リバティ・バランスを射った男 The Man Who Shot Liberty Valance (1962) 5/5 (34)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

監督ジョン・フォードジョン・ウェインジェームズ・スチュアート主演、ヴェラ・マイルズリー・マーヴィン共演による西部劇の傑作。
考え方や態度は暴力的だが、強さを体全体で表すジョン・ウェインと、実直さと正義感をだけで行動し、経験不足から未熟さを露にするジェームズ・スチュアート、異なる人物像の対比で、ジョン・フォードは、強さと軟弱さの調和を見事に表現している。


西部劇

ジョン・フォード / John Ford 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・フォード
製作:ウィリス・ゴールドベック
原作:ドロシー・M・ジョンソン
脚本
ジェームズ・ワーナー・ベラ
ウィリス・ゴールドベック
撮影:ウィリアム・H・クローシア
編集:オトー・ラヴァリング
衣装デザイン:イデス・ヘッド
音楽
シリル・J・モックリッジ
アルフレッド・ニューマン

出演
ジョン・ウェイン:トム・ドニファン
ジェームズ・スチュアート:ランサム・ストダード
ヴェラ・マイルズ:ハリー・エリクソン・ストダード
リー・マーヴィン:リバティ・バランス
エドモンド・オブライエン:ダットン・ビーボディ
アンディ・ディヴァイン:リンク・アップリヤード
ウディ・ストロード:ポンピー
ジョン・クゥオーレン:ピーター・エリクソン
ジャネット・ノーラン:ノーラ・エリクソン
カールトン・ヤング:マックスウェル・スコット
ケン・マーレイ:ウィーロビー医師
リー・ヴァン・クリーフ:リース
ストローザー・マーティン:フロイド
ジョン・キャラダイン:カッシウス・スターバックル
ウィリス・ボーシェイ:ジェイソン・タリー
ジャック・ペニック:ジャック
アンナ・リー:プレスコット夫人

アメリカ 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ
1962年製作 123分
公開
北米:1962年4月22日
日本:1962年8月
製作費 $3,200,000


アカデミー賞 ■
第35回アカデミー賞
・ノミネート
衣装デザイン賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
かつては、鉄道も敷かれていなかった西部の町シンボーンに、上院議員ランサム・ストダード(ジェームズ・スチュアート)と妻ハリー(ヴェラ・マイルズ)が到着する。

出迎えた元連邦保安官リンク・アップリヤード(アンディ・ディヴァイン)は、ストダード上院議員との再会を喜ぶが表情は暗かった。

州全体に発行する新聞”シンボーン・スター”の編集長マックスウェル・スコット(カールトン・ヤング)は、上院議員の到着を知り、早速、取材を申し入れる。

ハリーは、その間、アップリヤードと共に町を見て回ることにする。

アップリヤードは、ある焼け焦げた家に向かい、ハリーの想いでの”サボテン・バラ”を、彼女のために掘り起こす。

ストダード上院議員は、スコット編集長らと政治談議に花を咲かせ、やがて、町を訪れた理由は葬儀だということを伝える。

それが、死亡したトム・ドニファン(ジョン・ウェイン)の葬儀だと言って、ストダードは、戻ってきたハリーの元に向かう。

”トム・ドニファン”という名前に聞き覚えのないスコットらは、ストダードの後を追い、遺体安置場所に向う。

ハリーは、みすぼらしい棺の傍らにいた、ドニファンの使用人ポンピー(ウディ・ストロード)に気づく。

ストダードもポンピーを気遣い、静かにドニファンを見送ろうとするが、スコットの強い要望でドニファンについて語り始める。
__________

法律学校を出たばかりのストダードは、希望に燃えて西部にやってくる。

しかし、途中、駅馬車をリバティ・バランス(リー・マーヴィン)とその一味リース(リー・ヴァン・クリーフ)とフロイド(ストローザー・マーティン)に襲われてしまう。

正義感の強いストダードは、抵抗したため、バランスに半殺しにされて道端に放置されるが、その後、ドニファンとポンピーに救われる。

ドニファンは、瀕死のストダードを、恋人のハリーの元に連れて行き、食堂の主人ピーター・エリクソン(ジョン・クゥオーレン)と妻ノーラ(ジャネット・ノーラン)に手当を頼む。

ドニファンは、拳銃の腕も立つが堅実なところもあり、町の食堂の娘ハリーと将来を誓い合っていた。

しばらくすると、ストダードは、痛々しい姿で起き上がり、バランスに法の裁きを受けさせることを誓う。

しかしドニファンは、自分の身を守るために、拳銃を手に入れることをストダードに勧める。

そこに、呼び出された連邦保安官アップリヤードが現れ、ストダードを痛めつけたのがリバティ・バランスだと知り怖気づいてしまう。

ハリー達の看病で、ストダードの傷も癒え、その後、彼は食堂の手伝いをしながら、法律家として独り立ちしようと準備をしていた。

そんな時ストダードは、ハリーが文盲だということに気づく。

ストダードの心無い言葉で、ハリーは無学な自分を惨めに思い傷ついてしまう。

しかし、気を取り戻したハリーは、読み書きを習うことをストダードに伝え、彼がそれを教えることになる。

そこにドニファンが現れ、ハリーに”サボテン・バラ”を贈る。

ドニファンは、ストダードの法律家としての看板を見て、銃を所持することを再び勧める。

食堂に向かったドニファンは、”シンボーン・スター”の社主兼編集長ダットン・ピーボディー(エドモンド・オブライエン)からバランスの動向を聞かれる。

土曜日の忙しい最中、ストダードは、店の給士を手伝うことになる。

そこに、リースとフロイドを従えたバランスが現れ、先客を追い払い席を占領してしまう。

奥で食事をしていた、保安官アップリヤードは逃げ出し、バランスは、自分を強盗呼ばわりする者がいると息巻き客達を脅す。

すると、ドニファンが注文したステーキを運ぼうとしたストダードを見たバランスが、嘲り笑い彼を転倒させてしまう。

怯える客達を尻目に、それを見たドニファンはバランスを威嚇し、一触即発状態になる。

バランスは、ポンピーが銃を向けているのをドニファンに知らされ、手出しが出来ず、フロイドがステーキを拾おうとする。

ドニファンはフロイドを蹴り倒し、バランスに自分のステーキを拾わせようとして歩み寄る。

暴力を嫌うストダードは二人を制止し、ドニファンはバランスを追い払う。

しかし、ストダードは、拳銃に頼るドニファンのやり方が納得いかずうなだれる。

そんなストダードをハリーが労わり、気を取り戻した彼は、法律事務所の看板を掲げる決意をする。

そんな二人を気にしながら、ドニファンは、商用のため町を離れることをハリーに告げて旅立つ。

その後、ピーボディーの好意で、新聞社に看板を掲げたストダードは、その奥でハリーや子供達のために読み書きを教え始める。

その頃、シンボーンを含むこの地域は、準州から州昇格を目指していた。

しかし、一部の牧畜業者がこれに反対し、バランスを使い人々に脅しをかけ始めていたことを、商用から戻ったドニファンがストダードらに知らせる。

バランスとは、法律と筆で戦う決意をしたストダードだったが、それが叶わない現実を知り落胆する。

ストダードが、ピーボディーから譲り受けた銃の練習を始めようとしたことを知ったハリーは、それをドニファンに伝える。

ドニファンはストダードを連れて、ハリーと暮らすつもりで増築中の自宅に案内する。

それをストダードに改めて説明したドニファンは、彼の銃の腕前を確認し、バランスと戦う時には覚悟を決めろと忠告しながら彼をからかう。

ストダードとピーボディーは、準州評議会代表を選ぶ集会で、ただ一人、バランスに抵抗できるドニファンを候補に推薦する。

ドニファンはそれを辞退し、現れたバランスらの前でストダードを推薦する。

フロイドとリースがバランスを推薦するが、住民はもう一人の候補としてピーボディーを推薦する。

バランスは住民に脅しをかけるものの、結局ストダードとピーボディーが代表に選ばれる。

憤慨したバランスは、ストダードと、その夜に決着をつけると言い残して立ち去る。

ドニファンはストダードを逃がそうとするが、彼はそれを聞き入れずバランスとの対決に備える。

それを知ったハリーは、勝ち目のないストダードが町を出るか殺されるかでは、読み書きも必要ではなくなると落胆する。

しかし、バランスが、腹いせにピーボディを襲い重傷を負わせたのを知ったストダードは、非道なやり方に対して、ついに拳銃を手に取る決心をする。

保安官アップリヤードに、それをバランスに知らせるよう伝えたストダードは、拳銃を取り出してバランスの元に向かう。

それを見たハリーは、ストダードを逃がそうとして馬車を用意していたポンピーに、ドニファンへの連絡を頼む。

酒場にいたバランスに対し、さすがに勝負にならないと見たアップリヤードが、それを静止しようとするが、バランスは、正当防衛を主張して決闘の場所に向かう。

ストダードを見つけたバランスは、有無も言わずに彼の右腕を撃ち抜く。

勇気を振り絞り、落とした拳銃を拾ったストダードは、自分の眉間を狙うバランスを銃撃して射殺する。

その後、食堂で、怪我をしたストダードを気遣うハリーを見たドニファンは、二人が惹かれ合っているのを知る。

酒場に向かったドニファンは、ストダードをリンチにかけようとするフロイドとリースを叩きのめす。

怒りに身を任せて、酒をあおり泥酔したドニファンは、ポンピーに連れられて帰宅するが、ハリーのために建てていた新居に火を放ってしまう。

やがて、ワシントンD.C.に派遣される準州評議会代表選挙が始まる。

口火を切って、元軍人カッシウス・スターバックル(ジョン・キャラダイン)が候補者を推薦し、それに続き傷も癒えたピーボディがストダードを推薦する。

しかし、スターバックルに人殺しだと罵られたストダードは、席を外してしまう。

会場に姿を現したドニファンは、ストダードの後を追い、故郷に帰ろうとする彼を引き止める。

”リバティ・バランスを射った男”として英雄のように祭り上げられていたストダードは、相手が無法者でも、殺人を犯した自分を許せなかった。

以前の面影もなく、落ちぶれた様子のドニファンは、決闘で、勝ち目のないストダードを見た自分が、バランスを物陰から射殺したことを彼に伝える。

そして、ハリーのためにも推薦を受けに行けと、ドニファンは、ストダードを会場に向かわせる。
__________

副大統領候補にまでなった、ストダードの名声は周知の通りで、全てを知ったスコット編集長は、西部では、伝説が事実となるものだと言い、彼から聞いた話を書き留めたメモを破り捨てる。

ストダードはポンピーに別れを告げ、ドニファンの棺の上に飾られた、”サボテン・バラ”に目をやりその場を去る。

帰りの汽車の中でストダードは、次の法案後に引退して、シンボーンに帰ることを口にし、ハリーもそれを喜ぶ。

そして、汽車の快適さに感謝するストダードに、車掌のジェイソン・タリー(ウィリス・ボーシェイ)は答える。

「”リバティ・バランスを射った男”のためですから・・・」

ストダード夫妻は、複雑な表情を浮かべながら物思いにふける。


解説 評価 感想 ■

ドロシー・M・ジョンソンの短編小説を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)
法律家としてスタートを切り西部に向かった青年ランサム・ストダードが、無法者リバティ・バランスに襲われ痛めつけられてしまう。
ストダードは、運良く町でも評判の頑強な男トム・ドニファンに救われる。
回復したストダードは、法で秩序を取り戻そうとするが、ドニファンは武力で対抗するしか手がないことを強調する。
やがて、町で法律事務所を開いたストダードは、新聞社のビーボディと協力して、法と言論で悪に対抗しようとする。
二人は平行して、準州から州昇格の代表となり、バランスの怒りを買い、ついにストダードは彼と決闘することになるのだが・・・。
__________

ジョン・フォード晩年の傑作西部劇で、2007年、アメリカ議会図書館が、文化歴史また美学的見地から国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

騎兵隊3部作の「アパッチ砦」(1948)、「黄色いリボン」(1949)、「リオ・グランデの砦」(1950)のジェームズ・ワーナー・ベラの脚本作品。

第35回アカデミー賞では、衣装デザイン賞に、イデス・ヘッドがノミネートされた。

考え方や態度は暴力的だが、強さを体全体で表すジョン・ウェインと、実直さと正義感をだけで行動し、経験不足から未熟さを露にするジェームズ・スチュアート、異なる人物像の対比で、ジョン・フォードは、強さと軟弱さの調和を見事に表現している。

郷愁を誘う象徴として登場する”サボテン・バラ”や、フォード作品には欠かせないじゃじゃ馬娘、ゴミゴミした酒場の雰囲気や、シンプルな決闘、そして、他を圧倒するジョン・ウェインの独特な雰囲気と存在感など、一時も目を離せない場面の連続だ。

シリル・J・モックリッジの勇ましい主題曲も、一度聞いたら忘れられない曲だ。

また、
フォード作品「若き日のリンカン」(1939)のヒロイン、アン・ラトレッジのテーマ曲である、アルフレッド・ニューマンの、美しい曲が度々登場し、ラストでも使われている。

多くのジョン・ウェインの作品の中でも、個人的には5本の指に入る、いかにも彼らしく他の俳優には真似できない迫力の場面がある。

食堂で自分のステーキをバランスにひっくり返され、それを彼に拾わせようとするシーンだ。
周囲の人々は、バランスが入店してきた時から怯えているが、あくまで本人に落とし前をつけさせようとする、ウェインの迫力は凄まじい。

アカデミー賞の衣装デザイン賞にノミネートされ、ウェイン作品に何作も名を連ねるイデス・ヘッドの衣装も注目で、普段からお洒落なウェインの着こなしの良さは、彼女のお陰だろう。

ウェインとは、彼の遺作「ラスト・シューティスト」(1976)でも共演するジェームズ・スチュアートは、身長では負けてはいないが線が細く、ウェインに押され気味かと思いきや、二人が同じ画面に登場すると、妙に釣り合いが取れていることにも気づく。

若く見えるジェームズ・スチュアートは、ウェインとは実は1歳しか違わず、本作の時には既に50歳を超えている。
若作りに見せても、さすがにベテランらしく、不自然な感じには見えない。

影の主人公、悪漢リバティ・バランスを演じたリー・マーヴィンも、ウェインとは他にも共演しているだけあり相性抜群で、ウェインよりはるかに年下にも拘らず互角に張り合っている。
*共演作「ドノバン珊瑚礁」(1963)

捜索者」(1956)でも同じような役柄を演じている、フォードに可愛がられたヴェラ・マイルズは、主人公二人の狭間で心揺れ動く女性を好演している。

何十年も前に初めて本作を観た時に、最初は彼だと分からなかったのを思い出す、エドモンド・オブライエンの、飲んだくれ編集長の怪演も光る。

その他、フォード一家の面々やウェインの前で子ども扱いされてしまう、バランスの手下リー・ヴァン・クリーフ、晩年のウェイン作品でも活躍したストローザー・マーティンなど、ファンには嬉しい顔ぶれだ。

特に、「駅馬車」(1939)で御者を演じた、弱腰の保安官役アンディ・ディヴァイン、なんとウェインを担いでしまう使用人のウディ・ストロードの出演も嬉しい。

食堂の夫妻ジョン・クゥオーレンジャネット・ノーラン、編集長カールトン・ヤング、町医者のケン・マーレイ、準州評議会代表選挙候補者後見人ジョン・キャラダイン、車掌ウィリス・ボーシェイ、酒場のバーテンのジャック・ペニック、そして駅馬車の乗客アンナ・リー、とにかく、フォードウェイン・ファンにはたまらない配役だ。

本作でショックを受けたのは、ハリーの食堂の料理の量の多さだ。

アメリカ人は、本当にあんなに食べるのだろうかと、誰もが目を疑うばかりの食事量は信じ難い。

特にそのステーキは、直径で言えば30cm位あり、しかもアンディ・ディヴァインはそれの御代わりを要求し、更にポテトとパイも食べようとする。


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