扉をたたく人 The Visitor (2008) 3/5 (1)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★☆☆

不自由ない生活を送る初老の教授の空虚な人生と、夢や希望を抱きながらもアラブ人というだけで人格を無視され虐げられた日々を送らざるを得ない貧しい青年の過酷な運命を象徴的に対比させて、アメリカ社会の抱える問題を浮き彫りにして描く、主演リチャード・ジェンキンスヒアム・アッバスハーズ・スレイマン他共演、監督トム・マッカーシーによる社会派ヒューマン・ドラマの秀作。


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■

監督:トム・マッカーシー
製作総指揮
オマール・アマナット

クリス・サルヴァテッラ
ジェフリー・スコール

リッキー・ストラウス
ジョン・ウォルデンバーグ
製作
マイケル・ロンドン

メアリー・ジェーン・スカルスキー
脚本:トム・マッカーシー
撮影:オリヴァー・ボーケルバーグ

編集:トム・マカードル
音楽:ヤン・A・P・カズマレック

出演
ウォルター・ヴェイル:リチャード・ジェンキンス

モーナ・ハリル:ヒアム・アッバス
タレク・ハリル:ハーズ・スレイマン
ゼイナブ:ダナイ・グリラ
バーバラ:マリアン・セルデス
ジェイコブ:リチャード・カインド
カレン:マギー・ムーア
チャールズ:マイケル・カンプステイ

アメリカ 映画
配給 Overture Films

2008年製作 103分
公開
北米:2008年4月11日
日本:2009年6月27日
製作費 $4,000,000
北米興行収入 $9,422,422
世界 $17,978,842


アカデミー賞 ■

第81回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(リチャード・ジェンキンス)


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

コネティカット・カレッジ”の経済学教授ウォルター・ヴェイル(リチャード・ジェンキンス)は、妻を亡くして以来、心を閉ざし孤独な生活を送っていた。

そんなウォルターは、大学側からニューヨークの学会に行くよう指示される。

ニューヨークの別宅のアパートに向かったウォルターは、人の気配を感じ、そこに若いカップルが滞在していることに驚いてしまう。

青年タレク・ハリル(ハーズ・スレイマン)とその恋人ゼイナブ(ダナイ・グリラ)は、ウォルターを侵入者だと思い乱暴しようとする。

しかし、事情を知った二人は、自分達の誤りを認めてウォルターに謝罪しアパートから立ち去る。

二人が宿のないことを知ったウォルターは、アパートに彼らを呼び戻し滞在させることにする。

数日の間、学会に出席しながら、ウォルターは礼儀正しいシリア出身のタレクと、セネガル出身のゼイナブと親交を深めていく。

西アフリカの打楽器”ジャンベ”をたたくタレクのライブに誘われたウォルターは、彼からジャンベの叩き方を教わる。

ピアノのレッスンも受けていたウォルターは、音楽に興味を持っていったため、その後ジャンベの演奏にのめり込んでしまう。

ある日ウォルターは、タレクに誘われるがままに、ストリート・ミュージシャン達と共にジャンベを叩く。

その帰り道、地下鉄に乗ろうとしたタレクは、突然現れた警察官に尋問され連行されてしまう。

アパートに戻ったウォルターは、動揺するゼイナブに事情を話すが、二人が不法入国者だと知らされる。

クイーンズ の入管拘置所に移送されたタレクに、弁護士をつける準備をしたウォルターは彼と面会する。

一向に決まらない自分の処分に、焦り始めるタレクだったが、面会しながら、ウォルターにジャンベの上達振り知らされる。

ゼイナブは、ウォルターに遠慮してブロンクスのいとこの元に向かい、彼は会議で一旦大学に戻ることになる。

ウォルターが身支度をしていると、タレクの母モーナ(ヒアム・アッバス)が彼のアパートを訪ねてくる。

モーナを拘置所まで連れて行ったウォルターは、不法入国であるため、息子に会えない彼女に代わり手紙を見せる。

ミシガンに帰るようモーナを説得したウォルターだったが、彼女はタレクが釈放されるまでニューヨークに滞在すると言い張る。

ウォルターは、ホテルに泊まると言うモーナに、タレクが逮捕されたのは自分にも責任があることを伝え、彼女を引きとめる。

翌日、弁護士に会ったウォルターとモーナは、街頭で手製の飾り物を売るゼイナブの元に向かう。

ゼイナブはモーナと打ち解け、彼女をタレクのお気に入りの場所に案内する。

大学に戻るのを延期していたウォルターは、タレクにモーナの”ニューヨーク観光”のことを伝える。

モーナと親交を深めたウォルターは、彼女に心を寄せるようになり、一旦大学に行き仕事を済ませ、ニューヨークが気になり早々に戻る。

タレクの面会に行ったウォルターは、涙ながらに自由を手に入れることを望む彼に同情する。

他の場所に、タレクが移送される可能性が出てきたことを、ウォルターはモーナとゼイナブに伝え、二人の心配は募る。

モーナとタレクが、”オペラ座の怪人”のファンだと知ったウォルターは、モーナをブロードウェイのミュージカルに誘い”マジェスティック劇場”に向かう。

観劇後、二人は食事をするが、ウォルターは、空虚な日々が続く大学を休職し、ニューヨークに滞在することをモーナに告げる。

翌日、タレクが移送されるという連絡が入り、ウォルターとモーナは拘置所に急行する。

しかし、タレクは既にシリアに送還された後で、ウォルターは係官の不親切な対応に激怒してしまう。

ウォルターは、悪人でもない若者に対する仕打ちに怒りを露にするが、モーナになだめられてその場を立ち去り、その後、二人はゼイナブに事情を知らせる。

モーナは、タレクのいるシリアに帰ることをウォルターに告げる。

ウォルターは、モーナと二度と会えなくなることを悲しむ。

その夜、就寝中のウォルターの部屋に現れたモーナは、彼のベッドの中で、タレクの送還通知書を受け取りながら、それを無視していたことを告げる。

翌日、ウォルターは、帰国するモーナを空港に送り別れを告げる。

そして、ウォルターは地下鉄のホームのベンチに座り、”ジャンベ”を一心不乱に叩き続ける。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

地位や経済的に恵まれている大学教授ウォルター・ヴェイルは、妻を亡くし満たされない日々を送っていた。
そんな時、ウォルターの前に、二人の不法入国者のカップル、タレクとゼイナブが現れる。
宿のない2人を自分のアパートに滞在させて、交流を深めたウォルターだったが、タレクが入管拘置所に拘留されてしまう。
ウォルターは、音楽を通じ、自分に生きる喜びを感じさせてくれたタレクを、何とか救おうとする。
そしてウォルターは、タレクの母親モーナと親交を深めながら、彼の自由を勝ち取るために奔走するのだが・・・。
__________

北米では、わずか4館の限定公開で始まった低予算映画ながら、各映画賞などを受賞し高い評価を受けた作品。

大作嗜好のアメリカ映画界の中で、このような作品が発表され、また絶賛されることで、アメリカの、文化として映画を支えようとする姿勢、底力を痛感させてくれる作品でもある。

第81回アカデミー賞では、名バイプレイヤーとして、多くの作品でその存在感を示していたリチャード・ジェンキンスが、60歳を過ぎて初主演した作品で、惜しくも受賞は逃すものの、主演男優賞にノミネートされた。

一般人から見ると、羨むような立場の人物が、その空虚な日々から人間味を感じさせない前半、カップルやその母親との交流で、新たな人生を掴もうとする主人公を演ずるリチャード・ジェンキンスの抑えた演技は秀逸だ。

厳しい生活環境の中、息子を愛し守ろうとする母親を、質素な美しさと共に好演するヒアム・アッバス、アメリカに夢を抱きながらも、結果的に裏切られて送還される青年ハーズ・スレイマン、その恋人ダナイ・グリラ、主人公のピアノ教師役マリアン・セルデス、同じアパートの住人リチャード・カインドなどが共演している。


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