黒い罠 Touch of Evil (1958) 5/5 (9)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
・アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
 5star

国境の町で起きた、ある実業家の爆殺事件を発端に、居合わせたメキシコ政府の麻薬捜査官が、アメリカ側の辣腕警部の、強引なまでの不正捜査を暴くまでを描く、監督オーソン・ウェルズチャールトン・ヘストンジャネット・リー他豪華共演のフィルム・ノワールの傑作サスペンス。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:オーソン・ウェルズ
製作
アルバート・ザグスミス
リック・シュミドリン(1998:修復・DC版)
原作:ウィット・マスターソンBadge of Evil
脚本:オーソン・ウェルズ
撮影:ラッセル・メティ
編集
アーロン・ステル
ヴァージル・W・ヴォーゲル
ウォルター・マーチ
音楽:ヘンリー・マンシーニ

出演
ラモン・ミゲル・ヴァルガス:チャールトン・ヘストン
スーザン・ヴァルガス:ジャネット・リー
ハンク・クインラン:オーソン・ウェルズ
ピート・メンジース:ジョゼフ・カレイア
”アンクル”ジョー・グランディ:エイキム・タミロフ
マーシャ・リネカー:ジョアンナ・ムーア
アデール地方検事:レイ・コリンズ
モーテルの夜間マネージャー:デニス・ウィーバー
パンチョ:ヴァレンティン・デ・ヴァルガス
アル・シュワルツ:モート・ミルス
マノロ・サンチェス:ヴィクター・ミラン
ターニャ:マレーネ・ディートリッヒ
リア:マーセデス・マッケンブリッジ
ストリップ・クラブのオーナー:ザ・ザ・ガボール
弁護士:キーナン・ウィン
刑事:ジョセフ・コットン

アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1958年製作 95分(DC:111分/1998年)
公開
北米:1958年4月23日
日本:1958年7月29日
製作費 $829,000
北米興行収入 $2,237,659


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
アメリカとメキシコの国境の町。
メキシコ政府の特別麻薬捜査官ラモン・ミゲル・ヴァルガス(チャールトン・ヘストン)は、妻スーザン(ジャネット・リー)との新婚旅行のため、アメリカ領内に入る。

次の瞬間、ヴァルガスらを追い抜いていった車が爆発し、男女二人が死亡する。

ヴァルガスは現場に残るが、ホテルに帰るよう彼に指示されたスーザンは、途中、歩み寄ってきた男パンチョ(ヴァレンティン・デ・ヴァルガス)から、夫に渡したいものがあるというメッセージを受け取る。

現場には、アデール地方検事(レイ・コリンズ)が現れ、駆けつけた、被害者で、町の大物リネカーの娘マーシャ(ジョアンナ・ムーア)は、遺体を父親だと確認する。

その後、連絡を受けたハンク・クインラン警部(オーソン・ウェルズ)も現れる。

爆弾はメキシコ側で仕掛けられたが、アメリカ側で起きた事件だということで、ステッキをつき足が悪いものの、周囲を圧倒する威圧的なクインランは、 オブザーバーだというヴァルガスの干渉を拒絶する。

パンチョに連れられたスーザンは、国境をまたぐ裏社会の顔役”アンクル”ジョー・グランディ(エイキム・タミロフ)の元に案内される。

グランディに同ずることのないスーザンは、メキシコシティの兄弟には構うなという、夫ヴァルガスへの忠告を聞きその場を去る。

ホテルでスーザンを待っていたヴァルガスは、彼女が脅されたことを知るものの、直ぐにはこの場を離れられないと言って現場に戻る。

クインランは、リネカーと共に爆死したストリッパーの件で、彼女の店に向かいオーナー(ザ・ザ・ガボール)に話を聞くが、手がかりは得られなかった。

その後クインランは、昔馴染みの酒場の女ターニャ(マレー}ネ・ディートリッヒ)を訪ね、簡単な会話を交わして立ち去る。

スーザンは、その後も、グランディの甥達の監視や嫌がらせに遭い、クインランと会うという、ヴァルガスに同行することにして、アメリカ側のモーテルに宿泊しようとする。

翌日ヴァルガスは、クインランらと共にダイナマイトの盗難届けを出した作業現場に向かい、それを盗んだ男を追う。

クインランは、リネカーの元部下で、マーシャの恋人マノロ・サンチェス(ヴィクター・ミラン)に目を付け、彼を見つけて締め上げる。

そこに、スーザンをモーテルに送り届けた、クインランの部下ピート・メンジース(ジョゼフ・カレイア)が現れ、車を尾行していたグランディを連行してくる。

ヴァルガスはスーザンに連絡を入れて、彼女の声を聞き安心するが、モーテルはパンチョらが監視していた。

サンチェスは、金目当てでマーシャに近づき、父親リネカーを殺したという犯行を否定するものの、部屋のバスルームでダイナマイトが見つかる。

クインランは、本数もメーカーも一致するダイナマイトを確認し、ヴァルガスに捜査終了を伝える。

しかし、バスルームの洗面台を10分前に使ったヴァルガスは、ダイナマイトが入っていたという箱には、何もなかったことを確認していた。

ヴァルガスは、間違いなく箱は空だったと主張し、クインランが証拠を捏造してるとして譲らない。

地方検事アル・シュワルツ(モート・ミルス)は、ヴァルガスを信じて彼と行動を共にする。

その様子を見ていたグランディは、クインランを巻き込み、共謀してヴァルガスを陥れようとする。

ヴァルガスは、クインランが、どこでダイナマイトを手に入れたかを突き止めるために、彼の農場に向かう。

シュワルツは、アデール地方検事と警察署長を呼び寄せてヴァルガスに紹介し、クインランが、ダイナマイトを手に入れた証拠書類を見せる。

そこに現れたクインランは、ダイナマイトのことを問い詰められ、侮辱されたと不快感を露にし、バッジを投げ捨てその場を去ろうとする。

署長はクインランを擁護し、アデールもヴァルガスが混乱を起こしたことを非難する。

それを甘んじて受け入れたヴァルガスは、シュワルツが、自分を信じてくれていることを確かめ、クインランの事件記録調をべるため、彼に協力を求める。

クインランは、グランディとの打ち合わせ通り、ヴァルガスが麻薬を取り締まる立場でありながら、妻と共に、その常習者であると、アデールと署長に伝える。

その頃スーザンは、パンチョやリア(マーセデス・マッケンブリッジ)に、ヘロインを打たれてマリファナを吸わされる。

ヴァルガスは、クインランの事件記録を調べ、彼が敏腕と言われるようになる、事件解決のための不正を暴き、その場に現れたメンジャースにそれを伝える。

その後、モーテルに向かったヴァルガスは、スーザンがいないことに気づき、夜間マネージャー(デニス・ウィーバー)に騒ぎがあったことを聞く。

そしてヴァルガスは、モーテルのオーナー、グランディと甥達が関っていることを知る。

グランディは、町に運ばれて意識を失っているスーザンの様子を確認し、その部屋にクインランを呼び寄せる。

クインランは、グランディに警察に電話をさせ、メンジャースを呼び出す。

そして、クインランはその部屋でグランディを殺し、スーザンを犯人に仕立てて置き去りにする。

その後、意識を取り戻したスーザンは、グランディの死体を見て取り乱す。

ヴァルガスが町に到着し、パンチョらを締め上げてスーザンの居場所を聞き出そうとする。

そこにシュワルツが現れ、スーザンが麻薬と殺人の容疑で逮捕されたことをヴァルガスに告げる。

留置場のスーザンの元に向かったヴァルガスは、クインランにはめられたことを訴える。

それを見て居たたまれなくなったメンジーズは、ヴァルガスにクインランのステッキを見せ、それがグランディの殺害現場にあったことを知らせる。

スーザンを起訴する気のないというメンジースは、ヴァルガスに国境を越えるようにと伝える。

しかし、ヴァルガスは、スーザンの名誉を回復させるために、メンジースと手を組んで、クインランとの会話を盗聴しようとする。

ターニャの店にいたクインランは、自分の運は尽きたと彼女に言われ、現れたメンジースの元に向かう。

メンジースは、ヴァルガスの銃を奪ったことなどをクインランから聞き出そうとする。

二人は橋に向かい、クインランは盗聴されていることに気づき、ヴァルガスが近くにいる気配も感じる。

そのことをメンジースに問い詰めるクインランは、銃を奪い彼を銃撃する。

クインランは、現れたヴァルガスに、もはや言い逃れができないと言われるが、尚も彼にメンジース殺しの罪を被せようとする。

ヴァルガスに銃を向けるクインランだったが、シュワルツが車で現れる。

発砲したクインランは、背中は撃たないと言ってわざと弾を外すが、息のあったメンジースが彼を銃撃する。

ヴァルガスは、一部始終をシュワルツに伝え、彼の車にいたスーザンの元に向かう。

シュワルツは盗聴のテープを確認し、瀕死のクインランは立ち上がりメンジースの死体に言葉をかけながら、川に崩れ落ちる。

駆けつけたターニャは、証拠は捏造だったが、サンチェスは罪を認め、結局はクインランが正しかったとシュワルツから知らされる。

ターニャは、クインランの巨体が流されていくのを見つめながら、彼を愛したのは自分ではなく、銃撃したメンジースだったと語る。

クインランが、最低だが大した男だったとシュワルツに伝えたターニャは、”アディオス”と言い残して闇に消えていく。


解説 評価 感想 ■
1956年に発表された、ウィット・マスターソンの小説”Badge of Evil”を基に製作された作品。

*(簡略ストー リー)
国境の町。
新婚旅行でアメリカを訪れた、
メキシコ政府の特別麻薬捜査官ラモン・ミゲル・ヴァルガスと妻スーザンは、 目の前で実業家の爆殺事件を目撃する。
ヴァルガスは、アメリカ側の事件のため権限を持たないものの、立場上見過ごすわけにはいかず、スーザンをホテルに帰して現場に残る。
現場に駆けつけた警部クインランは、周囲を威圧しながら、当然、部外者ヴァルガスの協力を拒絶する。
その頃、国境を股にかける裏社会の顔役であるランディは、兄弟へのヴァルガスの干渉を阻止するため、スーザンに脅しをかける。
その後、ヴァルガスはオブザーバーとして捜査に加わることになる。
犯行に使われた、ダイナマイトを盗んだと見られる被害者の娘の恋人サンチェスを、クインランは爆破犯人と決め付けて締め上げる。
同じ頃グランディは、ヴァルガスを陥れようとして、モーテルにいたスーザンを、甥達に監視させていた。
やがて、サンチェスの家からダイナマイトが見つかり、クインランは彼の犯行を確信して捜査を終了させようとする。
しかしヴァルガスは、それを捏造だと言い切り、単独で事件の真相を究明しようとするのだが・・・。
__________

犯罪サスペンスの醍醐味を思う存分に味わえる、オーソン・ウェルズの力感溢れる演出、画面からはみ出しそうな彼と、それを上回る長身のチャールトン・ヘストン、巨漢二人の、格闘技のような演技のぶつかり合いは、映画史上に残るとも言っていいほどの、圧倒的な迫力で迫る。

余りにも有名な、3分20秒にも及ぶ冒頭のロング・テイクからのショッキングな爆破事件、警察側を含めた、多くの怪しげな登場人物の個性などを含め、寸分の隙もない、緊迫感ある映像表現なども圧巻だ。

警察官でありながら、冒頭から異様な雰囲気で登場するオーソン・ウェルズが、主人公を陥れようと考えるギャングのグランディと手を組み、悪の顔を見せ始める辺りから俄然面白くなるめまぐるしい展開で、さらにドラマに引き込まれる。

ただ、1998年の修復版(111分)でない公開版の95分バージョンでは、編集に無理がある場面が何箇所かある。

1993年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

暗雲うごめくドラマに相応しい、ヘンリー・マンシーニの音楽も印象に残る。

オーソン・ウェルズの存在をも凌ぐ、エリート捜査官を演ずるチャールトン・ヘストンも、メキシコ人役が新鮮で、その熱演は見応えある。

事件に大きく関与することになる主人公の妻役のジャネット・リー、豪腕クインラン(O・ウェルズ)のよきパートナーとして、特に後半、重要な役を演ずる刑事ジョゼフ・カレイア、裏社会の顔役を個性豊かに演ずるエイキム・タミロフ、被害者の娘ジョアンナ・ムーア、地方検事役のレイ・コリンズ、モーテルの夜間マネージャー役のデニス・ウィーバー、グランディ(A・タミロフ)の甥ヴァレンティン・デ・ヴァルガス、主人公に協力する思慮深い検事のモート・ミルス、爆破犯人ヴィクター・ミラン、出番は多くはないが、インパクトある役としてラストも飾る酒場の女マレーネ・ディートリッヒ、主人公の妻に麻薬を打つマーセデス・マッケンブリッジ、ストリップ・クラブのオーナー、ザ・ザ・ガボール、被害者の娘の弁護士役キーナン・ウィン、そして、刑事役でジョセフ・コットンという、超豪華共演者も注目だ。


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