タバコ・ロード Tobacco Road (1941) 4.07/5 (28)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
★★★★

原作は、1932年に発表されたアースキン・コールドウェル同名小説を基にしたジャック・カークランドの大ヒット舞台劇(1933年12月初演)の映画化。
かつては豊かな農地として栄えた”タバコ・ロード”の貧農一家が、希望を捨てずに何とか農地に留まろうと健気に生きる姿を描く、製作ダリル・F・ザナック、監督ジョン・フォード、脚本ナナリー・ジョンソン、主演チャールズ・グレープウィンマージョリー・ランボージーン・ティアニーダナ・アンドリュース他共演のコメディ・ドラマ。


ドラマ(コメディ)

ジョン・フォード / John Ford 作品一覧


スタッフ キャスト ■

監督:ジョン・フォード
製作:ダリル・F・ザナック
原作:アースキン・コールドウェル
戯曲:ジャック・カークランド
脚本:ナナリー・ジョンソン
撮影:アーサー・C・ミラー
編集:バーバラ・マクリーン
音楽:デヴィッド・バトルフ

出演
ジーター・レスター:チャールズ・グレープウィン

シスター・ベッシー・ライス:マージョリー・ランボー
エリー・メイ・レスター:ジーン・ティアニー
デュード・レスター:ウィリアム・トレイシー
エイダ・レスター:エリザベス・パターソン
ティム・ハーモン大尉:ダナ・アンドリュース
ヘンリー・ピーボディー:スリム・サマーヴィル
ラヴ・ベンジーー:ウォード・ボンド
ジョージ・ペイン:グラント・ミッチェル
警察署長:ラッセル・シンプソン
浮浪者:フランシス・フォード
アシスタント:メエ・マーシュ
保安官補:ジャック・ペニック

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX

1941年製作 84分
公開
北米:1941年2月20日
日本:1988年2月27日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1930年代初頭、ジョージア州。
かつては”タバコ・ロード”と呼ばれた、綿とタバコの豊かな農園地帯も、今では不作が続き、土地は荒れ果ててしまっていた。

その地で豪邸を構えていたレスター家は、余所の土地に旅立つこともなく居座り続けるが、状況は変わらなかった。

ある日、ジーター・レスター(チャールズ・グレープウィン)と妻エイダ(エリザベス・パターソン)、そして息子のデュード(ウィリアム・トレイシー)の元に、娘婿ラヴ・ベンシー(ウォード・ボンド)が訪ねてくる。

ラヴは、妻の不満をジーターらに訴えるが、彼らはラヴの持っていたカブが気になる。

ラヴが、それを渡そうとしないため、娘のエリー・メイ(ジーン・ティアニー)が彼を誘惑して押さえ込み、その間にジーターがカブを奪う。

諦めたラヴは退散し、一家は、久し振りにカブを口にすることができる。

翌日、隣人のヘンリー・ピーボディー(スリム・サマーヴィル)に、元地主の息子ティム・ハーモン(ダナ・アンドリュース)が帰ってくることを知らされたジーターは、畑を耕す準備を始めようとする。

エイダは、ラヴからカブを奪ったことや、夫が死亡して実家に戻って来た、賛美歌を歌い続ける、信心深いシスター・ベッシー・ライス(マージョリー・ランボー)にもそのことで嘘をついてしまい、災いが起きると言って夫ジーターに警告する。

それを気にすることもなかったジーターだったが、その夜の嵐で怖気づき、翌日、ベッシーに、過ちを犯したことを告白する。

ジーターと息子デュードは、ベッシーに祈りを捧げられるが、そこにティムが、銀行家ジョージ・ペイン(グラント・ミッチェル)と共に現われる。

ティムはジーターらの苦境を知るが、実は土地が銀行に渡り、自分も苦しい立場に立たされ、援助はできないことを伝える。

代々レスター家が広げた一帯を、銀行が近代的な農地に変えるという話を聞いたジーターは、ペインに土地を離れることを提案されるものの納得がいかない。

どうすることもできないティムは、ジーターを気の毒に思うのだが、ペインに、地代100ドルを払えば、土地を貸す約束をさせることくらいしかできなかった。

ティムにとうもろこしを貰ったジーターは、子供達に見つかる前に、それをエイダと食べてしまおうとする。

その後、ベッシーは、デュードが伝道活動に向いていると判断して彼を夫にすると言い出し、ジーターとエイダを驚かせる。

役場で結婚の許可を得たベッシーとデュードは、新車を手に入れて結婚も済ませて家に戻る。

地代の100ドルを用立てるために、家族になったベッシーの財産を当てにしたジーターだったが、彼女は、亡くなった夫の保険金の全額800ドルを、車に使ってしまっていた。

呆れたジーターは当てが外れたことで苛立つが、それに憤慨したデュードが、母親を侮辱してベッシーを連れて車で走り去ってしまう。

どうにも行く末が心配でならないジーターは、ついに神に救いを求めて祈りを捧げる。

翌日、ジーターはオーガスタにまきを売りに行くために、ベッシーの車を借りようとする。

デュードは車を乱暴に扱い、新車にも拘らずボロボロの状態になってしまう。

結局、車を運転させないデュードとベッシーを乗せてまきを運ぶことになったジーターは、オーガスタに着いた足で銀行に向かう。

金を借りようとしたジーターだったが、その場に居たペインの元に案内されてしまい、当然、地代を払えないために退散する。

夜になり、ホテルを見て閃いたジーターは、まきが売れなかったデュードとベッシーに、車のスペアタイヤを売ってホテルに宿泊する提案をする。

部屋に案内されたジーターは、デュードとベッシーが寝静まったことを確認して、車の鍵を奪い、二人を置き去りにしてその場から立ち去る。

途中ジーターは、土地を追い出されたら向かうことになる救貧農場に立ち寄り、その後、車をある男性(ラッセル・シンプソン)に100ドルで売ろうとするものの、彼は警察署長だった。

ジーターら三人は、署長に説教をされて町を追い出されてしまう。

自宅に送られるものの、自分を侮辱するデュードに腹を立てたジーターは、息子を罵倒して追い払う。

絶望したエイダは、救貧農場行きの準備を始めるが、そこにラヴが現われる。

妻が逃げてオーガスタに行ったと嘆くラヴに、その代わりにエリー・メイを彼の家に向かわせることをとを、ジーターは約束する。

汚れた顔を洗い着飾ったエリー・メイは、喜び勇んでラヴの家に向かう。

その後、金の工面ができたかを確認に来たペインだったが、ジーターは、諦めて救貧農場に行くことを告げる。

それを聞き、悪人ではないペインは、ジーターらに同情しながらその場を去って行く。

そして、ジーターとエイダは、自分達の人生そのもののタバコ・ロードを歩き、救貧農場に向かう。

途中、ティムに出くわした二人は車に乗せてもらうが、着いた先は自宅だった。

驚いたジーターは、ティムが、なけなしの金で半年間の猶予をパインに承知してもらったことを伝え、種と肥料代にと10ドルも受けとる。

綿栽培の腕前をティムに聞かれたジーターは、神が自分達を見捨てなかったことに感謝する。

ティムは二人を励まして立ち去り、ジーターは希望に燃えて、これからやりたいことを矢継ぎ早にエイダに語る。

しかしジーターは、今年が人生最良の年になることを確信しながら、まず、昼寝をして次のことを考えることにする。


解説 評価 感想 ■

1933年12月4日、ニューヨークで初演され、演劇史上のあらゆる長期公演記録を塗り替える大ヒット作となった戯曲の映画化。

原作は、1932年に発表された同名小説で、それを基にしたジャック・カークランドの戯曲。

*(簡略ストー リー)

豊かな農地だった”タバコ・ロード”では不作が続き、今でも荒れ果てたその土地に居座り続ける、貧農のレスター家の家長ジーターは、何とかこの地で再起できることを願っていた。
地主だった先代の息子ティムが戻ることになり、希望が見えたジーターだったが、既に農地は銀行に渡っていた。
自分を頼るジーターを気の毒に思うティムは、地代を払えばジーターが土地に残れるように、銀行と交渉することしかできなかった。
そこでジーターは、息子デュードと結婚するという、夫を亡くした信心深いベッシーの財産に目をつけるのだが、結局、その当てが外れてしまう・・・。
__________

同年公開される「わが谷は緑なりき」(1941)で、早くも三度目のアカデミー監督賞を受賞するジョン・フォードは、当然のごとく既に巨匠の域に達し、日本でも、彼の作品は人気があったのだが、本作の日本公開はされる気配もなく、初公開は製作後47年経った、1988年となった。

前年の「怒りの葡萄」(1940)の公開も日本では1963年で、同様に大恐慌地代の貧困に喘ぐ人々を扱った内容だからという、単純な理由でもないかと思うが、この歴史に残る戯曲のジョン・フォードによる映画化を、しかもコメディであるにも拘らず、戦後も封印されていたというのは信じ難い。

それはともかく、困窮の極みの中で逞しく生き抜く主人公家族や、ユーモアをまじえ、人間の欲を社会風刺的に描くジョン・フォードの巧みな演出は見事だ。

登場人物の多くは実にユーモラスに描写されるのだが、悲しみや寂しさを映し出す、風に舞う枯葉や日暮れのショットなどにも注目してもらいたい。

もちろんフォード一家の一員でもあり、その長老的な存在でもある主演のチャールズ・グレープウィンは、貧農の家長を茶目っ気たっぷりに演じ、前年の「怒りの葡萄」(1940)の祖父役に続くフォード作品の出演になる。

主人公の息子(ウィリアム・トレイシー)と結婚する信心深い女性マージョリー・ランボー、デビュー間もない、終盤まで顔が汚れているものの、雰囲気を感じる主人公の娘ジーン・ティアニー、主人公の妻エリザベス・パターソン、主人公を支援する、人情味のある先代の地主の息子役ダナ・アンドリュース、隣人スリム・サマーヴィル、娘婿を豪快に、また、めそめそする珍しい表情を見せるウォード・ボンド、主人公に同情する銀行家グラント・ミッチェル、そして、お馴染みフォード一家の、ラッセル・シンプソンフランシス・フォードメエ・マーシュジャック・ペニックらの出演はファンには嬉しい。


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