ストレンジャー The Stranger (1946) 4/5 (2)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

ナチの残党を捕えようとする”連合国戦争犯罪委員会”委員の執念の調査を描く、製作サム・スピーゲル、監督、脚本、出演オーソン・ウェルズ、脚本ジョン・ヒューストン(クレジットなし)、主演エドワード・G・ロビンソンロレッタ・ヤング他共演のサスペンスであるフィルム・ノワール作品。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■

監督:オーソン・ウェルズ
製作:サム・スピーゲル(S.P. Eagle)
原作:ヴィクター・トリヴァス

脚本
オーソン・ウェルズ

アンソニー・ヴェイラー
ジョン・ヒューストン
撮影:ラッセル・メテ
編集:アーネスト・J・ニムス
音楽:ブロニスラウ・ケイパー

出演
ウィルソン:エドワード・G・ロビンソン

メアリー・ロングストリート・ランキン:ロレッタ・ヤング
チャールズ・ランキン/フランツ・キンドラー:オーソン・ウェルズ
アダム・ロングストリート:フィリップ・メリヴェイル
ノア・ロングストリート:リチャード・ロング
コンラッド・マイネッケ:コンスタンティン・シェイン
ジェフリー・ローレンス:バイロン・キース
ポッター:ビリー・ハウス

アメリカ 映画
配給 RKO

1946年製作 95分
公開
北米:1946年5月25日
日本:未公開


アカデミー賞 ■

第19回アカデミー賞
・ノミネート
原案賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

ワシントンD.C.
連合国戦争犯罪委員会”の委員ウィルソン(エドワード・G・ロビンソン)は、ナチの残党である元収容所長コンラッド・マイネッケ(コンスタンティン・シェイン)を逃がして泳がすことを強く主調し、反対する者達の意見を聞き入れようとしない。

イタリア
船で到着したマイネッケは、病気療養を装い名前を変えて入国する。

尾行されながら”フランツ・キンドラー”を捜したマイネッケは、アメリカのコネチカット州のハーパーという町にキンドラーがいることを知る。

ハーパー。
マイネッケは町に着き、彼を追っていたウィルソンも同じバスに乗っていた。

ウィルソンを気にするマイネッケは、電話帳でキンドラーの住所を調べ、スーツケースをドラッグストア兼カフェの店主ポッター(ビリー・ハウス)に預けてその場を去る。

ウィルソンに尾行されていることに気づいたマイネッケは男子校に入り、体育館でウィルソンの頭に物を命中させ、彼が倒れ込んだのを確認する。

チャールズ・ランキン(キンドラー)の家に向かったマイネッケは、その場にいたメアリー・ロングストリート(ロレッタ・ヤング)に迎えられる前に部屋の中に入り、動揺した様子で警戒する。

マイネッケは、ランキンを待っていると言うメアリーに、自分もこの場で彼を待ちたいと伝える。

メアリーはランキンと結婚する予定だったため、それをマイネッケに伝える。

待ちきれないマイネッケは、ランキンが帰る道をメアリーに教えてもらい、名前も告げぬまま立ち去る。

木陰で待ち構え現れたキンドラー(ランキン)に声をかけたマイネッケは、人目に付く場所で会うことを拒まれ、教会に向かう道に向かうよう言われて姿を消す。

その後、マイネッケに会ったキンドラーは、自分の正体がばれないよう全て手を打ち最高裁判事の娘と結婚することも話し、再起の時を待つことを伝える。

再び戦争が起きることを望むキンドラーに、それは忌まわしいことだと伝えるマイネッケは、釈放された自分は生まれ変わったことを告げる。

自分を捜すためにマイネッケが泳がされていることを悟ったキンドラーは、尾行していた相手を殺したことを彼から知らされる。

罪を告白するしか救済の道はないと言うマイネッケを殺害したキンドラーは、死体を枯葉で隠す。

その後、ランキン(キンドラー)とメアリーの結婚式が行われる。

意識の戻ったウィルソンはポッターの店に戻り、行われている最高裁判事の娘と教師の結婚式のことを尋ねる。

ウィルソンは骨董品の買い付けに来たと言いながら、スーツケースを置いていった男の話などをする。

結婚式を終えたランキンは、林に向いマイネッケの死体を埋めてメアリーの元に戻り、ハネムーンに行く準備をする。

教会の塔の時計に興味を示すように見せかけて教会に向い、ロングストリート判事(フィリップ・メリヴェイル)の息子でメアリーの弟のノア(リチャード・ロング)に会ったウィルソンは、壊れているその時計を義兄のランキンが直していることを知らされる。

ランキンが数日後には戻ると知ったウィルソンは、ロングストリートとも会い、自分の専門が銀製品であることを伝える。

ランキンとメアリーは旅行から戻り、訪れていたウィルソンや友人の医師ジェフリー・ローレンス(バイロン・キース)らも含めて食事をする。

ウィルソンが先週から町に滞在していると聞いたランキンは、彼が頭の傷でジェフリーの治療を受けたことを知る。

ドイツ”に関する話題になり、必要であり救世主となるのは第二のヒトラーの出現で、全てを解決させるためには敵を子供を含め絶滅させることだとランキンは意見する。

ホテルに戻りワシントンに連絡したウィルソンは、ランキンが問題ない人物だと報告し戻ることを伝える。

帰宅したランキンは林に向い、死体を埋めた場所を確認し、それに気づいた愛犬を殺してしまう。

夜中に目覚めたウィルソンは、ランキンがマルクスユダヤ人と呼んだことを思い出し、それがナチしか言わない発言であることから滞在を続けることをワシントンに連絡する。

翌日、ノアの釣りに付き合ったウィルソンは、ランキンを嫌っているように見える彼にその理由を聞く。

それを否定するノアだったが、姉メアリーが危険だと言うウィルソンが、骨董の専門家ではなく探偵のようなものだと知らされる。

ウィルソンは、結婚式の日のランキンの行動をノアから聞き出そうとする。

メアリーが危険人物を愛するはずがないとノアに言われたウィルソンは、自分の考えが間違いであってほしいと付け加える。

男(マイネッケ)が現れないため、預ったスーツケースの中を見る権利がポッターにはあると言うウィルソンは、立会人となってそれを確認する。

その場にランキンとメアリーが現れ、スーツケースを取りに来ない男の話になり、その人相を聞いた彼女が動揺する。

メアリーが余計なことを話すのを制止するランキンの様子を気にするウィルソンは、男に心当たりがあるかを彼女に尋ねる。

それを否定するメアリーが、明らかに何かを隠していることに気づいたウィルソンは、そこに現れたノアが愛犬がいなくなったことを心配していることを知る。

ランキンとメアリーはその場を去り、店を出たウィルソンは、メアリーがマイネッケと会っていることをノアに伝える。

ランキンの正体をメアリーは知るべきだと意見するウィルソンの言葉に戸惑うノアだったが、自分から知るように仕向ける方法を考えると言われ納得する。

かつて愛を告白された女性の死を謀殺と疑われたランキンは、現金を渡せば事故だと証言すると脅迫してきた女性の兄がマイネッケだったことをメアリーに伝える。

それを信じたメアリーは、ランキンを抱きしめて愛を確認するが、なぜマイネッケがスーツケースを置いて行ったかを疑問に思う。

自分が金を払ったので、マイネッケは安心したのだろうとランキンは答える。

翌日、愛犬が傷つきながら這って戻り息絶えたことを知ったノアは、ウィルソンと共にその原因を突き止めるためジェフリーの診療所に向かう。

ランキンは、二人の様子をポッターの店から見ていた。

毒を飲まされ息絶えた犬の発見場所から約200m先が怪しいと考えるウィルソンは、犬の足の泥を確認して、マイネッケの死体を掘り起こそうとしていたと指摘する。

ポッターの店に時計の修理用の油を買いに行ったランキンは、マイネッケの捜索が始まることを知らされる。

帰宅したランキンは一人で家を出ることをメアリーに伝え、犬とマイネッケを殺したことを話す。

裕福な判事から数千ドルを強請り取ろうとしたマイネッケを殺したと、メアリーはランキンから知らされる。

共犯になっても構わないと言うメアリーは、マイネッケが他に繋がりがないことを確認して、ランキンと二人で逃げようとする。

その頃、マイネッケの死体は発見され、ポッターが彼を確認する。

現場で立ち会っていたウィルソンは、メアリーをランキンと一緒にしておけないと言うノアに、彼女も真実を知りたいだろうと伝える。

自然に振る舞うようランキンに言われたメアリーは、父親に呼ばれ動揺しながら一人で屋敷に向かう。

待ち構えていたウィルソンから、死体で発見されたマイネッケを知っているかと聞かれたメアリーはそれを否定する。

自分が疑われているのかを尋ねるメアリーは、犯人を匿っているとウィルソンに言われ、ナチの残党である収容所長マイネッケの写真を見せられる。

それでもメアリーがマイネッケに会ったことを否定したため、”連合国戦争犯罪委員会”の者だと伝えたウィルソンは彼女に収容所の映像を見せる。

ウィルソンは、”フランツ・キンドラー”という男が民族抹殺”ジェノサイド”を行ったことを伝える。

逃亡したキンドラーはあらゆる証拠を消したが、ただ一つ時計のマニアだったこともウィルソンは付け加える。

キンドラーの部下だったマイネッケを逃がし、それを追ってこの町に来たことをウィルソンは話す。

そのキンドラーを知る唯一の人物だと言われたメアリーは、夫がナチであることを信じようとしない。

動揺しながら屋敷を出たメアリーは、父親に真実を話すよう説得されるものの納得できない。

メアリーの潜在意識には真実を知りたいという思いがあるはずだと判断したウィルソンは、それを立証する鍵も彼女が握っていることを判事に伝える。

父親である故に話すと言うウィルソンは、メアリーが殺害される可能性も語る。

教会の塔で時計を直して鐘を鳴らしたランキンの元に向かったメアリーは、夫がナチの”キンドラー”だとウィルソンから言われ、自分は何も話していないことを伝える。

鐘の音を聴いた人々は教会に集まり、それを喜びランキンに感謝する。

翌日、怯えながら過ごすメアリーは、招待したパーティー客を迎える。

ポッターの店で睡眠薬を手に入れたランキンは、ウィルソンがパーティーに向かったと知り急いで家に向かう。

ウィルソンが現れ歓迎したメアリーだったが、招待客が殺人の話を始めたため動揺する。

帰宅したランキンは、ウィルソンの目的は何かを考えそれをメアリーにも尋ねるが、彼女は何も答えられない。

パーティーは終わり、招待客が帰った後でメアリーは取り乱してしまい、ランキンが彼女を落ち着かせる。

それを目撃した家政婦は、ウィルソンや判事にその件を話し、彼らは警戒しながら監視を続けさせる。

その後ランキンは、時計台の梯子が折れるように細工する。

教会の塔に来るようランキンに言われたメアリーだったが、彼女の行き先を知ろうとした家政婦がそれを阻止しようとして発作を起こした振りをする。

メアリーはノアに電話をしてランキンに呼ばれたことを話し、遅れると伝えてほしいと頼み誰にも言わないよう約束させる。

ノアはそれをウィルソンに伝え二人は教会に向い、ポッターの店にいたランキンは、客と話をしていたためそれに気づかない。

ウィルソンは塔の梯子を上り、細工された場所で落ちそうになるものの何んとか助かる。

細工が最近されたものだとウィルソンは確認する。

雪が降り始め、計画通りに4時の鐘と同時に店を出たランキンは家に戻る。

その場にメアリーがいたため驚くランキンは動揺し、彼女がノアに教会に行くことを話したことを知り激怒する。

ノアが教会の梯子から落ちて死んだとランキンから言われたメアリーは、自分が殺される計画だったことに気づき、彼を”キンドラー”と呼ぶ。

自分を殺すようにと言うメアリーは、暖炉の火かき棒をランキンに渡そうとする。

そこにウィルソンらが現れるが、ランキンは逃亡した後で、ノアの無事を知ったメアリーは気を失ってしまう。

州警察に連絡したウィルソンは、道路を封鎖させて駅を見張らせる。

父親の屋敷で目覚めたメアリーは教会に向かい、それを知ったウィルソンは、ノアに警察に連絡させて彼女を追う。

塔の梯子を上ったメアリーは、その場にいたランキンに一人で来たことを伝える。

ランキンは、自分を殺しに来たと言うメアリーに、死ぬのはお前だと伝える。

道連れにすると言うメアリーは、ランキンの逃亡方法などを聞く。

そこにウィルソンが現れ、銃を手にして抵抗しようとするランキンは、教会を取り囲む町民を確認するよう言われる。

蔑む人々の様子をよく見ろと言われたランキンは、自分を殺しても逃げることはできないことをウィルソンに知らされる。

戦時のことは命令だと言うランキンは、自分が無実だと主張するが、メアリーはそれを否定する。

ウィルソンがランキンに襲いかかり、銃を奪ったメアリーはランキンを銃撃する。

銃を手にしたウィルソンは弾がないことに気づき、ランキンは時計台の外に落下し、その仕組みにより剣が突き刺さり落下死する。

メアリーは助け出され、ポッターに様子を聞かれたウィルソンは、連合軍の勝利だと答える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

ワシントンD.C.
連合国戦争犯罪委員会”の委員ウィルソンは、ナチの残党である元収容所長マイネッケを逃がして泳がし、彼らを指揮した”フランツ・キンドラー”を捕えようとする。
マイネッケは、キンドラーがランキンと名前を変えコネチカット州の田舎町ハーパーに潜んでいることを知る。
現れたマイネッケが泳がされていることを知ったランキンは、彼を殺害して死体を隠す。
マイネッケを追い町を訪れていたウィルソンは、姿を消した彼とランキンの接点を探り始める。
最高裁判事の娘メアリーと結婚して完璧に身を隠したつもりのランキンだったが、彼女の弟ノアの協力を得て周囲を探り始めたウィルソンを警戒する・・・。
__________

監督、脚本、出演のオーソン・ウェルズによる戦後第一作で、ジョン・ヒューストン(クレジットなし)も脚本に参加している。

若くして映画史上に残る名作「市民ケーン」(1941)で評価されたオーソン・ウェルズだったが、本作が三作目の彼の実績を低く見たのか、製作者サム・スピーゲル(S.P. Eagle)の圧力に屈した様子が窺える、オーソン・ウェルズの演出にしてはオーソドックスな仕上がりとなっている。

オーソン・ウェルズが妻ロレッタ・ヤングに自分が殺人犯だと認めるあたりから、急激に映像描写などが変化し激しくなるところなどが注目で、オーソン・ウェルズの表現力は流石と言える。

終戦直後の1945年9月から撮影が始まったことと、その時代の状況を考えながら観ると実に興味深く鑑賞できる作品。

それにしても、この時期にナチの残党の追跡が早くも始まっていたかと思うと驚きだ。

サスペンスの雰囲気を盛り上げる、ブロニスラウ・ケイパーの音楽も印象に残る。

第19回アカデミー賞では原案賞にノミネートされた。

ナチ・ハンターとして執念の調査を続ける”連合国戦争犯罪委員会”委員を熱演するエドワード・G・ロビンソン、夫オーソン・ウェルズナチの残党だと知り厳しい状況に追い込まれるロレッタ・ヤング、その父親で最高裁判事のフィリップ・メリヴェイル、その息子で主人公に協力するリチャード・ロングナチの元収容所長コンスタンティン・シェイン、町医者バイロン・キース、ドラッグストア店主ビリー・ハウスなどが共演している。


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