マンクスマン The Manxman (1929) 3.08/5 (13)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

1894年に発表された、ハル・ケインの小説”The Manxman”を基に製作された作品。
一人の女性を愛した、固い友情で結ばれた二人の青年の関係を描く、監督アルフレッド・ヒッチコック、主演カール・ブリッソンマルコム・キーンアニー・オンドラ他共演のドラマ。


ドラマ

アルフレッド・ヒッチコック Alfred Hitchcock 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:アルフレッド・ヒッチコック
製作:ジョン・マックスウェル
原作:ハル・ケインThe Manxman
脚本:エリオット・スタナード

編集:エミール・デ・ルール
撮影:ジャック・E・コックス

出演
ピート・キリアム:カール・ブリッソン

フィリップ・クリスチャン:マルコム・キーン
ケイト・クレギーン:アニー・オンドラ
シーザー・クレギーン:ランドル・エアートン
クレギーン夫人:クレア・グリート
ロス・クリスチャン:キム・ピーコック

イギリス 映画
配給
Wardour Films(イギリス)
Sono Art-World Wide Pictures(北米)
1929年製作 81分
公開
イギリス:1929年1月21日
北米:1929年12月16日
日本:未公開


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

”人、全世界を得るとも、己が魂を失わば、何の益かあらん”
(マタイ16:26)
__________

イギリスマン島
漁師のピート・キリアム(カール・ブリッソン)と幼馴染で弁護士のフィリップ・クリスチャン(マルコム・キーン)は協力し合い、島の人々のために闘っていた。

総督に提出する、商船による領域侵犯に抗議する請願書に署名するため、二人は仲間達を連れてシーザー・クレギーン(ランドル・エアートン)の店に向かう。

二人は、”マン島の妖精”と言われるシーザーの娘ケイト(アニー・オンドラ)に恋をしていた。

ケイトのことは心に閉まっていたフィリップは、請願書の件を皆に説明するが、ピートとケイトが話をしていることが気になる。

フィリップは、ピートを呼んで最初に署名させて、仲間達もそれに続く。

その夜、ピートは、自分とケイトのことをシーザーに話す決心をして、それをフィリップに知らせる。

戸惑うフィリップは一応それに賛成するものの、ピートはシーザーに睨まれて怖気づいてしまう。

安心したフィリップだったが、シーザーに話をしてくれとピートに頼まれてしまい、固い友情で結ばれた彼のためにそれに応じる。

シーザーはケイトに席を外すよう指示し、フィリップの話を聞いて苛立ちピートの元に向かう。

文無しの男に娘を嫁にあげられるかと侮辱されたピートは、金持ちになって必ず戻ると言い放つ。

その場を離れたピートは、アフリカに行って金を稼ぐことをフィリップに伝え、ケイトにもそれを知らせようとする。

ケイトに外国に行くことを伝え、戻ってきたら結婚してくれるかを尋ねたピートは、それを約束してもらう。

ケイトにキスされたピートは喜び、彼女のことをフィリップに任せる。

早まって返事をしてしまったケイトは困惑する。

そして、フィリップに別れを告げたピートは船で旅立つ。

その後、フィリップとケイとは親交を深める。

フィリップの家は、代々、判事を務める由緒ある家柄だった。

ケイトに会ってばかりいることを伯母に批判されたフィリップは、ピートに頼まれたと言い訳をする。

そんな時フィリップは、ピートが死亡したという報せを受ける。

シーザーは、自分のせいでこんなことになったのかと言って今回の件を気にする。

ケイトが心を痛めていると考えるフィリップだったが、彼女は、これで自由になれたと言ってフィリップに寄り添う。

喜ぶわけにもいかないフィリップは戸惑いながら、ケイトを慰める意味で手にキスする。

ところが、元気で働き金も貯まったピートは、島に戻るという手紙をフィリップに送り、ケイトには内緒にして驚かせようとする。

フィリップとケイトは、楽しい日々を過ごし愛を深める。

リバプールに着いたピートは、定期便で島に戻るという電報をフィリップに送る。

海岸沿いのいつもの場所でケイトと待ち合わせたフィリップは、ピートからの電報を彼女に見せる。

ピートが生きていたことを知ったケイトは卒倒しそうになり、彼が戻っても愛せないことをフィリップに伝える。

定期船が到着するのを確認しながら、フィリップはピートとの約束を果たすようケイトに伝え、彼の幸せを考えるしかなかった。

フィリップは、これ以上の裏切りはできないと言って、絶対に自分達の関係を知られてはならないと語りながらケイトにキスする。

ピートは到着した仲間達に歓迎され、フィリップに気づき再会を喜ぶ。

最愛のケイトを抱き寄せたピートは、立派になり金も稼いで戻ったことで態度を一変させたシーザーと妻(クレア・グリート)に食事に招かれる。

フィリップも呼んだピートは、シーザーから結婚を認めてもらい、ケイトは動揺してしまう。

直ぐに結婚しようというピートは、フィリップを付添人に指名し、それを彼が承諾したため、ケイトは倒れそうになる。

結婚式は終わり、二人を祝福する食事会が開かれ、その場でシーザーは、神聖な結婚の誓いを破った場合は罰を受けるだろうと出席者に語る。

新居に向かったフィリップは、何も知らずに幸福感を味わい、怯えるケイトの心は不幸だった。

新婚生活を淡々と送っていたケイトは、フィリップが判事候補となり島に戻って来ることを知る。

ピートを漁に送り出したケイトは、彼が戻る前に会いたいことをフリップに伝える。

ケイトは現れたフィリップに、子供を身ごもっていることを伝える。

それが自分の子だと知ったフィリップは驚き、ケイトはピートに全てを話すと言い出す。

今はだめだと言うフィリップに、ケイトはいずれは分かることだと意見するが、知られてはならないと彼は念を押す。

帰宅したピートは、窓の外から部屋にいる男を確認する。

それがフィリップだと分かり安心するピートは、話があるとケイトに言われる。

ケイトから妊娠したことを知らされたピートは、この上ない幸せを感じて彼女を抱き寄せてる。

それをフィリップに伝えたピートは、父親になる喜びを実感するが、フィリップとケイとは絶望に近い思いだった。

その後、ケイトは無事子供を出産し、フィリップは子供を可愛がる。

フィリップは判事に就任し、ピートは、それを仲間達と共に喜ぶ。

オフィスを訪ねて来たケイトに驚くフィリップは、こんな生活は続けられないと言う彼女の悩みを聞く。

家には戻らないと言うケイトは、フィリップと暮らしたいことを伝える。

フィリップは、混乱するケイトの言う通りにさせるしか方法はなかった。

帰宅したピートは、子供を置いたまま姿を消したケイトが、一人分の食事の食器しか用意せず、指輪とメモが残されていたことに気づく。

ピートは、結婚前から別の男性を愛しているため出て行くという内容を確認してショックを受ける。

ケイトには静養が必要なため、ロンドンに行ったとピートは周囲には話す。

家出したケイトを見つけてくれとピートに頼まれたフィリップは、隣の部屋にケイトがいたため困惑する。

ピートは、子供の世話をすることが励みになり、苦難を乗り越えようとする。

代々続く判事の職務を果たすために、ケイトの相手をしてやれないフィリップは、今後のことをどうするかを問われ、答えを先延ばしにする。

自分達の子供を連れに戻ると言うケイトを引き止めようとしたフィリップだったが、翌日の審議のことで電話が入りそれに対応する。

家に戻ったケイトを、ピートは優しく招き入れる。

子供を連れて行くと言われたピートは、自分の子は渡さないと答える。

ケイトは別の男性の子だと伝えるが、それを信じないピートは、子供を連れて二階の部屋に閉じ篭る。

家を出たケイトは、絶望して波止場付近の海に飛び込む。

裁判所。
その日の審議に入ったフィリップは、身元不明の自殺未遂者の件で、出廷した本人がケイトだったために驚く。

そこにピートが現れて証言をする許可を求め、フィリップはそれを認める。

身元不明の女性は自分の妻だと証言するピートは、連れて帰ることを判事のフィリップに伝える。

ケイトは無罪となり夫の元に戻るよう指示され、ピートは判事に感謝する。

しかし、ケイトは帰ることを拒み、ピートは、彼女が結婚前から他の男性を愛していたことを伝える。

その場にいたシーザーは、娘ケイトの相手がフィリップであることに気づき、彼を裏切り者呼ばわりして非難する。

ピートは、シーザーに言われても何のことか気づかず、立ち上がったフィリップは、親友の信頼を失い、女性の名誉を傷つけてしまい、全てが真実だと告白する。

神に背いた自分が人を裁くことはできないと語るフィリップは、辞職して罪を償うと言って退席しようとする。

ピートは謝罪するフィリップに言い寄るものの、ケイトに制止されてうなだれる。

その後、ピートはケイトに連れて行かれる子供に別れを告げる。

その場で待っていたフィリップは、ケイトと子供と共に家を出るが、住民に非難される。

そしてピートは、いつものように漁に出て、呆然と海を見つめる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

イギリスマン島
漁師のピート・キリアムと幼馴染の弁護士フィリップは、”マン島の妖精”と言われるケイトに恋していた。
フィリップはそれを隠していたのだが、ピートは、その気持ちをケイトの父シーザーに伝えようとする。
無一文の漁師であるピートはシーザーに侮辱されたため憤慨し、海外で働き大金を稼いで戻ると言い放つ。
ピートに気持ちを伝えられたケイトは、安易な考えで、帰国後の結婚を約束してしまう。
そしてピートは、ケイトをフィリップに任せてアフリカへと旅立つ。
その後、フィリップとケイトは親交を深めるのだが、ピートが死亡したという知らせが届く。
既にフィリップに恋していたケイトは、自由になれたと喜ぶのだが、固い友情で結ばれていたピートをフィリップは裏切るわけにはいかない。
そんなフィリップとケイトは愛し合うようになるのだが、何んと、生きていたピートが帰国するという連絡が入る・・・。
__________

デザイナーから美術監督となり、監督としてキャリアを積んでいたアルフレッド・ヒッチコックの最後のサイレント作品。
サイレントの特徴を生かしてと言うか、そうなるのが当時の作風だったとも思える、登場人物の微妙な感情変化などを丁寧に描くヒッチコックの演出手腕が光る作品。

原題の”The Manxman”とはマン島人のことである。

冒頭で表記される”マタイ16:26”からの引用”人、全世界を得るとも、己が魂を失わば、何の益かあらん”をテーマに、イギリスマン島を舞台に、ある複雑な恋愛を通して人としての”生き方”を深く描く作品。

サイレント作品ということで、各役柄の役者の表情に注目したい。
事あるごとに、ほぼ全編でにこやかな笑顔を見せる漁師のカール・ブリッソン、”クリスチャン”という姓が意味深である、友人に対しての罪悪感から、主人公とは対照的に常に顔をしかめる弁護士のマルコム・キーン、そして、二人との愛の狭間で苦悩するヒロイン、アニー・オンドラの悲しげな表情などが実に印象的だ。

ヒロインの父親ランドル・エアートン、母親クレア・グリートなどが共演している。


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