ライトスタッフ The Right Stuff (1983) 5/5 (31)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1979年に発表された、トム・ウルフ同名小説を基に製作された作品。
冷戦下の米ソの宇宙開発競争で、アメリカで発足したNASAの威信をかけたマーキュリー計画に選ばれた者達”ライトスタッフ”(正しい資質の持主)の、危険に立ち向かう勇気それを支える妻達や関係する人々を描く、製作アーウィン・ウィンクラーロバート・チャートフ、監督、脚本フィリップ・カウフマン、主演サム・シェパードスコット・グレンフレッド・ウォードエド・ハリスデニス・クエイドバーバラ・ハーシー他共演によるアドベンチャー・ロマンの傑作ドラマ。
また、人類史上初めて、水平飛行による音速の壁を破った伝説のテスト・パイロット、チャック・イェーガーの生き様を平行して描いた人間ドラマでもある。


アクション/アドベンチャー


スタッフ キャスト ■

監督:フィリップ・カウフマン
製作総指揮:ジェームズ・D・ブルベイカー
製作
アーウィン・ウィンクラー

ロバート・チャートフ
原作:トム・ウルフThe Right Stuff
脚本
トム・ウルフ
フィリップ・カウフマン

撮影:キャレブ・デシャネル
編集
グレン・ファー

リサ・フラッチマン
スティーブン・A・ロッダー
トム・ロルフ
ダグラス・スチュアート

美術・装置
ジェフリー・カークランド

リチャード・ローレンス
W・スチュワート・キャンベル
ピーター・R・ロメロ
ジム・ポインター
ジョージ・R・ネルソン
音楽:ビル・コンティ

出演
チャック・イェーガーサム・シェパード

アラン・シェパードスコット・グレン
ヴァージル(ガス)・グリソムフレッド・ウォード
ジョン・グレンエド・ハリス
ゴードン・クーパーデニス・クエイド
グレニス・イェーガー:バーバラ・ハーシー
ベティー・グリソム:ヴェロニカ・カートライト
トルーディー・クーパー:パメラ・リード
アニー・グレンメアリー・ジョー・デシャネル
ルイーズ・シェパード:キャッシー・ベーカー
ディーク・スレイトンスコット・ポーリン
スコット・カーペンターチャールズ・フランク
ウォルター・シラーランス・ヘンリクセン
パンチョ・バーンズキム・スタンリー
ジャック・リドリーリヴァン・ヘレム
ジョンソン副大統領ドナルド・モファット
宇宙飛行士採用担当:ハリー・シェアラー
宇宙飛行士採用担当:ジェフ・ゴールドブラム
本人:エリック・サヴェリード
アルバート・スコット・クロスフィールドスコット・ウィルソン
チャルマーズ”スリック”グッドリンウィリアム・ラス
フレッド:チャック・イェーガー

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ

1983年製作 193分
公開
北米:1983年10月21日
日本:1984年9月1日
制作費 $27,000,000
北米興行収入 $21,500,000


アカデミー賞 ■

第56回アカデミー賞
・受賞
作曲・録音・音響編集・編集賞
・ノミネート
作品
助演男優(サム・シェパード)
美術・撮影賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

カリフォルニア州エドワーズ空軍基地

パンチョ・バーンズ(キム・スタンリー)の店で音速の壁を破る賭けをした空軍テスト・パイロットのチャック・イェーガー(サム・シェパード)は、妻グレニス(バーバラ・ハーシー)との乗馬で肋骨を折ってしまう。

1947年10月14日。
イエーガーは、同僚のジャック・リドリー(リヴァン・ヘレム)の協力で怪我を隠し、X-1(XS-1:当時)”グラマラス・グレニス”で、有人水平飛行による人類史上初の音速の壁を破る。

しかし軍は、ソ連にその情報を知られる危険性を考え、マスコミの発表を阻止する。

1953年、エドワーズ空軍基地
ゴードン・クーパー(デニス・クエイド)、ガス・グリソム(フレッド・ウォード)、ディーク・スレイトン(スコット・ポーリン)が、死と隣り合わせの彼らの任務を心配する妻達を連れ添い、テスト・パイロットとして基地に赴任する。

クーパーの妻トルーディー(パメラ・リード)は、パイロットの仕事を、スポーツのように楽しむ夫達を見ていられずに、実家に帰ってしまう。

11月20日。
スコット・クロスフィールド(スコット・ウィルソン)がマッハ2を超す飛行を実現し、パンチョからステーキを奢られる。

12月12日。
X-1Aに乗ったイエーガーは、クロスフィールドマッハ2の記録をあっさり破り、さらにスピードを上げる。

マッハ2.44を記録したイエーガーはきりもみ状態になるが、高度約8800mで機体を立て直して無事帰還する。

1957年10月4日。
ソ連が、世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げを成功させる。

アメリカは、宇宙計画推進のためNASAを設立し、宇宙飛行士人選の大統領(アイゼンハワー)命令が下り、テスト・パイロットに白羽の矢が立つ。

宇宙飛行士採用担当官(ハリー・シェアラー/ジェフ・ゴー
ルドブラム
)は、政府の要請で空軍基地を回り始める。

生粋のパイロット、イエーガーは、実験室のモルモットの様なこの計画に興味を示さなかったが、ゴードン・クーパーらは、未知への好奇心から志願をする。

そして、アメリカ中から集められた精鋭は、様々なテストを受け、その中から7人が選抜される。

1959年4月9日、ワシントンD.C.
アラン・シェパード(スコット・グレン)、ジョン・グレン(エド・ハリス)、スコット・カーペンター(チャールズ・フランク)、ウォルター・シラー(ランス・ヘンリクセン)、クーパースレイトングリソムの7人は、マーキュリー・セブンと名付けられて、人々の喝采を浴びる。

彼らは、ソ連に対抗すべく、アメリカの威信をかけたマーキュリー計画に挑むことになる。

しかし、厳しい訓練が続く中、ロケットの打ち上げテストは、ことごとく失敗してしまう。

そして、どこへ行ってももてはやされる飛行士達は、私生活が乱れ始める。

マーキュリー・セブン”選考の第一条件、”正しい資質”(Right Stuff )を思い起こす彼らは、意見が別れ対立してしまう。

しかし、自分達をチンパンジー並に扱うNASA側から計画の主導権を飛行士に移させ、自分達の自覚やプライドを高め、任務遂行に最善の努力をすることを決意する。

1961年1月31日。
チンパンジーを乗せたマーキュリー2が、打ち上げに成功する。

1961年4月12日。
いよいよ有人飛行という矢先、ソ連ボストーク1号ガガーリンの有人宇宙飛行を成功させてしまう。

先を越されたNASAは、フリーダム7(マーキュリー3)の打ち上げ準備を急ぐ。

1961年5月5日
フロリダケープカナベラルケネディ宇宙センター
アメリカ人初の有人宇宙飛行が実現しようとしていた。

その栄誉に選ばれたアラン・シェパードだったが、打ち上げ延期で何時間も船内で待機させられてしまう。

尿意を催し我慢の限界に達したシェパードは、宇宙服内で用を足す許可を得る。

打ち上げは成功し、わずか15分半の飛行だった、が無事に帰還したシェパードは、ホワイトハウスケネディ大統領から勲章を授与される。

7月21日。
続くグリソムリバティ・ベル7の飛行も成功するが、帰還着水時にハッチが早く開き、指令船を沈めてしまう。

責任を取らされたグリソムは、シェパードのような待遇を受けられなかった。

グリソムの妻ベティ(ヴェロニカ・カートライト)は、期待外れの待遇に愚痴をこぼすが、やがて宿泊先のモーテルにマスコミが殺到したため、笑顔で対応する。

その頃、飛行士達の任務をチンパンジー並だと嘲笑する仲間達とは対照的に、イエーガーは、命を賭けている男達の勇気を称える。

その後、テスト・パイロット達の憩いの場だった、パンチョの店が火災で焼失してしまう。

1961年8月7日
ソ連ゲルマン・チトフヴォストーク2号が打ち上げられ、1日以上の宇宙飛行に成功する。

焦ったNASAは、ジョン・グレンが搭乗するフレンドシップ7での、大気圏外飛行の打ち上げを早めようとする。

打ち上げ延期で待機していたグレンは、宇宙開発の責任者ジョンソン副大統領(ドナルド・モファット)が、強引に妻のアニー(メアリー・ジョー・デシャネル)をテレビに出そうとしていることを知らされる。

グレンは、断固としてそれを断るようアニーに告げ、NASA側に反発して自分の主張を通す。

1962年2月20日。
ジョン・グレンは、アメリカ初の地球周回軌道飛行に成功するが、耐熱シールドに異常が発生する。

大気圏突入が危ぶまれたフレンドシップ7だが、グレンには、シールドの件は知らせぬまま地球に帰還することになる。

鼻歌を歌いながら大気圏に突入したグレンは無事帰還し、マーキュリー計画は勢いに乗る。

その後、ジョンソン副大統領の歓迎レセプションに招かれたマーキュリー・セブンのメンバーは、人々から大歓迎を受ける。

会場でゴードン・クーパーは、記者から”あなたにとって最高のパイロットは?”と質問される。

かつてパンチョの店に飾られ、命を落としたパイロットや、かつての同僚、危険に挑む者をクーパーは称えるが、彼は、もちろん自分が最高だと答える。

その頃、次々と音速記録を塗り変えていたイエーガーは、NF-104(スター・ファイター)で高度上昇記録に挑む。

マーキュリー・セブンの面々も、危険に挑む男の夢を遥か彼方で感じ取っていた。

かつての同僚が、宇宙飛行で見ている星々を目の当たりにしながら、イエーガーは、操縦不能となり急降下して墜落してしまう。

しかしイエーガーは、火傷を負いながらも何とか脱出に成功し、無事に帰還する。

1963年5月15日。
ゴードン・クーパーマーキュリー9(フェイス7)に搭乗し、4年後に、アポロ1号火災事故で死亡するグリソムや、その模様を実況するエリック・サヴェリードらに、打ち上げを見守られていた。

そして、ロケット発射の瞬間、クーパーは、自分が世界最高のパイロットだと実感する。

クーパーは地球を22周し、単独飛行をした最後のアメリカ人宇宙飛行士となる。

そして、これをもってマーキュリー計画は終了し、男達の挑戦はジェミニアポロ計画へと受け継がれることになる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

カリフォルニア州エドワーズ空軍基地
1947年10月14日。
空軍テスト・パイロットのチャック・イェーガーは、同僚のリドリーに見守られる中、X-1で、有人水平飛行による、人類史上初の音速の壁を破る。
その後イエーガーは、同僚パイロットのスコット・クロスフィールドと記録を争い、彼のマッハ2の記録をあっさり破る。
1957年10月4日。
ソ連が、世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げを成功させたため、アメリカは宇宙計画推進のためNASAを設立し、アイゼンハワー大統領命から、宇宙飛行士人選の令が下る。
生粋のパイロット、イエーガーは、実験室のモルモットの様なこの計画に興味を示さなかったが、基地に赴任していた、ゴードン・クーパーガス・グリソムらは、未知への好奇心からそれに志願をする。
そして、アメリカ中から集められた精鋭は、様々なテストを受け、”マーキュリー・セブン”として7人が選抜される。
彼らは、ソ連に対抗すべく、アメリカの威信を賭けたマーキュリー計画に挑むことになる・・・。
__________

第56回アカデミー賞では、作品賞をはじめ8部門でノミネートされ、作曲、録音、音響編集賞を受賞した。

・ノミネート
作品・助演男優(サム・シェパード)
美術・撮影・編集賞

フィリップ・カウフマンの演出と脚本は、アメリカが威信を賭けたソ連との宇宙計画主導権争いの緊迫感や当時の国民の関心度を、再現フィルムなどを効果的に使い、アメリカ人の底力やロマンを感じさせる、見事な物語に仕上げている。

どう見てもニュースフィルムに見えない、ロケット打ち上げの”美しい”映像などは、セットだとしたら、どのように撮影したのかと目を疑うほど素晴らしい。
迫力を増す轟音と共に、その工夫と努力は見事なものだ。
アポロ13」(1995)のような作り物とは違う、本物に迫る迫力がある。

誰もが知る月面着陸アポロ計画の、前のステップを描いた本作により、当時の人類の偉大な足跡を改めて確認できる。

アカデミー作曲賞を獲得したビル・コンティの音楽は、チャイコフスキーホルストの曲を参考にしているとも言われる。
彼の代表作「ロッキー」(1976)をも上回る、感動を盛り上げるテーマ曲は素晴らしい。
ラストで、G・クーパーが乗り込むマーキュリー9(フェイス7)の発射シーンに流れるその曲は、何度聞いても鳥肌が立つ。

イェーガーを演じるサム・シェパードは、テスト・パイロットとしてのプライドを貫く男の美学を端整なマスクと物静かな雰囲気で好演し、アカデミー助演賞候補になった。

マーキュリー・セブンに選ばれる、その後に活躍する若き日のスコット・グレンエド・ハリスデニス・クエイドフレッド・ウォードランス・ヘンリクセンスコット・ポーリンチャールズ・フランクの演技からは、選ばれし資質を持つ宇宙飛行士の逞しさが十分に伝わってくる。

特に、自信過剰の楽天家、ゴードン・クーパー役のデニス・クエイドは、当時、若手のホープとして売り出し中だけあり、ラストも飾る演技も実に爽やかだ。

ヒーローのイエーガーの妻、飾り気のない落ち着いた雰囲気のバーバラ・ハーシーグリソム夫人ヴェロニカ・カートライトG・クーパー夫人パメラ・リードグレン夫人役のメアリー・ジョー・デシャネルシェパード夫人役のキャッシー・ベーカーパンチョキム・スタンリーイエーガーの同僚のジャック・リドリー役のリヴァン・ヘレムイエーガーのライバルであるクロスフィールドのスコット・ウィルソンジョンソン副大統領役のドナルド・モファット、宇宙飛行士採用担当役のハリー・シェアラージェフ・ゴールドブラムなどが共演している。

アルマゲドン」(1998)で、ブルース・ ウィリスリヴ・タイラーが別れを惜しみ抱き合うシーンは、ガス・グリソムエドワード・ホワイトロジャー・チャフィーらと共に、アポロ1号火災事故で訓練中に死亡した際の、発射台記念碑で撮影された。
二人が抱き合うシーンは、初期の宇宙計画への賛美とオマージュだ。

また、本作ラストで、G・クーパーの打ち上げを見守るガス・グリソム(F・ウォード)が、この事故で死亡したことが説明される。
作品中、特にガス・グリソムに関する描写が丁寧に描かれているのも、その後に亡くなる犠牲者へ敬意を払っていると言える。

チャック・イェーガーは、テクニカル・アドバイザーとして製作に参加し、作品にゲスト出演もしている。
(パンチョの店のバーテン)

さらには、報道ジャーナリストのパイオニアであるエリック・サヴェリードが、本人役でロケット打ち上げ中継の実況場面で度々登場する。

また、かなり脚色されているらしいイエーガー役については、イエーガー(サム・シェパード)が、初めて音速の壁を破ってから、ドラマが終わる16年間、外見上、全く年をとらない。
それは、ヒーローが多く登場する、このドラマの本質を生かした演出で、それほど気になることもない。

因みに、ラストの、イエーガーNF-104で高度記録に挑むのは、マーキュリー9(フェイス7)の打ち上げの7ヶ月後の出来事だ。

私は今、この作品のラストをDVDで繰り返し再生しながら記事を書いています。
何度見ても、身震いするほど見事なエンディング、自分の中でベスト10には必ず入たくなる作品だ。


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