラは、事件に関与することになるのだが・・・。
__________

ゾラ自身のヒューマン・ドラマとしてだけでなく、軍部内の陰謀が絡むサスペンス・タッチの展開は、ドイツウィリアム・ディターレヨーロッパ人としての感覚を見事に生かし、繊細且つ大胆な演出で全編目が離せない見応えのある作品に仕上がっている。

主人公の正義感を表現するマックス・スタイナーの音楽、内部の腐敗とは裏腹に威厳を感じさせるフランス陸軍の軍服、当時の家具調度品や、ラストのパンテオンのセットなども素晴らしい。

第10回アカデミー賞では、作品賞以下10部門にノミネートされて、作品、助演男優(ジョセフ・シルドクラウト)、脚本賞を受賞した。
・ノミネート
監督、助監督
主演男優(ポール・ムニ)
原作、音楽、録音、美術賞

2000年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

ゾラが、”ナナを書き上げた時期と、普仏戦争の年代の時代考証にややずれがあるが、歴史的なドレフュス事件などを振り返るには参考になり、細部にまでこだわった作品になっている。

前年の「科学者への道」(1936)でも、ウィリアム・ディターレとコンビを組み、見事にアカデミー主演賞を受賞したポール・ムニは、本作でも主演賞候補となり、20代前半のゾラの貧しい作家時代から、国家の威信をかけた戦いに身を投じる晩年までを、迫真の演技で演じ切っている。

無実でありながら悪魔島で受刑するアルフレド・ドレフュスを熱演し、見事アカデミー助演賞を受賞したジョセフ・シルドクラウト、献身的なその妻役のゲイル・ソンダーガードゾラの妻グロリア・ホールデン、厳格な弁護士のラボリドナルド・クリスプゾラと共に苦楽を共にした画家ポール・セザンヌウラジミール・ソコロフアナトール・フランス役のモリス・カルノフスキードレフュスを逮捕する少佐役のルイス・カルハーン、この頃の話題作には欠かせないバイプレイヤー、参謀総長役のハリー・ダヴェンポートドレフュスを救うピカール中佐役のヘンリー・オニール、真犯人のフェルディナン・エステルアジロバート・バラットアンリ中佐役のロバート・ワーウィックゾラの転機となる小説”ナナ”のモデルとなる娼婦エリン・オブライエン=ムーアなどが共演している。


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