奇跡の人 The Miracle Worker (1962) 4.83/5 (30)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

三重苦を背負いながらも努力の末にハーバード大学で学び、身体障害者の教育福祉事業に尽くしたヘレン・ケラー女史(1880-1968)が恩師である教師アニー・サリヴァン(1866-1936)と出会い、彼女の献身的な努力が奇跡を起こすまでを描く感動の物語で、ウィリアム・ギブソンの戯曲の映画化。
監督アーサー・ペン、出演アン・バンクロフトパティ・デューク他共演。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:アーサー・ペン
製作:フレッド・コー
戯曲:ウィリアム・ギブソン
脚本:ウィリアム・ギブソン
撮影:アーネスト・カバロス
編集:アーラム・アヴァキアン

音楽:ローレンス・ローゼンタール

出演
アン・バンクロフトアン”アニー”サリヴァン

パティ・デュークヘレン・ケラー
ヴィクター・ジョリイ:アーサー・ケラー
インガー・スヴェンソン:ケイト・ケラー
アンドリュー・プライン:ジェームズ・ケラー
ビア・リチャーズ:ヴァイニー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1962年製作 106分
公開
北米:1962年5月23日
日本:1963年10月12日
製作費 $500,000


アカデミー賞 ■

第35回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(アン・バンクロフト)
助演女優賞(パティ・デューク)
・ノミネート
作品・監督・脚色賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

アラバマ州、タスカンビア
生後19ヶ月で、猩紅熱にかかったヘレン・ケラー(パティ・デューク)は、それ以来、目が見えず、耳も聞こえなくなり、口もきけず三重苦の不具になってしまう。

父親のアーサー・ケラー大尉(ヴィクター・ジョリイ)と母親ケイト(インガー・スヴェンソン)は嘆き苦しむ。

アーサーは、ヘレンを施設に預けることをも考えるのだが、ケイトは反対し、誰かを派遣してもらうことにする。

そして、アン”アニー”サリヴァン(アン・バンクロフト)という、ボストンの聾唖学校の教師が、7歳になったヘレンの教育係として雇われる。

駅に着いたアニーを、アーサーの前妻の子であるジェームズ(アンドリュー・プライン)が迎え、ケイトが彼女を馬車で自宅に案内する。

玄関でヘレンに対面したアニーは、家族に遠慮せず彼女に接する。

アニーは、ヘレンに人形を持たせて指文字を教え、彼女の理解力が普通以上だということを確認する。

しかし、ヘレンアニーを殴って歯を折ってしまい、彼女を部屋に閉じ込めてしまう。

アーサーにハシゴで助けられたアニーは、いきなり手荒な歓迎を受けてしまう。

アニー自身も目が不自由で、苦しく恵まれない環境で育った過去を持ち、沈黙と暗黒の世界に育った、野獣のような反抗的なヘレンを、強い意思で厳しく躾ける決心をする。

ヘレンが、家族から甘やかされているのに気づいたアニーは、それに意見したために、アーサーは彼女を非難し解雇することも考える。

その後、自分の考えを曲げないアニーは、人間らしい教育の出来ないヘレンに対して、格闘までして礼儀などを教え込む。

悪戦苦闘の末に、ヘレンにナプキンをたたませたアニーは、それをケイトに報告する。

そのことを喜び重要視するケイトに反し、アーサーはアニーの頑固さと無礼に腹を立て解雇しようとする。

しかし、アニーは一歩も譲らず、ヘレンの障害は目や耳でなく、彼女をペットのように扱う躾の悪さにあると指摘する。

6ヶ月で”水”を理解して、それを口に出し話したという利発なヘレンを、見捨てることの出来ないケイトはアニーにすがる。

アニーは、家での躾は無理だと判断し、2週間という条件で、ヘレンを森の中の小屋に連れていき、二人だけの生活を始める提案をして、それを了承される。

二人の生活は始まり、母親から引き離されたことを悟ったヘレンは、小屋の中で取り乱し、アニーは幼くして亡くなった弟の悪夢にうなされる。

更に、様子を見に来たヘレンの義兄ジェームズは、同情しか道がないと、アニーとは全く違う意見を語るだけだった。

ケラー家の使用人ヴァイニー(ビア・リチャーズ)の息子を、手伝いに連れて来ていたアニーは、彼の手助けもあり、ヘレンに少しずつではあるが、身の回りのことをさせることができるようになる。

そして、アニーの苦労の甲斐があり、ヘレンは大人しい少女になり、食事を届けに来たケイトは、娘の変貌に顔をほころばせる。

ヘレンの変化に満足したアーサーとケイトだったが、1週間の延長を望むアニーの要求を却下する。

アニー自身は、理解のない服従をしているだけのヘレンに満足していなかったが、ケイトは自分に歩み寄る娘を抱きかかえ家に戻る。

アーサーはアニーに感謝し、彼女に仕事の継続を求め、家族は幸せを実感しながらの食事が始める。

しかし、家族やアニーを試そうとしたヘレンは、再び野獣のように変わってしまう。

アニーは容赦なく厳しく接するが、それを見たアーサーはそれを止めようとする。

一旦はアーサーに任せたものの、アニーの意思は固く、彼女はヘレンを引きずりながら庭に出る。

それをアーサーが追うが、ジェームズはアニーが正しいと言って父を制止する。

アニーは、ヘレンに井戸のポンプで、こぼした水を汲ませようとする。

ポンプから滴る水に触れたヘレンは、“水”という言葉を口から発する。

アニーはすかさず手のひらにそれを綴り、ヘレンは“水”を理解し、自ら指文字を綴ってみせる。

その後、地面やポンプ、木や階段を理解したヘレンを見て、アニーはアーサーとケイトを呼び寄せる。

“母”と“父”など、次々と理解するヘレンの姿に両親は感激し、アニーは彼女に自分が“先生”だということも教える。

そして、感激する両親の傍らで、アニーは安堵の表情を浮かべ、ヘレンから部屋の鍵を渡される。

その夜、ヘレンは就寝前に、ベランダに居たアニーの元に寄り添いキスをする。

そしてアニーも、”愛している、ヘレン”と指文字で答える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

生後19ヶ月で猩紅熱にかかったヘレン・ケラーは、目、耳、口が不自由な三重苦の不具になってしまう。
やがて少女に成長したヘレンは、家族の手には負えなくなっていた。
ヘレンを施設に預けることも望まない両親はアニー・サリヴァンという聾唖学校の教師を呼び寄せる。
妥協を許さないアニーは、家族に遠慮せずヘレンに厳しく接する。
ヘレンが利発な子だと気づいたアニーは、家族が彼女をペットのように扱い、正しい躾をしようとしないことに問題があると考える。
家族と衝突しながらも、頑固なアニーは、ヘレンをあえて両親から離して生活させて、自分一人で躾けることを提案する。
そしてアニーは、沈黙と暗黒の世界で野獣のように育ったヘレンとの、二人だけの闘いを始める・・・。
__________

原題が”The Miracle Worker”(奇跡の人)であるため、それを指すのは、ヘレン・ケラーではなく、アニー・サリヴァンのことである。

ウィリアム・ギブソンによる1959年の舞台劇の映画化である、主人公の二人を演ずるアン・バンクロフトパティ・デュークは舞台のオリジナル・キャストで、両者は、見事にアカデミー主演、助演賞に輝いた。

アン・バンクロフトは舞台でもトニー賞を受賞したにも拘らず、 製作者側は知名度の高い女優起用を考え、500万ドルの予算を組み、当時、既に大女優であったエリザベス・テイラーが候補に上がった。
しかし、監督アーサー・ペンアン・バンクロフトの出演を譲らなかったという裏話がある。

実話の持つ物語の力強さと、舞台の雰囲気を残した、異様なほど、緊張感のあるアーサー・ペンの演出は素晴しく、感動を呼ぶクライマックスと共に、出演者の迫力ある演技も見応え十分だ。

第35回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(アン・バンクロフト)
助演女優賞(パティ・デューク
・ノミネート
作品・監督・脚色賞

ハリウッドでなく、東海岸のニューヨークなどで製作された本作自体の作風も、少々異質な感じがする。

アニー・サリヴァンが度々悩まされる悪夢のシーンは、実話に基づくリアリズム映画である反面、幻想的でもあり、それまでのアメリカ映画になかった新たな手法を用いている。

ジェニーの肖像」(1948)でこれにやや近い手法が使われていた。

感動を盛上げる、ローレンス・ローゼンタールの音楽も素晴しい。

主演のアン・バンクロフトは、暗い過去を克服しきれないものの、一貫して強く生きようとする主人公役を、鬼気迫る熱演で見事に演じ切り、不幸な弟の悪夢からも解放されたような、ラストの笑顔は忘れられない。

撮影当時まだ15歳のパティ・デュークだが、さすがにヘレン役を舞台で700回以上も演じているだけあり、その凄まじい演技は、アン・バンクロフトと比べても見劣りしない。

目も不自由という設定なので、うつろな目で遠方見ながら涙を流す、彼女の演技は感動を呼ぶ。

また、彼女は1979年のリメイク版では、師のアニー・サリヴァン役を演じている。

ロード・オブ・ザ・リング」シリーズで活躍したショーン・アスティンは、彼女の息子である。

教育方針でアニーと対立する父親ヴィクター・ジョリイヘレンを溺愛し過ぎて甘やかしてしまう母親インガー・スヴェンソン、傍観者のようだが、最後にはアニーに同調する父親の連れ子アンドリュー・プライン、また、使用人役でビア・リチャーズなども出演している。


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