情婦 Witness for the Prosecution (1957) 4.97/5 (36)


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スタッフ・キャスト/製作年/製作費/上映時間/興行収入
アカデミー賞
全ストーリー(結末あり)
解説(簡略ストーリー)
5star

1948年に発表されたアガサ・クリスティー短編小説、1953年初演の戯曲”Witness for the Prosecution”を基に映画化された作品。
未亡人殺害容疑をかけられた男性の弁護を引き受けた病み上がりの法廷弁護士が、謎の事件関係者に翻弄されながら解決策を探る姿を描く、監督、脚本ビリー・ワイルダータイロン・パワーマレーネ・ディートリッヒチャールズ・ロートンエルザ・ランチェスター共演によるサスペンスの傑作。


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■

監督:ビリー・ワイルダー
製作:アーサー・ホーンブロウJr.
脚本:
アガサ・クリスティー(戯曲)
ラリー・マーカス
ビリー・ワイルダー
ハリー・カーニッツ
撮影:ラッセル・ハーラン
編集:ダニエル・マンデル
音楽:マティ・メルニック

出演
レナード・ヴォール:タイロン・パワー
クリスティーネ・ヴォール/ヘルム:マレーネ・ディートリッヒ
ウィルフリッド・ロバーツ卿:チャールズ・ロートン
プリムソル:エルザ・ランチェスター
ブローガン=ムーア:ジョン・ウィリアムス
マイヤーズ検事:トーリン・サッチャー
エミリー・ジャーン・フレンチ夫人:ノーマ・ヴァルデン
メイヒュー:ヘンリー・ダニエル
カーター(執事):イアン・ウォルフ
ジャネット・マッケンジー(家政婦):ユーナ・オコナー
ダイアナ:ルタ・リー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1957年製作 116分
公開
北米:1958年2月6日(1957年12月限定公開)
日本:1958年3月12日
製作費 $3,000,000
興行収入
世界 $9,000,000


アカデミー賞 ■

第30回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(チャールズ・ロートン)
助演女優(エルザ・ ランチェスター)
編集・録音賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■

1952年。
エリザベス女王が即位して間もないイギリスロンドン法廷弁護士のウィルフリッド・ロバーツ卿(チャールズ・ロートン)は、病気療養を終える。

そしてウィルフリッド卿は、口うるさい付き添い看護師のプリムソル(エルザ・ ランチェスター)と共に帰宅する。

自宅兼事務所に戻ったウィルフリッド卿は、執事カーター(イアン・ウォルフ)らに迎えられる。

早速、事務所に向かったウィルフリッド卿だったが、プリムソルに葉巻を没収されて、寝室に連れて行かれる。

ウィルフリッド卿は、階段に取り付けられた昇降機に興味深々だったが、そこに、事務弁護人のメイヒュー(ヘンリー・ダニエル)が現れる。

メイヒューは、未亡人殺しの容疑者レナード・ヴォール(タイロン・ パワー)の弁護をウィルフリッド卿に依頼しようとするが、彼は退院直後を理由にそれを断ってしまう。

しかし、メイヒューの、胸元のポケットの葉巻に気づいたウィルフリッド卿は、助言するだけだといって事務所に彼を連れて行く。

事件の内容などを聞いたウィルフリッド卿は、メイヒューから葉巻をもらいヴォールを呼び寄せる。

抜け目のなさそうなヴォールにライターを借り、葉巻に火をつけたウィルフリッド卿は、一応、彼の話を聞き、助手であった法廷弁護士ブローガン=ムーア(ジョン・ウィリアムス)を紹介することにする。

そしてヴォールは、殺害された未亡人との関係を、ウィルフリッド卿に話し始める。
__________

ヴォールは、被害者のエミリー・ジャーン・フレンチ夫人(ノーマ・ヴァルデン)を街角で見かけ、彼女に帽子を選んであげた後、そのまま別れる。

その後、再び映画館で出くわした二人は意気投合する。

泡たて機のセールスをしていたヴォールは、フレンチ夫人の自宅で、その実演をしたりしながら親交を深める。

ヴォールは、叔母のようなフレンチ夫人に気に入られて、自宅に通うようになったのだった。
__________

アリバイを証明出来るのは、殺された未亡人しかいない不利な立場のヴォールだった。

そこにブローガン=ムーアが現れ、ヴォールにフレンチ夫人の遺産が入ることがわかる。

そしてヴォールの容疑は固まり、その場で警察に逮捕されてしまう。

怒り心頭のプリムソルの元に向かおうとしたウィルフリッド卿だったが、そこにヴォールの妻だというクリスティーネ(マレーネ・ディートリッヒ)が現れる。

ブローガン=ムーアに後を任せて、大人しく寝室に向かったウィルフリッド卿だったが、階下の様子が気になり、事務所に戻ってしまう。

クリスティーネは、裁判で証言はするとは言うものの夫ヴォールの無実を確信しているようにも見えない。

さらにクリスティーネが、ヴォールと結婚してないことを告げたため、ウィルフリッド卿達は困惑する。

難題に挑戦する意欲が高まるウィルフリッド卿は、自分が弁護することを決め、 プリムソルの気遣いを無視し、裁判への準備を始める。

収監されているヴォールと面会したウィルフリッド卿は、彼からクリスティーネとの出会いを聞き出す。

1945年。
ハンブルグに駐留していた軍人のヴォールは、酒場の歌手クリスティーネに出会い、愛し合うようになった。

クリスティーネとの関係を聞いたウィルフリッド卿は、外国人でもあり、付け込まれる可能性のある彼女を、証言台に立たせないことをヴォールに伝える。

いよいよ始まった裁判で、ヴォールは当然のごとく無罪を主張する。

その後、マイヤーズ検事(トーリン・サッチャー)の冒頭陳述が始まる。

ウィルフリッド卿は、診察のために遅れるが、プリムソルの目を盗み、気付けのブランデーを隠し持って法廷に向かう。

担当警部が事件現場の状況証拠などを、フレンチ夫人の家政婦であるジャネット・マッケンジー(ユーナ・オコナー)がヴォールに不利な証言をする。

しかし、ウィルフリッド卿は全く動ずることなく、その証言が疑わしいことを立証して見せる。

裁判3日目、”クリスティーネ・ヘルム”が検察側の証人として出廷し、ウィルフリッド卿は、妻である彼女の証言に意義を申し立てる。

しかし、検察側は、クリスティーネが他の男性と婚姻関係にあることを証明してしまう。

さらに、彼女はアリバイを否定してヴォールが殺人を犯したと供述を始め、彼は愕然とする。

ウィルフリッド卿は、クリスティーネが自分に話したことを全て嘘だと証言したため、興奮して座り込んでしまう。

傍聴席のプリムソルは、ウィルフリッド卿の付き添いのカーターに、薬を飲ませるよう指示する。

落ち着きを取り戻したウィルフリッド卿は、ヴォールを証言台に立たせる。

しかし、マイヤーズ検事は、ヴォールが所持金もないまま女性と旅行社を訪ね、豪華客船旅行について聞いた事実をヴォールに追求し、彼は窮地に追い込まれてしまう。

その夜、事務所に戻ったウィルフリッド卿は、ヴォールと付き合っていたという謎の女から連絡を受ける。

女は、クリスティーネを陥れる証拠となる、彼女がある男に送った手紙を、ウィルフリッド卿に売りつけようとする。

女は、クリスティーネにヴォールを奪われ、顔を傷つけられた腹いせに、彼女に復讐しようとしていたのだ。

翌日の裁判最終日、ウィルフリッド卿はクリスティーネを証言台に呼ぶ。

ウィルフリッド卿は、クリスティーネが他の男との関係のために、ヴォールに不利な証言をした証拠の手紙の存在を示す。

クリスティーネが、自分の便箋の特徴を説明してしまうように罠にはめたウィルフリッド卿は、取り乱した彼女の前で、実際の手紙を読み上げる。

そしてクリスティーネは観念し、その手紙を書いたことを認める。

ヴォールの無罪は確実となるのだが、ウィルフリッド卿は、出来過ぎた筋書きのようなところがある、今回の裁判に疑問を感じていた。

そして判決下り、ヴォールの無罪は確定する。

傍聴人から非難されたクリスティーネは、法廷に残っていたウィルフリッド卿に近づく。

ウィルフリッド卿は、全ての証言は、妻の供述を陪審員が信じないだろうと考えた、ヴォールを助けるための芝居だったということと、手紙を渡された女も、変装した自分だとクリスティーネから聞かされる。

さらに、ヴォールがフレンチ夫人を殺したことも知らされ、ウィルフリッド卿は、愛し合っていた二人に完全に騙されて愕然とするが、さらに驚くべき真実を知ることになる。

ヴォールは、若い恋人ダイアナ(ルタ・リー)との生活を夢見て、クリスティーネを利用していたのだ。

裏切られたクリスティーネは、法廷に残されていた凶器のナイフでヴォールを刺し殺してしまう。

バミューダ旅行に向かう予定のウィルフリッド卿だったが、プリムソルは、執事カーターにそれをキャンセルさせる。

そして、プリムソルはウィルフリッド卿に、法廷のカツラとポットに入っている”ブランデー”を渡し、クリスティーネ弁護の準備を始めさせる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)

病気療養を終え、事務所に戻った法廷弁護士ウィルフリッド卿は、未亡人殺害容疑をかけられた男性レナード・ヴォールの弁護を依頼される。
しかい、付添い看護師プリムソルは、病明けのウィルフリッド卿の体を気遣い気が気ではない。
しかし、謎の多いヴォールの妻クリスティーネの言動に興味を持ったウィルフリッド卿の心は、既に法廷に向いていた。
手強い検事と証人の確たる証言を、ことごとくかわしたウィルフリッド卿だったが、検察側の証人に立ったクリスティーネが、なんと夫ヴォールが犯人だという証言をしてしまう。
それにより、被告ヴォールとウィルフリッド卿は窮地に追い込まれるのだが・・・。
__________

堅苦しく難解(特に字幕の場合)なストーリーになりがちな法廷劇を、ユーモアと皮肉を巧みにミックスしながら、シンプルな展開と驚きの結末で観客を魅了する演出と脚本、ビリー・ワイルダーの職人芸が堪能できる。

第30回アカデミー賞では、作品賞をはじめ6部門でノミネートされた。
・ノミネート
作品・監督
主演男優(チャールズ・ロートン)
助演女優(エルザ・ ランチェスター)
編集・録音賞

ユーモアを誘う階段の昇降装置、依頼人を試す眼鏡の反射や、医者と薬嫌いの弁護士が弄ぶ錠剤、ココアの代わりにブランデーを入れてあるポット、さらには便箋と、きらりと刃先が輝く凶器のナイフなど、小道具の使い方も抜群にうまい。

法廷劇らしい、正義感が感じられる勇ましいマティ・メルニックの音楽も印象に残る。

若い頃は美男イメージが先行し、演技力に疑問もあったタイロン・パワーも、40歳を過ぎた「長い灰色の線」(1955)辺りから、実力を見せ始め、本作で演技派としても認められた。
やや、やつれているようにも感じるが、渋みのある迫真の演技を見せてくれる。
しかし、彼は翌年、心臓麻痺で44年の生涯を閉じ、結局は本作が遺作となった。

ユーモラスな出演者が多い中、元クラブ歌手という設定のマレーネ・ ディートリッヒは、二役を変装でこなし、際立つ存在感を見せてくれる。

さらに、56歳にして、100万ドルの脚線美も披露してくれる。

個性溢れる登場人物の中で、葉巻と酒に目がないチャールズ・ロートンと、付添い看護師エルザ・ランチェスターの、実生活でも夫婦である、息の合ったの二人のやり取りは絶妙だ。

自信満々で茶目っ気のある、病み上がりの弁護士C・ロートンが、階段の電動昇降機で遊んだり、注射を怖がるシーン、口うるさい付添い看護師E・ ランチェスターが、言うことを聞かない主人の態度に対し、ふてくされてしまったり、実は彼の悪さを全てお見通しだったというラストも笑わせてくれる。

ウィルフリッド卿(C・ロートン)の、元助手の弁護士ジョン・ウィリアムス、協力者で事務弁護人ヘンリー・ダニエル、検事トーリン・サッチャー、殺人の被害者夫人のノーマ・ヴァルデン、ウィルフリッド卿の悪さに加担したりもする執事イアン・ウォルフ、被害者の家政婦で唯一人の舞台のオリジナル・キャスト、彼女にとっても本作が遺作となるユーナ・オコナー、そして、主人公の若い恋人ルタ・リーなどが共演している。

エンドロールで、結末は人に言わないようようにという注意があるように、そのどんでん返しには初めて見る方は驚くはずだ。

しかし、ラストを知っていても、その全体的な作品自体の面白味や質の高さで、何度見ても十分楽しめる。


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